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労働者派遣法改正問題リンク集

1 関連法令・指針

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則
労働者派遣法とその施行令・施行規則。

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
派遣先が講ずべき措置に関する指針
派遣元と派遣先への指針。

日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき指針*PDF
日雇派遣指針 労働者派遣法施行規則改正について*PDF
厚生労働省:「緊急違法派遣一掃プラン」の実施について
いわゆる「日雇派遣指針」。派遣法改正を見送った厚労省が代替措置として2008年4月1日より施行。

「派遣労働者」として働くためのチェックリスト
労働者派遣法の基本的知識。


2 厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の記録

第1回資料 第1回議事録
第2回資料 第2回議事録
第3回資料 第3回議事録
第4回議事概要
第5回資料 第5回議事録
第6回資料 第6回議事録
第7回資料 第7回議事録
第8回資料 第8回議事録
第9回資料
第10回資料

厚生労働省:「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」について


3 労働政策審議会の労働力需給制度部会の記録

第116回資料 第116回議事録
第118回資料
第120回資料
第122回資料

厚生労働省:労働政策審議会建議―労働者派遣制度の改正について


4 労働者派遣法改正を目指す国会の動き

労働者派遣法を派遣労働者保護法へと抜本改正します/日本共産党の立法提案 - しんぶん赤旗
日本共産党による労働者派遣法改正案。

社民党OfficialWeb|政策|社民党・労働者派遣法改正案骨子
社民党による労働者派遣法改正案。

民主党: 【次の内閣】労働者派遣法改正案を了承、非正規雇用対策を確認
民主党による労働者派遣法改正案。

労働者派遣制度の見直しに関する提言 - 与党新雇用対策に関するプロジェクトチーム
自民・公明両党の労働者派遣法見直し提言。

議員は語る-3- 労働者派遣法改正 - ザ・選挙 JANJAN全国政治家データベース
労働者派遣法改正問題に対する各党議員の談話。

資料 2008年2月8日の衆議院予算委員会における、共産党の志位和夫委員長の質疑 - News for the People in Japan
YouTube - 2/8 派遣法改正し"労働者保護法"に 志位委員長が質問/衆院予算委員会(全編)
話題沸騰した共産党委員長の志位和夫氏による派遣労働に関する国会質疑の会議録と動画。

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案
政府が国会に提出した労働者派遣法改正案。


5 法曹の動き

これでいいのか?派遣法 なくそう!ワーキングプア*PDF
自由法曹団による労働者派遣法問題のまとめ。現在の問題が集約されていてわかりやすい。

ワーキングプアと非正規労働者の雇用と権利を考える*PDF
2008年3月1日に行われた自由法曹団主催のシンポジウムの記録。

労働者派遣法改正を求めるアピール - 日本労働弁護団
日弁連 - 労働者派遣法の抜本的見直し等を求める会長声明
日弁連 - 労働者派遣法「改正」案に反対し、真の抜本改正を求める会長声明
労働者派遣法を派遣労働者保護法へ抜本改正することを求める意見書 - 自由法曹団*PDF
政府の派遣法「改正」案に反対する声明 - 自由法曹団*PDF
労働者派遣法の規制強化を求める法曹団体の要求。


6 派遣関係ユニオン

エム・クルー ユニオン
ガテン系連帯 -派遣・請負者の為のNPO
*労働者派遣法改正問題専用ブログ派遣法改正 ガテン系連帯☆ブログあり。
グッドウィルユニオン
GU-NET - 労働組合 東京ユニオン
全国ユニオン
派遣労働ネットワーク - 派遣スタッフの権利向上を目指して
派遣ユニオン
派遣ユニオン ブログ
フリーター全般労働組合
フルキャストユニオン HP
My work Union 【マイワーク ユニオン】


7 労働法制解体を目指す財界及び政府の動き

規制改革推進のための第2次答申-規制改革会議*PDF
厚生労働省:規制改革会議「第二次答申」に対する厚生労働省の考え方
『規制改革会議「第2次答申」(労働分野の問題意識)に対する厚生労働省の考え方』に対する規制改革会議の見解*PDF
政府の規制改革会議による2007年末の答申と、それに対する厚労省の反論及び同会議の再反論。規制改革会議はさらなる労働者派遣法の規制緩和を要求。

【関連記事】
労働者派遣法改正問題の行方
東京新聞「ハケンの反撃」を読んで
厚生労働省の「日雇派遣指針」全文
派遣労働見直しへのバックラッシュと「抱き合わせ」改正への警戒
厚労省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」報告書は不十分
規制で解決しないと言うなら、何だったら解決するんだ!
「日雇派遣」禁止議論に対するモリタクの警告
厚労省の労働者派遣法改正案はやはり「抱き合わせ」だった
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by mahounofuefuki | 2008-04-20 00:07

「国の財政は夕張より悪い」は欺瞞

 財政大臣の諮問機関である財政制度等審議会の財政構造改革部会は今日会合を開き、2009年度予算編成ための議論を始めた。各報道によれば、財務省は国の「実質公債比率」が財政再建団体になった北海道夕張市よりもはるかに高く、より深刻な財政危機にあるという試算を部会に提示したという。
 「構造改革」という名の庶民搾取強化路線に対する怨嗟が広がり、歳出における社会保障費の削減が続いた結果、医療も福祉も崩壊に瀕している中で、改めて財政危機をアピールすることで、さらなる歳出削減への理解を求めたと言えよう。

 まだ今回の財政審の資料を精読していないので詳細は不明だが、報道を読む限り、財務省の試算は国の債務と地方自治体の債務の質的な相違を隠蔽して、我々「素人」をだましていると言わざるをえない。
 国の債務はいざとなれば国債保有者へ債券相当分の課税を行えばすぐにでも解消できるが、債権者が当該地方住民とは限らない地方債はいわば「対外債務」なのでそうはいかない。公債比率では国の方が深刻な赤字だが、破たんリスクという点では地方の方がはるかに深刻である。やる気さえあれば「金持ち増税」でいつでも赤字を解消できる国家財政と、国の支援がない限り永遠に借金を背負わされる地方財政を同列に語るのは欺瞞である。
 「将来への負担転嫁」を回避するため均衡財政が必要であるというのが財務省やその腰巾着たちの主張だが、これ以上歳出削減路線が続けば、もはや我々に「将来」などない。プライマリーバランスが均衡になったとき、社会が崩壊し、荒野に死屍累々というさまになっていては本末転倒である。

 読売新聞(2008/04/18 12:57)によれば、財務省は地方交付税を縮小するため、消費税率引き上げを前提に地方消費税を増税する地方財政「改革」案も提示したというが、この国の財政関係者たちの多くはいつも歳出削減と言えば社会保障を狙い撃ちにし、歳入増加と言えば逆進税の消費税を頼る。いいかげん消費税しか財源がないような議論はやめるべきだ
 なぜ歳出では軍事費や公共事業費を問題にしないのか。なぜ歳入では所得税や法人税や相続税を問題にしないのか。「聖域なき構造改革」と言いながら実際はこれらを「聖域」にしているのである。この問題について私はいまだに納得できる説明にお目にかかったことがない(経済対策なら法人税減税より消費税廃止の方が全企業に波及するという点ではるかに効果的だ)。
 本気で財政再建を目指すのなら、庶民にばかり「痛み」を押し付けずに、金持ちや大企業への負担増を真剣に検討せよ。貧者に増税しておいて、貧者の生活のための歳出を削減するのでは財政民主主義に反する。

 財政の役割については、東京大学大学院教授の神野直彦氏が最近次のように述べている。
 財政の使命は「市場の失敗(market failure)」に対応するだけではない。公共と民間、豊かさと貧しさ、仕事と生活などで生じているアンバランスを回復するラーゴムと、「悲しみを分かち合う」生活共同体を育成することにもあるのである。 (神野直彦「三つのドグマを打ち破ろう」『世界』2008年4月号) 
 *「ラーゴム」=スウェーデン語の「ほどほど」の意。
 財務省や財政審の現在の路線は「アンバランス」を拡大し、「悲しみ」を経済力のない人々だけに押し付けているとしか思えない。今一度、原点に戻って財政の社会的使命を自覚するべきだろう。

【関連記事】
消費税増税問題に関するリンク

【関連リンク】
財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会(平成20年4月18日開催)資料一覧:財務省
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by mahounofuefuki | 2008-04-18 17:45

国は「勝訴」なので上告できず違憲判決確定へ~自衛隊イラク派遣差し止め訴訟

 自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で、名古屋高裁はイラクの現状をイラク特措法が定める「戦闘地域」と判断し、派遣中の航空自衛隊の活動には武力行使を含み憲法第9条に違反するとの控訴審判決を下した。

 この国の司法はもうかなり前から、日米安保体制や自衛隊の問題について、憲法判断を回避するのが定石となっていただけに、正直なところ驚いている。上級審になるほど政府寄りなのも常識であるだけに、一審でもなかった違憲判断を控訴審が行ったのは(原告や他の賛同者には悪いが)想定外だった。もちろんこの想定外は喜ばしい。
 9条に対する違憲を認めた判決は、1973年の長沼ナイキ訴訟一審判決(いわゆる「福島判決」)以来だそうだから、画期的・歴史的判決と言ってよいだろう。青山邦夫裁判長の勇気と気骨に敬意を表したい。

 この訴訟は、①自衛隊派遣の差し止め、②イラク特措法の違憲確認、③平和的生存権・人格権侵害の慰謝料支払いを求めたもので、今回の判決は一審同様そのいずれも認めずに控訴を棄却しており、訴訟そのものは原告の敗訴である。しかし、皮肉にも国は勝訴したが故に上告できず、原告が上告しなければ今回の判決は確定する
 読売新聞(2008/04/17 14:24)によれば、判決はイラクについて「多国籍軍と武装勢力との間で、国際的な武力紛争が行われている」と指摘し、空自の輸送活動のうち「少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」(太字強調は引用者による)と判断したという。「戦闘地域」での活動を禁じたイラク特措法に違反し、戦争のための武力行使を禁じた憲法にも違反すると認定したのである。
 政府は再三、自衛隊のイラク派遣の合憲・合法根拠を派遣地域が「戦闘地域」ではないことに置いていたが、裁判所は「戦闘地域」であるとみなしたのである。イラクの現状認識において国家機構の一部である司法機関が、政府の説明と異なる見方を示した意味は重い。また米軍などの兵員を戦地に輸送する活動を「武力行使」と認定したことは、日米安保体制のなし崩し的強化に警笛を鳴らし、改めて憲法が禁じる「武力行使」の厳密な定義づけの必要性を指摘したと言えよう。

 今回の判決が出たことで、反憲法勢力は現憲法下で自衛隊の「武力行使」を「合法化」する限界を痛感し、憲法9条改定への野望を改めて高めることだろう。アメリカからの改憲圧力もますます強まることが予想される。
 自衛隊の在り方については護憲派内でも廃止論から専守防衛論までさまざまだが、当面は海外での武力行使禁止米軍との一体化見直しの2点に絞って、9条擁護の論陣を張る必要がある。今回の判決の憲法判断を十二分に生かすべきだろう。

【関連リンク】
自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会/トップページ
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法-法令データ提供システム
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by mahounofuefuki | 2008-04-17 20:14

オバマの「失言」は本当に「失言」か

 アメリカ民主党の大統領候補バラク・オバマ氏の「失言」が波紋を呼んでいるという。
 オバマ氏がペンシルベニア州予備選を前に「ペンシルベニアの田舎町の人々は、失業に苦しんだ結果、社会に怒りを持つようになり、(その反動で)銃や宗教に執着するようになった」と発言していたことが明らかになり(朝日新聞2008/04/14 20:03、太字強調は引用者による)、共和党やヒラリー・クリントン候補陣営が労働者を差別していると攻撃しているという。

 私は別にオバマ氏の支持者ではなく、そのポピュリストぶりを警戒しているくらいだが、くだんの発言は事実を指摘しただけで、どこが「失言」なのかさっぱりわからない。
 オバマ氏の発言は、貧しい労働者がマッチョなミリタリズムやファンダメンタリズムへ同調するのは、社会構造に起因することを示唆している。労働者が「銃や宗教」に「執着」するのは、彼らが愚かだからだとか、本質的に暴力的だからだなどと言ったのならば、あからさまな侮蔑と差別だが、彼らがそうならざるをえない要因を不安定な雇用に求めているのは、全くもって正しい。
 エリート意識丸出しどころか、冷静な社会認識で、オバマ氏を見直したくらいである。

 オバマ発言はそのまま日本社会の排外主義風潮にも当てはまる。
 経済のグローバル化で、現実に人件費の低い中国企業との競争を強いられたり、低賃金の外国人労働者との「賃下げ競争」を強いられたりしていることが、特にアジア諸国の人々への差別意識の温床になっている。また、雇用や福祉の不安定化が「強い力」に対する潜在的な被保護要求を呼び起こし、ナショナリズムへの同調要因になっている。
 そして何より、生活のさまざまな場で理不尽な扱いを受けることで痛めつけられた自尊心を、最も簡単に回復する方法が、自分より「弱い者」「劣る者」を「発見」して彼らに理不尽な攻撃を浴びせることである。ナショナリズムは「非国民」や外国人を「劣る者」とみなし、ただ「自国人」であるというだけで何も努力せずとも自尊心を高めることができる「魔法」である。「嫌韓」「嫌中」に走るのは、それくらいしか自己の生を確認する術がないからである。

 搾取と収奪はカネやモノのみならず人間性をも喪失させる。劣悪な環境にいれば思考も劣化する。逆に劣悪な雇用環境を変えることは、「銃や宗教」から人々を切り離すことにつながる。オバマ発言は、安定雇用の確立が狂信的なファンダメンタリズムを弱めるためにも急務であることを示唆している。


《追記 2008/04/17》

 本稿に対する「はてなブックマーク」で、「グローバリズムは『自国民』や愛国主義者を『劣る者』とみなし、ただ「反差別主義者」であるというだけで何も努力せずとも自尊心を高めることができる『魔法』である。ブーメラン(笑)」というツッコミ(?)があったが、全く本稿の趣旨を理解していないと言わざるをえない。

 まず、このコメントは「グローバリズム」=「反差別主義」とみなし、なおかつ「ナショナリズム」と対立関係にあると捉えているが、実際のグローバリズムは本質的に「弱肉強食」で差別があり、しかも現在のナショナリズムはグローバルな競争を勝ち抜くために国民統合を図る「手段」でもあるので、両者は必ずしも対抗関係にはない。
 さらに、仮に「グローバリズム」を「反ナショナリズム」と置き換えてもこのコメントはおかしい。反ナショナリストはナショナリストを「自国民」だからという理由で批判しているわけではない。また「日本人」は「日本人」として生まれれば何もしなくても「日本人」でいられるが、「反差別主義者」は「反差別主義者」になろうと努力しないとなれない。故にこの点では決して「ブーメラン」にはなりえないのである。

 こんなつまらないコメントについ反応して貴重な時間を無駄にしてしまった・・・(泣)。
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by mahounofuefuki | 2008-04-15 21:29

靖国神社が妨害開始~映画「靖国 YASUKUNI」上映妨害問題

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(以下「靖国」と略す)に対する上映妨害問題は、映画の上映を求める世論の声と表現・言論の自由を擁護しようとする心ある人々の尽力で、来月にも各地で上映の見通しがついたことで、とりあえず落着するかと思いきや、守勢に立たされた妨害勢力が論点をすり替えて反撃に打って出ている。

 この問題の焦点は、自民党の稲田朋美衆院議員らが何ら法的根拠も道義的正当性もなく文化庁に映画の事前試写を要求し、正当な手続きで支出された芸術文化振興基金の助成にケチをつけたことにある。この件では単なる議員個人の圧力を国政調査権と称した稲田氏を文部科学大臣が批判したほどで、稲田氏の弁明も二転三転し、引き際を知らない政治経験の浅さを露骨に示した。
 基金の助成要件については以前当ブログでも指摘したが、「政治的、宗教的宣伝意図を有するものは除く」とは特定の政党・政治団体の宣伝と解するほかなく、実際文化庁の文化部長は国会でそのように答弁していた。審査を行った専門委員会に「9条の会」に参加している人がいたと噛みついている人がいるようだが、「9条の会」は政党でも宗教団体でもない上に、委員の全員ないし多数がそうならばともかく、1人や2人いることがどれほどの影響があるというのか。全くばかばかしい。

 一方、追い込まれた稲田氏に代わって前面に出てきたのは有村治子参院議員である。
 有村氏は3月27日の参議院内閣委員会における質疑で、「靖国」の中心的出演者である刀匠が映画の「キャストになることを了承していらっしゃいません」(参議院会議録情報 第169回国会 内閣委員会 第3号)と主張、当の刀匠夫妻が「出演場面と名前を(映画から)切ってほしい」「だまされた」(高知新聞2008/04/10 13:50)などと「靖国」製作サイドへの不信感を表明するに至り、上映妨害勢力は刀匠の「肖像権」を前面に押し出すようになった。

 刀匠が今になってこう言い出したのは、よりにもよって自分が映された映画が「反日」とのレッテルを張られていることに不安を覚えたからだろう。言うまでもなく彼は長年靖国神社に深く関わってきた人間で、その歴史観や政治意識において保守主義と親和的であるとみられ、「反日」と言われるのは我慢がならないはずだからだ。
 妨害勢力は刀匠が李纓監督らにだまされたと主張し、上映擁護側は有村氏が刀匠を変心させたと批判しているが、「だまされた」と言うのは撮影を応諾した当時の刀匠をあまりにも馬鹿にしているし、「変心」というのも刀匠がもともと靖国サイドの人であることを考えれば正確ではない。あまりにも問題が大きくなりすぎたために自己保身を図っているというのが本当のところだろう。
 はっきりしておきたいのは、仮に刀匠が肖像権の侵害を主張しても、稲田氏らの「検閲」の罪は消えないということである。実際、稲田氏らは議員向け上映を要求した時も、出演者の権利のことなど一言も触れていない。出演当事者が承諾していないことと、「検閲」の正当性は全く別の次元の話である。

 出演許諾問題以上に重大な結果を招きそうなのが、これまで事態を静観していた(ように見えた)靖国神社が、突如境内の撮影許可手続が遵守されていないなどと主張し、映像の削除を要求しはじめたことである。
 これも李纓氏は10年もの間、神社を撮影していたのだから、今になって茶々を入れたのは明らかに不自然で、何らかの政治的思惑を推測しうるが、問題は靖国神社を支持する保守派・右翼の中にも「靖国」を高く評価したり、上映を求めている人々が少なくないのにもかかわらず、神社側が稲田氏や有村氏のような妨害勢力に肩入れをした点にある。
 私のような「左翼」が言うのも何だが、靖国神社の「権威」は今回の映画が上映されても何ら揺るぐことはない。本来は「そんな映画がいくら広がっても神社はびくともしません」と余裕を見せた方が戦略的には得策である。ところが、何を焦っているのか映像削除要求という無茶な行動に出たのである。これは靖国神社がその社会的支持基盤の維持に自信を失っているとも読み取れる。

 共同通信(2008/04/14 19:21)によれば、配給元は法的に問題がないと判断し、上映を中止しないとの意向を示しているというので、とりあえずは大丈夫のようだが、靖国神社本体が動き出したことで、妨害活動は今後ますます組織的に強化されるだろう。「映画をみせろ」とはっきりとアピールし続けることが必要である。

【関連記事】
映画「靖国」上映妨害問題 (追記あり)
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by mahounofuefuki | 2008-04-14 21:30

江原啓之の旭川大学客員教授辞任について

 江原啓之 コッソリ大学教授を辞退していた(日刊ゲンダイ)-Yahoo!ニュース
 こんなニュースが飛び込んできた。看護論の教育者には相応しくないという良識の声が、江原氏の思惑を打ち砕いたと言えよう。旭川大学の山内学長は猛省して欲しい。

 なお、私は江原氏が声楽や神道学の教員になるのならば何も言わない。彼には学識経験のない看護論だから強く抗議したのであって、江原氏が「胡散臭い」からという理由で彼を差別しているわけではないことを明記しておく。

【関連記事】
江原啓之を教員に迎える旭川大学の「見識」
江原啓之を客員教授に迎える旭川大学学長の言い分
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by mahounofuefuki | 2008-04-13 12:38

経済財政諮問会議の問題は「組織」ではなく「人選」だ

 北海道新聞2008/04/13朝刊に「経済財政諮問会議 高まる不要論」という記事が載っていた(このエントリを書いている時点では電子版に上がっていない)。
 最近、経済財政諮問会議について、民主党の議員が国会質問で廃止論を唱えたり、国民新党が廃止法案を準備しているが、自民党からも同会議の民間議員の任免が国会の同意案件ではないことを批判する声があるという。

 経済財政諮問会議は2001年の設置以来、毎年「骨太の方針」を通して新自由主義路線を強要し、金持ち優遇と庶民いじめの経済・財政政策を強力に推進してきた。まさに今日の貧困と差別の元凶である。最近は竹中平蔵氏が経済財政担当大臣だった小泉内閣時代ほどの威勢はないが、依然として予算編成の大枠の配分決定に大きな力を有し、首相官邸や与党中枢ですらコントロールできているとは言い難い。
 故に新自由主義路線の打倒を目指す側が廃止を持ち出すのは当然と言えるし、私も同会議の、特に財界が送り込んだ歴代の民間議員に対してはほとんど憎悪すら感じているので、廃止論は心情的には理解できる。

 しかし、冷静に考えれば、問題は経済財政諮問会議という組織にあるのではなく、その人選にあるのではないか。閣僚は別として、現行法では会議構成員の4割以上を占めることを定めている民間議員の人選を改めることが何よりも重要なのではないか。
 仮に経済財政諮問会議を廃止するとしよう。そうなれば新自由主義の司令塔は消えるが、同時に再び縦割りの各省付随の「族議員」の威力が増し、大胆な予算配分の変更や分野横断的な政策を実現することが難しくなる。それでは経済・財政政策に公平性を持たせることができない。
 経済財政諮問会議に新自由主義路線を推進する力があるのなら、それをやめる力もあるはずである。経済財政諮問会議を廃止するのではなく、そのまま存続させながら人選において新自由主義者を排斥し、貧困解消を目指す人々を入れる方が理に適っている。

 経済財政諮問会議の民間議員の資格について、内閣府設置法第22条は「経済又は財政に関する政策について優れた識見を有する者」としか定めていない。現在、何ら法的根拠もなく大企業経営者から2名、新自由主義派の学者から2名という枠が既成事実になっているが、これを改めることが必要だろう。野党は政権獲得の暁には経済財政諮問会議を廃止するのではなく、その権限を使って社会的公正を重視した経済・財政政策を実現することを目指すべきである。
 わかりやすく言えば、御手洗冨士夫氏や八代尚宏氏のような連中がいるから問題なのであって、その席に内橋克人氏や神野直彦氏や森永卓郎氏がいれば、経済財政諮問会議に強力な権限があるのはむしろ望ましいのである。そこを見誤ってはならない。

【関連リンク】
内閣府 経済財政諮問会議
内閣府設置法-法令データ提供システム
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by mahounofuefuki | 2008-04-13 11:41

立川反戦ビラ事件で不当判決

 2004年に立川市の自衛隊官舎へ自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配布した市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバーが住居侵入罪に問われていた刑事訴訟で、最高裁は被告の上告を棄却した。これにより一審無罪判決を破棄して被告を有罪とした控訴審判決が確定する。

 この事件は表向き住居侵入罪だが、多数の商用チラシや与党の宣伝ビラなどを不問に付して、「テント村」のビラだけを検挙した点で、明らかにイラク派遣反対運動への政治的弾圧である。直接的な弾圧法規ではなく、刑法が定める一般的な容疑で、時の国家権力にとって邪魔な者を有罪に処すのは、戦前からしばしば行われた常套手段であり、こうしたことが平然とまかり通るのは、現在この国には正当な政治活動の自由を社会的に保障する地盤が失われていることを如実に示していよう。

 とはいえ訴訟の争点はあくまでも住居侵入罪なので、被告のビラ配布が住居侵入に当たるのかどうかを検討しなければならない。
 今回確定する判決の問題は次の2点である。①被告らが立ち入った自衛隊官舎の敷地と共用通路を刑法第130条の「人の看守する邸宅」とみなしていること。②自衛隊官舎の管理者が関係者以外の敷地内立ち入りを禁止していたことを「侵入」の要件としていること。

 ①については、居住空間ではない敷地や通路は個々の住人の居住権が及ぶのかという疑問が生じる。一個人の邸宅ならば、その敷地には居住権が生じるだろう。しかし、集合住宅ではそれぞれの住人の部屋にはもちろん個々人の居住権は生じるが、敷地や通路は個々人の占有物ではない以上、それを「邸宅」とみなすのは無理があるのではないか。これでは例えば新聞配達のためにアパートの通路を通るのも「住居侵入」になりかねない。
 ②については、管理者の意思が居住者の意思とは限らないという問題がある。判決では管理者が官舎の出入り口に掲示した「禁止事項」に居住者の意思が反映しているか確認を行っていない。いくら自衛隊でも個々の隊員に特定のビラを読むことを禁じることはできない。管理者(自衛隊)が示した「禁止事項」そのものの正当性を問わねばならないはずだが、裁判所はこれを行っていない。

 いずれにせよ、最高裁が「お墨付き」を与えた判例は他の類似の訴訟に影響することになる。以前、当ブログで紹介した葛飾の共産党ビラ配布弾圧事件も控訴審が有罪判決を下し、現在最高裁で係争中だが、悪影響が心配される。また、政権批判的な政治活動に委縮効果を生む危険もある。
 政治活動において戸別訪問とビラ・チラシ配布は世界のスタンダードである。日本がこれを認めないのは、現在世界の普遍的原則である立憲主義・民主主義の否定にほかならない。これがどれほど恥ずかしいことか最高裁は理解していないと言わざるをえない。

【関連記事】
共産党のビラ配布に対し不当判決

【関連リンク】
判決要旨 住居侵入被告事件(平成17年(う)第351号)-立川・反戦ビラ弾圧救援会
立川・反戦ビラ弾圧救援会
村野瀬玲奈の秘書課広報室|ビラのポスティングを有罪と考える人に説明。(立川反戦ビラ入れ裁判をめぐって)
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by mahounofuefuki | 2008-04-11 20:23

「ハンセン病問題基本法」の請願

 ハンセン病療養所の入所者・退所者の権利擁護のための「ハンセン病問題基本法」の制定を求める国会請願が行われているという。以下、共同通信(2008/04/08 21:57)より。
(前略) 全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)、国賠訴訟全国原告団協議会(全原協)のメンバーや支援者らが手分けし、衆参両院の議員会館で療養所の所在県から選出された議員や各党の厚生労働関係議員などに要請書を手渡した。
 基本法をめぐっては、超党派で構成する2つの議員連盟がそれぞれ、先月までに関係者からの聴取などを実施。会期中の成立を目指し、成案を得るための調整が続けられている。
 2つの議員連盟とは、「ハンセン病対策議員懇談会」と「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」である。

 ハンセン病については、日本国家は1907年に法律「癩予防ニ関スル件」を制定して以降、患者の強制隔離断種・堕胎虐待・監禁を基軸とする非人道的な差別政策を後継法の「らい予防法」を廃止する1996年まで続けた。
 完治が難しかった時代にあっても感染力が微弱で衛生・栄養状態に影響されると考えられた病気だった以上、隔離政策に正当性はなく、ましてや特効薬プロミンにより病気の完全治癒が可能になった戦後も継続したのは言語道断である。断種・堕胎に至っては、遺伝病ではないのだからいかなる思想的立場であっても非人間的政策と言わなければならない。

 療養所入所者らによる国家賠償訴訟は和解したものの、日本社会における差別と偏見は根強く、入所者の社会復帰は必ずしも進んでいない。ハンセン病療養所は依然として社会に開かれたとは言えず、入所者の高齢化が進む一方、医療・福祉体制の遅れが問題となっている。
 「ハンセン病問題基本法」の内容について、全療協などが参加する「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会」は、入所者の社会復帰と差別解消に国が責任を持つこと療養所の医療・介護の充実療養所の一般開放などを求めている。この請願を元に速やかに法を制定する必要があるだろう。

 偶然にも私は今、藤野豊『ハンセン病と戦後民主主義 なぜ隔離は強化されたのか』(岩波書店、2006年)を読んでいる最中で、改めてハンセン病問題に関心を抱いていた時だったので、このニュースが目についた。学習のためにもブログで関連リンクを紹介する。署名活動も行われているので、参照したい。

【関連リンク】
知って!ハンセン病国賠訴訟-ハンセン病国賠弁護団
ハンセン病基本法の制定を求める署名運動
ハンセン病ニュース
ハンセン病のリンク集
ハンセン病に関する情報ページ-厚生労働省
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by mahounofuefuki | 2008-04-10 00:43

「嫌がらせ」もまた一種の抵抗だ

 派遣会社を解雇された男が、会社に約1万回の無言電話などをかけた偽計業務妨害容疑で逮捕された。
 毎日新聞(2008/04/09 13:07)によれば、容疑者は人材派遣会社スタッフクリエイティブの派遣社員で、引っ越しの荷物運びの仕事をしていたが、無断欠勤が多いことを理由に昨年解雇されたという。それを逆恨みして会社に嫌がらせの電話をかけていたと警察当局は考えているようだ。

 解雇理由が本当に無断欠勤なのか、そもそも本当に無言電話を1万回も行っていたのか、現時点では何とも言えないし、それが事実だとしたら誉められた行為ではないが、一方で「嫌がらせ」というのは弱い立場の労働者にとって1つの抵抗手段なのではないかと感じた。

 現在、労働者が不当労働行為に遭った場合、採り得るオプションは限られている。労働基準監督署に申し立てても、労基が行政指導を行う保証は何もなく、逆に職場で「いじめ」の対象となるのは確実である。労働組合があれば団体交渉やストライキなどが一応はありうるが、長期の神経戦を覚悟しなければならない。労組もなく同僚の理解もなく孤立した労働者は「我慢する」か「辞める」の二者択一なのが実情である。
 そんな中で経営者や管理職への「嫌がらせ」は、少なくとも泣き寝入りするよりは立派な抵抗なのではないか。今回の事件の場合、実害を蒙るのは経営者でも管理職でもなく、実際に電話に出る社員なので抵抗とは言えないし、何よりも電話代がかかる以上、費用対効果の面で問題があるが、もっと工夫すれば実用的な抵抗手段を生み出すこともできるだろう。
 最も効果的なのは、経営者に心理的ダメージを与え、それでいて違法の証拠を残さないことだが、そういう「悪知恵」が欲しいところだ。

 会社の前で集団でシュプレヒコールを上げたり、横断幕を張ったりするのも、企業イメージの悪化を誘っているという点で広義の「嫌がらせ」と言えなくもない。労働者が会社側に抵抗する上で、どうすれば最も会社側が嫌がるかという観点は重要だと思う。労使間の力関係は圧倒的に非対称である以上、弱い方がフェアプレイにこだわる必要などない

 《追記 2008/04/10》

 本文について読者の方から用語を誤用しているという指摘を受けた。
 本文中、労働者が不当に扱われている状態を「不当労働行為」と述べたが、法律が定める「不当労働行為」とは労働組合の活動に対する妨害を指し、私の用法は明白な誤りだった。基本的なミスで誠に面目ない。
 「不当労働行為」の部分を「不当な待遇」と訂正する
 心よりおわび申し上げます。
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by mahounofuefuki | 2008-04-09 17:33