これは毎日新聞のスクープと言っていいだろう。札幌市に生活保護を申請したホームレスに対し、市職員が申請を認めなかった上、北海道外の派遣会社を紹介し、ホームレスが派遣先では極めて劣悪な条件で搾取されていたことが明らかになった。
毎日新聞(2008/09/01 02:30)より(太字強調は引用者による、以下同じ)。 札幌市内の一部の生活保護担当職員が、無届けの職業紹介を禁じた職業安定法に違反して、生活保護を希望するホームレスに人材派遣業者での就労をあっせんしていたことが分かった。紹介を受け派遣契約を結んだところ、劣悪条件の勤務を強いられてトラブルになったケースもあり、07年初めごろまでにはあっせんをやめたとされる。市は事実を認め「現在は指導を徹底し再発防止に努めている」と説明している。記事中にあるように、職業安定法は職業斡旋事業について有料・無料にかかわらず厚生労大臣の許可を要件としており、これは行政機関も例外ではない。生活保護行政を担当する公務員がこんなことも知らないはずはなく、生活保護申請者を「窓口」で追い返す「水際作戦」(=生活保護行政の職務放棄)の延長上にある悪質な違法行為とみて間違いないだろう。 自治体としては受給額削減がノルマ化する中で、どんな手を使ってでも申請者を追い返したい。厚労省も「働けるものにはまず就労指導」という方針を指示している。もともとは「生活保護を受けさせてください」→「働けるだろ」→「働くところがありません」→「それなら紹介してやる」という流れがあったと思われる。一方、企業の側も安く使える労働者が欲しい。ホームレスならどんな扱いをしても構わない、むしろ働く機会を与えてやっているという思い上がりを背景に、派遣会社の方から生活保護行政担当者にホームレスを紹介するようアプローチがあったのだろう。生活保護行政と企業の利害は見事に一致する。 ただ水際で追い返すよりは、職を紹介するだけましだろうという見方もあるだろうが、法令違反を別としても、それはあくまでも「生活保護以上」の収入が保障された職を紹介しない限り成立しない。本来、生活保護基準は日本社会で生きる上で「最低限」のラインであって、それを下回る場合には無条件で給付を行うのが正道である。生活保護行政が「生活保護以下」の職を紹介するのは矛盾以外のなにものでもない。問題の所在は「ホームレスが働かないで生活保護を受ける」ことではなく、「生活保護基準以下の職にしか就けない」ことにある。貧困対策にあたらねばならない行政が自ら貧困拡大に加担する構図には呆れるほかない。 ついに行政までが「手配師」まがいのことをするような実態に戦慄を覚える。今回の事例は行政と企業が結託した「奴隷取引」同然である。行政担当者と企業との間に金銭が介在している可能性もあるのではないか? おそらく札幌市以外でも類似の事例があるはずだ。全国的な調査が必要である。 【関連記事】 生活保護切り下げは厚生労働省の「自作自演」の貧困拡大策 生活保護基準引き下げは小泉が与えた「宿題」 あるホームレスの死 生活保護と生存権 社会保障切り捨て路線の是非と生存権裁判 【関連リンク】 職業安定法 - 法庫 http://www.houko.com/00/01/S22/141.HTM 生活保護法 - 法庫 http://www.houko.com/00/01/S25/144.HTM
by mahounofuefuki
| 2008-09-01 11:23
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