2007年 09月 11日 ( 2 )

何が「家族だんらん」だ!

舛添要一厚生労働大臣が、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案を、「家族だんらん法案」に改称するよう指示したという。
この1件だけでも、彼が「民衆の味方」でありえないことは、はっきりしただろう。

「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは、要するにホワイトカラーの残業代不払いを合法化する法である。
今でも「サービス残業」という不可解な言葉で正当化している「ただ働き」を、完全に合法にし、労働者の奴隷化を推し進める、支配階級の要求に沿った政策である。

これを「残業代がなくなる」→「残業をしない」→「家族だんらん」という安直な発想で、「家族だんらん法案」にしてしまうとは、法案の本質を隠蔽するための小細工でしかない。
残業をするかしないかの決定権など、今やほとんどの労働者にない。残業しなければとてもこなせないほど大量の仕事を企業が与えている上、能力主義・成果主義の導入で労働者自体が「自発的に」残業をするよう仕向けられている。残業してでも成果を挙げなければ、会社に残れないからだ。
つまり、労働環境が現状のままでは、労働者が「家族だんらん」のために、残業をやめることなどありえないのだ

もし「家族だんらん」を可能にしたかったら、小泉政権下で経営者側に有利なように緩められた労働法制を強化することだ。
労働時間を厳密に定め、残業を一切禁止し、違反した企業の経営者を厳罰に処すような法改正でも行わない限り、労働者の人間性回復はありえない。
自民党政権にはとうていできないことだ。

薬害被害者の声に耳をかたむけず、年金問題を社会保険庁職員の着服問題に矮小化し、ついには労働者に過労を強要する。舛添氏とは、そういう男なのである。
これを機に、テレビに操作されず、彼の真実の姿をきちんと直視してほしい。
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by mahounofuefuki | 2007-09-11 23:19

年金消失 「5兆円」と「1億円」の差

どうもこのところ、社会保険庁の職員による年金保険料の横領・着服に関する報道が急に増えている。
マスメディアが国家の犯罪を暴くのは、主権者として本来歓迎すべきことであるが、ことが年金問題であるだけに、何か裏があるのではないかと、天の邪鬼な私は思っていた。
そうしたら、田中良太さんのホームページで、「年金情報の虚実」という記事に出会った。
長文だが重要な指摘なので一部引用する。

(前略)一九六二年の発足以来、職員による年金保険料や給付などの横領が判明したケースが五〇件あり、横領金額は一億四一九七万円だった。市区町村職員の国民年金保険料の横領は四九件、二億〇〇七七万円。合計九九件、三億四二四七万円に達したという数字だ。
これをうけて四日の閣議後会見で舛添要一厚労省が「横領したような連中はきちんと牢屋(ろうや)に入ってもらいます。今からでも刑事告発してやろうかと思ってる」と怒ってみせた。五日朝刊では社説のテーマとした新聞も多い。
 さてどうなっているのか? 市区町村分については朝日新聞がすぐに調査報道した(六日朝刊)。それによるとじっさいの件数は五〇件で、告発されたのは九件だけ。しかし職員を処分したのは三八件。退職金が支給されない懲戒免職は二五件。ほかの処分は、退職金が基本的には支給される諭旨免職が二件、一~六カ月の停職が七件、減給三件、降格一件。横領した職員が今でも在職しているケースはなかったという。
横領職員を処分しなかった自治体の多くは理由として「全額弁済した」などを挙げたという。全額弁済し、告発はもちろん処分も免れた。そこまでは「勝利」だったとしても、その後、周囲の目は厳しく、職場に居づらくなって退職したのだろう。「牢屋に入って」いないのは事実だが、職場を去るという「社会的制裁」は受けているわけだ。とくに懲戒免職が二五件と五〇%に達するのは、注目すべき数字だろう。
一九九八年四月、大蔵省は「接待汚職」事件を受けて職員一一二人を処分した。そのうち国家公務員法上の懲戒処分は三二人だけ。残り八〇人は「口頭注意」程度だった。局長級の二人は処分発表の日に辞表を出させ、依願退職させた。しかし処分としては停職と減給で、諭旨退職にもしなかった。その甘さと比較すると、懲戒免職二五人の厳しさが分かる。
「年金横領はドロボーと同じ。接待を受けるのとは違う」という主張もあるだろうが、接待汚職事件では検察が「接待も賄賂」と認定したのである。窃盗犯人と、賄賂を受け取る役人のどちらを憎むべきか? こういう比較論に正解はない。しかしドロボーだけ「許せない。牢屋に入れ」と怒るのは偏見にすぎない。
年金問題の論議が盛り上がるはずだったのが、九五年の通常国会。民主党など野党は「年金国会だ」と意気込んでいた。この年、年頭から、厚生官僚がつくり出した年金財政の巨額損失問題がメディアで指摘され続けた。年金福祉事業団・年金資金運用基金などによって、大規模保養施設・グリーンピアを全国一三カ所につくるなど、やりたい放題の無駄遣いをした。その時点で徴収ずみの厚生年金・国民年金の保険料総額は約三七〇兆円だが、うち約五兆六千億円は年金の給付以外に使われた。かなりの部分は、天下り官僚の給料・退職金だった……。
しかし「年金国会」は、「未納国会」に化けてしまった。大臣や有力国会議員が、国民年金を支払うべきときに収めていない、という問題がつぎつぎ露呈したのである。個々の政治家の国民年金納付状況を完ぺきに把握しているのは社会保険庁のコンピューターシステムだけ。そのデータの一部が新聞・週刊誌などにリークされ、記事化されたという経過だった。
このダーティーな手段によって厚生官僚は平然と生き延び、年金無駄遣い問題が本格論議されることはなかった。この経過を思い起こすなら、今回の「市町村職員による横領」問題もまた、年金問題の焦点をぼかすための意図的な情報操作だったはずだ。それを記事にするところまではやむを得ないが、社説やコラムでは、その情報の裏を読むレベルまでやってほしい。とくに地方公務員の横領の被害額一億四千余万円(その大半は弁済されている)と、厚生官僚が天下りポスト確保のための無駄遣い五兆六千億円の金額比較はやってほしかった。(後略)


言われてみればもっともである。
無駄使い5兆6000億円と、着服1億4000万円では、ケタがまったく違う
合法か違法かの違いはあるが、年金保険料が本来の用途に使われなかったという点では両者は同じである。着服だけが問題になり、無駄遣いが問題にならないのは明らかにおかしい。
大きな犯罪を隠すために、小さな犯罪を意図的にリークする。権力の常とう手段だ。

現在のところ年金問題は、社会保険庁の民営化議論に矮小化している。
社会保険庁が、いつも私が言うところの「権力が用意した公認の敵」として、大衆の敵意を集めている。
果たして民営化で本当に解決するのか。この問題はまだ準備不足なので、別の機会に論じたいと思うが、今は横領・着服問題の報道は、厚生官僚による情報操作の可能性がある、とだけ指摘しておこう。
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by mahounofuefuki | 2007-09-11 01:05