沖縄での女子中学生暴行事件を機に、在日米軍は2月20日から沖縄在留の軍人・軍属及びその家族の外出禁止措置をとっていたが、その間も米兵の犯罪は後を絶たなかった。2月26日には海軍の将校が乗用車事故を起こし、3月1日には軍属が覚醒剤使用容疑で逮捕、さらに3月2日には空軍の兵士が沖縄県建設業協会の事務所に窓を割って侵入するという事件を起こした。
これだけ不祥事が続いたということは、外出禁止措置なるものが米兵の犯罪防止に全く実効性がなかったことを証明したようなものだが、沖縄駐留米軍は3日、軍人の夜間外出を除き禁止措置を解除し、「反省の期間」の終結を着々と進めている。一連の展開は小手先の犯罪防止策ではなく、在日米軍の駐留の可否そのものを俎上に上げない限り、米兵犯罪の根絶にはつながらないことをはっきりと示していると言えよう。 一方で、なぜこんなに在日米軍の犯罪が多発するのか、米軍側の構造的要因も真剣に考えねばなるまい。 最近発表された外務省・防衛省の資料によると、沖縄駐留米軍だけでも軍人が22,772人、軍属が2,308人で、計2万5000人以上に上る。同じ2万5000人規模の企業で果たして10日余りで3人も逮捕者が出ることがあろうか。米兵の犯罪率は一般社会に比べてあまりにも高い。 結局のところ米軍の構造に犯罪を誘発するような問題があると結論づけるほかないだろう。よく知られているように、現在アメリカでは徴兵制が停止されていて事実上の志願兵制が採用されている。その結果、兵士の多くは移民系住民をはじめとする貧困層で、軍のリクルート活動も専ら貧困層をターゲットにしている。そうやって集められた兵たちが、日本という見知らぬ地で「公認された殺人者」となるべく訓練を受けている。 兵たちのストレスや不安は相当なものだろう。それでいて軍隊特有の暴力性と嗜虐性と特権意識、本国ではできないようなことも「占領地」ではできるという気の緩みと日本人への侮蔑意識などがないまぜとなって、酒や薬物や性的暴力に「逃避」しているのではないか。 ある意味で米兵たちもまた犠牲者であろう。軍隊という檻に囲い込まれ人間性を剥奪されているという点で。もちろんだからと言って彼らの行いを免罪することはできないが、むしろあわれな米軍兵士のためにも日米安保体制は解消しなければならないのではないか。 在日米軍の問題は現在、基地を抱える地域だけの問題になってしまっていて、全国の人々が問題を共有できていないが、兵を送り出しているアメリカの人々にはそれ以上に在日米軍の実態がほとんど伝わってはいまい。日米安保体制の問題を「地域の問題」から「日本全国の問題」へ、さらに「日米両国の問題」へと市民レベルで広げることが何としても必要だろう。 【関連リンク】 在日米軍の施設・区域内外居住(人数・基準)-外務省・防衛省*PDF
by mahounofuefuki
| 2008-03-04 21:59
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