通常国会が開幕したが、なぜか揮発油税の暫定税率の存廃が「最大の争点」ということになっている。3月で暫定税率を定めた租税特措法の期限が切れるからだが、政府・与党は暫定税率の10年延長に固執する一方、民主党は暫定税率の廃止でガソリンの価格が1リットルあたり25円下がると喧伝し、貧困問題も年金問題もそっちのけでこの問題に血眼である。
そもそもこの問題の焦点は小泉政権の頃から道路特定財源の存否だったはずだが、微妙に問題がずらされている。道路特定財源は揮発油税だけではなく、自動車重量税や石油ガス税もあり、それらを包括した議論が必要だがそうはなっていないのが実情だ。 暫定税率廃止によるガソリン値下げはおおむね歓迎されそうだが、地方では道路建設の停滞を心配する声が多いのも事実である。これは何も既得利権の擁護ばかりではない。地方では依然として自動車事故のリスクが高い山道や峠があり、またすでに途中まで建設された自動車道路を放置されるのも困る、というのは地方在住者の正直な思いである。私は道路特定財源の一般財源化には賛成だが、十把ひとかけらで「道路はいらない」という暴論は容認できない。 問題はどの道路が必要でどの道路が必要でないかを公正に決定するプロセスがなく、今も道路族議員の政治的力学関係に左右されていることにある。客観的で合理的な方法をきちんと考えねばならないはずだが、なかなか進まない。 ところで民主党はガソリン価格のことばかり熱心だが、北国に住む者にとってはガソリンよりも道路よりも切実な問題がある。言うまでもなく灯油の高騰である。 原油価格の高騰が今も続くなか、中央の政治やメディアの世界ではガソリン価格のことばかり取り上げているが、北国では何よりも灯油の高騰に悩まされている。札幌市消費者センターの定例調査によれば、灯油1リットルあたりの平均小売価格の最近の変遷は次の通りである。 石油製品小売価格推移表 灯油-札幌市消費者センター*PDF 10/10 80.44円12月以降、値上がり幅は落ち着いたが、それでも一貫して値上がりを続けており、昨年に比べて30%以上も高い。小売店によっては1リットルあたり100円を超えるところも少なくない。札幌は北海道で最も灯油価格が低いので、他の地域ではもっと高いことは言うまでもない。ちなみに北海道では灯油の盗難事件が相次いでいる。 日銀札幌支店は1月8日付で灯油高騰が北海道の家計に及ぼす影響についてレポートを発表している。 北海道金融経済レポート 灯油高が道内家計に及ぼす影響-日本銀行札幌支店*PDF それによると、灯油需要期である昨年11月から今年3月までの1世帯当たりの灯油支出額は13.2万円(1か月あたり2.6万円)で、前年度に比べ4割も増加している。また灯油の家計に占める割合は、消費支出30万円程度の世帯で1割近くに達する(一般に消費支出の低い家計ほど灯油の占める割合が多くなる)。灯油代の分は他の支出を抑制するしかなく、日銀は北海道全体の消費支出抑制額を1か月あたり170億円程度と試算している。 ここでは北海道の資料しか示さないが、他の寒冷地でも家計への圧迫は同様だろう。新テロ特措法審議時、アメリカ軍に給油支援する余裕があるのなら我々の灯油を支援しろという声をずいぶん聞いた。 ガソリンよりも道路よりも、高すぎる灯油をなんとかして欲しい。一部の自治体では生活保護世帯などへの福祉灯油を実施しているが、灯油高は全階層にまたがる切実な課題である。寒冷地以外の人々も他人事として突き放さないで欲しい。 【関連リンク】 札幌市消費者センター|石油製品 日本銀行札幌支店ホームページ
by mahounofuefuki
| 2008-01-21 21:20
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