日本航空の客室乗務員の個人情報をJAL労働組合(JALFIO)が無断で収集していた問題で、日本航空キャビンクルーユニオンの組合員らが会社側とJALFIOに対し損害賠償訴訟を起こした。
私は航空業界についてよく知らないのだが、各報道や両労組のホームページから判断すればおおよそ問題は次のように展開したようである。 日航最大の労組で「労使協調」路線を採るJALFIOが、密かにキャビンクルーユニオンに加入する乗務員などの個人情報(病歴や性格や容姿や思想傾向など)を収集して「監視ファイル」を作成し、会社の人事部や労務部などと情報を共有して、脱退工作や昇格差別に利用していた。 ところが、そのリストが何者かに外部へ持ち出され、『週刊朝日』に報道されたことから、「監視ファイル」の存在が明るみになった。 JALFIOは情報漏洩による個人情報保護法違反だけは認め、会社側は関与を否定し、25名の社員(氏名は非公表)を処分して問題の幕引きを図った。 それに対してキャビンクルーユニオン側は、情報収集活動が人格権や団結権の侵害にあたるとして提訴に踏み切った。 なお漏洩したリストはいまだ回収できていない。 このニュースを知って感じたのは、労働組合の存在意義とは何なのだろう?ということだ。 私たちの世代は総じて労組への強い不信を抱いているが、それは労組が労働者の本当の利益に役立っていないことに起因している。巨大な労組ほど経営側と「協調」して、人員整理に協力したり、正社員の既得権益を守るために、非正社員の待遇劣化に同調したり、能力主義・成果主義を受け入れて競争を煽っている。 古くは過剰な政治主義(労働問題に特化せず、イデオロギーを重視する)で組合離れを引き起こし、今度は弱体化すると経営者の提灯持ちになる、というのでは労組の存在価値はまったくない。 かつて華やかに見えた客室乗務員も、不安定な有期雇用が恒常化し、早期退職圧力や非人道的な「日勤教育」が横行していると聞く。 普通に考えれば、わざわざ会社側に敵対して目立つよりも、「空気」に乗っかって御用組合に入って、適当に我慢しながら上司の覚えをめでたくした方が安楽に暮らせる。それにもかかわらず、会社に戦いを挑まざるをえないのは、それだけ待遇が悪化して追い込まれているからである。 現代の大衆は「お上」に刃向かうことを過剰に忌避し、権力に迎合して生きるのが世渡り上手だと考えがちだが、そんなことを言っていられないほど、追い込まれている人々がいることを忘れてはならない。 長いものに巻かれる生き方を続ければ続けるほど、同調圧力が強まり、結局は我慢できないほどひどい待遇になってしまうものだ。どこかで勇気を出さなければ、自分の首を絞め続けることになる。 今回のような社員監視活動は一定の規模以上の企業ならどこでもやっているはずだ。 今回の訴訟が企業の違法な労務管理に歯止めをかけるきっかけになれば幸いである。 【関連リンク】 JAL労働組合/JALFIO 日本航空キャビンクルーユニオン
by mahounofuefuki
| 2007-11-26 22:17
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