議員立法で提出されていた宇宙基本法案が昨日、自民・民主・公明など各党の賛成多数で衆議院を通過し、参議院へ送付された。
この法案は第14条で「我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進する」と定め、1969年の宇宙開発事業団法制定に際しての国会決議以来「国是」であった宇宙利用の非軍事限定原則を変更するものである。 これまでもいろいろ口実を設けて事実上の軍事利用が進んでいたが、日米軍事一体化、特にミサイル防衛システムの強化に合わせて、はっきりと軍事転用を法的に保障しようとしている。武器輸出解禁や集団的自衛権行使に向けた動きとも一致しており、日本がアメリカと一体となって武力行使するための準備の一環であることは疑いない。国際間の宇宙軍拡競争を激化させる可能性も含んでおり、とうてい容認することはできない。民主党がこの法案に賛成するあたり、この党の反憲法政党としての本質が浮き彫りになったとも言える。 この法案の問題はそれだけではない。第11条で「政府は、宇宙開発利用に関する施策を実施するための法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない」と、宇宙開発への税制上の優遇措置や財政出動・融資を国に義務づけていることである。 ふだん財政難を口実にさんざん市民生活に密着した公的支出を減らし、社会保障や福祉の予算を削減しているくせに、宇宙開発という庶民の生活には縁遠い、しかし一部の企業にとっては「おいしい」利権には国の支援をわざわざ法律で定めようとしているのである。これはある意味「無題遣い」を国に義務づけている法である。 もともと宇宙基本法案は財界の強い要求で作られたもので、日本経団連は2006年に「わが国の宇宙開発利用推進に向けた提言」で、「宇宙は国家・国策事業であるという認識の下で、官が開発、実証を行い、その成果を踏まえ、産業化の視点にたって民が利用、事業化を進めることが基本である。また、利用にあたっても、国が重要な顧客として継続的に有力なユーザーとなることが重要である」と述べていた。開発のコストを国に負わせ、その成果だけを企業がもらい、なおかつ国が企業から商品を買い取るという究極の利権システムを要求していたのである。 「官製貧困」が拡大を続ける中で、宇宙開発にカネを使えるほどの余力はこの国にない。民衆には「自己責任」を強要しながら、利権のためには国に依存する財界の身勝手さにはほとほとあきれる。宇宙基本法問題は、改めてこの国の政財関係のいびつさを如実に示している。 【関連リンク】 衆法 第169回国会 17 宇宙基本法案(内閣委員長提案) http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16901017.htm 日本経団連:わが国の宇宙開発利用推進に向けた提言(2006-06-20) http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/046/honbun.html
by mahounofuefuki
| 2008-05-14 19:43
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