先月発足した「地域・生活者視点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)と連携する超党派の議員連盟「せんたく議員連合」(仮称)の発起人会が今日行われたという。3月3日に正式発足するという。
読売新聞(2008/02/20 13:14)などによると、発起人は自民党の河村建夫、石原伸晃、伊藤達也、小坂憲次、菅義偉、杉浦正健、園田博之、橋本聖子、民主党の野田佳彦、枝野幸男、小沢鋭仁、玄葉光一郎、松本剛明、浅尾慶一郎、郡司彰、広中和歌子、公明党の石井啓一、魚住裕一郎の各氏である。 すでに多くの人々が指摘しているように、福田内閣の支持率が低下を続ける状況を見越した、政界再編へ向けた動きと見てよいだろう。自民党からは河村、菅、石原といった安倍晋三前首相に近い(福田首相に不満がある)人々が、民主党からは野田、枝野といった小沢一郎代表と距離のある人々が参加しているのは注目に値しよう。要するに両党の現在の「不満分子」が揃っているのである。 ところで、山口二郎氏によれば「1990年代から始まった政治改革や政界再編の試行錯誤」は「最終段階」に入り、「新自由主義・保守」と「社会民主主義・リベラル」の二大政党制が完成に近づきつつあるそうだが(「金持ち増税」論は少数意見ではない~山口二郎・宮本太郎共同論文を読む参照)、「せんたく」や「せんたく議連」の動きはそんな甘い見通しを全面否定しているといえよう。 「せんたく」は「地域・生活者」視点を打ち出してはいるが、そんな抽象的なスローガンなどどうとでも解釈でき、それが新自由主義だろうと保守主義だろうと何でもかまわない。だから「改革」をイメージさせながら、宮崎県の東国原英夫知事が道路特定財源の廃止に反対しても一向に問題にならないのである。 そもそも「せんたく」の母体である「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)からして、その構成メンバーを見ればわかる通り、財界・法曹界・ジャーナリズム・アカデミズムなど各界の有力者がこれでもかというくらい集まっており、要するに明確な基本政策をもたない「烏合の衆」である。 しかし、「烏合の衆」だからこそ、権力闘争に特化した政策なき野合の「器」には適している。 本来、政権とは政策を実現するための手段にすぎないが、この国では逆に政権の獲得・維持そのものが目的で政策はそのための手段になってしまっている。だからこそ湾岸戦争時に自衛隊の海外派遣に消極的だった小泉純一郎氏が、アフガン・イラク戦争では自衛隊の派遣に固執したり、かつて著書『日本改造計画』で新自由主義的な政策を提唱していた小沢一郎氏が、昨年の参院選では「生活第一」と衣替えできるのである。故に安定した左右の二大政党制など幻想にすぎない。 今後福田政権が「構造改革」路線を修正する場合、新自由主義勢力は「せんたく」を軸に「改革」派の結集を図ることもありえよう。その場合、福田・小沢の連立構想が息を吹き返すわけで、その時こそ自公政権を打倒するために民主党を応援する必要があると主張する人々は踏み絵を踏むこととなろう。「自公政権VS新自由主義」という対立軸が提示された時、彼らはそれでも政権打倒を優先できるのか。 山口氏の言とは裏腹に1990年代以降の政党史が示すのは、共産党以外の政党はどこも確固たる基本政策をもたず、その時の状況によってコロコロと立ち位置を変える姿である。この離合集散はまだ続くのだろう。見せかけの対立軸に惑わされてはならない。本当の対立軸は先の京都市長選挙で提示された。「平和と平等」を希求する人々が採るべき政治行動はおのずと決まるだろう。 【関連リンク】 新しい日本をつくる国民会議-21世紀臨調-オフィシャルホームページ
by mahounofuefuki
| 2008-02-20 22:30
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