外交とは非情だ。改めてそう感じざるをえないニュースが入った。
25日に在日アメリカ大使館のジョーダン一等書記官が、「拉致被害者家族会」と「拉致被害者を救う会」の代表者を招き、アメリカの朝鮮に対するテロ国家指定解除問題について面談したという。 毎日新聞 (2007/10/26 03:06)によれば、次のようなやりとりがあったという。 家族会 「米国側が指定解除の条件とする『核の無能力』とは具体的に何か」要するに、アメリカ政府は拉致問題に関知しないと言ったようなものである。 朝鮮に対する「封じ込め」政策を採っていた間は厚遇してきたが、政策転換で用済みになった途端、まるで三行半を突き付けたようなものである。 使える時は使うが、邪魔になれば切り捨てる。この点、アメリカ政府は徹底している。 バカの一つ覚えのように「経済制裁」を提唱し、日本外交の取りうるオプションをさんざん狭め、自分たちの首を絞めてきた「家族会」「救う会」だが、頼みの安倍晋三はいなくなり、アメリカにも無残に切り捨てられた。昔日の「拉致ヒステリー」時の勢いはもうどこかへ飛んでしまった。 日本の植民地支配の「清算」に不誠実な右翼ナショナリストに丸めこまれ、余計「拉致問題」の解決を遠のかせたのは、「家族会」の責任である。 ことここまでこじれれば、もう日朝間の関係改善は非常に困難である。 中国との国交回復の時と同様、またしてもアメリカにハシゴをはずされ、日本はアメリカの後追いをするだけだろう。 ただようやくこれで、拉致被害者支援にかこつけて増長していた右翼グループが外交に介入することもなくなるだろう。それが、アメリカの力によるところが気に入らないが、この際、仕方がない。 開戦前夜のようなヒステリックな排外主義世論が跋扈した2002年のような事態は、もう2度と起こしたくない。 【関連記事】 袋小路の「対話と圧力」
by mahounofuefuki
| 2007-10-26 20:55
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