福田康夫首相について、貧乏くじを引かされてかわいそうとか、自公政権は嫌いだが彼本人は実は好きだとか、なぜか同情的な声を時々耳にする。
こうした見方は私には不可解である。なぜなら森・小泉両内閣で1289日間も内閣官房長官を務めたのは他でもない福田氏で、彼は「構造改革」路線を重要閣僚として推進した第一級の主犯の1人だからだ。小泉政権の政策は内閣官房長官交代前後で変化したわけではない。福田氏を「自分が関与していない政策で責められてかわいそう」という類の同情論は、彼の過去を完全に忘れているとしか思えない妄言である。 こんな同情論が起きる理由は、小泉や安倍が人間的にあまりにもひどすぎたために、彼が相対的にまともに見えるという事情と、表面的には極端な保守主義や新自由主義と距離をとっているという事情のためである(あくまで表面的)。 現在の福田内閣は、貧困拡大政策を中止しないことへの「平等」サイドからの批判と、より積極的な市場開放・規制緩和を進めて欲しい「自由」サイドからの不満と、韓国・中国に対する融和姿勢が気に入らない「保守」サイドからの反発が集中して支持率が低下しているのだが、この中で最も苛烈なのは実は「保守」サイドの反発である。その辺の事情が反「保守」の人々の福田同情論に影響しているとも考えられる。 いずれにせよ、一見「中道」の位置をとっているように錯覚してしまうが、それは「保守」と「自由」の「中道」ではあっても(それも怪しいが)、「平等」と「自由」の「中道」では全くない。小泉内閣以来の「骨太の方針」に従って淡々と社会保障つぶしという「宿題」をこなしている事実だけははっきりしている。 確かに私も以前、新自由主義の再強化を招く可能性があるゆえに、福田内閣のレームダック化を素直に喜べないと書いたことがあるし、今もその見方は変わっていないが、小泉・麻生と福田の相違はせいぜい「極右」と「右」の相違で、福田を「中道」とはとても言えない。政権の弱体化を「素直に喜べない」が「かわいそう」とは決して思わない。 もともと彼は内閣官房長官時代、いつも「フフン」という冷やかな薄ら笑いを浮かべて、何事にも冷淡な態度をとったことから、非常に冷たい人物と目されていた。私の見る限り彼は当時も今も変わっていない。変わったのは有権者の方である。 【関連記事】 福田内閣のレームダック化を素直に喜べない理由
by mahounofuefuki
| 2008-05-19 20:05
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