福田内閣はもともと前政権が参院選での惨敗を経て突然退陣した後を受けて、急きょ登板した「敗戦処理」政権で、それ故に小泉・安倍時代のツケを支払うのに手一杯なのだが、その中で福田康夫首相は自らの独自色を専ら「消費者行政一元化」に見出しているようである。
今日開かれた消費者行政推進会議で、首相は各省庁の消費者行政部門を統合した「消費者庁」を来年度に新設する意思を正式に表明した。読売新聞(2008/04/23 11:34)によれば「業者に対する立ち入り調査や是正勧告の権限を持たせ、他省庁への勧告も可能とする」ようにし、地方の消費者行政に対する「交付金などによる支援策」を検討するという。各省庁の機構改革という官僚の既得権益との「闘い」を演出することで、レームダックからの再起を図っていると言えよう。 一方、民主党はこの「消費者庁」案への対案として、「消費者保護官」を新設する法案を準備している。 毎日新聞(2008/04/23 02:30)によれば、「消費者保護官」は「人選は政府が国会に提案する同意人事方式ではなく、首相指名選挙と同様に国会が議決し、天皇が認証する方式。任期は6年で再任はしない」「各省庁に資料提供や強制調査権限の行使などを要請でき、省庁側が応じない場合などは勧告権限も与える」「消費者の利益侵害を続ける業者に行為の停止を直接勧告する権限も持たせる」という。強力なオンブズマンを想定しているようである。 どちらも本決まりではないので詳細な論評を避けるが、政府案も民主党案も少なくとも、小泉時代の「民間にできることは民間へ」と言いつつ、ただ一方的に行政の役割を放棄し続けた路線とは一線を画している点は評価したい。昨年来の相次ぐ偽装表示問題がきっかけではあるが、何でも規制緩和というバカの一つ覚えの思考から、市場にはルールとジャッジが不可欠であるというまともな思考への転換である。 とは言え一抹の不安があるのも事実である。与野党が「消費者保護」を競い合うために、それが行き過ぎて「消費者主権」にまで進んでしまうことを危惧している。 モノを「作る」側、「売る」側、「買う」側がそれぞれ対等な関係こそ望ましいのだが、これが極端に「買う」側=消費者に傾くと、結局は生産者や労働者は無理なコストダウンを求められる恐れがある。消費者=善、事業者=悪というわけではない。1990年代に主に「リベラル」系の識者が「消費者主権」論を主唱したことがあったが、これが新自由主義流のコストカット至上主義に道を開いた過去を忘れてはなるまい。 読売の前掲記事によれば、悪質商法の取り締まり強化のための新法も検討するというが、行政機構の制度をいじくるより、むしろこちらの方が優先課題のような気がする。こうした問題は権力闘争の具にすることなく、超党派で実効性のある法制化を目指して欲しい。
by mahounofuefuki
| 2008-04-23 21:07
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