先日、あなたの「うつ度」を判定という自己診断をやってみた。
結果は50ポイント。「神経が過敏になっていて休めない状態で、すでに病気の範疇に入りつつあります。早めの受診をお勧めしますが精神科的な病院に行きたくないという方は一日10時間の休養を取って下さい。自力で元気になれる可能性がまだあるレベルです」だそうだ。 普通の人よりはストレスが少ない環境で生活しているし、休養も十分にとっているので、「休めない状態」というのは疑問なのだが、未来への不安や人間関係への失望などが精神衛生を悪化させているという自覚はある。 現在、うつ病を含む精神疾患が増えている。 労務行政研究所の2005年の調査では、調査に回答した企業の52%が、「心の病」に罹る社員が増加していると回答したという(熊沢誠 『若者が働くとき』 ミネルヴァ書房、2006年)。特に20代、30代に多いという。企業はこうした問題を過小評価するのが常だから、実際はもっと多いだろう。 精神疾患に対する偏見と差別は根強い。 いまだにうつ病患者に対して「怠けている」「やる気がない」という中傷は後を絶たない。この国の人々は、何か問題があると、とかく弱い個人の責任に帰してしまい、その個人を取り巻く環境や社会構造に目を向けようとしない。 凶悪犯罪が起きると、原因を「犯人が凶暴だから」で済ませてしまい、なぜ「犯人」が「凶暴」になったかは考えない。あるいは、なかなか成果を挙げられない者を、「愛のムチ」とうそぶいて暴力を振るう。あるいは、何かあるとすぐ自分を責める。それらと同じ構造である。 現在、「心の病」が増えているのは、長時間労働による疲弊と、能力主義・成果主義による際限のない競争のせいである。 特に20代、30代の男性の疲弊ぶりは凄まじい。実に3割以上の人々が週60時間以上働いている(熊沢、前掲書)。しかも徹底した競争原理の導入で、労働者の横の連帯も難しくなった。職場でのパワハラ、セクハラ、いじめはどんどんひどくなっている。 こんな労働環境では、誰もが病気になりうるし、むしろ病気にならない方が、劣悪な環境に慣れてしまって人間性を喪失しているとさえ言えるだろう。 これに精神治療体制の遅れが拍車をかけている。 精神科医の不足も深刻だが、日本の精神医療は薬物療法がもっぱらで、医師が単なる「クスリをくれる人」になっている場合が少なくない。精神薬が薬物依存を促進することすらある。 最近、問題になっている向精神薬「リタリン」も、安易に処方を拡大した結果、「合法覚醒剤」として乱用が進み、ついに製造元がうつ病への効能を取り下げようとする事態になっている。 一方で、本当にリタリンを必要とする患者から不安の声が出ている。 リタリンで生きられる患者がいる (オーマイニュース) 過剰なリタリン叩きに、うつ病患者が反論 (オーマイニュース) 安易に処方を繰り返すのも、安易に処方を中止するのも、実に身勝手である。 いずれにせよ、問題は単に「医師のモラル」というレベルの話ではない。私たちが精神病に追い込まれるような、非人間的な経済政策や労働体制を、人間的なものにしない限り、根本的な解決は難しいだろう。
by mahounofuefuki
| 2007-09-27 11:41
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