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日中戦争のさなかの1938年3月3日、国家総動員法案を審議する衆議院の特別委員会での出来事である。
政府側の説明員として出席していた陸軍省軍務課員の佐藤賢了中佐が、議員の野次にたまりかね「黙れ!」とどなりつける事件があった。 今ならさしずめ防衛省の課長補佐クラスが、国会で議員を一喝するようなものであり、処分は免れない。しかし、当時佐藤は何ら処分も受けず、すでに軍部の強勢に屈していた帝国議会は、衆議院・貴族院ともに満場一致で国家総動員法案を可決した。この国家総動員法によって政府は好きなだけ民衆を動員できるようになり、戦争への協力を強要していく。 自民党の中谷元衆院議員が14日のテレビ番組で、テロ特措法による海上自衛隊の給油活動継続問題について「これに反対するのはテロリストくらいしかいない」と暴言を吐いた。 このニュースを聞いた時、私は真っ先に佐藤賢了の一喝事件のことを思い起こした。中谷氏は陸上自衛隊の二等陸尉から、加藤紘一氏や宮沢喜一氏らの秘書を経て、国会議員に転身した人物であり、いわゆる「制服組」出身である。中谷元に佐藤賢了と共通する「横暴さ」を感じた。 いつの時代も軍人というのは横暴な単細胞なのである。 「アメリカか、テロリストか」という短絡的な二者択一はブッシュ政権の論法である。 アメリカに従わないものはすべて「テロリスト」だというのは、世界を「敵」と「奴隷」に二分する暴論であり、まったく現実的ではない。アフガニスタンへの武力行使に全世界の国々が参加しているのならばともかく、たかだか10数カ国の「有志」が中央アジアの天然資源に群がっている状況で、そんな二者択一は成立しない。 「テロリスト」というレッテルを張ることで批判を封じるやり方は、言論の自由を封じるに等しく、とても国会議員の発言とは思えない。 中谷氏はすみやかに発言を撤回し、主権者と野党に謝罪するべきである。 同時にこんな「軍人」を議員に選んだ高知2区の有権者は深く反省してほしい。 ▲
by mahounofuefuki
| 2007-10-15 11:30
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