宮崎県の東国原英夫知事が地元の建設業者との懇談会で、徴兵制を支持する発言を行った。
朝日新聞(2007/11/28 20:53)より発言部分を抜き取ると・・・ 「徴兵制があってしかるべきだ。若者は1年か2年くらい自衛隊などに入らなくてはいけないと思っている」 「若者が訓練や規則正しいルールにのっとった生活を送る時期があった方がいい」 「道徳や倫理観などの欠損が生じ、社会のモラルハザードなどにつながっている気がする」 「軍隊とは言わないが、ある時期、規律を重んじる機関で教育することは重要だと思っている」 東国原氏の過去の履歴を考えると、彼が「道徳や倫理観」などと言っても全然説得力がないと思うのだが・・・(苦笑)。 ただこの国では相変わらず「問題のある若者」はスパルタ的にしごけば済むという非合理的な発想がなかなか消えないのは残念である。 この東国原発言については、花・髪切と思考の浮遊空間が私の言いたいことをほとんど書いてくださっているので、そちらを参照されたい。 花・髪切と思考の浮遊空間 東国原知事の「徴兵制論」 ・・・とよそのブログへの丸投げだけでは何なので、この機会に徴兵制への一般の誤解について書いておきたい。 東国原氏も誤解しているようだが、徴兵制=義務兵役制は「国民皆兵」を謳っているが、少なくとも戦前の日本では、実際には全国民が軍隊経験をもったわけではない。 徴兵検査の受検は全男子に義務付けられていたが、検査の成績から合格者は甲種、乙種、丙種に分けられ、日中戦争全面化以前は、実際に現役兵として徴集され入営するのは甲種と乙種の中からくじ引きで選ばれた者だけだった。 徴兵相当人員のうち実際に入営した人員の割合(現役徴集率)は、日露戦争後の1911年で20.0%、軍縮期の1929年で15.4%、中国侵略開始後の1936年で18.2%と、終始10数%~20%で推移した(吉田裕 『日本の軍隊』 岩波書店、2002年、p.19より)。 要するに徴兵制といっても、根こそぎ動員の総力戦となるアジア・太平洋戦争後期を除けば、常に軍隊に入らなかった若者の方が徴兵された若者よりずっと多いのである。 現役徴集率が90%近くに達した(同前 p.198)敗戦前後の記憶があまりにも鮮烈だったため、あたかも全員が軍隊にとられたような錯覚をもちがちだが、現実にはすべての若者を軍隊に入れたことなど過去の日本には1度もないのである。 現代の日本で実際に徴兵制など導入したら、深刻な労働力不足と財政的コスト増大に見舞われるだろう。アメリカ軍にならって少数精鋭を指向しつつある自衛隊の方も願い下げだろう。 東国原氏の考えはあまりにも非現実的である。
by mahounofuefuki
| 2007-11-29 12:55
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