以前も書いたが、私は光市母子殺害事件の訴訟そのものにはもはや関心がない。
たくさんある殺人事件の中でこの事件に特別な興味を抱く理由が私にはない。 極端な話、被告が死刑になろうとそうでなかろうとも私の生活には関係ない。彼が処刑されてもされなくても、私には何のメリットもない(関係者以外のほかの人々にもあるとは思えないが)。コンコルド広場にて国王や王妃をギロチンで斬首する光景に熱狂したパリ市民のようなグロテスクな趣味も持ち合わせていない。 だから、もう結果が決まったようなものである光市事件の訴訟については語る言葉はない。 しかし、光市事件に異様に熱狂し、拘置所ですでに自由を奪われている被告や、自らの職務に忠実な弁護士をバッシングする人々の動きには関心をもたざるをえない。それは、この騒動が司法権の独立や訴訟の公平な進行を損ねているからで、1度でもこんな前例ができると、今後の刑事訴訟全体に悪影響を及ぼすことを危惧している。 仮に将来、誰かが(私やあなたかも)無実の罪で逮捕・起訴された時、検察側の誘導でバッシングが行われ、被害者が無実の人を犯人と思い込み、弁護人の活動が阻害され、罪をなすりつけられるのを心配している。日本はただでさえ冤罪が多い。特に「痴漢」の冤罪は後をたたない。「それでも僕はやっていない」なんて映画が売れるくらいだ。 光市事件は冤罪ではない。しかし、味をしめた検察が被害者を利用する可能性は否めない。それに何よりも、世論の関心度によって量刑が左右されることなどあってはならない。世論の関心の高い事件は刑が重いとなると、そうでない事案との不公平性が問題になる。 それゆえ、光市事件そのものは私の関知するところではないが、バッシング現象の方は私の(そして多くの人々の)利害にかかわるのである。だから、面倒でも発言せざるをえないのだ。 さて、光市事件の被告弁護団に対する懲戒請求を扇動した(しかし自分は請求していない)橋下徹弁護士を提訴した民事訴訟の第1回口頭弁論が広島地裁で行われた。 何よりも驚いたのは、橋下氏がこの弁論に出廷せず、書面提出による擬制陳述で済ませたことである。しかも、今後の弁論も電話会議で行い、被告尋問までは出廷しないという。 彼の言い分は次の通り(以下、引用はすべて橋下徹のLawyer’s EYEより)。 あのね、民事の裁判で傍聴人を呼んでも、 「事務的なやり取り」を軽視しているとしか思えない暴言だ。 どうやら彼は、テレビカメラが入り味方の群衆が大勢いるところでなら「大弁論」をやりたいが、野次馬がわざわざ足を運ぶことのない地方の法廷ではやりたくないようだ。 ついでに言っておくが、ブログでの彼の言葉遣いはとても社会人とは思えないほど汚い。 彼の弁明は続く。 原告らは、今回の裁判が社会にとって必要不可欠な裁判で、自分たちはその正義のために闘っているとまたもや勘違い。 「大人げないくだらない痴話げんか」を仕掛けたのはほかでもない橋下氏だったはずだ。大人げないと自覚しているなら、懲戒請求の扇動なんかしなければいいのである。自分の播いた種でありながら、他人のせいにするのは全く許しがたい。 「もっと謙虚に」なるべきなのは、こんな横柄な口の利き方をする橋下氏の方だろう。 重要な裁判なのかどうかは世間が決めること、俺たちが決めることではない。 「世間」!? そんなあいまいなものによりかからないでほしい。多数派がいつも正しいのか? 「世間」に丸投げするなど、思考停止でしかない。 「自分が絶対的正義だと勘違い」しているのは橋下氏の方であろう。 このような感覚だから、日弁連の模擬裁判のリハーサルなんて、くだらない鼻くそイベントに出席するために、 自分が被告になっている訴訟の口頭弁論に出ない者が言っていい言葉ではない。出席の可否は彼の判断基準が絶対だという独善以外の何物でもない。橋下氏は自分を「神」だとでも思っているのだろうか。 彼の発言はまだまだツッコミどころ満載なのだが(この程度の論述力でよく弁護士ができるものだ)、「場外乱闘」のさらに「場外乱闘」なんて自慢できることでもないし、これ以上自分のブログを汚したくないのでもうやめておく。 (しかし、本当に彼の言葉遣いはひどい。この横暴さが支持されるなんて世も末だ。) いいかげん、この下品な男をまるで「英雄」扱いするのをやめてほしい。 「テレビに出ている=正義」なんて今どき思っていたら、ちょっと恥ずかしい。
by mahounofuefuki
| 2007-09-28 23:52
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