なぜか全然問題になっていないようだが、日本でカジノを合法化するための「カジノ法案」の議員立法がいよいよ本格化しているらしい。先月末自民党が素案をまとめ、民主党も勉強会を開始、公明党も検討を始めるという。来年の通常国会への提出を目指しているという。
産経新聞(2008/02/23 19:49)によると、自民党案は次の通り。 ①施行主体は地方公共団体かその一部事務組合。産経はよほどカジノにご執心のようで、3月7日付で「カジノを観光立国の起爆剤に」と題する論説を載せている。要点は、アジアの新興富裕層を観光客として呼び込み、地方財政を強化するためにカジノを合法化するべきということで、専ら経済・財政上の理由からカジノを推進している(同前2008/03/07 20:31)。 結論から言えば、カジノの合法化などもってのほかである。 第1に、現行の公営「賭博」が貧困の拡大に手を貸しているからである。 現在、国や地方自治体が深く関与している事実上の賭博である競輪・競馬・競艇は、いずれも多重債務問題の原因に関係している。多重債務の主たる直接原因は生活難だが、賭博への依存症が生活費の使い込みを引き起こし、借金の蓄積につながっていることは否めない。あるいは所得の減少から「一発逆転」を狙って賭博に入れ込み、どつぼにはまっていくことも多い。競馬や競輪でさえそうなのだから、この上新たにカジノを作るなど、多重債務の増加を招き、貧困を拡大するようなものである。 第2に、カジノが新たな利権を生み、財政規律を弱める可能性が高いからである。 国が関与する以上、カジノ設置や事業委託に関する許認可権が当然生じる。運営する民間業者と政治・行政の癒着を防ぐことは難しい。実際、戦前の公娼制度では「遊廓」を巡って政界の汚職が絶えなかった。また、歳入におけるカジノ収入の割合が大きくなるほど、カジノ関係者の政治的発言力が大きくなる。財政の公平性の観点からも危険である。 第3に、カジノ目当ての観光客など願い下げだからである。 あまり言いたくないが、賭博を好む人にはろくな人がいない。賭博は常に暴力やシニシズムと密接である。しかも基本的に「労せずに儲けたい」という市場原理主義的価値観とも共通する。そんな連中の「空気」そのものが反社会的である。いくらカネを落とすからと言われても、平穏な市民生活の上で、そういう類の観光客などノーサンキューである。 この問題では自民・民主両党の「大連立」が進行しているようで、その点でも不愉快だ。まだ先の話だからと油断してはなるまい。カジノ阻止の世論づくりが必要だろう。
by mahounofuefuki
| 2008-03-08 17:59
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