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裁判員制度に対する私の本音

 刑事訴訟で起訴事実を否認した被告の一審無罪率が、昨年は過去10年で最高だったという。以下、共同通信(2008/06/02 18:13)より。
(前略) 最高裁刑事局の集計によると、全国の地裁が昨年、1審判決を言い渡した被告(6万9238人)のうち、公判で起訴事実を否認したのは4984人で、起訴事実のすべてが無罪となったのは97人、一部無罪が48人。
 このうち、殺人、強盗致傷、放火など裁判員裁判対象事件の否認被告は896人で、一部を含む無罪は19人(2・1%)。
 否認被告の無罪率は、1998年から2002年まで1・2-1・9%で推移したが、03年以降は2%台となり、06年は2・6%だった。
 一方、最高検の集計によると、裁判員裁判対象事件の1審で捜査段階の自白調書の任意性(強要や利益誘導などがなく任意に自白したかどうか)が争われ、調書の証拠請求が却下(一部含む)されたのは、05年が119件中3件、昨年は70件中10件。
 日本の刑事訴訟の政治性や自白偏重主義はつとに知られるところだが、裁判員制度開始を前に証拠評価が厳しくなり、無罪率が上がったということは、それまでは証拠評価が厳格に行われず、推定無罪原則が貫かれていなかったことを意味する。また、裁判員制度対象案件の自白調書の証拠不採用が昨年は70件中10件ということは、つまり依然として70件中60件(=約85%)で自白調書が証拠採用されているということになる。とてもではないが改善とは言えないレベルだ。

 裁判員制度に対しては多くの人々が抵抗感をもっていることが各種世論調査からも明らかだが、かくいう私も裁判員制度は不要かつ有害だと考えている。裁判員制度不要論の論拠はいろいろ出ているが、私が抵抗する理由はただ1つ。もし私が何らかの事情(冤罪とか)で逮捕・起訴された時、今の日本の大衆に裁かれたくないからである。
 なんだかんだ言ってこの国の大衆の多数派は自民党政権を支え、コイズミやハシモトに熱狂し、弱い者いじめが大好きで、長いものに巻かれたがる。そんな連中に公平な裁判など期待できるはずもなく、行政側のシナリオに追随するのが目に見える。裁判員の多数がまともな人で占められる確率は限りなく低い。

 裁判員制度反対者の中にはこのまま施行されたら裁判員に指名されても拒否すると公言している人が少なくないが、私は自分が裁判員になるのは構わない。私は裁判官にも検察官にも弁護人にも誘導されず、自己の良心と科学的認識に従って判断する自信があるからだ。何て傲慢な!と言われそうだが、少なくとも刑事訴訟を「被害者」の応報手段としか考えていない連中よりははるかに公平で客観的な判断を行い、訴訟を正常化する意思はある。

 自分が参審(本当は陪審の方が望ましいが)するのは構わないが、橋下徹が涙を流しただけで「知事をいじめるな」とかほざく人や、「ワーキングプアは自己責任」とかうそぶく人や、「靖国神社に参拝しないのは反日だ」とか叫ぶ人が裁判員になるのはとうてい容認できない。選別できない以上、制度そのものを葬るほかない。
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by mahounofuefuki | 2008-06-02 21:25

フィルタリングをめぐる政治力学

 「村野瀬玲奈の秘書課広報室」より、政府のネット接続規制問題に関し行動を求める記事のTBをいただいた。
 この問題は以前から総務省や自民党などが内部で研究を進めていることは知っていたが、私の能力では全くフォローできず、ブログでは全く触れたことがなかった。よって今回もたいしたことは書けない。ただ労働契約法や宇宙基本法などと同様、またしても自民・民主両党の事前の合意で、未成年の携帯電話からのネット接続を規制するための法案が提出されそうだというのは、改めて肝心な問題に限って両党が容易に談合してしまう体質を露呈したと言えよう。

 読売新聞の教育電子版(2008/05/29)によれば、「携帯電話会社は今年1~2月、総務省の要請で、18歳未満の契約者には選別サービスの原則加入に踏み切った」ということだから、今回の法制化はすでに実施しているフィルタリング対策を法的に追認することが主目的で、いきなり言論統制が可能になるわけではない。
 しかし、伝えられる自民党原案は有害サイトを認定する「第三者機関」を「政府が審査・登録」すると指定しており、今後こうした政府の息のかかった機関が有害認定を行うことで、政府が人々に触れさせたくない情報を遮断することを可能とする恐れがある。古今東西、権力による言論統制は性表現や犯罪を促す言説への規制からスタートするのが常なので、十二分に警戒するのは当然である。

 ところで、あえて冷めた見方をすれば、今回の規制法案をめぐる政治力学は、フィルタリングを強化することで失う経済的損失フィルタリングを強化することで得られる経済的効果が天秤にかかっている。
 インターネット関連の大手企業が政府の有害認定への関与に反対する声明を出したのは、ネット規制強化により広告収益をはじめ相当なダメージを受けると判断しているからにほかならない。一方、自民や民主の国会議員が政治献金提供者であるこれら企業の損失を容認してまで規制強化に邁進するのは、フィルタリング技術の開発やその売買、及び有害認定事業そのものが生み出す利権にうま味を感じているからである。
 つまり、「ネット業界の損失<フィルタリングの利権・経済効果」となる限り、ネット規制を推進する力学が働き、その逆ならば推進力は弱まるのである。このことは念頭に置いておいた方がよい。

 すでに規制法案そのものを覆すことは困難で、いかに国の関与を弱めるかという条件闘争に入っている以上、「表現・言論の自由」を下敷きにしつつも(対外的な大義名分としてはもちろん重要である)、現実の政治的リアクションにおいては、ネット業界の経済的損失とそれが景気に与える影響を強調するのもひとつの手だろう。

【関連リンク】
村野瀬玲奈の秘書課広報室|政府主導の情報統制ではなくて、民間側の有害サイト対策の自主的努力を優先すべき。 (+引き続き緊急行動のお願い)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-749.html
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by mahounofuefuki | 2008-06-01 23:43