小泉内閣は堂々と「痛みを伴う改革」を掲げたが、これはいわば「これから庶民いじめを強化します」と宣言したも同然で、本来ならば政権への支持を失う自爆である。それにもかかわらず最後まで小泉内閣はこの国の多数派に支持された。その原因は「官」の「既得権益」という「敵」を仕立てることで、あたかも「痛み」を受ける対象が民衆ではなく、「官」であるかのように錯覚させたからで、しかも巧妙な小泉は人々がその錯覚から醒める前に退場した。
一方、現在の福田内閣は「生活者重視」を掲げているが、小泉政権時代に定められた「歳出削減路線」と「庶民負担増路線」いうルートを一向に修正する気配がない。基礎年金の国庫負担率引き上げに伴い、その財源を増税によって捻出しようとしているのが「歳出削減路線」の修正と言えなくもないが、これも専ら増税対象を消費税に限定して「庶民負担増路線」の方はしっかりと続けている。表看板と実際の中身が相反するという点で、ある意味福田は小泉より卑怯で欺瞞的であると言えよう。 昨日の経済財政諮問会議で今年の「骨太の方針」の骨子が確定し、社会保障費の自然増加分を毎年約2200億円削減する政策を今年も継続することが確認された。政府・与党内からももう社会保障費の抑制は無理という声が上がり、当の諮問会議でも厚生労働省側から従来の路線の限界が示唆されたほどだが、福田康夫首相は「社会保障も聖域ではない」と断言し、さらなる歳出削減を求める民間議員提案を支持した。引き続き「小泉の宿題」を淡々とこなす意思を改めて明確に示したのである。 その民間議員提案は、おおむね医療費を狙い撃ちにしており、特に後発医療品の拡充や公立病院の統廃合や開業医の再診料見直しなどは、医療システムの不安定化・不公平化を促進する可能性が高い。また以前当ブログでも書いた雇用保険の国庫負担削減も明示された。厚生労働大臣が提案に対して「現実的ではない」と反論を行っているが、首相の発言から判断するに大枠では民間議員提案がそのまま「骨太の方針」に盛り込まれるだろう。 今日の北海道新聞の世論調査では福田内閣支持率はついに14%にまで低下しているが、むしろここまで下落するともはや怖いものなしとも言える。もはや自民党は次期総選挙を福田で戦うことはない。福田は選挙を気にせず、衆議院の任期満了までやりたい放題できるのである。「ポスト福田」たちもこの際福田がすべて泥を被ってくれるのを望むだろう。財界にとってこれは願ってもない「好機」である。「財界立法」を次々と押し付けてくるだろう。 参議院は野党が多数であるが、肝心の民主党が依然として「構造改革」路線に親和性を持っていて、それが最低賃金法改正や労働者派遣法改正などの問題に露呈している。与党にはいざとなればガソリン税の時のように衆院再議決という切り札がある。参院は内閣問責決議を可決するが、時機を逸したと言わざるをえない。何事もなかったように今国会は閉幕してしまうだろう。 「敗戦処理」と侮っていた福田内閣だが、ある意味「最強」かもしれない。 【関連リンク】 平成20年会議結果 第14回会議 会議レポート:内閣府 経済財政諮問会議 http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0610/report.html
by mahounofuefuki
| 2008-06-11 12:47
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