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「歳出の公平性」だけでなく「歳入の公平性」も必要だ

 北海道大学大学院教授の山口二郎氏といえば一般にリベラル派(という呼び方は嫌いだが)の代表的な政治学者と目されており、その行動力と鋭い知性において比類がない。故に学生時代から私は一定の敬意を持っているし、その発言に影響も受けてきた。
 しかし、一方で常に山口氏に対するある種の違和感も持っているのも事実で、それは1990年代の「政治改革」の熱狂が渦巻いた時代に、二大政党制推進のオピニオンをリードし、結局小選挙区制への道を開いたことだったり(死票が多く、1票の格差が大きい反民主主義的な選挙制度であることは言うまでもない)、民主党を露骨に支援したりする姿勢だったり(昨年の「大連立」を巡る騒動でその矛盾が露呈した)、要するにあまりに「現実的」であろうとする傾向に対する疑問であった。

 なぜこんな話をするのかというと、村野瀬玲奈の秘書課広報室経由で知ったふじふじのフィルターが紹介している山口氏の東京新聞(2007/12/24朝刊)でのコラム(電子版には出ていない)と、山口氏自身のブログにも転載されている週刊東洋経済2007/12/22号でのコラムとの間に「矛盾」を感じたからで、しかもそれは今後の財政問題にとって重大な論点であり、決して見過ごせないことなのである。
 両方のコラムの全文はそれぞれのブログで確かめて欲しいが(下記の関連リンク参照)、東京新聞では歳出について、東洋経済では歳入について論じており、両者は一対のものである。

 東京新聞のコラムでは、財政支出の増大を「バラマキ」と非難するマスメディアの論調への批判を通して、国家による公平な「富の再分配」の必要性を強調している(引用文中の太字は引用者による、以下同じ)。
 「そもそも政策とは分配の変更をもたらすものである。労働分野の規制緩和を進めて低賃金を可能にすることは、労働者から企業への富の再分配をもたらす。小泉-安倍政権の時代には、そうした再分配を改革と美化してきたものだから、それに対する反動で弱者にもっと再分配しろとの声が高まるのも当然である。強者への再分配は改革と賞賛し、弱者への再分配はバラマキと非難する。このような言質のゆがみに、確信犯である日経新聞は仕方ないとしても、他メディアはもっと敏感になるべきだ」というくだりはもっともで、私も全面的に賛成である。
 貧困と格差が拡大した第一の原因が、国家の再分配機能の低下にあることを考えれば、「歳出の有効性と公平性」こそ問われなければならないという山口氏の主張は真っ当だ。

 一方、東洋経済のコラムでは、民主党の政権担当能力をめぐる議論を通して、社会保障の恒久的財源としての消費税引き上げを主張している。
 「これからの社会保障、環境保全、少子化対策など様々な政策需要を考えたとき、小さな政府が解決策になるはずがない。したがって、中期的な観点から財源についても真剣に考えなければならないはずである」というのはその通りだが、なぜそれが「消費税の引き上げについても、本格的な議論を始めるべきである」ことに直結するのか。社会保障や環境保全の財源が消費税でなければならない理由が何なのか示さずに消費税引き上げを語るのは無責任である。
 しかも、消費税増税論の提唱が政権担当能力を示すという論調は「政権を取りたかったら消費税増税を公約すべき」と言っているようなもので、まるで脅しのようで非常に危険である。

 山口氏は歳出については「有効性と公平性」を唱えながら、歳入については「有効性と公平性」を度外視しているのである。歳出における再分配機能を重視するのに、なぜ歳入においては逆進性が強くて弱者に不利な消費税の増税を求めるのか。再分配は歳出のみならず、徴税においても行われなければ無効である。
 「中期的観点」と限定している以上、山口氏はおそらく消費税の即時引き上げには慎重で、順序として「歳出における再分配の回復・強化」→「消費税の社会保障目的税化」→「消費税増税」という道筋を考えているのかもしれない。北欧型の「高負担・高福祉」を想定しているのだろう。
 しかし、いかに歳出において弱者への再分配を手厚くしても、消費税が高くなれば所得再分配効果は激減する。北欧諸国の消費税が高くても問題がないのは所得の平等度が高いからで、不平等度が今やアメリカに次いで大きい日本では消費税を引き上げたら貧困と格差はますます拡大する。所得の平等度を高くするのがまず必要なことであり、それは財政出動だけでは実現できない。何としても所得税の累進課税の強化と企業の税負担の増強(できれば資産課税の強化も)がなければ無理である
 消費税増税を検討する前に、所得税や法人税のあり方こそまず検討するのが順序として正しい。

 実態として自公政権下においては、「歳出削減」(いわゆる「上げ潮」派)か「消費税増税」(いわゆる財政再建派)かの二者択一の議論に終始している以上、「骨太の方針」の継続を狙う「上げ潮」派を批判すると、財政再建派に肩入れしてしまいがちである(山口氏は財政再建派の中心人物である与謝野馨氏を「常識と責任感を持った政治家」と持ち上げている)。
 しかし、そもそもそんな二者択一は欺瞞である。その証拠に日本経団連をはじめとする財界は、依然として「小さな政府」を要求しながら、消費税の増税も要求している。なにせ大企業は輸出戻し税によって消費税が上がれば上がるほど儲かる仕組みになっている。当ブログで何度もしつこく指摘しているように、社会保障の財源を消費税に限定するということは、現在社会保障に用いている消費税以外の財源が浮くことを意味する。この「浮いた財源」こそが消費税増税派の狙いであり、政府税調の中からもこの財源で法人減税を行うべきだとの声があった。

 山口氏は民主党に影響力があり、民主党が安易な消費税増税論に転換するのが心配だ。昨年末すでに民主党が消費税増税を検討するとのニュースが流れている。もう一刻の猶予もない。
 私が言いたいのは「歳出削減でも消費税増税でもなく金持ちたちに応分の負担を」ということに尽きる。山口氏の再考を強く望みたい。

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【関連リンク】
ふじふじのフィルター:バラマキとは何か
村野瀬玲奈の秘書課広報室 「バラマキ」という言葉を安易に使う報道機関を信用したくない (不定期連載「決まり文句を疑う」)
YamaguchiJiro.com|07年12月:政権担当能力の試金石となる税制論議
全商連[全国商工新聞] 大企業上位10社で1兆円超の消費税環付金
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by mahounofuefuki | 2008-01-05 15:34

「社会保障に関する国民会議」に要注意

 福田康夫首相が社会保障に関する「国民会議」の設置を表明した。
 この構想はもともと民主党の小沢一郎代表との党首会談で与党側が提案したものだが、民主党が拒否していたいわくつきの代物である。
 朝日新聞(2007/12/18 16:11)より(太字は引用者による)。
 福田首相は18日、社会保障全般について議論する「国民会議」を新たに立ち上げる考えを表明した。会議は経済団体や労働組合の代表、学識経験者らで構成。年金など社会保障制度を支える財源としての消費税率引き上げに向け、給付と負担のあり方についての議論を喚起するとともに、参院第1党の民主党との話し合いの糸口を見いだす狙いもありそうだ。政府は、来年1月中に初会合を開く方向で調整している。

 首相は同日、仕事と生活の調和を図る働き方について議論する「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」で、「様々な立場の方々に幅広く参加いただき、社会保障のあるべき姿と、政府にどのような役割を期待し、負担を分かち合うのか、国民の方々が思い描くことができるような議論を行いたい」と語った。

 会議の趣旨について、首相は同日午前、首相官邸で記者団に「スウェーデンのような完備されたものがいいのか、中福祉・中負担がいいのか、議論してもらいたい」と述べた。消費税引き上げについては「とりあえず議論しない」とし、半年をめどに議論をとりまとめたいとの考えを示した。

 首相は「宙に浮いた年金記録」問題をめぐる自らの発言が「公約違反」と批判され、内閣支持率が急落。「国民の安心と安全」を掲げる政権だけに、年金をはじめ社会保障制度の信頼回復が最優先課題となっている。今回の国民会議の設置で、社会保障問題に積極的に取り組むという政府の姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

 町村官房長官は同日午前の記者会見で、扱うテーマについては「社会保障に関する雇用、年金、医療、介護、福祉、子育て、少子化対策、男女共同参画など、具体的な中身と政府の役割について議論していく」と述べ、個別テーマごとに専門調査会を設けることも検討する考えを示した。(後略)
 「国民会議」を謳い、労使の代表や有識者に加え、野党側の参加を求めているが、野党側は国会で議論すべきだとして改めて参加を拒否した(東京新聞 2007/12/18 夕刊)。小沢氏は記者会見で「国会がまさに国民会議であり、国会で各党が論戦すればいい」と一蹴したようだが(毎日新聞 2007/12/18 13:16)、その点はまったく正論である。国会という全政党が参加でき、有識者を参考人として招致できる場があるのにもかかわらず、政府内に「国民会議」なるものを設置するのは疑問である。

 当ブログがずっと指摘しているように、政府は何とかして消費税の増税を実現したがっている。そのために「社会保障制度を維持するための消費税増税」という詭弁を繰り返しているのだが、この「国民会議」はその「社会保障制度を維持するための消費税増税」という結論に「お墨付き」を与えるための権威となる可能性が高い。福田首相は「負担のことは取りあえず議論しない」(東京新聞、前掲)と「国民会議」での消費税増税議論を否定したが、「取りあえず」がいつまでなのか不明で、当てにならないことは言うまでもない。
 年金記録問題の再燃でみたび年金不安が高まり、福田内閣の支持率が急落し、野党も年金不安を煽るなかで、逆に「年金を守るためには消費税を引き上げるしかない」という考えが浸透しやすい状況にある。特に高齢者にはその傾向が強い。政府が真剣に社会保障に取り組んでいるフリをする格好の場ともなろう。

 「国民会議」の陣容はまだ不明だが、専門ごとの部会が作られるとなると、大がかりなものになるかもしれない。会議の人選、議題、機構などに注意する必要があるだろう。

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by mahounofuefuki | 2007-12-18 17:43

政府によるまやかし~消費税・「思いやり予算」・生活保護・薬害肝炎

 この数日ニュースを読んでいると、政府によるまやかしがあまりにも多くて呆れてしまう。本当はそれぞれ個別の問題についてじっくり読み解きたいところだが、そんな暇はないので、簡単にまとめてコメントする。

 第1に、来年度の与党税制改正大綱。
 社会保障の主要な財源に消費税を充てると明記し、将来の引き上げも示唆した。社会保障費の増大に対応するため、消費税の増税が必要だというのが、政府・与党の一貫した言い分だが、全くのまやかしである。社会保障費を消費税で賄うということは、現在社会保障費に充てている消費税以外の財源を別の用途に回すということである。
 現に自民党の財革研の中間報告では、国家財政を社会保障とそれ以外に分けて、社会保障を消費税で賄うと提言している。これは現在の財源に消費税増税分を上乗せするのではなく、消費税以外の財源を社会保障以外の目的に回すことを意味する。その浮いた財源が公共事業に使われるか、軍事費に使われるか、企業減税に使われるかは不明だが(その財源を巡って権力闘争が始まるだろう)、「社会保障のための消費税増税」の真相は、消費税以外の現用の社会保障財源を分捕り合戦なのである。

 第2に、アメリカへの「思いやり予算」削減。
 日本が負担する在日アメリカ軍の駐留費用「思いやり予算」は3年間で8億円の減額が決まったが、これは成果でも何でもない。当初、日本側は年間1400億円の減額を要求していたこともあるが、むしろ問題は減額分のカネの行方である。
 「思いやり予算」は大枠では防衛関係予算だから、減額分8億円は枠を超えて他の分野に使われることはない。今回、日本側が大幅減額を要求したのも、その減額分でミサイル防衛を賄おうとしたからである。8億円は確実に軍事費に回る。すでに日米の軍事一体化が進んでいる以上、「思いやり予算」が減っても、日本の軍事費が増えるのではたいした違いはない。
 ついでに言うと、政府・与党からは、インド洋での給油活動からの撤退が、「思いやり予算」における日本の交渉力を弱めたという恨み節が出ているが、とんでもない言いがかりだ。アメリカ政府は日本が給油していようがいまいが、要求に手心を加えるような「優しい国」ではない。8億円でも減額に応じたのは、ここでゴネて日本国内の反米感情を高めるのは得策ではないと判断したからで、むしろ給油活動を実際にやめたからこそ、アメリカ側は折れたと言えよう。

 第3に、生活保護給付の引き下げ。
 厚生労働省は当初、生活保護基準を一律で引き下げようとしていたが、批判が相次ぎ、来年度予算で給付の総額を維持する方向転換をした。しかし、これは「引き下げの先送り」でしかない。小泉政権の置き土産である「骨太の方針2006」が毎年2200億円の社会保障費削減を定めている以上、来年度に引き下げを行わなくても、再来年度以降に引き下げが行われる。
 だいたい今回一律引き下げこそ見送ったものの、都市部では引き下げ、地方では引き上げるという小細工を弄している。都市部こそ最低賃金と生活保護の「逆転」が著しく、自立するだけの収入を得られない「ワーキングプア」が多いのに。あえて予言するが、今回都市部をまず引き下げておいて、次回に地方の平均給与が下がったとか何とかと難癖をつけて、地方の給付も引き下げる腹積もりだろう。まったくの子ども騙しだ。

 第4に、薬害肝炎問題。
 政府と製薬会社はなかなか全員の救済に応じないが、この問題については以下の記事を参照。
 薬害C型肝炎:「全員」でも補償可能 原告側分析-毎日新聞(2007/12/13 21:59)
 要するに政府が全員の補償に応じないのは、カネの問題ではなく、単なる面子の問題だということだろう(厚労省は患者リストを倉庫に放置した責任を結局自己免罪した)。

 近年の政府は、とかく論点のすりかえや肝心な事実の隠ぺいによって、大衆を騙そうとしている。もういいかげんにしてほしいものだ。
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by mahounofuefuki | 2007-12-14 16:41

「社会保障のための消費税増税」というまやかし

消費税増税への動きが加速している。
先月の経済財政諮問会議で、内閣府が社会保障維持のためには消費税を最低でも11%以上に引き上げる必要があるという試算を公表し、それを機に全国紙が一斉に「消費税増税やむなし」という宣伝を始めた。
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「有識者議員提出資料 (給付と負担の選択肢について)」*PDF
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」*PDF
今月に入ると、原油高騰やサブプライム問題による景気減速への不安から、政府・与党は来年度の消費税増税を見送る方針を固めたが、財政・税制関係の機関は動じることなく消費税増税路線を続けている。

まず財政制度等審議会が、来年度予算編成に関する意見書で、社会保障目的の消費税増税を提起した。
平成20年度予算の編成等に関する建議-財政制度等審議会*PDF
次いで政府税制調査会が、来年度税制改正の答申で、やはり社会保障の水準を維持するための消費税増税の必要性を明記した。
平成19年11月 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方-税制調査会*PDF
さらに自民党の財政改革研究会は、明日の中間報告で、消費税の社会保障目的税化、2段階による消費税増税、消費税の名称変更などを提起するという。
社会保障目的明確化、消費税の名称変更を・・・財革研報告原案(読売新聞 2007/11/21 10:16)-Yahoo!ニュース
2009年度に基礎年金の国庫負担率が2分の1に引き上げられるのに合わせて、消費税増税を目論んでいるのが明白だ。

一連の動きに共通するのは、「社会保障給付を維持するために消費税を増税しなければならない」という思想である。
高齢化社会による社会保障費の増大→財源の不足→消費税増税」と「誘導」しているのである。

しかし、その思想は完全な誤りである。
第一に、社会保障の財源を消費税に限定する正当な理由は何もない
政府税調は今回の答申で、消費税を「経済の動向や人口構成の変化に左右されにくい」「世代間の不公平の是正に資する」と述べているが、実際は経済の動向の影響を受けやすく(家計が縮小すれば消費も減退する)、世代間の不公平を拡大する(年金生活の高齢者も税負担させられる)税である。現在、消費税以外の税も社会保障費に使っているが、何ら不都合はない。

第二に、消費税を増税すれば所得格差が増大し、結果として社会保障が貧弱になる
一般に社会保障は再分配機能があると思われているが、これは誤解である。年金も健康保険も保険料は所得にかかわらず定額で、消費税以上に逆進性をもつ。たとえば国民年金だと未納があれば給付が減額される。厚生年金だと報酬比例部分は生涯平均所得に左右される。いずれも高所得者に有利だ。
特に年金の場合、寿命に左右されるという宿命的な問題がある。社会保障の最高の受益者は「長命の金持ち」であり、最も不利なのは「短命の貧乏人」である。つまり、社会保障制度はそれ自体不平等なのである
この上、低所得者ほど不利な消費税を増税したら、ますます貧しい人の社会保障の負担力は低下し、受益も減少する。消費税増税は社会保障を安定にするどころか、保険料の不払いなどで社会保障の枠から脱落する人々を増やすだけである。
社会保障制度を持続させたかったら、所得の平等度を高くして、誰もが負担に耐えられるようにする必要がある。消費税がそれに逆行するのは言うまでもない。

第三に、財界や与党の本音は、企業減税の穴埋めに消費税増税分を使うことにある
そもそも消費税増税が社会保障目的であるという言説がまゆつばである。仮に歳出の社会保障費を全額消費税でまかなえば、今まで社会保障費に回していた他の税の分が浮く。実際はこれを利用して法人税の税率引き下げを企んでいるのである。
政府税調の井堀利宏委員(東京大学大学院教授)は、以前「消費税を上げる形での企業減税」を主張していた(ロイター 2007/10/02 19:04)。日本経団連をはじめ巨大企業の経営者たちは、ことあるごとに企業減税を唱え、法人税の実効税率の引き下げを要求している。これらの要求は消費税増税とワンセットである。

以上のように、「社会保障のための消費税増税」というのは真っ赤なウソである。
低所得から年金を払えず、健康保険証も取り上げられる人々が続出する中で、追い討ちをかけるように消費税を引き上げたらどうなるか、誰でも想像がつくだろう。
現在必要なのは、社会保障制度からはじかれた貧困層を制度内に取り込むことである。そのためには消費税の増税などもってのほかであり、所得格差を縮小するために所得税の累進を強化すること、資産への課税を強化することが何よりも必要である。


《追記》

この記事を書いたあと、消費税について興味深い記述を見つけたので、引用する。
晴天とら日和:消費税の社会保障財源化は選択肢のひとつとして幅広く検討すべき=政府税調答申⇒でもねぇ、「消費税導入」時には「福祉目的で導入する」とおっしゃってませんでしたか! 社民党は福祉削減の脅しで大増税あおるなと大反撃!⇒クソ自公チューのニャロメ!より。
(前略)消費税で苦しんでいる人たちがいる一方で、消費税をもらう人たちがいます。不公平の極みです。トヨタ、キャノン、ソニー、ホンダ、東芝、NECなどわが国を代表する大企業は消費税を一銭も納めません。納めないどころか、トヨタは年間二〇〇〇億円もの輸出戻し税を受け取っています。輸出戻し税制度です。輸出する場合、輸出先の国の税金がかかるので、輸出品に消費税をかけない。消費税をかけないのだから、輸出企業が下請けなどに払ったとされる消費税は戻しましょうという制度です。

その輸出戻し税が毎月、税務署から輸出企業の口座に振り込まれます。輸出戻し税の総額は、年間で約二兆円。これほど財政危機だと騒いでいるのに、税務署は輸出している大企業に二兆円も支払っているのです。このような輸出戻し税制度は、ヨーロッパにはありますが、アメリカにはありません。この輸出戻し税は一種の輸出補助金であり、ただちに廃止すべきと私は主張しています。トヨタは輸出戻し税があるから消費税を導入した、と言っています。

税務署は全国に五百十二あります。税金を徴収するのが税務署の仕事ですから、徴収する税金が上がる税務署ほど、署長の評価が高くなります。トヨタがある愛知県の豊田税務署は、徴収する税金が上がるどころか、トヨタ一社に対する輸出戻し税のためにマイナスです。トヨタなどが主導している日本経団連が、なぜ消費税引き上げに必死になるのか、おわかりと思います。五%の消費税で、トヨタは年間二〇〇〇億円の輸出戻し税を受け取ります。消費税が一〇%になれば、トヨタの受け取りは二倍の四〇〇〇億円になります。消費者や大部分の事業者に負担が重く、大企業に利益となる、これほど不公平な税金はありません。(後略)


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by mahounofuefuki | 2007-11-21 16:19

財政審の生活破壊路線

財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が、来年度予算編成への意見書を提出した。
平成20年度予算の編成等に関する建議-財政制度等審議会*PDF
例年のことだが、あれも減らせ、これも減らせと、上から下まで「歳出削減」のオンパレードであり、頭の痛くなる内容である。
1つだけ例年と異なるのは、消費税増税を進言したことである。

福田政権は、小泉・安倍政権の「構造改革」という名の「庶民いじめ」を一定程度修正するそぶりを見せて登場したが、むしろ財務省はこれを機に歳出削減は今まで通り進め、他方で小泉・安倍時代には叶わなかった消費税増税を何としても実現しようとしている。
すでに政府税調・自民党税調が来年度の消費税増税を見送る方針を固め、福田首相も消極姿勢に転換したにもかかわらず、財政審は財務省の意向に沿って消費税増税を主張したのである。
これは財務省が消費税増税を前提とした予算編成を企てていることを意味する。
以前からこのブログで警告していたように、消費税増税は「今そこにある危機」なのである。

恒例の「歳出削減」要求についてはリンクしたファイルを参照してほしいが(量が膨大なので、最後のページの要約だけでも)、相変わらずの生活破壊路線である。
ただでさえ医師が不足して、特に勤務医は過労に苦しんでいるのに、さらなる診療報酬の削減を要求する傲慢さ。
1学級あたりの子ども数は欧米諸国より多いが、教員1人あたりの子ども数は遜色ないので、教員の増員は不要であるという詭弁(都市部もへき地も一緒の統計ではそうなるのは当然)。
地方法人2税の「共同財源」化を提起して、税収の多い都府県とそうでない県との離間を図る狡猾(だまって地方交付税を元に戻せ)。
大量の資料を挙げてはいるが、いずれも財務省に有利な偏向したデータばかりであり、検証が必要である。
唯一評価できるのは、在日米軍への「思いやり予算」の見直しと透明化を提起したことくらいであろう。

そもそも、まるで国家財政が今にも破たんするようなプロパガンダを行っているが、その原因は再三にわたり金持ち減税を繰り返したからである。その歪みを無視して歳出削減も消費税増税もありえない。
現在必要なのは、法人税の復旧と所得税の累進強化と資産課税の強化であって、国家の所得再配分機能を回復することが何よりも求められている。

「消費税増税」でも「歳出削減」でもなく「金持ちに応分の負担を」と、声を大にして言いたい。

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by mahounofuefuki | 2007-11-20 00:12

消費税増税の危機は続く

すでに何度もブログに書いてきたが、政府の消費税増税への動きは本格化している

最近、原油市場の高騰やそれに連動した物価の高騰のためか、政府・与党内の消費税増税の動きは一見鈍化してはいるが、一時的な擬態にすぎない。
税制に最も大きな影響力をもつ自民党税調が、来年度の消費税増税を見送る方針を固めたと伝えられているし(時事通信 2007/11/15 01:01)、福田康夫首相も「中期的に財政健全化が必要なのは理解できるが、消費増税に結論を求めるかは慎重に見極める必要がある」と述べて(朝日新聞 2007/11/13 19:08)、慎重な姿勢を見せてはいるが、あくまでも来年度の増税を見送るというだけの話であり、消費税増税への権力の意思は何ら衰えていない。

政府税調の来年度税制改正答申には、具体的な税率や引き上げ時期こそ明記しないようだが、消費税率引き上げの必要性を盛り込むことがすでに決定している(朝日新聞 2007/11/09 22:03など)。
自民党の伊吹文明幹事長は、14日の日本記者クラブでの記者会見で、段階的な消費税引き上げを表明している(朝日新聞 2007/11/15 06:05)
そして何よりも、企業減税の財源を何としても捻出したい財界が、今すぐにでも消費税を増税したがっており、まったく諦めていないからだ。

今日(11月15日)開かれた財務省と日本経団連の意見交換会で、財界側は執拗に消費税増税を要求している。
以下、ロイター(2007/11/15 13:35)より。*太字は引用者による。
(前略)経団連の大橋光夫・昭和電工会長は、日本の財政状況を考えると税財政の抜本改革が必要だとし「法人税率引き下げも課題だが、それよりも消費税の拡充は不可避だ」との認識を示した。
 これに対し額賀財務相は「社会保障の安定財源として消費税を含む税制の抜本改革に取り組む。ただこうした国家的課題は与野党で十分検討する必要がある。消費税については、こうしたことや政治・経済情勢全般を見て総合的に判断する必要がある」と従来の見解を繰り返すにとどめた。
 また、経団連側が証券優遇税制の継続を求めたのに対し、額賀財務相は「経済状況も踏まえながら、一方で将来の姿などいろいろな議論がされているので、これらを踏まえて年末までに結論を得たい」と述べたという。(後略)
現実には法人税は「引き下げ」ではなく、「引き上げ」こそが課題なのだが、巨大企業の資本家たちはどこ吹く風、法人税減税路線は既定として、政府側に消費税増税を迫ったのである。
額賀福志郎財務大臣は消費税引き上げの必要性を認めた上で、ご丁寧にも「与野党で十分検討する必要がある」と、野党(といっても民主党だけだろうけど)を消費税増税に引き込む意思を示したのである。

財界側は消費税にあきたらず、証券優遇課税の延長をも要求し、財務大臣も考慮を約したというから、まったく虫のいい話である。連中には金持ちたちのエゴしか頭になく、富の配分をさらに株主や経営者に大きく偏らせようとしているのだ。

「社会保障の財源」という美名に絶対だまされてはいけない。一方で政府は年金や生活保護などの給付を減らす策を練っているのだから、矛盾もはなはだしい。
同時に「消費税を引き上げる前に、歳出削減を」という俗論も間違っている。これ以上歳出削減して「小さな政府」にしたら、行政サービスを悪化させるだけだ。
必要なのは所得再配分の回復であり、そのためには不労所得や資産への課税強化と、累進課税の強化こそが必要なのだ。間違っても消費税増税論に賛成してはならない。

企業の政治献金を受ける自民党や民主党がいつでも庶民への増税を強行する危険性を常に念頭に置かねばならない。
この問題は嫌がられても何度でも取り上げる。私はしつこいのだ。

【関連記事】
政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」
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法人申告所得過去最高でも消費税上げますか?
本格化する消費税増税の動き

【関連リンク】
Yahoo!ニュース-消費税引き上げ問題
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by mahounofuefuki | 2007-11-15 17:57

本格化する消費税増税の動き

世論はすっかり「小沢騒動」一色だが、そんな喧騒をよそに、政府による消費税増税への動きはいよいよ本格化している。
昨日(11月5日)首相官邸で行われた政府税制調査会の総会には、就任後初めて福田康夫首相が出席し「社会保障や少子化などについて将来あるべき姿を描き、必要な安定財源を確保し、負担を先送りしないようにするのが政治の責任だ」とあいさつした(毎日新聞 2007/11/05 20:00)。
「安定財源」「負担を先送りしない」とは消費税の増税を指したも同然で、すでに2008年度税制改正の答申に消費税引き上げを盛り込むことを決定している政府税調に完全同調したと言えよう。

この日の会合後、政府税調の香西泰(こうさい・ゆたか)会長は会見で「将来の消費税増税は社会保障制度維持のために不可欠で、同時に所得などの格差是正策を講じる必要がある」と述べる一方、法人課税の実効税率を引き下げるべきとの認識を示したという(フジサンケイ ビジネスアイ 2007/11/06 08:35)。
税調の主流が、法人税の減税のために消費税を増税しようとしていることがよくわかる発言である。

政府税調のホームページには税調内の議論をまとめた資料が公表されているが、税調の消費税をめぐる議論は、まず増税ありきで、いかに大衆を騙すかに費やされている。
これまでに出された主な意見等(消費課税関係)*PDF

たとえば、「経済活性化を重視する観点から、勤労世代への負担集中を回避することや、経済活動に歪みを生じさせない中立性や国際競争力も重視すべき」という意見は、まるで消費税が「全世代に公平な」税制と言っているようだが、実際には消費税は所得の少ない若年層と年金生活を送る老年層にとって辛い税である事実がまったく念頭にない(消費税が上がっても給料や年金給付が増えるわけではない)。
あるいは「消費税が実質的に福祉、特に高齢者のために使われていることを国民に理解してもらうことが重要」という意見は、なぜ福祉の財源が消費税でなければならないか説明がつかない。高齢者に給付するために高齢者への課税を強化するのは本末転倒である。

何よりも私が憤りを感じたのは、「社会保障は再分配において大きな役割を果たしており、消費税の『社会保障財源化』については、消費税が社会保障による再分配を通じて受益面から大きな役割を果たしている」という部分である。
日本で再配分に占める社会保障の役割が大きいように見えるのは、税制が再配分の役割を果たしていないからにすぎない。現に税調内でも「『逆進性』で言えば、(消費税より)社会保険料の方がはるかに逆進的」という指摘があり、所得にかかわらず保険料が定額である社会保険は極めて不平等で、再配分には何ら寄与していないのである。
特に年金給付の場合、所得以上に「寿命」に左右される。早死にした人はどんなに現役世代に保険料を支払っていても、それに見合った給付を受けることはできない。
逆説的に言えば社会保障はどんなに工夫しても再配分効果を高めることなどできないのである。

だからこそ、税金の方こそ累進性を高めて再配分効果をもたせる必要があるのだが、そういう意見は税調ではほとんどない。
現行の税体系を前提に消費課税のウェイトを高めることは、格差社会を助長するおそれがあり、所得税における累進性の回復、資産所得への課税強化、低所得に対する配慮、法人税との関係等の視点を踏まえ、税体系全体の見直しの中で考えることが不可欠」というのが唯一の真っ当な見解で、こういう発言をする人がいるだけ、不当な金持ち言いなりの経済財政諮問会議よりましではあるが、それも気休めでしかない。

ところで、朝日新聞が今月3~4日に消費税増税について世論調査を行っているが(朝日新聞 2007/11/05 23:52)、その結果が興味深い。
「消費税の引き上げが必要か」という問いに、「必要だ」は43%、「必要ない」は49%で、拮抗している。ところが「社会保障の財源確保のために消費税を引き上げることに納得できるか」という問いだと、「納得できる」が36%、「納得できない」が54%なのである。
しかも「納得できない」と答えた人は、30代で61%、50代で55%、70歳以上で42%と、年齢が若いほど消費税と社会保障の関連性に懐疑的なのである。
これは税調の思惑(「勤労世代」への負担集中を回避するために消費税を増税するという詭弁)とは裏腹に、現役の「勤労世代」の方こそ消費税引き上げに抵抗感が強いことを示している。
同時に、高齢者は税負担の増減よりも、目の前の年金給付が減ることへの不安をかかえていることがわかる。

今後、消費税増税阻止のために必要なのは「年金の財源にするために消費税増税が必要」という考えに洗脳されている高齢者に対し、「消費税増税の目的は企業減税の穴埋め」という真実をアピールすることだろう。
心配なのは民主党のゴタゴタが、消費税増税に有利に働いていることであり、最近の増税への政府の動きもすっかり隠されてしまっている。もともと民主党には消費税増税を公約に掲げた「前科」があるので信用ならないとはいえ、現在のところ消費税増税に反対している以上、賛成に転じないよう繋ぎ留めなければならない。
消費税が争点となる次期総選挙を「郵政」の二の舞にしないよう注意したい。

【関連記事】
政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」
消費税増税問題に関するリンク
法人申告所得過去最高でも消費税上げますか?

【関連リンク】
Yahoo!ニュース-消費税引き上げ問題
内閣府 税制調査会
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by mahounofuefuki | 2007-11-06 20:30

法人申告所得過去最高でも消費税上げますか?

国税庁が2006年7月~2007年6月の法人税の課税事績を発表した。
平成18事務年度における法人税の課税事績について (国税庁)

法人税の申告状況は次の通り。
申告件数 278万7000件(前年度比0.9%増)
申告所得金額 57兆828億円(前年度比13.3%増)
申告欠損金額 16兆4,949億円(前年度比27.4%減)
黒字申告割合 32.4%(前年度比0.5ポイント増)
申告税額 14兆4578円(前年度比14.8%増)

このうち申告件数と申告所得金額は過去最高だという。それにもかかわらず、法人税の申告総額は1980年代のバブル期に及ばないそうだから、いかに現在の政府が企業を過度に優遇し、企業が応分の税負担を受け持っていないかが歴然としている。
また、黒字申告割合が3割あまりしかないのは、企業間格差が拡大している何よりの証拠である。規制緩和で競争を激化させた結果、大企業だけが儲かっていることがよくわかる。

いずれにせよ、所得額が増え、欠損額が減っている以上、現行より法人税を軽減する理由はまったくない。巨大企業は法人税のさらなる減税を要求し、その穴埋めに消費税の増税を企んでいるが、過去最高の収益を上げているのに虫がよすぎる。
しかも、いくら企業収益が上がり、企業減税を繰り返しても、一向に労働者には還元されず、株主と経営者が富を独占している。以前、当ブログで指摘したように、労働者の所得はこの10年ずっと減少し続けている。企業には労働者への配分率を上げる意思がないのだ。

いま必要なのは、消費税の増税ではなく、法人税の増税であることは明白だ
「年金の財源にする」とか「福祉目的に限定する」などの甘い言葉に騙されて、消費税増税を支持するようなことのないように熟慮してほしい。

【関連記事】
民間給与実態統計調査
政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」
消費税増税問題に関するリンク
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by mahounofuefuki | 2007-10-30 00:20

消費税増税問題リンク集

Yahoo!ニュース-消費税引き上げ問題
消費税増税問題のニュースのまとめ。

住民税、消費税、サラリーマン増税/注目のキーワード-しんぶん赤旗
消費税増税問題の記事のまとめ。

消費税増税徹底解析
ドメインが「消費税増税.jp」(!)という専門サイト。

こんにちは! 消費税をなくす全国の会です
その名の通りの市民運動。「消費税Q&A」がわかりやすい。

消費税廃止各界連絡会
消費税増税反対運動。報道のまとめや資料もある。

全商連[税金のページ/不公平税制]
全商連[税金のページ/消費税]
全国商工団体連合会の税制に関するページ。勉強になる。

構造改革をどう生きるか~成果主義・拝金思想を疑え!~-日経BP
獨協大学教授の森永卓郎氏のコラム。消費税増税論のまやかしを暴く記事多し。

花・髪切と思考の浮遊空間 消費税を考える
花・髪切と思考の浮遊空間 最近の消費税関連エントリー
博覧強記のブログの消費税問題に関するエントリー。素晴らしい。

大脇道場 NO.540 消費税反対関連エントリー集。
「消費税増税反対キャンペーン」を実施中のブログ。消費税の何が問題なのかとてもわかりやすい。

消費税など(消費課税)に関する資料-財務省
現行の消費税に関する財務省の資料。

伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「有識者議員提出資料 (給付と負担の選択肢について)」*PDF
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」*PDF
経済財政諮問会議による社会保障給付と税負担に関する試算。なぜか法人税は無視。

自由民主党政務調査会財政改革研究会「財政改革研究会報告」(中間とりまとめ)-与謝野馨Official Web Site*PDF
消費税=社会保障税を提言。

内閣府 税制調査会
政府税調のホームページ。

平成19年11月 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方-税制調査会*PDF
その他の主な意見*PDF
政府税調の答申と議論。

平成20年度税制改正大綱-自由民主党*PDF
2008年度税制改正に対する自民党の基本政策。

民主党税制改革大綱-民主党税制調査会*PDF
2007年末に民主党が党議決定した税制案。消費税の社会保障目的税化を明記。

社会保障国民会議
内閣の社会保障問題に関する諮問機関。消費税増税を検討。

社会保障国民会議 最終報告の取りまとめについて
社会保障国民会議の最終報告。社会保障目的と称した消費税増税を提言。

わが国税制改革への提言-21世紀政策研究所*PDF
日本経団連のシンクタンクによる税制意見書。Internet Zone::WordPressでBlog生活 21世紀政策研が税制改革への提言を発表を参照すべし。

日本経団連:税・財政社会保障制度の一体改革に関する提言~安心で活力ある経済社会の実現に向けて~
日本経団連の提言。消費税10%への引き上げと、法人税率引き下げを主張。

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会「中間論点整理」の公表について - 経済産業省
経済産業省の研究会による税制改革案。法人税率の大幅引き下げと消費税率の引き上げを主張。

法人税減税の財源、消費税増税も有力な選択肢=井堀・政府税調委員 (ロイター 2007/10/02 19:04)
巨大企業の本音。井堀氏は前記経済産業省の研究会の座長。


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私の財政論に誤解があるようなので改めて説明
「無駄遣いがある限り増税はだめ」では消費税増税論に対抗できない
「金持ち減税のための消費税増税」という真実
「社会保障財源なら何でも賛成する」のなら、「金持ち増税」に賛成してよ、尾辻さん。
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by mahounofuefuki | 2007-10-27 14:01

政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」

福田内閣が発足した時、私はブログで「歳出削減による社会福祉の切り捨てを続ける一方、消費税増税で庶民の負担を増やし、巨大企業に対する減税は拡大するという、今以上に最悪の財政政策を目指す可能性」を指摘し、「年金不安を利用して、年金の財源にするという口実で、消費税増税を打ち出してくるだろう」と予測したが、残念ながらその予測が現実のものとなりつつある。

自民党の谷垣禎一政調会長や与謝野馨税調小委員長らが機会あるごとに、増大する社会保障費の財源として消費税の大幅増税の必要性を力説していたが、今月17日の経済財政諮問会議では、経済成長率ごとの給付と負担の増減に関する複数の長期試算が提出され、消費税を11~17%に引き上げる必要があるとの見解が提示された。
平成19年会議結果 第23回会議 会議レポート:内閣府 経済財政諮問会議
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「有識者議員提出資料(給付と負担の選択肢について)」

こうした政府の動きに呼応するように、各新聞も消費税増税への世論誘導を本格的に開始した。
以下、17日の経済財政諮問会議に関する全国紙の社説である。
消費増税 真正面から議論せよ(朝日新聞2007/10/19)
財政試算 真っ当な議論はこれから(産経新聞2007/10/19)
財政立て直しの基本は成長と歳出削減(日本経済新聞2007/10/19)
増税論議 地に足の着いた政策を示せ(毎日新聞2007/10/19)
給付と負担 消費税の「封印」が解かれた(読売新聞2007/10/20)

「財政健全化は増税よりも歳出削減を主体にすべきだ」と消費税増税に消極的なのは、徹底した「小さな政府」論に立つ日経のみで、あとの4紙は程度の差こそあれ、消費税増税を支持している。

最も積極的なのは読売で、内閣府の試算が増税の内容を所得税と消費税半々にしたことを「増税の影響が現役世代に偏る所得税を引き上げるのは難しい」と批判し、消費税の増税を明確に主張している。朝日は「同時に歳出削減の手を緩めるな」と条件つきながら、「いずれ増税が避けられない」と述べている。読売との違いは「消費税など」と他の税の増税を示唆しているくらいである。毎日も「消費税率引き上げを避けるわけにはいかない」と消費税増税に賛同している。産経は増税支持を明言していないが、消費税論議を封じ込めようとした安倍政権時代の「上げ潮派」を批判しており、事実上消費税増税に傾いている。

大新聞が軒並み1つの方向に、それも政府に同調する方向に傾いていることは、日本の言論状況の危機であるのは言うまでもない。
歳出削減か消費税増税かという二者択一の議論の組み立て方そのものへの批判がまったくないのは実に不可解である。このあたりが企業広告に依存する新聞の弱点を曝け出している。

問題は「歳出削減か消費税増税か」ではなく、「何を歳出削減し何を増税するか」である
小泉政権は大企業や富裕層への減税を繰り返し、庶民には負担を押し付けてきた。その結果、行政のサービスは低下し、負担に見合った受益を得られなくなった。しかも歳出削減と言いながら防衛費や大企業への補助金は「聖域」として触れて来なかった。この歪んだ「構造改革」路線を中止し、切り捨てられた社会保障への歳出を復活させる必要がある。
歳入を増やすために増税は必要だが、なぜそれが消費税なのか。消費税は所得や資産の大小にかかわらず、同一の税率のため、貧しい者ほど不利な税である。消費税の増税で庶民を貧困に追いやり、社会保障費を増大させるのでは本末転倒である。
限界まで緩められた法人税や所得税の累進度を元に戻すことが何よりも必要である

今回は時間がないので税制の具体的な分析は別の機会に譲るが、福田政権とマスコミが一体となった「消費税増税キャンペーン」には警戒してほしい。所得が不平等な状態での消費税の増税は、必ず貧困と格差を拡大させることを常に念頭に置いておかねばならない。


(補足 2007/10/22)

経済財政諮問会議の試算の問題性を告発する記事があるので紹介する。
私と同様「何を歳出削減し、何を増税するか」という視点に立っており、共感できる。

消費税増税に導く経財会議の試算 三つのからくり告発 (しんぶん赤旗 2007/10/22)より。

 日本共産党の小池晃政策委員長は二十一日、フジテレビ系番組「報道2001」に出演し、経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)に提出された試算について、“消費税増税は仕方がない”と国民をだます「三つのからくりがある」と告発しました。
(中略)
 小池氏が指摘した「からくり」の一つ目は、「歳出削減」といいながら、対象にしているのが社会保障費だけだということです。小池氏は「軍事費も公共事業費も、名目成長率(2―3%)で伸び続けるという計算になっている。この計算でいくと、二〇二五年には防衛費が八兆円を超えることになる。社会保障費のほかは一切、歳出見直しをしないというものだ」と批判しました。

 二つ目は、こうしてふくらませた増税分をすべて消費税でまかなう計算になっていることです。小池氏は「税は消費税だけではない。法人税、所得税、資産課税だってある」と告発し、能力に応じた負担を求めました。

 三つ目は、この試算が経済財政諮問会議の民間議員である日本経団連の御手洗冨士夫会長らが政府につくらせた数字だということです。

 小池氏は「消費税を20%まで増税し、法人税を下げよといっている人たちが、自分たちに都合のいいシナリオを出したもの。それに与党の増税派が勢いづいている。こんなキャンペーンは絶対に認められない」と述べました。
(中略)
 小池氏は「(今後)社会保障の給付費が増えるのは当たり前。日本の財政には、それを支える力がないのかという問題だ」と指摘。欧州ではすでに社会保障の給付がGDP(国内総生産)比で約30%なのに、日本では今回の試算でも二〇二五年で19%にすぎないことを示し、「社会保障は極めて貧しくし、消費税だけはヨーロッパ並みにするというものだ」と批判しました。


(補足 2007/10/23)

関東知事会が、国に消費税引き上げを求める緊急提案書を出すという (共同通信 2007/10/23 19:42)。政府とマスコミの「消費税増税キャンペーン」に、地方自治体までが加わるようだ。着々と包囲網が出来つつある。要注意が必要だ。
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by mahounofuefuki | 2007-10-21 13:29