新たな「棄民政策」

厚生労働省が、生活保護給付の大幅削減を検討しているという。
先日、北九州で生活保護を無理やり打ち切られた(表向きは「辞退」)人が、日記に「おにぎり食べたい」と書き残して餓死したのは記憶に新しい。
そんな事件があったにもかかわらず、政府は反省するどころか、新たな「棄民政策」を準備しているのだ。

生活保護受給者に対しては、昔から「働かないで金だけもらう」「ずるい」という攻撃があった。特に長時間労働に苛まれている「会社人間」や、自分の努力だけで「成功」したと思い込んでいる「成金」ほど、そういう中傷を繰り返していた。
しかし、もろに就職氷河期にぶつかり、まともな仕事に就けるのは、実は「能力」のある者ではなく、「コネ」と「見た目の押し出しの強さ」のある者であることを熟知している「難民世代」の私には、そうした中傷は「持てる者」の傲慢以外の何物でもない。
「会社人間」は過労を強いる企業と闘う勇気のない己の小心さを誤魔化し、「成金」は自分の「成功」が他者の「失敗」を踏み台にしていることに無頓着なだけだ。

この国では、新卒で就職できなかったり、1度失業したり、あるいは病気になったりすると、もはや復活はできず、坂を転げ落ちるように転落する。はじめから貧しい家庭に生まれた者、高い教育を受ける機会がなかった者なら、なおさらだ。
生活保護を受けるのは「他人に食わせてもらっている」という点で屈辱である。そんな屈辱に甘んじても、生活保護がなければ生きられない人々が大勢いるのだ。
そして、何より現代社会は誰しも(特権階級をのぞいて)生活保護受給者になる可能性がある。ある日突然、職を失うリスクは常に存在するからだ。この国は失業保険給付も期間が短いので、失業が長引けば生活保護に頼るしかないのが現状だ。

国家は、大企業や富裕層の減税を繰り返す一方で、庶民を競わせ、貧困に追い込み、切り捨てようとしている。労働力と税金と公共料金だけはテイクし、何もギブしないのは、あからさまな「搾取」でしかない。

生活保護給付の削減は、受給者だけの問題ではない。
「明日の受給者」になるかもしれない私たち全員の問題である。
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# by mahounofuefuki | 2007-09-01 10:54

ウィキペディアは使えない

前の記事で、ウィキペディアは使えないという話をしていたら、なんてタイムリー(笑)。
まあ、これは氷山の一角だろう。
セコイ、としか言いようがない。

ウィキペディアは基本方針として、「中立」「検証可能」を謳っているが、物事に「中立」などないし(それは単なる「日和見」である)、「検証」とは検証能力のある人間がいなければできない。匿名であるがゆえに、どんな優れた学者でも、まったくの素人と同じ権利しか持たないウィキペディアのシステムでは、どうやっても正常化は無理である。

改めて言おう。ウィキペディアは使えない。
労を惜しまず、本物の百科事典を使うように。
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# by mahounofuefuki | 2007-08-31 23:08

『知恵蔵』休刊

部数減で休刊や大幅衣替え 知恵蔵とイミダス(47NEWS)

『知恵蔵』がついに休刊し、『イミダス』も衣替えになるという。
インターネットの普及で、消えるのは時間の問題と思ってはいたが、いざ本当に消えるとなると寂しい。私が学生だった頃は、『イミダス』『知恵蔵』に『現代用語の基礎知識』を加えた3点セットは、ある意味必携アイテムだったからだ。特に流行に疎い私には、最新のトレンドを知る上で重宝したものだ。社会科学関係の用語を調べるのにもよく使った。

ネットは確かに便利である。一瞬で検索できる利便性に慣れてしまうと、分厚い本をページを捲って調べる労がばかばかしくなる。
しかし、ネットは便利ではあるが、誰でも情報を発信できるだけに、受け手には膨大な情報を選別する能力が問われる。ウソや捏造も多い。
ウィキペディアで、自分の専攻分野の項目を読んで、たまげたことがある。あまりにも初歩的なミスや思い込みが多く、専門家なら絶対に書かないような内容だったからだ。
故に私は今も、特に学術関係で調べものがある時は、図書館へ出向き、専門の事典や研究書にあたることにしているが、何も知らず誤った情報を信じている人がいると考えると、背筋が凍る思いだ。

これを機に、いまいちど出版文化とネット文化の両立について、考える時ではないだろうか?
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# by mahounofuefuki | 2007-08-31 17:15

臆病者の「自己責任」論

アフガニスタンでタリバンに拘束されていた韓国人人質が、ようやく全員解放された。
すでに2人の人質が殺害され、事態は長期化していただけに、ひとまず安堵した。

今回の解決は韓国政府の粘り強い交渉が功を奏した。
イラクで日本人が拘束された時、現地の宗教指導者に丸投げし、あまつさえ人質への中傷を繰り返した(香田証生さんの時に至っては見殺しにした)日本政府とは大きな相違である。
今回、韓国側は(少なくとも表向きは)最小限の譲歩で解放を勝ち得た。外交における交渉力の重要性を改めて認識させられた。

ところで、日本のイラク拘束事件の時、日本政府は人質の「自己責任」論を喧伝し、大衆もそれに乗って、人質への攻撃を加えるという事態になったが、韓国でも事情は同じらしい。
東亜日報(08/31/08:01)によれば、韓国の大統領報道官は「関係当事者たちが責任を取るべきことがあれば取るべき」と述べ、政府が使った費用の賠償請求を示唆したという。
世論も人質の「自己責任」を問う声がネットを中心に高まっているという報道もある。

志を持って社会活動をしている人々への心ない中傷は、そうした活動をやる勇気のない臆病者たちの小心さの裏返しである。
臆病者は、自分ができないことに汗を流す姿を見せられることで、自分の情けなさに否応なく気付かされる。それならそれで、沈黙していればよいのだが、「情けない自分」を認めたくない人々は、開き直って志のある人々を攻撃する。
日本だけの現象かと思っていたが、韓国でも類似の事態が起きているというのは悲しい。

今回の拘束事件ではっきりしたのは、アフガニスタンは無政府状態に逆戻りしたということだ。
その責任は言うまでもなく、アメリカ政府にある。アメリカが起こした戦争は、アフガンに安定を取り戻すどころか、ますます混迷と混乱を深めさせた。
アフガンの人々の苦境に同情を禁じ得ない。
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# by mahounofuefuki | 2007-08-31 11:30

スキャンダル暴露合戦?

参院選大勝のリバウンドか、民主党議員のスキャンダルが相次いで報道されている。
「政治とカネ」で守勢に立たされた自民党が、反撃に出たというところか。

大衆の眼目を集めるのにセックス・スキャンダルほど恰好の材料はない。そのダメージの大きさは、自民党の山崎拓衆院議員で実証済みだ。いわば「脇の甘い」人間を、知名度やイメージだけで擁立した民主党の失態は嗤うしかないが、同時にそんな政治の本質とは関係ない話題に踊らされる人々も滑稽だ。世の中にはもっと重大で、切実な問題が山ほどある。
(そういう私もこうして記事にしているのだから、他人を笑えない。)

この記事でも、横峯良郎議員の問題と姫井由美子議員の問題が並列されているが、よく考えると両者には決定的な違いがある。

横峯氏の場合、「賭けゴルフ」という明白な違法行為が疑われている。これは議員である以前に、社会人として問題であり、はっきりと真相を究明してもらいたい。

一方、姫井氏の場合、「不倫」自体は彼女の夫が告訴でもしない限り、別段公の問題ではない。私は個人的には、「不倫」も「浮気」も全然かまわないと思っている。「不倫」という言葉自体、「姦通」の代替用語であり、「姦通罪」は家父長制時代の過去の遺物だ。近代の「家」制度に縛られて、「不倫」を非難するのは、厳に慎みたい。

何よりも不快なのは、長期的には与野党間の(といっても自民党と民主党だけだが)スキャンダル暴露合戦の様相を呈していることだ。
戦前の政党政治が、政党間の汚職暴露合戦の末に崩壊し、軍部の台頭を許してしまった歴史を忘れてはならない。
あくまで次期国会では、政策で勝負してもらいたいものだ。
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# by mahounofuefuki | 2007-08-30 21:32