アパートにおける隣の「音」

なんともやりきれない事件だ。
61歳の女性が、73歳の女性を殺したという。それも原因は被害妄想だという。
容疑者は夫と別居し、娘と同居していた。その夫の死により、隣人に対する被害妄想が悪化したようだ。隣室のドアの開閉に過敏だったという。

実は私は、大学時代に住んでいたアパートで、隣の「音」に悩まされたことがある。
隣に別の大学の学生が引っ越してきたのだが、こいつがギターが趣味で、夜でも部屋でギターを弾きながら歌うような男だった。しかも、下手ときてる。「十八番」はチャゲ&飛鳥で、おかげで私はすっかりチャゲ&飛鳥が嫌いになってしまった。
このギター男は女性と同棲していて、夜になると、この女性の「あえぎ声」が漏れてくるのにも参った。ケンカでもしたのか、女が延々3時間くらい号泣していたこともあった。

集合住宅でこういう「音」のトラブルが続くと、つい自分に対する嫌がらせか?と疑うようになる。
実際は周囲なんか気にしていないから、意図せず騒音を出すのだが、被害者はあくまで自分個人への攻撃と感じてしまう。
私の場合、その都度容赦なく即時に大家に電話通告し、管理人を通してしつこく抗議を繰り返した結果、そのギター男は私のあまりのしつこさに根を上げ、アパートから出て行った。
もし、彼が住み続けていたら、私も被害妄想が悪化し、刃傷沙汰を起こしていたかもしれない。

振り返れば、実は騒音というほどでもないのだが、神経質になってしまうのは、相手とまったく面識がないことが一因であろう。
隣の住人の顔すら知らない、という時代になって久しい。アパートだと住人の入れ替わりも激しい。そんな「孤独」が、自己を肥大化させ、些細な物音にも「意味」を与えようとするのではないか。

私たちの世代は、子ども時代には密閉された自分の部屋を持っていた者が多い。しかし、大人になると一戸建てに住める者は少数で、アパートやせいぜいマンション暮らしである。
安普請のアパートだと壁は筒抜けである。「未知の他者」と共生したことがない者が、不安のあまり、今回のような事件を起こしていまう可能性は、ますます増えるような気がする。
誰もがもっとまともな住居に住めるような社会を望むのは、ぜいたくなのだろうか・・・。
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by mahounofuefuki | 2007-09-16 11:53


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