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国は「勝訴」なので上告できず違憲判決確定へ~自衛隊イラク派遣差し止め訴訟

 自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で、名古屋高裁はイラクの現状をイラク特措法が定める「戦闘地域」と判断し、派遣中の航空自衛隊の活動には武力行使を含み憲法第9条に違反するとの控訴審判決を下した。

 この国の司法はもうかなり前から、日米安保体制や自衛隊の問題について、憲法判断を回避するのが定石となっていただけに、正直なところ驚いている。上級審になるほど政府寄りなのも常識であるだけに、一審でもなかった違憲判断を控訴審が行ったのは(原告や他の賛同者には悪いが)想定外だった。もちろんこの想定外は喜ばしい。
 9条に対する違憲を認めた判決は、1973年の長沼ナイキ訴訟一審判決(いわゆる「福島判決」)以来だそうだから、画期的・歴史的判決と言ってよいだろう。青山邦夫裁判長の勇気と気骨に敬意を表したい。

 この訴訟は、①自衛隊派遣の差し止め、②イラク特措法の違憲確認、③平和的生存権・人格権侵害の慰謝料支払いを求めたもので、今回の判決は一審同様そのいずれも認めずに控訴を棄却しており、訴訟そのものは原告の敗訴である。しかし、皮肉にも国は勝訴したが故に上告できず、原告が上告しなければ今回の判決は確定する
 読売新聞(2008/04/17 14:24)によれば、判決はイラクについて「多国籍軍と武装勢力との間で、国際的な武力紛争が行われている」と指摘し、空自の輸送活動のうち「少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」(太字強調は引用者による)と判断したという。「戦闘地域」での活動を禁じたイラク特措法に違反し、戦争のための武力行使を禁じた憲法にも違反すると認定したのである。
 政府は再三、自衛隊のイラク派遣の合憲・合法根拠を派遣地域が「戦闘地域」ではないことに置いていたが、裁判所は「戦闘地域」であるとみなしたのである。イラクの現状認識において国家機構の一部である司法機関が、政府の説明と異なる見方を示した意味は重い。また米軍などの兵員を戦地に輸送する活動を「武力行使」と認定したことは、日米安保体制のなし崩し的強化に警笛を鳴らし、改めて憲法が禁じる「武力行使」の厳密な定義づけの必要性を指摘したと言えよう。

 今回の判決が出たことで、反憲法勢力は現憲法下で自衛隊の「武力行使」を「合法化」する限界を痛感し、憲法9条改定への野望を改めて高めることだろう。アメリカからの改憲圧力もますます強まることが予想される。
 自衛隊の在り方については護憲派内でも廃止論から専守防衛論までさまざまだが、当面は海外での武力行使禁止米軍との一体化見直しの2点に絞って、9条擁護の論陣を張る必要がある。今回の判決の憲法判断を十二分に生かすべきだろう。

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自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会/トップページ
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法-法令データ提供システム
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by mahounofuefuki | 2008-04-17 20:14

「あたご」航海長無断聴取は文民統制の逸脱だ

 いわゆる「フツーの人々」と軍事関係の話をしていると、「現場の自衛官」は「国のために一生懸命働いている」が、「背広の官僚」は「汗を流さず」甘い汁を吸っているという憤りに出会うことが多い。守屋武昌前事務次官の汚職容疑に端を発した防衛利権を巡る疑惑の影響もあるだろうが、デスクワークへの不信と表裏一体の「現場」信仰のようなものが、この国の社会には根強くあるような気がする。何となく(というのが実は曲者だが)「計算高そうな背広」より「純朴な制服」の方が信用できるという根拠のない信仰である。

 実際は戦前の日本軍の制服軍人たちが「統帥権の独立」を盾に「暴走」したのは周知の通りだし、先の大戦中に戦局が日本軍に不利となると、一般向けには虚偽の戦果を捏造して発表したりした。いわゆる「大本営発表」という言葉が誇大な虚偽言説を指すようになった所以である。「現場」の「制服組」ほど「国防を担っている」という自負が強く、それは容易に特権意識に転化し、「国を守るという崇高な仕事をしているのだから、何をやっても許される」という自己肥大化妄想に囚われやすかったのだ。
 戦後「再軍備」の過程では「文民統制」が最も重要な課題の1つであった。制服自衛官だけでは防衛庁長官には面会できない(必ず文民官僚が同席する)という慣行も戦前の反省から生まれた。大衆の素朴な信仰とは裏腹に現実の政治力学においては、「制服組」を野放しにはしないという意思は戦後長らく保守政権でさえも保持していた。

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が海上衝突予防法に違反して衝突回避義務を怠り、マグロ延縄漁船を文字通り「蹴散らした」事件で、防衛省の虚偽発表が次々と明らかになっている。
 特に事件当日、わざわざヘリコプターを差し向けてまでして「あたご」の航海長を東京の防衛省に呼び寄せ、防衛省首脳が事情聴取を行っていたことは重大な問題である。誰がどう見ても事件の真相を隠ぺいするために、海上保安部の聴取より前に「口裏合わせ」を密談していたとしか考えられない。

 しかも、「あたご」航海長の召喚と事情聴取を、海上幕僚監部は海保どころか防衛大臣の了承を得ずに行っていたというのは、文民統制上あまりにも危険である。イージス艦という最重要のセクションの、それも航海長という要職者の所在の変更を大臣の了承がなくとも行えるのである。これでは極端な話、大臣の知らない所で幕僚が任意に兵力を動かして反乱を企てることすら可能になる。
 海幕が大臣に了承を得ずに「あたご」航海長を呼んだことに加え、石破氏がそれを咎めるどころか自ら航海長との会談を望み、大臣室で事情報告を受けたことも問題だ。石破氏は国会で「(海幕に)呼べという指示は出していないが、呼ぶこと自体は不適切だと思わない」と答弁した(毎日新聞2008/02/28 22:16)。大臣(及び内局)が自ら「制服の暴走」を容認し、捜査妨害と隠蔽工作に加担したのだ。もはや国務大臣としての資質を疑わせる。

 事件から今日までの防衛省・自衛隊の発表はまるで「大本営発表」のようにウソだらけだった。そしてそれは現在も進行中である。福田首相は一連の失態を文民統制の危機と捉えねばならない。首相がまともな感覚の持ち主ならば、すみやかに石破防衛大臣を罷免し、後任の大臣には事務次官、統合幕僚長、海上幕僚長以下、今回の航海長召喚に関係した高官と幕僚すべてを更迭するよう命じるべきである。この国の「軍部」の体質は戦前から何も変わっていない。そんな連中にイージス艦のような「危険なおもちゃ」を持たせるのは言語道断だ。

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防衛省・自衛隊
海上自衛隊
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by mahounofuefuki | 2008-02-28 23:25

「自爆テロじゃなくてよかった」という渡辺喜美の暴言

 勝浦のマグロ漁船と海自のイージス艦「あたご」が衝突し、漁船が大破のうえ乗員が行方不明になっている事件。
 これを書いている時点ではまだ詳細は不明だが、海上保安部が業務上過失往来危険容疑で強制捜査に踏み切るようで、イージス艦側に非があるようだ。海上衝突予防法を調べてみると「2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る船は、当該地の動力船の進路を避けなければならない」とあり、産経新聞(2008/02/19 11:59)などによると、今回の場合は横須賀へ北上するイージス艦の方が回避義務のある「避航船」だったという。漁船は左側面の損傷が大きいので位置関係はそれで間違いないだろう。

 自衛隊の艦船はこれまでも何度となく民間船と事故を起こしてきただけに、正直「またか」という思いは否めず、ましてや目視による見張りの怠慢などが報道されており、「凶器」を扱っているという自覚が自衛隊には不足しているとしか思えず、怒り心頭である。
 しかし、私が何よりも激怒したのは、渡辺喜美行革担当大臣の次の発言である。
 素人的に考えると、(漁船が)レーダーに映らなかったのか(と思う)。映らない場合もあるそうだが、万が一これが自爆テロの船ならどうするのか。(時事通信2008/02/19 10:58)
 「自爆テロの船ならどうするのか」という発言は、どう考えても「衝突したのが漁船だからイージス艦の損傷が軽微ですんだが、工作船の自爆攻撃だったら大損害だった」と解釈するしかない。つまりこの男はイージス艦のレーダーが漁船はともかく工作船を捉えられないことを何よりも心配しており、イージス艦さえ無事ならあとはどうでもいいと放言しているのである。

 自衛隊は建前上、住民を守るのが仕事ということになっている。しかし、実際は住民を守るはずのもが住民を傷つける事実に目を閉ざしてはならない。なお野党各党は国会で防衛大臣の責任を追及するようだが、大臣への連絡の遅さやらレーダーの技術的問題やらに論点をすり替えられないように注意してほしい。問題はあくまでもイージス艦が多額の国税をつぎ込むに値するのかという点である。

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海上衝突予防法-法庫
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by mahounofuefuki | 2008-02-19 21:29

「防衛省改革会議」に「改革」はできない

 「防衛省改革会議」の2回目の会合が今日(12月17日)開かれた。
 この会議は、海上自衛隊の補給艦「ときわ」がインド洋で行った給油量を実際より少なく報告していた問題と、同じくインド洋で給油活動に従事していた補給艦「とわだ」の航海日誌が防衛省の内規に反して破棄された問題を契機に、首相官邸に設置されたもので、すでに12月3日に1回目の会合が行われている。
 1回目の会合では、①文民統制の徹底、②厳格な情報保全体制の確立、③防衛調達の透明性確保の3点を会議の主題とし、来年2月頃に検討報告をまとめることを確認したが(朝日新聞 2007/12/03 12:12)、2回目の今日は福田康夫首相も出席し、自衛隊に対するシビリアンコントロールについて意見交換が行われた。
 以下、東京新聞(2007/12/17 夕刊)より。
(前略) 首相は冒頭、「問題の原因の多くは、防衛省・自衛隊の業務の在り方の基本にかかわっている。出直しのための改革にとって最良の基本的方向性を大所高所から提言してほしい」と述べた。
 会議では、海上自衛隊による給油量訂正隠ぺい問題について「責任の所在が明らかでない。この機会に、防衛省の組織、責任体制の在り方の抜本的見直しが必要」という指摘が出た。
 また、防衛調達の透明性を議論するため、同省OBら調達にかかわったことがある専門家を招いた勉強会を年明け以降に開くことで合意した。
 新テロ特措法案の審議過程で明らかになった給油量虚偽報告問題と航海日誌破棄問題は、すっかり守屋武昌前事務次官の汚職をめぐる軍需利権問題の陰に隠れてしまっているが、今も全容解明に至ったとは言い難く、疑惑の核心は依然藪の中である。虚偽報告も日誌破棄も現場レベルで行われ、政府や防衛省上層部に伝わっていなかったことが問題とされているが、むしろ自衛隊が給油した燃料をテロ特措法に反してイラク戦争に転用した証拠を意図的に隠滅したのではないかという疑惑こそ本当の問題であり、「改革会議」が真にシビリアンコントロールの確立の徹底を目指すなら、この証拠隠滅疑惑こそ追及しなければならない。
 しかし、1回目の会合の資料と今日の報道を読む限り、「改革会議」はあくまでも意図的な隠蔽とは捉えず、問題の所在を単なる官僚機構の責任体制の在り方にすり替えており、私たちの疑念に応える意思はまったくないらしい。こうした会議は年金記録検証委員会の例を見るまでもなく、「政府が改革に取り組んでる」という姿勢をアピールするためのパフォーマンスでしかなく、おそらく当たり障りのない「改革案」を提言して幕を閉じるだろう。まったく税金の無駄でしかない。

 そもそもこの「防衛省改革会議」は、首相官邸主導を強調するために、防衛大臣ではなく、内閣官房長官の直轄の下に置かれてはいるが、人選からして政府の「やる気」を疑わせる。
 構成メンバーは以下の通りである(内閣官房長官「防衛省改革会議の開催について」より)。
五百籏頭 眞(防衛大学校 学校長)
小島 明(社団法人日本経済研究センター 会長)
佐藤 謙(財団法人世界平和研究所 副会長)
竹河内 捷次(株式会社日本航空インターナショナル常勤顧問)
田中 明彦(東京大学大学院情報学環 教授)
御厨 貴(東京大学先端科学技術研究センター 教授)
南 直哉(東京電力 顧問)
 現在の肩書だとわかりにくいが、佐藤氏は元防衛事務次官、竹河内氏は元統合幕僚会議議長であり、いわゆる「背広組」と「制服組」の元トップで、防衛省の「身内」である。五百籏頭氏、田中氏、御厨氏はいずれも実績のある政治学者だが(私も学生時代に彼らの現代政治史の研究書を読んだ)、自民党タカ派に近いと目され、防衛省・自衛隊に対してとても厳しいことを言えるような人々ではない。しかも五百籏頭氏は現職の防大の校長である。また、佐藤氏と田中氏は、安倍政権が現憲法下での集団的自衛権の行使を容認するために設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーでもあった。「外部の第三者」と言えるのは、日本経済新聞出身の小島氏と東京電力生え抜きの南氏だけだが、この2人は安全保障問題に関しては「素人」であろう。
 防衛省の「身内」と軍事の「素人」で構成される「防衛省改革会議」にとても「改革」などできるはずがない

 こうなるとやはり国会が国政調査権を最大限に使って疑惑を追及するほかない。参議院での新テロ特措法案の審議は問題が拡散し、政局の道具になっているのが現状だが、単に給油を再開するかどうかという矮小化された議論ではなく、政府・防衛省・自衛隊全体を通した隠蔽体質を追及し、一連の疑惑の根っこにある対米追従の防衛政策そのものを俎上に上げるべきである。
 すでに国会の会期が延長され、新テロ特措法案の時間切れによる再議決が可能になってしまった以上、審議の中身で勝負するしか野党に活路はない。与野党逆転の今こそ機を失ってはならない。

【関連リンク】
防衛省改革会議-首相官邸
防衛省改革会議の開催について*PDF
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の設置について-官房長官記者発表
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by mahounofuefuki | 2007-12-17 17:24

防衛省「裏金」報道の意味

 防衛省をめぐる疑惑はもはや底なしの状態となっているが、ついに報償費を裏金としている問題が報じられた。以下、共同通信(2007/12/26 02:03)より(太字は引用者による)。

 防衛省が情報収集を主な目的とする報償費の多くを架空の領収書で裏金化して、幹部や関係部局の裁量で使えるような不正経理を組織ぐるみで長年にわたり続けていたことが判明した。防衛省OBら複数の関係者が15日、明らかにした。報償費は2007年度予算で年間約1億6400万円。裏金が職員同士の飲食経費など目的外に流用された可能性は否めず、新テロ対策特別措置法案の国会審議にも影響を与えるのは必至だ。

 政府は防衛省の報償費について「情報および資料収集、犯罪の捜査に必要な経費」と規定しており、大半は「情報収集」名目で使われてきた。

 関係者によると、裏金工作は数10年間繰り返されてきた。裏金は単年度で使い切れず、プール金は総額で少なくとも数1000万円に上るという。
 電子版ではこれだけの記事だが、共同通信加盟各社に配信された記事では、もっと詳細が記されている。それによると「裏金づくりは大臣官房などが防衛省のOBらの名前を使い情報提供の協力者に見せ掛け、偽の領収書を防衛省職員が大量に作成。具体的には、偽の情報協力者を接待したり毎月現金を手渡したかのように装う架空領収書で報償費から裏金を捻出してきた」という。また「裏金は内局に加え陸海空各自衛隊の関係部局もあり、情報収集名目の交際費などで支出、裏金を管理する「裏帳簿」も用意し原則として領収書を提出させていた」ともいう(北海道新聞 2007/12/16 朝刊)。

 情報提供者や協力者を捏造して報償費を支払ったように見せかけて官庁内部で流用するという手口は、警察の裏金問題と同様である。また使途が非公開の支出を利用した裏金づくりという点では、外務省の職員が機密費を私的流用した事件とも共通する。
 さらに使い切らなかった予算を内部でプールするという手口は、各地の自治体の裏金問題でもありふれたもので、おそらくどの官公庁でも行われている。防衛省も例外ではなかったということだ。

 さて、ここで問題になるのは、なぜこの時期に防衛省の裏金問題が報じられたのか、ということである。今回の共同通信の記事の取材元は「防衛省OBら複数の関係者」ということになっている。ちょうど守屋武昌前事務次官をめぐる汚職が捜査中であることに触発されて、防衛省の汚職体質を一掃したいOBがあえて告発したと考えるのは早計だろう。私にはむしろ裏金問題を持ち出すことで、守屋をめぐる疑惑に集中している世論や国会の視線を拡散させるねらいがあるように思われる。これ以上守屋問題を広げたくない人々(一部の防衛官僚や「国防族」の政治屋や軍需産業)が、あえて裏金というエサを用意して追及の矛先をはぐらかそうとしているのではないか。
 それというのも、過去の官庁の裏金問題はどれをとっても抜本的に解決したものがないからである。警察の裏金問題は、記者クラブ制度を通して警察と相互依存関係にある大手メディアがほとんど報道せず、結局警察庁による全国規模の組織的な裏金システムの全容解明には至らなかった。外務省の機密費問題はさんざん世論の攻撃を浴びたが、結果は田中眞紀子や鈴木宗男らトリックスターの問題にすり替えられ、これまた全容解明と全面改革には至らなかった。裏金はどの官庁にもあるため、やり出したらキリがない。防衛省の裏金問題もうやむやにできるという確信があればこそ、「防衛省OB」はわざとリークしたのではないかと私は疑っている(いざとなれば下っぱ職員をスケープゴートにすれば済む)。

 そして何よりも裏金問題は、現在防衛省をめぐる疑惑を捜査している検察当局にとってもナイーヴな問題である。各地の検察庁には調査活動費という報償費に相当する支出がある。この調査活動費が検察内部の裏金になっているのではないかという疑惑は過去に報じられた。調活費の流用を告発しようとしていた検察幹部が不可解な別件逮捕に至り、結局この問題がメディアではタブーになったことを記憶している人も多いだろう。あえて忖度すれば、今回の裏金問題のリークは防衛省サイドの検察に対する牽制の意味合いもあるような気がする。

 今のところこの防衛省の裏金問題がどう展開するか予測がつかないが(国会で取り上げられるか、全国紙が大きく報じるかどうかで決まる)、十分に注目する必要はあるだろう。
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by mahounofuefuki | 2007-12-16 12:34

新テロ特措法案のタイムスケジュール及び自衛官の自殺増加について

新テロ特措法案が衆議院テロ対策特別委員会で可決された。
明日(13日)の衆議院本会議でも与党の賛成多数により可決され、審議の舞台は参議院へ移る。
各種報道によれば、参院第1党の民主党は、参院ではイラク特措法廃止案の審議を優先し、新テロ特措法案の審議を遅らせて「時間切れ」を目指すという。

実は衆議院を通過したことで、政府・与党があくまで新テロ特措法案の成立に固執するのならば、タイムスケジュール上は十分可能になってしまった。
なぜか。今国会の会期は先に12月15日まで延長になったが、もしそれまでに参議院で法案が議決されなければ、審議未了で廃案となる。政府・与党がここで断念すればそれでよしだが、その可能性は限りなく低い。国会法第12条2項により、臨時国会は2度まで延長が認められており、今国会の会期はあと1度延長が可能だからだ。

憲法第59条2項により、参議院で否決された法案は、衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すれば成立する。
現在、与党は衆議院で3分の2以上の議席を占めており、再議決に持ち込めば新テロ特措法案は成立する。再議決のためには「参議院の否決」が必要で、参議院が採決しない限り可決も否決もないから、参議院がねばって採決を延ばせば衆議院での再議決は防げるかというと、さにあらず。憲法第59条4項の「60日規定」があるからだ。

憲法第59条4項は「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」と定めている。つまり、明日(11月13日)衆議院を通過した場合、60日後の1月12日以降は、たとえ参議院が法案を採決せずとも「否決」とみなして衆議院で再議決が可能なのである。
報道では再議決の場合、野党は参院で内閣問責決議を行うとしているが、衆院の内閣不信任決議とは異なり、首相の衆院解散権を拘束するものではない。そして厚顔無恥な福田首相は開き直って問責を無視し、そのまま臨時国会は終了するだろう。

国会法は第2条で、1月中の通常国会招集を定めている。つまり今国会は最長でも1月中旬までしか延長できない(当たり前だが通常国会の前に臨時国会が終わっていなければならない)。そこから逆算すれば11月中旬までに衆院通過することが、政府・与党にとって是が非でも必要だったのである。
与党が今日の委員会採決、明日の本会議採決に踏み切ったのは、何も首相のアメリカ訪問に合わせただけではないのだ(その辺も込みで訪米日程が決まったのだろう)。

こうなると返す返すも「小沢騒動」がいかに民主党にとって失点であったかがわかる。
もし「小沢騒動」がなければ、世人の目は一斉に防衛省汚職へ向いていたはずだ。この問題は攻めるに事欠かない。守屋武昌へのあの手この手の接待攻勢など、大衆好みの話題もたくさんある。世論は激高し、政府・与党はテロ特措法どころではなかったかもしれない。
しかし、小沢一郎をめぐる一連の「騒動」のインパクトがあまりに強く、山田洋行の元専務が逮捕されたというニュースも霞んでしまった。「騒動」の間に国会の会期延長もすんなり決まり(国会法第13条により、会期延長は衆議院の議決が優先される)、野党は十分に抵抗できなかった。

しかも、最低賃金法改正案と労働契約法案で、与党と民主党の修正協議という前例もできてしまった
福田政権は今後、通常国会でも予算案では憲法第60条2項の「30日規定」を用いて乗り切り、他の法案は個別に民主党と修正協議を行い、衆院解散を先延ばしするだろう。綱渡りの議会運営が可能なのは「衆院の3分の2」という「小泉の遺産」のためであり、どうやっても次の選挙では自民党は現有議席を減らすからだ。
衆院解散に追い込むには野党が結束して、政策協議やら修正協議など断固拒絶し、一切与党とは妥協せず、与党がもうだめだと政権を投げ出すくらいまで追い詰めなければならないのだが、果たして小沢一郎氏にその意思があるのかまったく疑問だ。

以上のように先行きは暗いが、参議院で野党がテロ特措法やイラク特措法の問題性を浮き彫りにし、さらに防衛省の汚職を攻めることができれば、まだ逆転勝利はあるとも言える。
今日発表されたNHKの世論調査では、特措法にについて「賛成」よりも「反対」よりも「どちらともいえない」が最も多く、総じて関心が薄いことが明らかになっている。この無関心状況から「テロ特措法はおかしいんじゃないか?」という「空気」を作り出せるかが、勝負の分かれ目だろう。

ところで、そのテロ特措法の基盤を揺るがすようなニュースがある。北海道新聞(2007/11/12 07:22)より。
*漢数字をアラビア数字に変換した。
2004-06年度で、自殺した自衛官が毎年度100人に達していることが11日、防衛省の調べで分かった。05、06の両年度は共に101人と過去最多で、07年度も半年間(4-9月)で53人とこれらを上回るペース。ストレスや部隊内でのいじめを背景に挙げる声もあるが、同省は原因は不明とする一方で「自殺者増は深刻。カウンセリングの充実を図りたい」としている。
 
 同省人事教育局によると、06年度の自殺自衛官は陸自65人(前年度比1人増)、海自19人(同4人増)、空自9人(同5人減)、事務官8人(増減なし)。過去10年間では、01年度の64人が最少で、04年度に初めて100人となり、3けたに突入した。10万人当たりの自殺者は06年度で38.3人。人事院がまとめた国家公務員の17.7人(05年度)の2倍強に当たる。

 原因をみると、同省の06年度調査で「その他・不明」が63人、「借財」23人、「家庭の悩み」11人と続く。

 自衛隊に詳しいジャーナリスト三宅勝久さんは、自殺の背景として「いじめや借金苦も後を絶たず、組織の閉鎖性も要因。海外派遣、テロ関連の警備強化もストレス増を後押ししている」と指摘。04年-06年7月にイラクへ派遣された陸空両自衛官のうち、帰国後の自殺者は7人を超す。(後略)
私は以前ある元自衛隊員から、海外派遣が増え、「テロ対策」の強化や日米軍事一体化が進んだこの数年、自衛隊の訓練が厳しくなり、隊内のいじめが激しくなって、自殺者が増加していると聞いたことがある。
また、2003年7月に衆院厚生労働委員会で、共産党の小沢和秋議員が、自衛官の自殺者が1993~2003年の10年間で601人に達していることを取り上げている(衆議院会議録 厚生労働委員会 第156回第25号)。

この記事はその後も自殺者が増加し続けていることを示しており、防衛省が何ら実効的な対策を取って来なかったことも証明している。
自衛隊に限らず、一般に自殺は「事故死」として処理することも多いので、もっと多い可能性もある。参議院の審議では、是非とも自衛官の自殺問題を取り上げ、自衛隊がとうてい海外派遣に耐えられる状況にないことを明らかにして欲しい。


《追記 2007/11/13》

社民党の照屋寛徳衆院議員の質問主意書に対する政府の答弁書によると、インド洋とイラクに派遣した自衛隊の自殺者は16人で、派遣全隊員の0.08%に相当するそうだ(毎日新聞 2007/11/13 16:39)。
防衛省は派遣と自殺の因果関係を認めていないようだが、内地よりも過酷な環境が自殺者を多くしているのは間違いない。
この問題を取り上げた照屋氏に敬意を表す。


《追記 2007/11/15》

昨日、「再議決可能になるのは1月11日」と「修正」追記したが、専門家に問い合わせたところ、本文で述べたとおり、「1月12日以降」で間違いないそうだ。二転三転して混乱したことをお詫び申し上げます。


【関連リンク】
日本国憲法-法庫
国会法-法庫
NHK調査 内閣支持率54%-NHKニュース
衆議院-会議録
自衛官が3年連続、年間100人超の自殺者-オーマイニュース
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by mahounofuefuki | 2007-11-12 22:54

陸自情報保全隊の監視活動をめぐって

*2007/10/06に投稿した記事ですが、再掲します。理由は追記に。

陸上自衛隊の情報保全隊が、イラク派遣に反対する市民の動きなどを「情報収集」していた問題で、仙台の自衛隊派遣差し止め訴訟の原告らが自衛隊の「情報収集」活動の中止と損害賠償を求めて提訴した。
今年6月に自衛隊資料(とされる書類)を共産党が入手し公表して以来、この問題での訴訟は初めてという。
共産党のホームページで公開された資料は、極めて詳細かつ具体的、そして広範囲で、陸自の市民監視活動が常態化していることを窺わせた。もちろん憲法違反であり、主権者に対する背信行為である。提訴は当然であり、訴訟を通して少しでも実態の解明が進めば幸いである。

ただ、私はこの問題については、資料公表以来、ある「疑念」をもっている。
それは自衛隊サイドが故意に問題の資料を漏らしたのではないか、という疑念である。
共産党の情報力を疑うわけではないが、正直なところあんな第1級の機密資料(としか思えない)が簡単に漏洩するだろうかという疑いが消えない。むしろ防衛省・自衛隊側がある意図をもって外部の手に渡るように仕組んだのではないか。

その意図とは、主権者としての自覚をもって政治行動する市民と、そうではない「普通の」大衆とを分断することである。
実際、この問題が発覚した時、ジャーナリストや法曹関係者や社会運動家は抗議の声をあげたが、一般の反応は冷ややかであった。市民運動と特に関わりがなく、集会にもデモにも参加したことのない人々(それはこの国の多数派である)は、「自分とは関係ない」で済ませた。そして改めて平和運動や労働運動などに参加すると「国に睨まれる」と「学習」したのではないか。
平穏に生活したければ国に逆らわず、多少の不満は我慢して、せいぜい権力が用意した「公認の敵」をバッシングして日常の欝憤を解消する。残念ながらそうした「小市民的保守主義」が現在の日本社会の主流である。
自衛隊はまさにその現実を突き、「反体制分子」を一般の人々から孤立させることを狙ったのではないか。すでにイラク人質事件の時に、相当な数の人々が人質らを「プロ市民」と攻撃したという事態があったが、そうした状況を促進するために、わざと監視資料を外部に流したという見方は穿ちすぎだろうか。

もちろん、実際は監視活動を「プロ市民」に限っているという保障は何もないし、たとえ今は少数の人々しか監視していなくても、そういう活動が長く続けば諜報まがいのやり方が一般の住民にも拡大することは、戦前の治安維持法で経験済みである。
ゆえに、自衛隊の監視問題は日本に住むすべての人々に関わる問題なのだが、そこまで危機感をもっている人がいったいどれだけいるか心もとない。
さらに、自衛隊でさえこれだけの「情報収集」を行っているのだから、公安調査庁や警察の公安セクションはまだ強力な活動を行っているのではないか、という想像も働く。いずれにせよ手遅れになる前に、世論を喚起するための知恵と工夫を編み出さねばなるまい。

《追記》
日弁連が2007/10/31付で、陸上自衛隊の情報保全隊による監視活動を中止するよう求める意見書を防衛大臣らに提出したそうだ。
薔薇、または陽だまりの猫 陸上自衛隊による市民監視についての意見書/日弁連
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by mahounofuefuki | 2007-11-03 00:26

新テロ特措法案

政府は17日、新テロ特措法案(正式名称「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」)を閣議決定し、衆議院に提出した。
衆議院のホームページにはまだ議案本文は掲載されていないので、正確なところは不明だが、各新聞報道によれば、現行のテロ特措法との主な相違点は次の通り。

①現行法の自衛隊の活動内容から「協力支援活動」「捜索救助活動」「被災者救援活動」を削除し、新法案ではインド洋での「海上阻止活動」に参加する各国の艦船への給油・給水活動のみを活動内容としている。
②現行法では活動開始から20日以内に国会の事後承認を必要とする規定があるが、新法案では削除された。
③新法案では特措法の有効期間は施行後1年である。

給油・給水を何よりも優先しているところに、現在の自衛隊の活動の本質が表れている。
要するにアメリカなどから捜索や救援といった人的支援はさして期待されておらず、気前よくタダで燃料と水をもらえることしか期待されていないのである。こんなものに多額の税金を投入するメリットなど一般の人々にはない。
しかも国会の事後承認規定を削除したのは、野党が参議院を握る状況に対応した露骨な国会軽視であり、とうてい容認できない。

政府が新テロ特措法案を用意する一方で、現行法が11月1日で期限切れになるため、インド洋の海上自衛隊は撤退準備に入るようだ。以下、読売新聞(2007/10/18 03:01)より。

 政府は17日、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋で給油活動をしている海上自衛隊の艦船を同法が期限切れとなる11月1日の翌2日から撤収させる方針を決めた。
 現在、インド洋で活動に従事している補給艦「ときわ」と護衛艦「きりさめ」は、10月27日に最後の給油を行い、約3週間かけて帰国する。
 政府は当初、撤収後も、早期に活動を再開させる観点から、他国艦船との交流や演習などの名目で海自艦船を周辺海域にとどめることも検討した。だが、17日に閣議決定した新テロ対策特別措置法案の成立のメドが立っていないことから、撤収と帰国はやむを得ないと判断した。
 政府は撤収方針を決めたことを受け、これまで燃料を提供した実績のある米、英、パキスタンなど11か国に対し、各国駐在大使など外交ルートを通じて、一時撤収と早期の新法案成立を目指す方針について説明する。
この撤退を「一時撤収」にしてはならない。あくまでも全面撤退でなければならない。


(追記 2007/10/30)

議案が衆議院のHPにアップされていたので、リンクを張っておく。
第一六八回 閣第六号 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案
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by mahounofuefuki | 2007-10-18 11:23

横暴で単細胞な「軍人」

日中戦争のさなかの1938年3月3日、国家総動員法案を審議する衆議院の特別委員会での出来事である。
政府側の説明員として出席していた陸軍省軍務課員の佐藤賢了中佐が、議員の野次にたまりかね「黙れ!」とどなりつける事件があった。
今ならさしずめ防衛省の課長補佐クラスが、国会で議員を一喝するようなものであり、処分は免れない。しかし、当時佐藤は何ら処分も受けず、すでに軍部の強勢に屈していた帝国議会は、衆議院・貴族院ともに満場一致で国家総動員法案を可決した。この国家総動員法によって政府は好きなだけ民衆を動員できるようになり、戦争への協力を強要していく。

自民党の中谷元衆院議員が14日のテレビ番組で、テロ特措法による海上自衛隊の給油活動継続問題について「これに反対するのはテロリストくらいしかいない」と暴言を吐いた。
このニュースを聞いた時、私は真っ先に佐藤賢了の一喝事件のことを思い起こした。中谷氏は陸上自衛隊の二等陸尉から、加藤紘一氏や宮沢喜一氏らの秘書を経て、国会議員に転身した人物であり、いわゆる「制服組」出身である。中谷元に佐藤賢了と共通する「横暴さ」を感じた。
いつの時代も軍人というのは横暴な単細胞なのである

「アメリカか、テロリストか」という短絡的な二者択一はブッシュ政権の論法である。
アメリカに従わないものはすべて「テロリスト」だというのは、世界を「敵」と「奴隷」に二分する暴論であり、まったく現実的ではない。アフガニスタンへの武力行使に全世界の国々が参加しているのならばともかく、たかだか10数カ国の「有志」が中央アジアの天然資源に群がっている状況で、そんな二者択一は成立しない。
「テロリスト」というレッテルを張ることで批判を封じるやり方は、言論の自由を封じるに等しく、とても国会議員の発言とは思えない。

中谷氏はすみやかに発言を撤回し、主権者と野党に謝罪するべきである。
同時にこんな「軍人」を議員に選んだ高知2区の有権者は深く反省してほしい。
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by mahounofuefuki | 2007-10-15 11:30

イラク戦争への「転用」だけが問題ではない

インド洋での海上自衛隊による給油問題は、テロ特措法が認めないイラク戦争への転用があったかどうかが焦点となっている。
市民団体や野党の調査では転用疑惑はもはや「疑惑」というより「事実」であるが、日本政府はあくまでもイラク戦争への転用がなかったと押し通すようだ。共同通信(10/14 07:43)によれば、防衛省はアメリカなどから提供された公開日誌などの資料を精査し、2002年12月以降の800件近い給油事案すべてでイラク作戦への転用がなかったと結論づけたという。アメリカ政府も最近は日本政府に口裏を合わせるように転用を否定しており、これで何とか国会を乗り切ろうという腹積もりだろう。

はじめから結論ありきの防衛省の「精査」など全く信用ならないのは言うまでもない。
2003年2月に海自の補給艦「ときわ」がアメリカ軍の空母「キティホーク」に間接給油していた問題の時も、政府は当時給油量を20万ガロンと国会で答弁していたにも関わらず、その後ピースデボの調査で実際の給油量が4倍の80万ガロンであったことが判明し、「データの入力ミス」という取ってつけたような理由で訂正した(しんぶん赤旗9月22日付)。
政府の防衛関係の発表など所詮は「大本営発表」でしかなく、そのまま信じるのはよほどのバカだけである

ところで、野党、特に民主党はこの転用問題を国会で追及して、給油活動継続のためのテロ特措新法を葬り去ろうとしているようだが、私はあまりにも転用問題だけに注目が集まり、給油活動ひいてはアメリカ軍などへの後方支援そのものの正当性が議論されなくなるのを危惧している。
もちろん自衛隊が法令に違反する活動を行っているというのは文民統制上からも危険であり、転用問題は軽視してよい問題ではない。
しかし、転用問題にばかり目を奪われると、まるでイラク戦争に転用さえしていなければ、インド洋での海自の活動は問題がないと錯覚してしまうのではないか。

本来問われているのは、テロ特措法により行われている自衛隊の活動が本当に必要なのかどうかである。テロ特措法が期限付きの法律なのは、期限切れの時点で活動の必要性や正当性を再検討することを前提としているからである。
しかし、政府・与党は何ら根拠も示さず、ただ国際公約だからとか各国から評価されているからとか、「外圧」を繰り返すばかりである。挙句の果てには「給油活動を続けなければ石油の輸入が減る」といった類のデマすら流している。
今国会ではこういう政府・与党の無責任な姿勢をただすべきなのだが、もっぱら転用があったか、なかったかという議論に絞られると、テロ特措法そのものの問題は矮小化してしまうのではないか。

だいたいイラクでもアフガニスタンでも、アメリカがやっているのは戦争である。仮にイラク作戦に転用されていなくても、アフガニスタンでの武力行使に日本が加担していることに変わりはない。そしてアフガニスタンでは一向に治安が良くならず、難民が増え続けている。現在アメリカ以下の国々が行っている「テロとの戦い」がまったく成果を挙げていないことは一目瞭然である。

マスメディアの誘導で給油活動継続に賛成する人々が増えている現在、テロ特措法をめぐる問題はイラク戦争への転用だけではないことをはっきりさせないと、政府・与党のごり押しがまかり通ってしまう危険性がある。野党はこの問題で足元をすくわれないよう気をつけねばならない。
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by mahounofuefuki | 2007-10-14 21:39