刑事訴訟で起訴事実を否認した被告の一審無罪率が、昨年は過去10年で最高だったという。以下、共同通信(2008/06/02 18:13)より。
(前略) 最高裁刑事局の集計によると、全国の地裁が昨年、1審判決を言い渡した被告(6万9238人)のうち、公判で起訴事実を否認したのは4984人で、起訴事実のすべてが無罪となったのは97人、一部無罪が48人。日本の刑事訴訟の政治性や自白偏重主義はつとに知られるところだが、裁判員制度開始を前に証拠評価が厳しくなり、無罪率が上がったということは、それまでは証拠評価が厳格に行われず、推定無罪原則が貫かれていなかったことを意味する。また、裁判員制度対象案件の自白調書の証拠不採用が昨年は70件中10件ということは、つまり依然として70件中60件(=約85%)で自白調書が証拠採用されているということになる。とてもではないが改善とは言えないレベルだ。 裁判員制度に対しては多くの人々が抵抗感をもっていることが各種世論調査からも明らかだが、かくいう私も裁判員制度は不要かつ有害だと考えている。裁判員制度不要論の論拠はいろいろ出ているが、私が抵抗する理由はただ1つ。もし私が何らかの事情(冤罪とか)で逮捕・起訴された時、今の日本の大衆に裁かれたくないからである。 なんだかんだ言ってこの国の大衆の多数派は自民党政権を支え、コイズミやハシモトに熱狂し、弱い者いじめが大好きで、長いものに巻かれたがる。そんな連中に公平な裁判など期待できるはずもなく、行政側のシナリオに追随するのが目に見える。裁判員の多数がまともな人で占められる確率は限りなく低い。 裁判員制度反対者の中にはこのまま施行されたら裁判員に指名されても拒否すると公言している人が少なくないが、私は自分が裁判員になるのは構わない。私は裁判官にも検察官にも弁護人にも誘導されず、自己の良心と科学的認識に従って判断する自信があるからだ。何て傲慢な!と言われそうだが、少なくとも刑事訴訟を「被害者」の応報手段としか考えていない連中よりははるかに公平で客観的な判断を行い、訴訟を正常化する意思はある。 自分が参審(本当は陪審の方が望ましいが)するのは構わないが、橋下徹が涙を流しただけで「知事をいじめるな」とかほざく人や、「ワーキングプアは自己責任」とかうそぶく人や、「靖国神社に参拝しないのは反日だ」とか叫ぶ人が裁判員になるのはとうてい容認できない。選別できない以上、制度そのものを葬るほかない。
by mahounofuefuki
| 2008-06-02 21:25
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