日本共産党が、次の衆院選で小選挙区での候補擁立を大幅に絞り込む方針を固めた。
これまではほとんどの選挙区で、勝敗にかかわらず、政策を訴える機会を得るために、候補を擁立してきたが、ついに方針転換に追い込まれた。 現行の公職選挙法では、衆院選の場合、有効投票数の10%と割ると、供託金を没収される。これが党財政を圧迫していたのだろう。もともと供託金没収制度自体が、共産党を含む小党潰しのために作られたようなものなので、新手の弾圧に後退を余儀なくされたとも言える。 共産党が候補を擁立するせいで、反与党票が分散し、結果として自民党を利しているという批判は、これまでずいぶんあった。 先の参院選のさなかにも、北海道大学教授の山口二郎さんが、「共産党は左の公明党になれ」と、選挙区での候補擁立をやめて民主党と連携するよう唱え、物議をかもしたことがあった。個々の党員や支持者の中にも、実際の投票行動では民主党の候補に投票する人々がいた。 正直なところ、私は2大政党制を絶対不変の所与の条件とするこうした議論を不快に思っていた。 民主党と共産党の政策にはあまりにも隔たりが大きい。 前記の山口さんは、当面は「戦争をしない」「新自由主義反対」でまとまればいいと主張していたが、私はそんな口先の公約よりも、その党がどの階級・階層・社会集団に立脚しているかを無視できないと考えている。 民主党は企業からの政治献金を受けている。民主党を支持する連合は、公務員や大企業の正社員が中心の労働組合である。つまり基本的に「中産階級」以上の支持を当て込んでいる政党なのだ。民主党には自民党以上の市場原理主義者も軍国主義者もいる。 企業献金も政党助成金も受けず、市場原理主義どころか、本質的には資本主義を否定している共産党とは決定的に異なる。 いつになるかわからない次の衆院選で自公両党が過半数を割らない限り、少なくとも後3年は、衆参のねじれ状態が続く。 今後の経済状況や国際情勢によっては、政局の安定を求めて、財界が自民・民主の「大連立」に向けて圧力をかける可能性すらある。すでに読売新聞は「大連立」を盛んに高唱している。日和見の大衆世論が支持することもありえよう。 そうなった時、共産党が民主党のコバンザメになっていたら、完全な翼賛体制になってしまう。そうならないためにも、共産党にはあくまで独自の路線を貫いてほしい。 共産党が特に若い世代に敬遠されぎみなのは事実だ。 「難民世代」である私も、正直その主張は「きれいごと」すぎ、またある種の「楽天性」「前向き姿勢」に距離感を感じることもしばしばある。 「弱肉強食」を無自覚に受け入れ、権力に用意された「公認の敵」をバッシングすることで欝憤を晴らしているような大衆に、そんな「きれいごと」は通じない。彼らを「主権者」としての自覚を持った人間に変えられるかどうかが、今後共産党が生き残れるかどうかの分かれ目だろう。 今回の方針転換が、単なる戦術的後退に終わってはならない。 そのためには、私も少しはお手伝いします(笑)
by mahounofuefuki
| 2007-09-09 11:38
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