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消費税増税の不当性

 日本経団連が基礎年金の全額税方式を打ち出したり、消費税=社会保障目的税論者の与謝野馨氏がやたらとメディアに露出したりするなど、いよいよ年金目的を口実にした消費税増税への動きは不可避の状況を迎えている。
 この問題は支配層において「消費税増税と大企業の負担の軽減」というゴールだけはとっくに決まっていて、あとはどうやって有権者を騙していくかという方法論の相違と、企業負担の軽減方法の相違(全額税方式にして企業の保険料負担を廃止するか、消費税増税で浮いた財源を法人税減税に使うか)があるにすぎない。与謝野氏は『週刊東洋経済』3月29日号で「法人税を低める圧力はあっても、税率を引き上げる理屈は見つからない」と断言しており、その点では竹中平蔵氏ら「上げ潮」派と全く変わらない。大企業の負担を庶民に転嫁するという点では完全一致しているのである。

 以前某所で、収入にかかわらず月額固定という超逆進的な国民年金の保険料を廃止して消費税に切り替えた方がましではないかという意見があったが、この見解は年収の14%強一律負担の(つまり定額ではない)厚生年金を考慮していないだけでなく、現在消費税の4割以上を地方に回していることや、消費税の使途が基礎年金だけではないことを失念しているという問題がある。実際、現在出ている年金=消費税論は「保険料を廃止して消費税で基礎年金すべてをまかなう」か「保険料を維持して国庫負担分(現行3分の1、来年度以降は2分の1)をすべて消費税でまかなう」かのどちらかである。
 昨年度の場合、地方消費税を除く消費税収が約10兆6000億円、うち地方へ回した分を除いて国に残ったのは約7兆5000億円。対して基礎年金給付総額は約19兆円、うち国庫負担は約6兆6000億円。しかもほかに老人医療に約4兆2000億円、介護に約1兆9000億円かかっていて、これらの主要な財源が消費税である。仮に消費税を10%にしても基礎年金を全額賄うことなどできない。無理に「基礎年金=消費税のみ」を断行すれば、よほどの大増税になるか年金以外の社会保障の歳出を削減することになりかねない。一方、現行の保険料を維持したまま、国庫負担分に消費税を充てる場合、逆進性が強化されるのは言うまでもない。

 そしてここが重要なのだが、増税しても1人当たりの給付は増えない。増税する一方で給付を増やす予定が全くないのである。ましてや現在年金保険料を支払えない貧困層にとっては、消費税増税はいわば「強制徴収」と同じ役割を果たす。それでいて貧困層は支払期間の不足により、受給年齢に達しても年金の給付を受けることができないか、雀の涙ほどの給付しか受けられない。非正規労働者の大半が高齢者になった時に生活保護受給者になると言われる所以である。
 保険料制度維持派も全額税方式派もこの問題について今のところ何ひとつ有効な方策を提示していない。たとえば加入履歴を無視して全員に年金給付を保障するというような案を出す気はさらさらないのである。そもそも年収200万円とか100万円の貧困層にとっては、消費税が1%引き上がるだけでも死活問題である。消費税増税は新たな「官製貧困」の拡大でしかない。

 現在の景気後退の主因は、原油や穀物の世界的な高騰に端を発した物価上昇によるコスト増だが、それを考慮すれば最大の景気対策は消費税の減税もしくは廃止である。法人税の減税では一部の企業にしか恩恵はないが、消費税の減税はすべての企業に波及し、家計にも恩恵がある。減税分は所得税の総合課税化及び累進強化と相続税の課税ベースの大幅拡大でいくらでもフォローできる。
 消費税問題の本質は、「大企業が応分に税負担」対「経済的・社会的弱者ほど重い負担」という対立である。しつこいようだが「歳出削減でも消費税増税でもなく、金持ち増税を」である。まずは「財源が消費税しかない」というウソを見破ること。

【関連記事】
消費税増税問題リンク集
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by mahounofuefuki | 2008-05-16 20:18

国に「無駄遣い」を義務付ける宇宙基本法

 議員立法で提出されていた宇宙基本法案が昨日、自民・民主・公明など各党の賛成多数で衆議院を通過し、参議院へ送付された。

 この法案は第14条で「我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進する」と定め、1969年の宇宙開発事業団法制定に際しての国会決議以来「国是」であった宇宙利用の非軍事限定原則を変更するものである。
 これまでもいろいろ口実を設けて事実上の軍事利用が進んでいたが、日米軍事一体化、特にミサイル防衛システムの強化に合わせて、はっきりと軍事転用を法的に保障しようとしている。武器輸出解禁や集団的自衛権行使に向けた動きとも一致しており、日本がアメリカと一体となって武力行使するための準備の一環であることは疑いない。国際間の宇宙軍拡競争を激化させる可能性も含んでおり、とうてい容認することはできない。民主党がこの法案に賛成するあたり、この党の反憲法政党としての本質が浮き彫りになったとも言える。

 この法案の問題はそれだけではない。第11条で「政府は、宇宙開発利用に関する施策を実施するための法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない」と、宇宙開発への税制上の優遇措置や財政出動・融資を国に義務づけていることである。
 ふだん財政難を口実にさんざん市民生活に密着した公的支出を減らし、社会保障や福祉の予算を削減しているくせに、宇宙開発という庶民の生活には縁遠い、しかし一部の企業にとっては「おいしい」利権には国の支援をわざわざ法律で定めようとしているのである。これはある意味「無題遣い」を国に義務づけている法である。
 もともと宇宙基本法案は財界の強い要求で作られたもので、日本経団連は2006年に「わが国の宇宙開発利用推進に向けた提言」で、「宇宙は国家・国策事業であるという認識の下で、官が開発、実証を行い、その成果を踏まえ、産業化の視点にたって民が利用、事業化を進めることが基本である。また、利用にあたっても、国が重要な顧客として継続的に有力なユーザーとなることが重要である」と述べていた。開発のコストを国に負わせ、その成果だけを企業がもらい、なおかつ国が企業から商品を買い取るという究極の利権システムを要求していたのである。

 「官製貧困」が拡大を続ける中で、宇宙開発にカネを使えるほどの余力はこの国にない。民衆には「自己責任」を強要しながら、利権のためには国に依存する財界の身勝手さにはほとほとあきれる。宇宙基本法問題は、改めてこの国の政財関係のいびつさを如実に示している。

【関連リンク】
衆法 第169回国会 17 宇宙基本法案(内閣委員長提案)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16901017.htm
日本経団連:わが国の宇宙開発利用推進に向けた提言(2006-06-20)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/046/honbun.html
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by mahounofuefuki | 2008-05-14 19:43

現職自衛官による議会政治へのテロ

 5月8日に陸上自衛隊朝霞駐屯地の自衛隊体育学校の陸士長が、国会議事堂中央玄関前で割腹自殺を図った事件。ずっと詳細が不明だったが、今日になって警視庁公安部がこの陸士長を建造物侵入と銃刀所持の容疑で逮捕した。
 朝日新聞(2008/05/13 12:54)によれば、この陸士長は「地下鉄国会議事堂駅のコインロッカーに、『福田総理に告ぐ』と題する抗議文を記録したUSBメモリーを入れていた」という。また産経新聞(2008/05/13 13:17)によれば、その抗議文は福田首相の外交・経済政策への批判で、彼は「右翼団体幹部の名刺を所持し、遺書に『天皇陛下万歳』と書いていたことも判明した」という。

 今時、それも20歳の若者が、割腹という時代がかった方法で自己顕示を図ったことに、いささかショックを受けた。かつて社会党委員長の浅沼稲次郎を刺殺した少年が現代に蘇ったような錯覚を得たほどである。
 現在の日本社会では周知の通り、狭隘な排外主義や無鉄砲なミリタリズムや無知な歴史改竄主義の言説が溢れていて、特にインターネットがそうした暴力的言説を増幅しているが、おおむねそうした「ネット右翼」はあくまで「安全な場所」から「攻撃しても大丈夫な公認の敵」を攻撃しているにすぎず、自らの政治信条に命を賭けることはない。
 しかも「天皇万歳」というのにも驚いた。現在の右翼言説の主流は専ら韓国・朝鮮・中国人などへの侮蔑・差別で、それによって「日本人」としての優越意識を高めて自尊心を満たすことに本質があるが、それだけに天皇制に対しては割合無頓着である。むしろ皇太子夫妻へのバッシングは右翼が中心に行っているほどで、「愛国心」は問題になっても「天皇への忠誠心」はほとんど問題にならない。
 右翼団体幹部の名刺を持っていたということは、「プロ右翼」の強い影響を受けていたと推定されるが、正直なところ今の若者が簡単に「プロ右翼」に洗脳されてしまうのが信じられない。容疑者の履歴などが不明なので何とも言い難いが、「ネット右翼」とは異なる古いタイプのナショナリズムが水面下で復活している予兆なのだろうか。

 ショックを受けてばかりもいられない。というのも客観的には今回の事件は現職武官による議会政治へのテロだからである。在野の右翼ではない現職の自衛官が、福田首相への抗議と称しながら首相官邸ではなく、国会議事堂を自らの血で汚そうとした意味は重い(単純に警備の軽重の結果、国会を選んだとしても)。逮捕容疑は建造物侵入と銃刀所持だが、実態としては限りなく国会に対する威力妨害に近い。
 また昨今の自衛隊の危うい状況も浮き彫りになっている。この若者が右翼思想にかぶれたのが自衛隊入隊前なのか入隊後なのか。右翼団体に出入りしていたことを自衛隊側は知っていたのかどうか。自衛隊体育学校での教育が事件に影響したとすれば、当然教育内容が問題になる。かつて冷戦時代には、自衛隊の一部に治安出動に際して在野の右翼との連携を模索する動きがあったが(たとえば三島由紀夫の「盾の会」は自衛隊幹部による「民兵」計画と連動していた。猪瀬直樹『ペルソナ 三島由紀夫伝』文春文庫より)、今も自衛隊と右翼団体が密接な関係があるのではないかとの疑問も拭えない。

 政府や自衛隊は今回の事件をできるだけ小さな事件として扱い、一般の目に触れないようにするだろう。しかし、これは防衛省・自衛隊の相次ぐ不祥事の延長としても、社会風潮の「右傾化」のメルクマークとしても決して軽視しえない事件である。模倣犯を防ぐためにも過剰に騒ぐ必要はないが、事件の真相は究明しなければならない。
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by mahounofuefuki | 2008-05-13 20:01

「新党サムライ」というより「新党ヤクザ」

 平沼赳夫衆院議員の新党構想が話題になっている。
 私は「政界再編」には全く期待していないし、ましてや平沼氏のような歴史改竄主義者にして極端なレイシストを許容することもできないので(なにしろ皇室典範改正議論の時に「愛子さまが『青い目の外人』と恋に落ちて結婚し、その子が天皇になってもいいのか」と発言するような二重・三重の意味で無茶苦茶な差別主義者だ)、そんな新党などどうでもいいのだが、興味を引かれたのは新党の名前を「侍(サムライ)」にするというくだりである。

 この話で真っ先に思い出したのは氏家幹人氏の『サムライとヤクザ』(筑摩書房、2007年)という本である。中世から近代までの「武士道」の変遷を豊富な史料で跡付けた本だが、それによれば「武士道」の本質は自己の「男らしさ」を貫くことであり、近世初期までは「男伊達」「かぶき」などの表層に現れていたが、幕藩体制が文治主義へ転換していく中でそれらが「逸脱」として公儀の弾圧を受けるようになると、実際の武士=サムライにとって命を賭けても「男らしさ」を貫くことはむしろ御家を危うくするものとさえ捉えられるようになった。
 一方で、武士が失った戦闘的で刹那的な「男らしさ」は、大名や幕臣に雇われた駕籠かきなど町人階級の「荒くれもの」に受け継がれ(氏家氏はこれを「武威」の下請けと位置づけている)、さらには盗賊や博徒に広がっていく。近世も後期になるとむしろ武士の側が、そうした「荒くれもの」への「引け目」を感じるようになり(たとえば川路聖謨は盗賊の「男らしさ」を称賛していた)、それが近代以降の「武士道」の誤認と礼賛の前提となるという。この系譜が「男」であることを何よりも重んじる「任侠道」や「ヤクザ」へと連なる。

 平沼氏は「ブレない政治家」を永田町に送りたいと言ったそうだから(スポニチ2008/05/12)、彼の想定する「サムライ」は、紛争やもめ事を敬遠し「空気」を読むことを重視した現実の武士とは不適合である。むしろ彼が過剰なまでに信仰する「サムライ」像は「ヤクザ」の方に受け継がれているのである。
 そうとなれば、新党「サムライ」はいっそのこと新党「ヤクザ」と名乗るべきだろう。平沼氏や彼に近い政治家たちの女性差別、民族差別、戦争賛美などに彩られた言動は、下手な「ヤクザ」よりも暴力的で威圧的である。「サムライ」より「ヤクザ」の方がよほど彼らの目指す「男」の姿に近いと思うのだがどうだろう。

 とはいえ実際には今や「サムライ」も「ヤクザ」も、「ニンジャ」や「ゲイシャ」と同じように、欧米の「偏向した日本像」に消費されるキャラクターでしかないのも事実。「Samurai Party」と英訳された時、国際的にどういうまなざしを受けるかを考えれば、新党「侍」という党名の浅はかさは容易に浮き彫りになるだろう。

【関連リンク】
筑摩書房 サムライとヤクザ -「男」の来た道 / 氏家幹人 著
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063816
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by mahounofuefuki | 2008-05-12 15:36

一院制は独裁への道

 当ブログの5月3日付エントリで私は、憲法9条に対する支持が高まっているという事実を前提に、「『反9条派』に学習能力があれば、今後「改憲」を目指すに当たっては9条以外の大衆受けする『改正案』との抱き合わせを行うだろう」と述べたが、その抱き合わせの最も有力な候補は「二院制の廃止」ではないかと考えている。

 昨年の参院選での与党大敗の結果、衆参のいわゆる「ねじれ」が恒常化し、安定政権を望む支配層のいらだちが参議院廃止や衆議院優越の強化(再議決要件の緩和)を求める議論につながっている。今年の憲法記念日にあたり、読売・日経・産経各新聞の社説がいずれも二院制の見直しに言及したのは注目に値する。産経に至っては「第二院は何の役に立つのか。第一院と一致するなら無用、異なれば有害」というシエイエスの言葉(本当に彼の言葉なのか私はよく知らないが)まで引用して、参院廃止論を示唆した。

 そもそも二院制には主に2つの目的がある。第一に審議を慎重に繰り返すことで、誤った立法を防ぐこと、第二に選挙の機会を増やし、常に民意を反映しやすくすることである。

 第一の点は、国会の会期制(会期内に成立しない法案は廃案になる)と合わせて、法律案が簡単に成立しないよう、十分な審議を確保するためのシステムという意味合いがある。衆参両院とも与党が多数を占める場合、一見無意味のように見えるかもしれないが、少なくとも野党側が質疑を行う機会が増えることに意味がある。政府・与党が好き勝手に法案を出すのを制約する意義もある。一院制であれば、会期ぎりぎりで次々と強行採決して終わりということになりかねない。

 第二の点は、衆院が4年任期、参院が6年任期で3年ごとに半数改選という制度のために、おおよそ1~2年に1度は国政選挙が行われることに意味がある。これが衆院しかなければ、4年間も与党にフリーハンドを与えることになる。あるいは任期を2年に短縮すれば選挙は頻繁に行われるが、任期が短いと議員の選挙負担が増え、本来の活動に支障が出る。任期をそのままで半数改選にしても、今度は直近の総選挙の多数派が政権をとれなくなる可能性が出る。それは議院内閣制と矛盾する。

 このように二院制は議会制民主主義を機能させるために必要な制度なのだが、一方でこの国では政治不信が強く、国会議員を「国民の代表」ではなく「不当な特権者」と捉える傾向が常態化しているという問題がある。「小さな政府」信仰のせいもあって、議員特権を廃止するとか議員定数を減らすというような案にすぐ飛びついてしまう。「参院無用論」を「国の無駄遣いを減らす」という目的で提示すれば、大半の有権者が賛成してしまう可能性がある。

 しかし、立法機能を担う議会のための支出を「無駄遣い」とみなすのは、官僚制による専制を容認するのと同義である。実際は議員に特権があるのが問題なのではなく、特権に見合った活動をする議員を選出しないこと(正確には選出できないような社会構造)が問題なのである。あるいは衆参の「ねじれ」が問題なのではなく、現内閣が直近の民意を無視して衆院を解散しないのが問題なのである。そこを見誤ってはならない。

 あえて断言すれば、一院制は独裁を招く。与党(もちろん自民党とは限らない)のさらなるやりたい放題が嫌だったら、二院制議会を維持しなければならない。反憲法勢力の先手を打って、二院制の意義と一院制の危険性をアピールする必要があるだろう。

【関連記事】
「通年国会」は議会制民主主義を破壊する
憲法は主権者にとって「守る」ものではなく「使う」ものである

【関連リンク】
国会法 - 法庫
http://www.houko.com/00/01/S22/079.HTM
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by mahounofuefuki | 2008-05-11 15:01

雇用保険の国庫負担全廃へ~社会保障費削減路線を続ける福田内閣

 福田内閣は口先では「生活者重視」とうそぶいているが、実際は後期高齢者医療制度を予定通り実施したことに端的に現れているように、依然として小泉以来の「強きを助け、弱きを挫く」政策を継続している。社会保障費の自然増分を毎年2200億円削減する路線を中止する気配は全くなく、庶民の生活維持のための支出を減らす一方で、さらに消費税増税による貧窮者のジェノサイドを目論んでさえいる。

 額賀福志郎財務大臣が今日の記者会見で、雇用保険の国庫負担を来年度から廃止する意向を表明したが、これは今年の社会保障費削減分を捻出するためで、一昨年から予定されていたことである。2006年の行政改革推進法は第23条で雇用保険の国庫負担について「廃止を含めて検討する」と定め、政府は昨年国庫負担額を55%に引き下げ、1810億円削減した。
 政府は国庫負担を削減する一方で、昨年雇用保険法を改悪し、「自己都合」の離職者の失業給付の受給資格を勤続6か月から1年に伸ばすなど、支出の抑制を図ってきた。そしてついに満を持して2009年度に国庫負担を全廃するというのである。

 政府は失業率が低下したことを国庫負担廃止の理由に挙げているが、今後失業率が再び上昇した時はどうするのか。だいたい雇用保険制度からはじかれた非正規労働者が増大している中で、すべての失業者が給付を受けられるような制度改正が求められているのに、国庫負担の廃止は完全に逆行する。
 派遣会社が雇用保険の適用申請を行っていなかったために、失業給付を受けられない日雇派遣労働者が大勢いる。雇用保険を必要とする人を切り捨てておいて、黒字だの剰余金だのうそぶくのは欺瞞である。これは行政の責任放棄と言わざるをえない。

 政府・与党内からも社会保障費抑制路線に対する不満や批判が出ているにもかかわらず、福田内閣は依然として「小泉が課した宿題」を淡々とこなしている。今年の「骨太の方針」も「構造改革」路線を継続することは間違いない。福田のやっていることは「官製貧困」の拡大である。決して許してはならない。

【関連記事】
生活保護基準引き下げは小泉が与えた「宿題」

【関連リンク】
社会保障予算 ~歳出削減と制度構築の在り方~ 厚生労働委員会調査室 秋葉大輔*PDF
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/kounyu/20070202/20070202046.pdf
簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 - 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO047.html
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by mahounofuefuki | 2008-05-09 21:03

学歴と結婚と階級社会

 私は子どもの頃から「世界は不自由で不平等で不条理である」という意識を持っていたが、そんなひねくれ者になった原因の1つは、子どもの学力が親の「資力」と「教育意欲」と「文化的素養」に左右され、往々にして学歴は親子間で再生産されるという事実を経験的に知っていたことだった。
 私の周りの成績の良い児童は誰もが大学出の裕福なホワイトカラー(具体的には医師、弁護士、宝石商、建築士、教師などだった)の子であり、低学歴で経済的に零細なブルーカラーの子どもで成績が良かったのは私くらいだった。故に、勉強は誰でも努力すればできるようになるという教師の言葉を私は蔑んでいた(実際私は「運」が良かっただけで、「努力」だけでは進学できなかった)。貧乏人の子どもはたいてい下品で、頭も悪かった。そして裕福な連中は言葉にできない「何か」があった。小学生の時にはすでに人間の能力は育った環境によって決定されるという「真理」に到達していた。
 それだけに大学時代にピエール・ブルデューの「文化的再生産」論を知り、長年疑問だった裕福な連中だけが持っていた「何か」の答えがわかった時は泣くほど感動したし、戦後教育の「平等神話」を実証的に否定した苅谷剛彦氏の研究が出た時は、自分の直感の正しさがようやく証明されて安堵したものだ。「自己責任」論を全く支持できなかったのも、幼少時からの経験が生きていたからである。

 唐突にこんな話を書いたのは、次のようなニュースを目にしたからである。
 母親が高学歴の男性、結婚相手の学歴も高い傾向=米調査|世界のこぼれ話|Reuters
 http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-31685320080508
 アメリカの大学が20-30代男性のうち収入の高い層を対象に調査したところ、母親が大卒だと大卒の女性と結婚する傾向が、母親が大学院卒だとやはり大学院卒の女性と結婚する傾向が高いことがわかったという。
 記事では男は結婚相手を選ぶにあたって、自分の母親と同じ学歴水準の女性を選ぶということに力点を置いているが、この調査はむしろ高学歴の親の子どもは高収入の職に就く可能性が高く、それだけでなく高学歴の配偶者を得る傾向が高いという事実を示していることが重要である。

 つまり「結婚」というものが階級の固定化を促進しているということである。これは本田透氏あたりが主張している「恋愛資本主義」とも関係するが、結婚は自由であればあるほど市場原理が働き、付加価値の多い配偶者を得ようとする。収入が多い、顔がいい、コミュニケーション能力が高い、といった要素が多いほど「結婚市場」で有利になる。問題なのはそうした付加価値は親子間で再生産されることである。
 容姿は遺伝なので言うまでもないが、経済力や学歴も親子間で「世襲」され、なおかつ付加価値の高い配偶者と結婚し、その間に生まれる子どもは両親から恵まれた付加価値を受け継いで、またしても高いステータスを得る、ということが繰り返されることで、階級は実質的には「身分」へと変貌する。本来、身分社会を解体する機能を持っていた「恋愛結婚」が市場原理というスパイスが加わることで、むしろ「身分」を復活させているのである。

 ロイターの記事はアメリカの例だが、日本も同様の事態が進行しているはずである。階級社会を流動化させるためには、階級間の結婚が増えることが望ましいが、現実はそうなっていない。現代の「貧困と格差」を考える上で、経済的な所得格差や待遇差別だけでなく、結婚を通した階級の強化という問題を見落とすことはできまい。
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by mahounofuefuki | 2008-05-08 22:07

厚生労働省の「日雇派遣指針」全文

 (この1カ月余り、当ブログに「日雇派遣指針」の検索で来る例が一定数あり、気になって調べてみたら、今年4月より施行された「日雇派遣指針」はいまだ厚生労働省のHPでもPDFファイルのままだった。不便なのでHTMLに起こして転載する。転載にあたっては一部改行した。)


日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成20年厚生労働省告示第36号)

第一 趣旨

 この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第三章第一節から第三節までの規定により、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十七号。以下「派遣元指針」という。)及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十八号。以下「派遣先指針」という。)に加えて、日々又は三十日以内の期間を定めて雇用される者(以下「日雇派遣労働者」という。)について労働者派遣を行う派遣元事業主及び当該派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける派遣先が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。


第二 日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

一 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
(一)派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の日雇派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分に確認すること。
(二)派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること。

二 労働者派遣契約の期間の長期化
 派遣元事業主及び派遣先は、労働者派遣契約の締結に際し、労働者派遣の期間を定めるに当たっては、相互に協力しつつ、当該派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を勘案して可能な限り長く定める等、日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をすること。

三 雇用契約の期間の長期化
 派遣元事業主は、労働者を日雇派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者の希望及び労働者派遣契約における労働者派遣の期間を勘案して、雇用契約の期間について、できるだけ長期にする、当該期間を当該労働者派遣契約における労働者派遣の期間と合わせる等、日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をすること。

四 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
(一)派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ること。
(二)派遣元事業主及び派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に日雇派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、互いに連携して、当該派遣先の関連会社での就業のあっせん等により、当該労働者派遣契約に係る日雇派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
(三)派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、日雇派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、速やかに、損害の賠償を行わなければならないこと。その他派遣先は、派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。
(四)派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行う理由を当該派遣元事業主に対し明らかにすること。


第三 労働者派遣契約に定める就業条件の確保

一 派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回すること等により、日雇派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うとともに、日雇派遣労働者の適正な派遣就業の確保のためにきめ細かな情報提供を行う等により派遣先との連絡調整を的確に行うこと。また、派遣元事業主は、日雇派遣労働者からも就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していなかったことを確認すること。

二 派遣先は、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること。
(一)就業条件の周知徹底
 労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該日雇派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。
(二)就業場所の巡回
 一の労働者派遣契約について少なくとも一回以上の頻度で定期的に日雇派遣労働者の就業場所を巡回し、当該日雇派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことを確認すること。
(三)就業状況の報告
 日雇派遣労働者を直接指揮命令する者から、一の労働者派遣契約について少なくとも一回以上の頻度で定期的に当該日雇派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。
(四)労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導
 日雇派遣労働者を直接指揮命令する者に対し、労働者派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指
導を徹底すること。


第四 労働・社会保険の適用の促進

一 日雇労働被保険者及び日雇特例被保険者に係る適切な手続
 派遣元事業主は、日雇派遣労働者が雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者又は健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第二項に規定する日雇特例被保険者に該当し、日雇労働被保険者手帳又は日雇特例被保険者手帳の交付を受けている者(以下「手帳所持者」という。)である場合には、印紙の貼付等の手続(以下「日雇手続」という。)を適切に行うこと。

二 労働・社会保険に係る適切な手続
 派遣元事業主は、その雇用する日雇派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働・社会保険に係る手続を適切に進め、被保険者である旨の行政機関への届出(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号)第二十七条の二第一項各号に掲げる書類の届出をいう。以下単に「届出」という。)が必要とされている場合には、当該届出を行ってから労働者派遣を行うこと。ただし、当該届出が必要となる日雇派遣労働者について労働者派遣を行う場合であって、当該労働者派遣の開始後速やかに当該届出を行うときは、この限りでないこと。

三 派遣先に対する通知
 派遣元事業主は、労働者派遣法第三十五条に基づき、派遣先に対し、日雇派遣労働者について届出を行っているか否かを通知すること。さらに、派遣元事業主は、日雇派遣労働者が手帳所持者である場合においては、派遣先に対し、日雇手続を行うか行えないかを通知すること。

四 届出又は日雇手続を行わない理由に関する派遣先及び日雇派遣労働者への通知
 派遣元事業主は、日雇派遣労働者について届出を行っていない場合には、その具体的な理由を派遣先及び当該日雇派遣労働者に対し、通知すること。さらに、派遣元事業主は、日雇派遣労働者が手帳所持者である場合であって、日雇手続を行えないときには、その具体的な理由を派遣先及び当該日雇派遣労働者に対し、通知すること。

五 派遣先による届出又は日雇手続の確認
 派遣先は、派遣元事業主が届出又は日雇手続を行う必要がある日雇派遣労働者については、当該届出を行った又は日雇手続を行う日雇派遣労働者(当該派遣先への労働者派遣の開始後速やかに当該届出が行われるものを含む。)を受け入れるべきであり、派遣元事業主から日雇派遣労働者について当該届出又は当該日雇手続を行わない理由の通知を受けた場合において、当該理由が適正でないと考えられる場合には、派遣元事業主に対し、当該日雇派遣労働者について当該届出を行ってから派遣するよう又は当該日雇手続を行うよう求めること。


第五 日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示

一 派遣元事業主は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条に基づき、日雇派遣労働者との労働契約の締結に際し、労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、労働時間に関する事項、賃金に関する事項(労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いを含む。)及び退職に関する事項について、書面の交付による明示を確実に行うこと。また、その他の労働条件についても、書面の交付により明示を行うよう努めること。

二 派遣元事業主は、モデル就業条件明示書(日雇派遣・携帯メール用)の活用等により、日雇派遣労働者に対し労働者派遣法第三十四条に規定する就業条件等の明示を確実に行うこと。


第六 教育訓練の機会の確保等

一 派遣元事業主は、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)及び労働者派遣法第三十条に基づき、日雇派遣労働者の職業能力の開発及び向上を図ること。

二 派遣元事業主は、日雇派遣労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、派遣就業前に実施しなければならないこと。

三 派遣元事業主は、日雇派遣労働者が従事する職務を効率的に遂行するために必要な能力を付与するための教育訓練を実施するよう努めること。

四 派遣元事業主は、二及び三に掲げる教育訓練以外の教育訓練については、日雇派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、実施することが望ましいこと。

五 派遣元事業主は、日雇派遣労働者又は日雇派遣労働者として雇用しようとする労働者について、当該労働者の適性、能力等を勘案して、最も適合した就業の機会の確保を図るとともに、就業する期間及び日、就業時間、就業場所、派遣先における就業環境等について当該労働者の希望と適合するような就業機会を確保するよう努めること。

六 派遣先は、派遣元事業主が行う教育訓練や日雇派遣労働者の自主的な能力開発等の日雇派遣労働者の教育訓練・能力開発について、可能な限り協力するほか、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めること。


第七 関係法令等の関係者への周知

一 派遣元事業主は、日雇派遣労働者を登録するためのホームページを設けている場合には、関係法令等に関するコーナーを設けるなど、日雇派遣労働者となろうとする者に対する関係法令等の周知を徹底すること。また、派遣元事業主は、登録説明会等を活用して、日雇派遣労働者となろうとする者に対する関係法令等の周知を徹底すること。

二 派遣元事業主は、労働者派遣法の規定による派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置の内容並びに労働者派遣法第三章第四節に規定する労働基準法等の適用に関する特例等関係法令について、派遣先、日雇派遣労働者等の関係者への周知の徹底を図るために、文書の配布等の措置を講ずること。

三 派遣先は、労働者派遣法の規定による派遣先が講ずべき措置の内容及び労働者派遣法第三章第四節に規定する労働基準法等の適用に関する特例等関係法令について、日雇派遣労働者を直接指揮命令する者、日雇派遣労働者等の関係者への周知の徹底を図るために、文書の配布等の措置を講ずること。

四 派遣先は、日雇派遣労働者の受入れに際し、日雇派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容についての説明、日雇派遣労働者が円滑かつ的確に就業するために必要な、日雇派遣労働者を直接指揮命令する者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及び職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと。


第八 安全衛生に係る措置

一 派遣元事業主は、日雇派遣労働者に対して、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第五十九条第一項に規定する雇入れ時の安全衛生教育を確実に行わなければならないこと。

二 派遣先は、派遣元事業主が日雇派遣労働者に対する雇入れ時の安全衛生教育を適切に行えるよう、日雇派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣元事業主に対し積極的に提供するとともに、派遣元事業主から雇入れ時の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には可能な限りこれに応じるよう努める等、日雇派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行うこと。

三 派遣先は、日雇派遣労働者の安全と健康の確保に責務を有することを十分に認識し、労働安全衛生法第五十九条第三項に規定する危険有害業務就業時の安全衛生教育の適切な実施等必要な措置を確実に行わなければならないこと。


第九 労働条件確保に係る措置

一 派遣元事業主は、日雇派遣労働者の労働条件の確保に当たっては、第五の一に掲げる労働条件の明示のほか、特に次に掲げる事項に留意すること。
(一) 賃金の一部控除
 派遣元事業主は、日雇派遣労働者の賃金について、その一部を控除する場合には、購買代金、福利厚生施設の費用等事理明白なものについて適正な労使協定を締結した場合に限り認められることに留意し、不適正な控除が行われないようにすること。
(二) 労働時間
 派遣元事業主は、集合場所から就業場所への移動時間等であっても、日雇派遣労働者がその指揮監督の下にあり、当該時間の自由利用が当該日雇派遣労働者に保障されていないため労働時間に該当する場合には、労働時間を適正に把握し、賃金を支払うこと。

二 一に掲げる事項のほか、派遣元事業主及び派遣先は、日雇派遣労働者に関して、労働基準法等関係法令を遵守すること。


第十 情報の公開
 派遣元事業主は、日雇派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、労働者派遣の実績、派遣料金の額、派遣労働者の賃金の額、教育訓練その他事業運営の状況に関する情報を公開すること。


第十一 派遣元責任者及び派遣先責任者の連絡調整等

一 派遣元責任者は、日雇派遣労働者の就業に関し、労働者派遣法第三十六条に規定する派遣労働者に対する必要な助言及び指導等を十分に行うこと。

二 派遣元責任者及び派遣先責任者は、日雇派遣労働者の就業に関し、労働者派遣法第三十六条及び第四十一条に規定する派遣労働者から申出を受けた苦情の処理、派遣労働者の安全、衛生等に関する相互の連絡調整等を十分に行うこと。


第十二 派遣先への説明

 派遣元事業主は、派遣先が日雇派遣労働者についてこの指針に定める必要な措置を講ずることができるようにするため、派遣先に対し、労働者派遣契約の締結に際し、日雇派遣労働者を派遣することが予定されている場合には、その旨を説明すること。また、派遣元事業主は、派遣先に対し、労働者派遣をするに際し、日雇派遣労働者を派遣する場合には、その旨を説明すること。


第十三 その他

 日雇派遣労働者について労働者派遣を行う派遣元事業主及び当該派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける派遣先に対しても、派遣元指針及び派遣先指針は当然に適用されるものであることに留意すること。

【関連リンク】
厚生労働省:「緊急違法派遣一掃プラン」の実施について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/02/h0228-1.html
日雇派遣指針 労働者派遣法施行規則改正について*PDF
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai01.pdf
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by mahounofuefuki | 2008-05-07 22:54

憲法は主権者にとって「守る」ものではなく「使う」ものである

 日本国憲法の「改正」を目標とした安倍内閣がこれ以上ないほど惨めな姿で退場して以来、現憲法に対する反動はある程度鈍り、各新聞社の世論調査でも「改憲」支持は減少傾向にある。
 読売新聞の調査では1992年以来久々に「護憲」が「改憲」を上回った(読売新聞2008/04/08 01:08)。日本経済新聞の調査では依然として「改憲」が「護憲」を上回っているが、昨年の調査より「護憲」支持は8ポイントも上昇している(日本経済新聞2008/05/02 22:12)。反憲法勢力の「自爆」が響いていると考えられるが、他方で「9条の会」のような地道な護憲運動が実を結びつつあるのを否定することはできまい。

 政界の「改憲」の議論は専ら第9条の平和主義・戦力放棄条項に絞られているが、世論の「改憲」論はむしろ「9条以外」を重視する傾向がある。朝日新聞の世論調査では「改憲必要」が56%にも達するが、そのうち9条「護憲」支持は54%である(朝日新聞2008/05/02 21:33)。「改憲」派の半数以上が9条に関しては「護憲」ということになる。一口に「改憲」と言っても「9条改正」を意味しないことに注意しなければならない。
 今後の憲法をめぐる政治力学上の焦点は、この「9条護憲(現状維持)の改憲」派の動向がカギを握っていると言える。安倍政権は「美しい国」という旧態依然のナショナリズムに訴え、正面から9条解体を目指したが失敗した。「反9条」派に学習能力があれば、今後「改憲」を目指すに当たっては9条以外の大衆受けする「改正案」との抱き合わせを行うだろう。「護憲」派が「外側」に支持を拡大するためには、この「9条以外改憲」の「空気」を取り込んでいかなくてはならない。

 「護憲」と「9条護憲(現状維持)の改憲」とを分つものは何だろうか。私見ではそれは「憲法に守られている実感」の有無ではないかと考えている。
 憲法とは本来主権者たる「国民」に対する国家権力の行使を制約する最高法規であり、あらゆる法は憲法の枠内にあるはずなのだが、日本では反憲法勢力が長らく政権中枢を占めているために、憲法に背馳する法も少なくない(鎌田慧氏がかつて『反憲法法令集』なんて本を出したくらいだ)。故に憲法が「国民」の各種の権利を保障していても、実効力が伴っていないことも珍しくない。
 いわば「憲法番外地」があちこちにあるために、現実に憲法の恩恵を受けていない人々は「憲法を守れ」と言われても、憲法を「守る」ことにメリットを見出すことはできないのである。現行憲法の下では自分の権利が守られていない、だから権利が守られるような憲法を欲するというのはむしろ自然なことですらある。

 こうした状況を打開するには、「憲法を守る」から「憲法を使う」への転換が必要である。
 未だに「改憲」派はもちろん、「護憲」派にも誤解している人がいるが、憲法は「国民」の倫理規範でも理想の書でもない。イングランドのマグナ・カルタに始まる立憲主義の本義に従えば、憲法は被治者が「守る」ものではなく、統治者こそが「守る」ものである。被治者にとって憲法は「守る」ものではなく、統治者の権力の行使を制限するために「使う」武器なのである。
 特に現在の雇用待遇差別や貧困の解消を訴える上で、憲法第25条の生存権条項は最大の拠り所となろう。個人が安心して生活するために、理不尽な扱いから逃れるために憲法を「利用する」という観点が必要である。9条についても平和的生存権を軸に、「自国軍の軍事行動に巻き込まれない」ために憲法を道具とする視点を前面に押し出すべきである。

 「憲法を守れ」と叫ぶべき対象はあくまで政権であって、一般の人々ではない。そこを見誤り憲法を神棚に飾っているだけでは、憲法に対する反動を防ぐのは難しいだろう。いくら憲法に細かく権利を書き込んでもそれを実際に使うことなしには画餅でしかない。いかにうまく憲法を「使う」かが問われている。

【関連リンク】
日本国憲法 - 法庫 http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM
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by mahounofuefuki | 2008-05-03 20:20

映画「靖国 YASUKUNI」の情報をまとめる特設サイト開設

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」をめぐるさまざまな動きや情報をまとめる特設サイトが開設されたので、紹介する。
 映画『靖国』特設サイト
 http://www.eigayasukuni.net/

 映画の方は数々の妨害にもかかわらず、東京では今日から上映されるので、まずは重畳。以後各地で上映予定が組まれている(私の住んでいるところでは上映予定は伝えられているが、日時が未定で、いつ観られるのか不明だが)。
 しかし、上映妨害の動きがかえって映画の「宣伝」になってしまったのは皮肉な話である。

【関連リンク】
映画『靖国 YASUKUNI』公式サイト
http://www.yasukuni-movie.com/
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by mahounofuefuki | 2008-05-03 11:11