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年頭所感を読む

 新年あけましておめでとうございます
 我々を取り巻くひどい社会状況を考えると、全然おめでたくないというのが本音ではありますが、本年もよろしくお願いします。


 さて、元日は各界の年頭所感が発表されるのが恒例である。たいていは形式的な建前上のあいさつだが、それだけに品格が問われるところであるし、その人物や団体の志向性が読み取れる好材料でもある。

 まずは何を措いても読まねばならないのは内閣総理大臣の年頭所感であろう。
 年頭所感-首相官邸
 福田康夫首相の所感はその現状認識の甘さにあきれる。「日本は、目覚ましい戦後復興を成し遂げ、高度経済成長を経て、世界にも誇る経済大国へと発展しました。経済発展とともに、医療の充実や国民皆保険・皆年金などを目指して安定した社会を作りあげた結果、今や、平均寿命世界一の長寿国となっています」と言うが、この国のどこが「国民皆保険・皆年金」なのか。国民健康保険料を支払えず、保険証を取り上げられる人々が続出し、治療費の滞納が蔓延する現状をどう説明するのか。中曾根政権が国保の国費負担を減額して以来、自民党政権はすでに国民皆保険の放棄を指向しているのである。国民年金も未納率はすでに4割近くに達する。そのほとんどが低所得者であり、未納期間が長いほど受給額は減るから貧しいものほど社会保障が受けられないという「逆転現象」が起きている。首相の発言はこうした現状を無視した暴言とさえ言える。
 福田氏は先月公表した社会保障に関する「国民会議」にも言及しているが、「これまで日本がとってきた社会保障制度、すなわち中福祉中負担のままでよいのか、スウェーデンのような高福祉高負担の方向が望ましいのかなど、広い視野から議論し、多くの国民が納得する制度を考えていただきたい」という発言も、単に消費税の社会保障目的税化と引き上げの口実にしか思えない。毎年2200億円ずつ社会保障費を削減している現在の予算編成はどうなのか。スウェーデンは高負担だが、同時に税制を通した所得再分配を行っている。所得の平等化を目指さずに「高福祉高負担」と言ってもリアリティはない。今のままでは社会保障削減の「骨太の方針」を継続しながら、消費税だけは引き上げ、現在社会保障に使っている消費税以外の財源を金持ちと大企業の減税に使い、結局「低福祉高負担」になるのではないか。

 福田以上に最悪なのは日本経団連の年頭所感である。
 日本経団連:成長創造~躍動の10年へ~
 「いま国民が感じている閉塞感は、成長が足踏みしていることによる面も大きく、いわゆる格差問題への対応も、全体の規模拡大がなければ限られたパイの奪い合いに陥りかねない」と言うが、経済が成長していようが、停滞していようが、資本主義経済は基本的にパイの奪い合いである。パイがいくら大きくなっても欲望に際限がない人間はどこまでも自分の取り分を増やそうとする。パイが大きくなっても公平な分配機能がなければますます格差は拡大し閉塞感は高まるだろう。
 「10年以内に世界最高の所得水準を達成」することを目標に上げているが、日本の所得水準はすでに世界最高水準にある。これ以上引き上げて、ますます途上国を貧困にするのか。1人あたりの所得が少ないのは、労働者への分配率が低いからで、それは日本経団連をはじめ財界が進めた新自由主義政策の結果である。いいかげん経済成長ですべて解決という「神話」の誤りに気づいて欲しい。

 ちなみに経済同友会も年頭所感で相変わらず競争万能を謳っている。
 魅力ある日本の再構築に向けて:経済同友会
 「国の責務は、最低限のナショナル・ミニマムの保障によるセイフティネットの提供と再挑戦を可能にする制度整備などに限定し、小さくて効率的な、信頼される政府の構築を目指すべきである」と未だに小泉政権の「構造改革」路線を主張しているが、それがとっくに破たんしていることがわからないのか。人口当たりの公務員数がすでに世界最低レベルなのに、これ以上「小さな政府」にしたら社会は崩壊する。最低限のセーフティネットすら破壊したのはどこの誰だったか。バカバカしくて話にならない。

 財界とは対極にあるはずの労組も頼りない。連合の高木剛会長の年頭所感を読むと、もう連合は再生不能なのではないかとさえ思ってしまう。
 日本労働組合総連合会(連合)ホームページ
 「歪みの根底に非正規雇用労働者問題があると指摘し、運動の柱に据えてきました」という言葉が空虚だ。連合は具体的に何か非正規労働者のための実効的な活動をしたのか。昨年、非正規労働者の権利確立のために目立った闘いを敢行していたのは、各地の地域ユニオンや派遣企業のユニオンだった。連合はカネを出すなりヒトを出すなりしたのか。非正社員の多くが正社員からの差別と侮辱に苦しんでいる現状を無視している限り、組織率の回復など画餅にすぎない。

 政党はどうか。民主党は党役員の新春メッセージ映像を発表している。
 民主党 web-site
 このうち小沢一郎代表は「政治は生活である」と強調し、自民党の「半世紀以上の長期政権」の腐敗を批判し、「政権を替える以外に方法はない」と述べているが、その「半世紀以上」の政権中枢には小沢氏自身もずいぶんと長い間いた事実はどう説明するのか。ついでに言えば細川・羽田政権はどこへ消えたのか。あれも政権交代だったはずだが、すっかり忘却しているようである。自民党政治の主流にどっぷりと浸かり、自民党と連立しようと画策した人が「何としても総選挙で勝利しなければなりません」と言っても説得力に欠ける。

 共産党の志位和夫委員長の所感はシンプルである。
 2008年 志位和夫委員長のごあいさつ-日本共産党
 「暮らしの悲鳴がこんなに深刻に聞こえてくることはありません」とはその通りだし、「もう自民党ではやっていけない」という声も多いが、「共産党がんばって」という声は志位氏が言うほど私には聞こえない。むしろ「とりあえず政権交代」という考えで民主党に支持を奪われているのが実情ではないか。共産党に肩入れすることの多い私だが、今回は物足りなさを感じた。

 今回読んだ年頭所感の中で個人的に最も共感し、感銘を受けたのは社民党の福島瑞穂党首のメッセージである。
 社民党全国連合|2008年を迎えて 社民党党首・福島みずほ
 「大政翼賛会は、戦争一直線への道です」というあたりは教条的で史実にも反するが(翼賛体制が戦争を生んだのではなく、戦争が翼賛体制を生んだ)、「政治は、人の人生を応援すべきものであるにもかかわらず、今の政治は、人々の人生を破壊していっています」というくだりには全面賛成だし、「政治の結果生じた格差と貧困の拡大は、政策の転換でしか根本的には変えることができません」というのもその通りで、「政権交代」しても「政策転換」がなければ無意味という事実を下敷きにしている。また文章自体に何となく「優しさ」がにじみ出ているのも好感が持てる。

 もう1つ、意外と良かったのは新党日本の田中康夫代表である。
 新党日本代表 田中康夫「年末年始のご挨拶」-新党日本
 田中氏が言うように、「おかしいことは、おかしいと言う」だけでなく「おかしいことを、一緒に変えていく」という姿勢は現在の日本社会に最も必要なことである。貧困や格差が存在するとアピールする時期は終わり、貧困や格差をどう直すか、具体的に行動することが必要だろう。「怯まず・屈せず・逃げず」というモットーも、現に田中氏は参議院本会議で労働契約法案の採決に際して、統一会派を組んでいる民主党の党議を無視して反対票を投じただけに説得力がある。

 以上、いろいろな年頭所感を読んでみたが、2008年こそは「社会的平等」の価値回復への転換の年になってほしいと切に祈願している。
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by mahounofuefuki | 2008-01-01 17:40

エム・クルーの偽装請負・賃金ピンハネ問題と「成金」イデオロギー

 建設請負会社エム・クルーの日雇い派遣労働者の労働組合エム・クルーユニオンが、エム・クルーの賃金不払いと偽装請負を東京労働局に申告した(毎日新聞 2007/12/12 22:02)。
 10月1日に結成されたエム・クルーユニオンは、同社が「安全協力費」「福利厚生費」の名目で賃金から1回あたり300~500円をピンハネしている実態を告発し、会社側にピンハネ分の全額返還を要求している(産経新聞 2007/10/01 18:43など)。人材派遣大手のグッドウィルやフルキャストと同様の手口で、貧困者を食い物にした「中間搾取」だが、エム・クルーはいまだ返還に応じておらず、偽装請負も否定している。

 エム・クルーの実態については、Moyai Blog エム・クルーユニオン結成がわかりやすいので一部引用する(太字は引用者による、他の引用文も同じ)。
(前略)エム・クルーと聞いても、ピンとこない人が多いかもしれないが、レストボックスと言えば、「聞いたことがある」と言う人もいるのではないだろうか。「元ホームレス社長」前橋靖(おさむ)氏が経営し、「フリーターに夢を」と謳っている会社だ。レストボックスとは、家のないフリーターが安く宿泊できる安ホテル。エム・クルーはレストボックスを運営しつつ、そこに泊まっている人にも泊まっていない人にも、日雇仕事を紹介している。

しかし、その仕組みは、エム・クルーの自己宣伝とは裏腹に、怪しいところが満載だ。まず、フルキャストが返還し、グッドウィルも2年分については返還すると約束している使途不明の違法天引き金額が、エム・クルーの場合500円にのぼる。フルキャストが250円、グッドウィルが200円だから、破格の高さだ。

そして、紹介される仕事先は、ほとんどが建設現場。建設現場への労働者派遣は法律で禁じられているから、エム・クルーはこれを「請負」と主張しているが、それならばエム・クルーが現場の担当部署を管理・運営しなければならない。しかし実際には、送り込まれた先の会社の指揮下に入っている。つまり、違法派遣をごまかすための偽装請負だ。

私もエム・クルーに登録して働きに行ったが、最初に送り込まれた現場は、私一人で、完全に派遣先の会社の指揮下に入って仕事をした。私立学校の宿舎改修現場だった。初めての人間がたった一人で、担当部署を管理・運営することなどありえない。間違いなく偽装請負だった。そして、ちゃんと?500円が天引きされている。(後略)
 また、11月27日の参議院厚生労働委員会で共産党の小池晃議員がエム・クルーの問題を取り上げている。以下、参議院会議録情報 第168回国会 厚生労働委員会 第8号より。
(前略)
○小池晃君 それから、最低賃金制度にかかわってお聞きしたいんですが、資料をお配りしております、三枚目以降を見ていただきたいんですが、建設請負会社のエム・クルー、これはネットカフェ難民を扱う会社として登場して、社長がホームレスだったこと、あるいは竹中平蔵さんと非常に仲がいいというか、そんなことでも話題になっています。これは、都内主要駅ほとんど、レストボックスという二段ベッドの宿舎を提供して、簡易宿泊と建設請負の仕事紹介をセットにして営業している、そういう企業です。
 この会社で働いている労働者が今年十月労組を作りまして、安全協力費とか福利厚生費の名目で最大一日五百円の天引きが同意なく行われているということで全額返還を求めております。
 お配りしたのは、この会社の建設会社に対して向けたチラシと、それから労働者に向けて出した案内。これを見ますと、建設会社が支払う料金というのは一日一人当たり、これキャンペーン中なんでちょっと安いんですが、組合によりますと、一日一人当たり一万二千三百八十円なんです。ところが、二枚目見ていただくと、労働者に対する賃金見ると、これ七千七百円なんですね。問題の経費五百円ここから引きますから手取りで七千二百円、もう実にマージン率が四二%ということになるわけです。
 これ、時給換算すると九百円で、まあ最低賃金はクリアしているかもしれません。しかし、料金の六割程度の賃金で、しかも交通費込みだと。宿泊費、これは千八百円取られるんで、残るのは五千四百円。これ、宣伝では、エム・クルーで働いて頑張れば部屋が借りられるようになる、こう言っていますけど、これでは生きていくのが精一杯ではないかなというふうに思うんですね。
 最賃がやっぱり低いことがこういう事態を生んでいる原因の一つにもなっているのではないかと思うんですが、この会社、建設請負で派遣事業法の登録していません。しかし、実際には他社の工事現場に労働者を送る、実態としては労働者派遣。元々、建設は禁止されているはずなんです
 大臣、今こういう貧困ビジネスというのが大きく広がっているんですね。宿泊施設付きの派遣や請負、こういう事態について実態把握がされているのか。もし把握していないのであれば、私は派遣法や労基法に基づいてきちっと調査すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 今は一つ個別の案件を御引用なさいましたけれども、一般的に、基本的には労働関連の法令に違反したところに対してはきちんと厳正な処置をやると、そういう方向で我々はやっていっているし、今後ともその方向は曲げないでやっていきたいというふうに思っております。
○小池晃君 いや、そういう一般論じゃなくて、こういう貧困ビジネスというのはかなり大きなトレンドになってきている中で、厚生労働省としてもこれはやっぱり一定の問題意識持って調査をするという態度、必要じゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) その点も含めまして、先ほど来のほかの委員の先生方にもお答えいたしましたけれども、九月から労働政策審議会において、そういう点も含めて派遣労働の在り方について再検討を加えるということをきちんとやっておりますので、その結果を踏まえて必要な対処をいたしたいと思います。(後略)
 労働者派遣法が禁じる業種での派遣をごまかすために、「派遣」ではなく「請負」と言い張るのは近年の偽装請負の最も典型例だが、ピンハネ金額がハンパじゃない。経営者の悪質さは天下一品だ。
 
 引用記事でも触れられているが、このエム・クルーは創業者(社長)が「元ホームレス」であることを売り物にし、同じような境遇にある若者を応援する「ソーシャル・ベンチャー」をうたっている。
 以下、エム・クルーのホームページの前橋靖社長のメッセージより。
 社長メッセージ-エム・クルー
(前略) 私は、高校卒業後、定職に就かずに夢を追いかけプロサーファーを目指しておりましたが、挫折して車上生活者となりその後上京し、気がつけばヤングホームレスという生活を2年近く経験致しました。私も含め、夢を求めて上京しても、その後、自己表現できるような職にめぐり合えず仕方なくフリーターを続けている人がほとんどというのが現実です。 そこで、求職者やフリーター(定住先を求める)が自己啓発やモラールを身につけていけるような環境を提供し、次のチャンスを獲得できるよう応援したいと考え、「フリーター・求職者支援」事業を立ち上げました。

 2006年12月にバングラデシュのグラミン銀行とその設立者であるムハマド・ユヌス氏が、貧困層のひとびとの経済的・社会的発展への貢献が評価され、ノーベル平和賞を受賞しました。同銀行はマイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした少額無担保融資を行う新しいモデルをバングラデシュで構築しただけではなく、それを世界に広げ、世界の貧困削減に大きく貢献しました。ソーシャル・ベンチャーを標榜するエム・クルーとしましては、今回の受賞を心より祝福すると同時に、社会問題をビジネスの手法で解決する「社会起業家」が世界的に注目されていることを真摯に受け止めております。ムハマド・ユヌス氏と同様に、貧困層を対象とする当社のビジネスを今後も強力に展開することにより社会に貢献する所存であります。(後略)
 ムハマド・ユヌス氏はこんな所で自分の名前が使われているとはつゆ知らないだろう。実際に貧窮者の自立を実現してきたグラミン銀行と、労働者を貧窮状態に置いたまま搾取を繰り返すエム・クルーでは天と地の差だ
 
 ところで私が思うに、前橋氏のような「成り上がり者」ほど「上」に甘く「下」に厳しいような気がする。たとえば消費者金融の経営者には自身が債務で苦しんだ者も少なくない。自分が他人を蹴落として「成功」した自負から、かつての自分のような「下流」には自分と同じ「努力」を求める一方(「成功者」はたいてい自分の「努力」だけで成り上がったと思い込みがち)、「上流」に対しては単純な羨望の眼差しを送り、ひたすら仲間入りを目指す。それが一般的な「成金」の姿だろう。前橋氏も竹中平蔵氏のような「セレブ」と昵懇になれて有頂天なのだろう。
 問題は、社会の平等化など考えもせず、階級社会と「弱肉強食」を絶対の所与の条件として、その中で「セレブ」になる夢を追うという考え方が、「下流」の人々にも広がっていることにある。このイデオロギーに立てば、彼らにとって支配階級は「憧れの的」であって、怒りの対象とはならない。「下流」ほど自民党を支持したがる傾向や、「左」を忌避する傾向とも共鳴しているのではないか。
 エム・クルー社長の前橋靖氏の存在は、現在の階級社会の問題性を考える上で、格好の素材だと思う。この問題は別の機会に取りあげたい。

【関連記事】
「ネットカフェ難民」排除の動き
日雇い派遣にアブレ手当
民間給与実態統計調査
「反貧困たすけあいネットワーク」
「生きのびるための労働法」手帳

【関連リンク】
株式会社エム・クルー
全国ユニオン
特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター もやい
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by mahounofuefuki | 2007-12-13 12:45

労働契約法に関するリンク

*2007/10/23に投稿し、2007/11/14に再投稿、その後何度か編集した記事ですが、残念ながら労働契約法が成立したので、それに合わせて加除訂正をしました。再掲します。

第166回 閣第80号 労働契約法案
政府が衆議院に提出した時点の労働契約法案全文。

閣法 第166回 80 労働契約法案に対する修正案
労働契約法案の修正部分。

労働契約法案に対する修正案要綱/労働契約法案に対する修正案*PDF
修正案の内容及び政府当初案との比較。

第166回国会 厚生労働委員会 第24号 平成19年5月25日(金曜日)
第166回国会 厚生労働委員会 第27号 平成19年6月1日(金曜日)
第166回国会 厚生労働委員会 第28号 平成19年6月6日(水曜日)
第166回国会 厚生労働委員会 第29号 平成19年6月8日(金曜日)
第166回国会 厚生労働委員会 第30号 平成19年6月13日(水曜日)
第166回国会 厚生労働委員会 第32号 平成19年6月20日(水曜日)
第168回国会 厚生労働委員会 第3号 平成19年10月31日(水曜日)
第168回国会 厚生労働委員会 第4号 平成19年11月2日(金曜日)
第168回国会 厚生労働委員会 第5号 平成19年11月7日(水曜日)
衆議院厚生労働委員会の会議録より。労働契約法案の審議。第166回国会では年金記録問題の陰に隠れて十分な審議が行われず、第167回国会では実質審議が行われず、第168回国会では政府・与党と民主党の妥協により修正案が可決された。

参議院会議録情報 第168回国会 厚生労働委員会 第5号 平成十九年十一月十五日(木曜日)
参議院会議録情報 第168回国会 厚生労働委員会 第6号 平成十九年十一月二十日(火曜日)
参議院会議録情報 第168回国会 厚生労働委員会 第7号 平成十九年十一月二十二日(木曜日)
参議院会議録情報 第168回国会 厚生労働委員会 第8号 平成十九年十一月二十七日(火曜日)
参議院厚生労働委員会の会議録より。参考人質疑が行われ、衆議院よりは突っ込んだ審議が行われたが、結局可決された。

労働契約法~図解-労務安全情報センター
政府当初案の図解。

労働契約法に関する意見書-より望ましい労働契約法の実現に向けて--日本弁護士連合会*PDF
労働契約法案に盛り込まれた就業規則による労働条件変更をどうみるか-自由法曹団*PDF
労働契約法案及び労働基準法改正法案に対する見解-日本労働弁護団
労働契約法および最低賃金法「改正」法の成立に抗議する-自由法曹団*PDF
労働契約法に対する弁護士団体の見解。

労働契約法案の可決・成立についての談話(事務局長談話)-連合
【事務局長談話】労働契約法制の可決・成立にあたって-全労連
労働契約法-レイバーネット
働く女性の全国センター
労働運動、市民運動の見解・運動。
特に「働く女性の全国センター(ACW2)」は、最も積極的に労働契約法問題に取り組んでおり注目。

特集「労働契約法制」-独立行政法人 労働政策研究・研修機構
労働契約法制に関する資料とリンク。

社会法の広場
労働契約法について鋭い詳細な分析。多文化・多民族・多国籍社会で「人として」の御教示による。

労働契約法の解説・条文
行政書士のサイト。

雇用ルールと労働契約法
社会保険労務士のブログ。

清水ブログ:労働契約法案審議に見る民主党の裏切り
弁護士の清水建夫さんのブログより。

【関連記事】
最低賃金法改正案・労働契約法案における民主党の妥協
最低賃金法改正案・労働契約法案成立へ~民主党に贈る書
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by mahounofuefuki | 2007-12-05 19:22

法人申告所得過去最高でも消費税上げますか?

国税庁が2006年7月~2007年6月の法人税の課税事績を発表した。
平成18事務年度における法人税の課税事績について (国税庁)

法人税の申告状況は次の通り。
申告件数 278万7000件(前年度比0.9%増)
申告所得金額 57兆828億円(前年度比13.3%増)
申告欠損金額 16兆4,949億円(前年度比27.4%減)
黒字申告割合 32.4%(前年度比0.5ポイント増)
申告税額 14兆4578円(前年度比14.8%増)

このうち申告件数と申告所得金額は過去最高だという。それにもかかわらず、法人税の申告総額は1980年代のバブル期に及ばないそうだから、いかに現在の政府が企業を過度に優遇し、企業が応分の税負担を受け持っていないかが歴然としている。
また、黒字申告割合が3割あまりしかないのは、企業間格差が拡大している何よりの証拠である。規制緩和で競争を激化させた結果、大企業だけが儲かっていることがよくわかる。

いずれにせよ、所得額が増え、欠損額が減っている以上、現行より法人税を軽減する理由はまったくない。巨大企業は法人税のさらなる減税を要求し、その穴埋めに消費税の増税を企んでいるが、過去最高の収益を上げているのに虫がよすぎる。
しかも、いくら企業収益が上がり、企業減税を繰り返しても、一向に労働者には還元されず、株主と経営者が富を独占している。以前、当ブログで指摘したように、労働者の所得はこの10年ずっと減少し続けている。企業には労働者への配分率を上げる意思がないのだ。

いま必要なのは、消費税の増税ではなく、法人税の増税であることは明白だ
「年金の財源にする」とか「福祉目的に限定する」などの甘い言葉に騙されて、消費税増税を支持するようなことのないように熟慮してほしい。

【関連記事】
民間給与実態統計調査
政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」
消費税増税問題に関するリンク
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by mahounofuefuki | 2007-10-30 00:20

悪の秘密結社?

以下、産経新聞 (2007/10/25 02:56)の記事より。
 世界最大の投資ファンド、米ブラックストーン・グループが日本に初進出することが24日、明らかになった。東京・丸の内のAIGビルに日本法人の株式会社「ブラックストーン・グループ・ジャパン」を近く設立、11月正式発表する。同グループは中国政府が出資するファンドで知られるが、米ニューヨーク証券取引所に上場し、自社株を対価に日本企業を買収する「三角合併」も可能だ。巨額の資金を動かせる最大手ファンドの上陸で、日本のM&A(企業の合併・買収)市場はますます活発化しそうだ。

 ブラックストーン・グループがこの時期に日本法人を設立して本格的に上陸するのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題で世界の金融市場に動揺が収まらない中で、日本では優良資産を多く抱える企業の事業再生や、産業界で買収など大型再編がこれから本格化すると判断したため。投資案件を開拓し、グループが運営するファンドに助言を行って収益拡大を図るねらいとみられる。

 手始めに、国内のホテルなど不動産投資を手がけ、その後は企業買収に関与する見通しだ。
(中略)
 世界規模で運用資産額787億ドル(約9兆円)を誇るブラックストーンは、1985(昭和60)年に設立。米大手ホテルチェーンのヒルトン・ホテルズを約260億ドル(約3兆円)で買収したほか、中国政府の外貨準備を運用する国策投資会社から30億ドル(約3400億円)の出資を受けたことでも知られる。

 カーライル・グループ、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に加え、世界ファンド御三家がこれで日本に出そろう。日本企業も攻めのM&Aや業界再編に伴う構造改革を進めるため、世界の情報に通じた大手ファンドを活用する場面も出てきそうだ。
またまた「ハゲタカ」が日本上陸である。
こういう投資ファンドは企業を「商品」としか考えていないので、経営権を握るとコストカットを要求し、大幅なリストラを進める。それできちんと長期的に企業経営を続けるのならともかく、たいていは株式が上昇して、ある程度利ざやを稼ぐとすぐに経営権を売ってしまう。まさに「土地転がし」ならぬ「企業転がし」で、株式投資家にとっては詐欺みたいに「おいしい」が、労働者にとってはたまったものではない。

それにしてもファンドの名前が「ブラックストーン」とは恐れいった。まるで「悪の秘密結社」(笑)みたいなネーミングである。消費税を上げる前に、こんな連中にもっと応分の課税をしてもらいたいものだ。
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by mahounofuefuki | 2007-10-25 20:17

郵政民営化後の予想される最悪のシナリオ

民主・社民・国民新の3党が、郵政民営化見直し法案を参議院に共同提出した。
これを機に民主・国民新両党は参院で統一会派を組むことに合意した。
当面、日本郵政などの株式売却の凍結を目指すという。

過去の国鉄や電電公社の民営化の例を挙げるまでもなく、この国では1度決まったことを戻すのは非常に難しい。郵政の場合も公営に復旧するには、内外の圧力をはねのけるだけのエネルギーが必要で、仮に政権交代があっても非常に困難だろう。
ただ、実現性は低くとも、郵政民営化の問題点を浮き彫りにすることにより、2005年の総選挙で小泉政権を支持した有権者に、取り返しのつかないことをしたという反省を促す効果はあろう。それだけでも十分意味がある。

郵政民営化のデメリットについては、最近、森永卓郎さんが興味深いコラムを書いているので、紹介しよう。
構造改革をどう生きるか 第104回 郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ (SAFETY JAPAN)
長文なので、要点のみを摘出し、整理する。

1 政府が主張する郵政民営化のメリットは、次の3点。
① 競争原理の導入、経営の自由化 → 業務分野の拡大、サービスの改善、利便性の向上
② 民営だと法人税・印紙税の納付義務 → 国の税収増大、財政再建に貢献
③ 自由な資金運用 → 郵政から財政投融資への自動的な資金移動なし、特殊法人の合理化
2 政府が主張するメリットを検証。
① 代金引換郵便、払い込み、定額小為替などの手数料値上げ集配局の減少 (郵便物の配達日数が多くかかる)、時間外窓口の閉鎖
② 新たに払う法人税、印紙税の分 → 値上げで埋め合わせる (予測)
③ すでに2001年に財政投融資制度は廃止、政府が財投債を売って、政府がその金を特殊法人に流していた → 責任は郵政公社ではなく政府
3 郵政民営化の中長期的なデメリット (予測)
① 3年以内に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式上場 → 2017年までに完全売却 → 株式の一部は、アメリカ系の金融機関やファンドが購入 → 株主提案権を得て経営に口出し → 「経営のさらなる合理化」要求 → ゆうちょ、かんぽの地方の窓口が消える (最低限の郵便事業だけ)
② 現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金の3分の2以上は、国債(財投債を含む)で運用 → 外資系株主が高金利のアメリカ国債での運用を要求 → アメリカのバブル崩壊 (ドル暴落、米国債暴落) → ゆうちょ、かんぽ破たん
要するに、郵政民営化によって、郵便貯金や簡易保険が、アメリカ経済と「一蓮托生」になる危険性を指摘しているのである。
森永説は「ドルが暴落する可能性は、長期でみれば100%」という予測を前提にしているため、悲観的すぎるという見方もありうるが、いずれにせよ「日本国民」の財産がリスクにさらされることは確かである。

今回の見直し法案が、本当に郵政民営化は正しかったのか各人で考えるきっかけになれば幸いである。
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by mahounofuefuki | 2007-10-23 20:53

日雇い派遣にアブレ手当

厚生労働省が、日雇い派遣労働者に失業保険を適用する方針を固めた。
実際の仕事内容は同じでも、「派遣」であるために、失業保険の給付を受けることができなかった不公平を是正する措置で、何もないよりはましになった。

しかし、そもそも日雇い派遣(これも例の如く企業側は本質を誤魔化すために「スポット派遣」などと呼称しているが)という雇用形態が、常態化しているのを、このまま座視するのか、という問題には相変わらず無頓着である。
「構造改革」のもとで労働者派遣法を「緩和」した結果、多くの業種で日雇い派遣が可能になった。毎日異なる職場、単純労働、低賃金、不安定・・・・・労働者の生活など微塵も考えていない「トンデモ法」になってしまった。

連合の高木剛会長は、13日の記者会見で、日雇い派遣を含む登録型の派遣労働を禁止するよう主張したが、単に禁止してしまえば、登録型派遣で暮らす労働者は職を失うだけである。
連合加盟の労働組合自体がワークシェアリングを主導するなど、非正規労働者との連帯を本気で模索しなければ、正規・非正規間の溝は深まるばかりだ。

失業保険といっても、日雇い労働者に対する給付は「アブレ手当」で、とても生活できる額ではない。日雇い労働とは、ある意味毎日失業を繰り返しているわけだから、本当に辛い。

一方で、こんなニュースがある。
グッドウィルが、折口雅博会長愛用の36億円のジェット機を売却したという。
派遣労働者から給与をピンはねしながら、オーナーの「戦闘機ごっこ」なんかに無駄遣いをしていたのだ。
36億円というと、年金の着服額の比ではない。
公務員の「ネコババ」には激怒する人は、経営者の「ネコババ」のはなぜ怒らないのだろう?
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by mahounofuefuki | 2007-09-14 21:51

何が「家族だんらん」だ!

舛添要一厚生労働大臣が、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案を、「家族だんらん法案」に改称するよう指示したという。
この1件だけでも、彼が「民衆の味方」でありえないことは、はっきりしただろう。

「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは、要するにホワイトカラーの残業代不払いを合法化する法である。
今でも「サービス残業」という不可解な言葉で正当化している「ただ働き」を、完全に合法にし、労働者の奴隷化を推し進める、支配階級の要求に沿った政策である。

これを「残業代がなくなる」→「残業をしない」→「家族だんらん」という安直な発想で、「家族だんらん法案」にしてしまうとは、法案の本質を隠蔽するための小細工でしかない。
残業をするかしないかの決定権など、今やほとんどの労働者にない。残業しなければとてもこなせないほど大量の仕事を企業が与えている上、能力主義・成果主義の導入で労働者自体が「自発的に」残業をするよう仕向けられている。残業してでも成果を挙げなければ、会社に残れないからだ。
つまり、労働環境が現状のままでは、労働者が「家族だんらん」のために、残業をやめることなどありえないのだ

もし「家族だんらん」を可能にしたかったら、小泉政権下で経営者側に有利なように緩められた労働法制を強化することだ。
労働時間を厳密に定め、残業を一切禁止し、違反した企業の経営者を厳罰に処すような法改正でも行わない限り、労働者の人間性回復はありえない。
自民党政権にはとうていできないことだ。

薬害被害者の声に耳をかたむけず、年金問題を社会保険庁職員の着服問題に矮小化し、ついには労働者に過労を強要する。舛添氏とは、そういう男なのである。
これを機に、テレビに操作されず、彼の真実の姿をきちんと直視してほしい。
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by mahounofuefuki | 2007-09-11 23:19

スキーバス事故と「規制緩和」の罪

2月に起きた大阪・吹田のスキーツアーのバス事故で、運転手に対する1審判決が下された。
懲役2年6か月だが、4年の執行猶予がついた。執行猶予は当然である。

この運転手は、大型免許を取得して日が浅く、その上連日連夜の過重勤務、さらにツアー自体が無理な日程で、居眠り運転をしてしまった。業務上過失致死に問われたのは、法律上やむをえないが、むしろ責任はこの運転手に過労を強いたバス会社にあるだけに、本当にやりきれない。
しかも、死亡したのは、ガイドとして同乗していた彼の16歳の実弟だった。身内を使うことで、コストダウンを図ったのは明白だろう。運転手の心中を察するに、いたたまれない。

バス会社がこんな無理をしたのも、「規制緩和」による値下げ競争が原因だ。
最近のバスツアーは驚くほど安い。利用者は安ければ安いほど良いと錯覚しがちだが、その分安全性が低下しているのだ。そして労働者は過労と低賃金に喘いでいるのである。
事故の真の責任は、業者に競争を強いる政府と、政府に市場原理主義政策を採らせる巨大企業や富裕層と、何の疑いも持たずに安さを求める利用者にある。彼らの無責任でエゴイスティックな姿勢が少年を殺したのだ。
しかも、この事故があった後も、状況はまったく改善されていない。「規制緩和」政策は続き、企業も消費者も反省していない。

検察側、被告側双方とも、判決を受け入れるのか、控訴するのか、今のところ不明だが、この運転手には何としても社会復帰してほしい。社会も彼を受け入れてほしい。
もう2度とこんなことは起きてほしくない。
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by mahounofuefuki | 2007-09-06 20:15