左翼系のネット言説で以前から疑問がありすぎて仕方ないのは、自公政権を倒すためには民主党を支持しようという類のオピニオンである。そういう言説はたいてい「民主党に問題があるのは百も承知だが・・・」というような枕詞を付すのだが、そう言いながら「民主党の問題」を批判すると「自民党を利する気か!」と怒鳴り出すので手がつけられない。こういう手合いは民主党が自民党よりましだとか、民主党が社会民主主義的だとか、全く事実に反することを平気で言いだす。
昨年の参院選で民主党が大勝したのは、自公政権の進めた新自由主義路線に対する反発が噴出したためであるのは言うまでもない。確かに参院選当時の民主党は最低賃金の大幅引き上げや農家に対する所得補償制度など、「小さな政府」を否定する公約を掲げた。これは一応「福祉国家的性格」(渡辺治「新自由主義構造改革と改憲のゆくえ」『世界』2008年7月号、p.92)と分類して構わないだろう(正確には西欧・北欧の福祉国家路線とはズレがあるのだが、ここでは煩雑になるので問題にしない)。 しかし、その後の「ねじれ国会」で民主党が歩んだ道は参院選の有権者の期待を裏切るものだった。昨年臨時国会における最低賃金法改正と労働契約法、通常国会における公務員制度改革や宇宙基本法での与野党談合は、「肝心な問題ほど腰が引ける」民主党の性格を如実に示したと言えよう。労働者派遣法改正問題での動揺もしかり。 さらに消費税引き上げを否定しているのは結構だが、相変わらず代替財源は「無駄遣い」の削減の一点張り。当ブログでは再三指摘したが、「無駄遣い」の削減とは歳出削減のことで、これこそ新自由主義路線の要諦である。歳出の「配分」を変える必要はあるが、「総額」を減らす必要は全くない。法人税の引き上げという対案を提示した共産党と比較すれば、民主党のだめさ加減ははっきりする。 このように言うと判を押したように「だから民主党に我々の声を届けて、民主党を福祉国家路線に引き寄せよう」と主張するのだが、なぜ「声を届ける」のが民主党に限定されるのか。それならば現在の与党に働きかけた方がよほどてっとり早いではないか。自公なら話を聞かないが民主党なら話を聞くなどという保障はどこにあるのか。実際、共産党以外の全会派が賛成した電子投票法案が土壇場で廃案になったのは、よりにもよって自民党の新自由主義派の急先鋒である世耕弘成参院議員が比例代表の名簿順の問題を出したためで、民主党は何の役にも立たなかった。 だいたい民主党を「福祉国家路線に引き寄せたい」から、私などは民主党の「小さな政府」的な政策を批判するのである。結局のところ民主党系ブロガーは「政権交代までは黙って我慢しろ」と言っているにすぎない。民主党批判が自民党を利するというのなら、こちらもあえて言おう。民主党のだめな部分に目を瞑って、小沢一郎を盲信することが新自由主義を利すると。私は単に首がすげ替わる政権交代ではなく、「小さな政府」から「大きな政府」への政策転換を何より望んでいる。民主党が「小さな政府」路線を続けるのに加担するものこそ、財界とアメリカの走狗である。 【関連記事】 最低賃金法改正案・労働契約法案における民主党の妥協 最低賃金法改正案・労働契約法案成立へ~民主党に贈る書 「金持ち増税」論は少数意見ではない~山口二郎・宮本太郎共同論文を読む 「せんたく」議連発足と二大政党制への幻想 労働者派遣法改正問題における民主党の「使えなさ」
by mahounofuefuki
| 2008-06-23 11:51
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