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厚生年金記録改竄における企業の責任~もう「年金一律救済」しかない

 この国の政治シーンではしばらく前から、年金制度のずさんな実態が表面化しては、年金への不信が増大し、その都度社会保険庁が叩かれるも、抜本的な改良が行われないままうやむやになり、またしばらくすると新たな問題が浮上するというサイクルを繰り返しているが、またしてもとんでもない不祥事が表面化している。

 今日の参院厚生労働委員会の閉会中審査で、舛添要一厚生労働大臣は厚生年金の標準報酬月額改竄に社会保険庁の組織的関与があったことを認めた。以下、朝日新聞(2008/09/18 13:08)より。
(前略) 舛添厚労相によると、年金記録の訂正申し立てを審査する「年金記録確認第三者委員会」が改ざんを認めたケースなど88件を分析。標準報酬の大幅引き下げや、半年以上さかのぼって引き下げる処理など3条件に9割が該当したという。改ざんの可能性が高いこれらの不自然な処理について厚労相は「組織的関与があったと推量する」と述べた。

 さらに、厚生年金のコンピューター上の記録約1億5千万件を対象に、3条件に該当するケースを抽出した結果、6万9千件見つかった。いずれも改ざんの可能性が高いと見られる。年金の受給年齢である65歳以上の記録が約2万人分あり、本人への確認作業を、来年早々に開始する方針も明らかにした。

 これまでの社保庁の調査では、「第三者委員会」などで標準報酬月額の改ざんが認められた17件のうち、社保事務所職員の関与が確認できたのは1件だけ。社保庁は「組織的な関与は確認できなかった」と説明していた。 (後略)

 どの報道も「社会保険庁の不正」というところに力点を置いていて、確かに社会保険庁のやったことはずさんかつ悪質ではあるが、この問題の本質は企業が従業員と折半する厚生年金保険料を滞納していたことにある以上、単に社会保険庁を悪者にして済む話ではない。要は企業が保険料を出し渋りしたり、従業員の報酬を実際より低くごまかしていたのを、保険料収納率引き上げのノルマがかかっている社会保険庁がつじつまを合わせていたわけで、この問題の背景には企業の社会的責任の欠如がある。「社会保険庁が」「官僚が」と言う前に、まずは滞納したり、数字をごまかしたりしていた企業こそ責められなければならない。

 大臣は「本人への確認作業を、来年早々に開始する」などと答弁しているが、これまでの「消えた年金」同様、またしても確認作業に膨大な時間とコストがかかるわけで、ただでさえ社会保険庁は解体されて「日本年金機構」なる意味不明な法人に衣替えを強制されることが決まっている中で、本当にそんな作業ができるのか疑問である。そうしている間にも年金への不信は高まり、さらに新たな問題が発生しないとも限らない(今まではその繰り返しだった)。

 年金記録問題については、以前も指摘したが、もはや大量の年金記録を回復するコストをかけるよりも、この際現役時代の年金負担額に関わらず、すべての人々に一定の年金給付を保障する「年金一律救済」を真剣に検討するべきではないか。現行の年金制度は「自助」を基本としており、だからこそ厚生年金の場合、生涯の勤労年間における標準報酬月額を算出するのだが、「一律救済」ならばそんな複雑な計算も不要である。年金制度のパラダイムを「自助」から「共助」へ転換するしか、年金制度の「安心」を取り戻すことはできないのではないか。その場合、保険料制度の改廃や生活保護制度との関係など、新たに検討すべき課題が生じるが、年金記録の確認作業をエンドレスに続けるよりはよほどましであろう。

 政治課題としての年金は専ら財源問題に絞られ、それも消費税増税の口実に利用されているが、多くの人々が年金の持続可能性に不安をもっている以上、今一度、日本に住むすべての人々を包摂し、誰もが人間らしい老後を送れる年金制度の再構築が必要である。そして、財源については、消費税に限定するのではなく、諸外国に比べて少なすぎる企業負担や富裕層の税負担を増やすことをきちんと検討するべきであろう。

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「年金一律救済」論と年金改革私論
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by mahounofuefuki | 2008-09-18 22:13

「金持ち減税のための消費税増税」という真実

 自民党税制調査会は今日総会を開き、来年度税制改正の議論を始めた。すでに福田康夫首相が来年度の消費税引き上げ先送りを示唆し、与党内でも次期衆院選を睨んで消費税増税には手をつけない方向が大勢となっているようだが、先送りはあくまで先送りでしかなく、依然として社会保障目的化を口実とした消費税増税路線は変わっていない。

 今回の消費税増税議論の引き金は、来年度から基礎年金の国庫負担率が3分の1から2分の1に引き上がることだが、一方でずっと伏在しているのは、大企業の法人税と富裕層の所得税を減税しようという目論みである。「上げ潮」派の理論的支柱である竹中平蔵氏も、「消費税増税」派の代表格である与謝野馨氏も、法人税減税を主張しているという点では全く同じだ。庶民にはさらなる負担増を押し付け、巨大企業はますます優遇というわけである。

 額賀福志郎財務大臣は最近テレビ番組で「消費税率を20%前後とし、所得税や法人税を下げてバランスを取っているのが世界の姿だ」「働く人に(社会保障の)負担を任せたら日本経済は沈没する」などと言ったというが(共同通信2008/06/29 12:21)、これなど典型的なデマゴーグである。

 法人税率・負担額だけ見れば、確かに日本は欧米各国に比べて高いが、社会保険や年金など社会保障負担も含めれば、日本の大企業の負担はむしろ低すぎるくらいだ。垣内亮「法人税の空洞化に歯止めを」(『経済』2006年5月号)が国内総生産(GDP)に占める民間企業の税・社会保障負担の国際比較を提示しているが、スウェーデンが13.3%、フランスが12.7%、ドイツが10.2%、イギリスでさえ10.0%で、これらに対し日本は7.7%にすぎない(浦野広明「社会保障目的税を理由とした消費税増税のウソ」『週刊金曜日』2008年6月27日号)。

 また浦野論文によれば、消費税も日本の税率自体は欧州諸国に比べて極端に低いが、国税全体に占める消費税収の割合は23.0%で、イギリスの21.8%よりも高い。よく直間比率が直接税に偏っていると言われるが、実際は日本の直接税負担は決して高くはないのである。

 「日本経済が沈没」発言はさらに輪をかけて噴飯ものである。すでに目に見えて物価が高騰している中で、むしろ消費税増税の方が景気に悪影響を与えるのは確実だ。これはネット左翼の戯言ではない。民間シンクタンクのエコノミストが次のように指摘している。
(前略) 今後、消費税率を引き上げた場合の成長率押し下げ効果はどの程度見込まれるだろうか。三菱UFJ証券景気循環研究所の試算によると、2%引き上げでマイナス0.6%、3%の場合にはマイナス0.9%となり、駆け込み需要の反動減も加えると、1%前後、成長率が押し下げられる計算となる。(後略) (鹿野達史「消費税率アップへの検討開始 3%引き上げならGDP1%マイナス」『エコノミスト』2008年7月1日号)
 だいたい額賀氏はあたかも消費税が現役世代の負担を抑制するかのような詐術を用いているが、政府・与党は消費税率を引き上げる一方で、国民年金保険料を毎年のように引き上げ、厚生年金の保険料率も現行約14%から2017年度までに約18%まで引き上げようとしている。現実は消費税率にかかわらず、現役世代の負担は増えているのである。

 当ブログでは何度も主張しているが、現在の日本に必要なのは、社会保障給付削減でも保険料増額でも消費税増税でもなく、所得再分配効果を強化するための直接税(法人・所得・相続各税)増税である。一方で社会保障費抑制路線に対する反抗、もう一方で逆進税である消費税増税への批判を行うことで、直接税増税を議論の俎上に上げなければならない。朝日新聞(2008/07/01 03:01)によれば、相続税の増税を消費税の増税と合わせて行うことで、貧困層の不満をそらそうとする動きもあるようだが、消費税増税の露払いではなく、消費税増税の対案として真剣に検討するべきである。相続税が潜在的な財源たりうることは森永卓郎氏が指摘している(関連リンク参照)。

 税制問題はある意味、日本社会が新自由主義路線を継続するか、福祉国家路線へ転換するかの決定的岐路であると言っても過言ではない。まず経済的平等度を高めない限り、「高負担・高福祉」など夢のまた夢である。そこを見誤ってはならない。

【関連記事】
消費税増税問題リンク集

【関連リンク】
消費税増税論議を吹き飛ばす、相続税改正の大きなパワー / SAFETY JAPAN [森永卓郎氏] / 日経BP社
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/122/
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by mahounofuefuki | 2008-07-01 22:54

「無駄遣いがある限り増税はだめ」では消費税増税論に対抗できない

 政府の社会保障国民会議が基礎年金と消費税の応益に関する試算を発表したことにより、にわかに消費税増税反対論が活性化しているようだが、相変わらず右を見ても左を見ても「官僚や政治家が無駄遣いをしているのに増税は言語道断」という類の声ばかりで、正直なところ同じ消費税増税反対派としては失望している。

 現在の増税議論の直接の引き金は、来年度から基礎年金の国庫負担率が3分の1から2分の1に引き上げられることであり、少なくとも4兆円ほどの財源がすぐにでも必要である。議員の数を減らせ、公務員の給与を減らせと騒いでいる人々は、議員や公務員を叩けば数兆円レベルのカネが出てくると本気で信じているのだろうか。
 貧乏な野党議員が活動するにはある程度の歳費は確保されなければならない。公務員の給与削減はすぐに民間の賃下げを誘発する上に、人件費削減は行政サービスの低下と公務員の非正規化を招く。「天下り法人」の問題は「天下り」であって、「法人」そのものは多くが国営でやるべき仕事であることは何度も当ブログで指摘した。毎年歳出削減を続けるとどうなるか、すでに私たちは小泉以来の社会保障費抑制政策で学習したのではなかったか。
 私も宇宙基本法のエントリで宇宙開発を「無駄遣い」と断じたし、軍事費のような「本当の無駄遣い」を削減する必要性は再三指摘したが、現在世情に流布している「官僚や政治家の無駄遣い」論は単なる思い込みと嫉みで、しかもそんなものを正したところで年金の財源には到底足りない。

 ふだん小泉純一郎や橋下徹の歳出削減政策に熱狂している連中が「官僚や政治家の無駄遣い」を叫ぶのはある意味で筋が通っているが、郵政など公営事業の民営化に反対し、少数政党の議席を確保するために議員定数の削減に反対し、公務員を含む労働者の生存権を重視しているような人々までが「無駄遣いがある限り増税はだめ」と言うのは矛盾である。
 だいたい「無駄遣いがある限り消費税の増税はだめ」ということは、「無駄遣いがなければ消費税の増税も仕方ない」という意味である。私に言わせれば、「無駄遣い」があろうとなかろうと、再分配効果のないまま消費税を増税することなど到底容認できない。消費税に「無駄遣い」を対置している限り、それは「構造改革」論者の主張と何ら変わりはない。歳出削減を否定し福祉国家を目指すなら、消費税増税に対置すべきはちまちました「無駄遣い」の削減などではなく、大胆な直接税(所得税・法人税・相続税)の増税である。

 最大18%の消費税増税を示した社会保障国民会議の試算を「インチキ」と非難する向きもあるが(主に基礎年金全額税方式論者から)、試算そのものは間違っていない。間違っているのは増税対象を消費税だけに限定していることで、「増税が必要である」という結論は正しい。
 現在、基礎年金の給付総額は約19兆円だが、急速な高齢化の進行により、今後給付総額は毎年増加していく。この数年、毎年のように社会的弱者対象の社会保障給付を狙い撃ちにして削減したり、後期高齢者医療制度のような無茶な制度を導入したりして、その都度財源を捻出してきたが、そんな方法が著しく不正義であることは言うまでもない。政府・与党内からも歳出削減はもう限界であるという声が出ているのは当然で、もはや「歳出削減か、増税か」という二者択一から「庶民増税か、金持ち増税か」という二者択一に移行すべきである。

 社会保障国民会議の議論は財務省や厚生労働省の誘導で保険料制度の維持を目指しているのは明らかだが(だから今回の試算に与野党の保険料廃止派が激高した)、すでに国民年金保険料の未納・滞納率が実質4割に達し、ワーキングプアの多くが年金制度からはじかれている現状を考えれば、現行の超逆進的な保険料制度をそのままにはできない。
 経団連あたりが目論んでいる基礎年金を全額消費税で賄う案は、単に企業の保険料負担を廃止するだけのとんでもない代物で、とても容認できないが、少なくとも国民年金保険料の定額制の廃止やさらなる国庫負担率の引き上げは検討しなければならない。また保険料制度を廃止し、全額税方式に移行する場合、企業負担分廃止の代償は当然企業への増税でなければ不合理である。

 繰り返しになるが「消費税増税か歳出削減か」という枠組みから脱すること、はっきりと直接税の増税を主張することが消費税増税反対派に求められる。もう消費税増税反対論を「構造改革」に利用されるのはごめんである。
 なお当面必要な4兆円は、たとえば法人税率を現行の30%から1990年度までの37.5%に引き戻せば確保できる(しんぶん赤旗2008/05/21)。ただ「無駄遣いを減らせ」ではなく、はっきりと「法人税を7.5%引き上げろ」という方がずっと説得力がある。そこを見誤ってはならない。

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消費税増税の不当性
私の財政論に誤解があるようなので改めて説明

【関連リンク】
社会保障国民会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyoukokuminkaigi/index.html
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by mahounofuefuki | 2008-05-23 21:45

消費税増税の不当性

 日本経団連が基礎年金の全額税方式を打ち出したり、消費税=社会保障目的税論者の与謝野馨氏がやたらとメディアに露出したりするなど、いよいよ年金目的を口実にした消費税増税への動きは不可避の状況を迎えている。
 この問題は支配層において「消費税増税と大企業の負担の軽減」というゴールだけはとっくに決まっていて、あとはどうやって有権者を騙していくかという方法論の相違と、企業負担の軽減方法の相違(全額税方式にして企業の保険料負担を廃止するか、消費税増税で浮いた財源を法人税減税に使うか)があるにすぎない。与謝野氏は『週刊東洋経済』3月29日号で「法人税を低める圧力はあっても、税率を引き上げる理屈は見つからない」と断言しており、その点では竹中平蔵氏ら「上げ潮」派と全く変わらない。大企業の負担を庶民に転嫁するという点では完全一致しているのである。

 以前某所で、収入にかかわらず月額固定という超逆進的な国民年金の保険料を廃止して消費税に切り替えた方がましではないかという意見があったが、この見解は年収の14%強一律負担の(つまり定額ではない)厚生年金を考慮していないだけでなく、現在消費税の4割以上を地方に回していることや、消費税の使途が基礎年金だけではないことを失念しているという問題がある。実際、現在出ている年金=消費税論は「保険料を廃止して消費税で基礎年金すべてをまかなう」か「保険料を維持して国庫負担分(現行3分の1、来年度以降は2分の1)をすべて消費税でまかなう」かのどちらかである。
 昨年度の場合、地方消費税を除く消費税収が約10兆6000億円、うち地方へ回した分を除いて国に残ったのは約7兆5000億円。対して基礎年金給付総額は約19兆円、うち国庫負担は約6兆6000億円。しかもほかに老人医療に約4兆2000億円、介護に約1兆9000億円かかっていて、これらの主要な財源が消費税である。仮に消費税を10%にしても基礎年金を全額賄うことなどできない。無理に「基礎年金=消費税のみ」を断行すれば、よほどの大増税になるか年金以外の社会保障の歳出を削減することになりかねない。一方、現行の保険料を維持したまま、国庫負担分に消費税を充てる場合、逆進性が強化されるのは言うまでもない。

 そしてここが重要なのだが、増税しても1人当たりの給付は増えない。増税する一方で給付を増やす予定が全くないのである。ましてや現在年金保険料を支払えない貧困層にとっては、消費税増税はいわば「強制徴収」と同じ役割を果たす。それでいて貧困層は支払期間の不足により、受給年齢に達しても年金の給付を受けることができないか、雀の涙ほどの給付しか受けられない。非正規労働者の大半が高齢者になった時に生活保護受給者になると言われる所以である。
 保険料制度維持派も全額税方式派もこの問題について今のところ何ひとつ有効な方策を提示していない。たとえば加入履歴を無視して全員に年金給付を保障するというような案を出す気はさらさらないのである。そもそも年収200万円とか100万円の貧困層にとっては、消費税が1%引き上がるだけでも死活問題である。消費税増税は新たな「官製貧困」の拡大でしかない。

 現在の景気後退の主因は、原油や穀物の世界的な高騰に端を発した物価上昇によるコスト増だが、それを考慮すれば最大の景気対策は消費税の減税もしくは廃止である。法人税の減税では一部の企業にしか恩恵はないが、消費税の減税はすべての企業に波及し、家計にも恩恵がある。減税分は所得税の総合課税化及び累進強化と相続税の課税ベースの大幅拡大でいくらでもフォローできる。
 消費税問題の本質は、「大企業が応分に税負担」対「経済的・社会的弱者ほど重い負担」という対立である。しつこいようだが「歳出削減でも消費税増税でもなく、金持ち増税を」である。まずは「財源が消費税しかない」というウソを見破ること。

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消費税増税問題リンク集
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by mahounofuefuki | 2008-05-16 20:18

「年金一律救済」論と年金改革私論

 天木直人氏のブログ経由で知ったのだが、産経新聞の客員編集委員の花岡信昭氏が年金記録の審査基準緩和による「年金一律救済」を主張している。
 やはり「年金一律救済」が必要だ-MSN産経ニュース

 天木氏も指摘しているように、花岡氏の主張は福田政権の支持率回復のための建策で、しかも消費税を増税の上、年金財源とすることを前提にしているので、その点では経済財政諮問会議や自民党財革研と同じ欺瞞に満ちた「消費税の社会保障目的税化」議論だが、「年金一律救済」という結論だけは注目に値する。花岡氏と言えば、ネット右翼レベルのお粗末な言論で知られる人だが、今回の主張は彼にしてはまともであると言えよう。

 建前はともかく本音ではもう誰も年金記録の完全回復など信じていないだろう。5000万件もの不明記録を洗い出すコストも馬鹿にならない以上、できもしない作業を延々と続けるより、確実に年金を給付することを優先するべきだと私も考えている。はっきり言ってしまえば、現役時代の年金負担額に関わらず一定の年金を公的に保障するべきである。
 その場合、現役時代にきちんと年金保険料を払っていなかった人々にも年金を給付することに、保険料をきちんと払っていた人々からは不満の声が上がるだろう。
 しかし、その不満は実はおかしい。なぜなら年金制度とは積立貯金ではなく、あくまでも負担者はその時の受給者のために支払っているのであって、自分のために払っているわけではないからだ。

 現在の国民年金では所得に関わらず、保険料が定額である。その代わりに給付額も定額だが、実際は「支払期間」によって左右される。その結果、所得が低くて保険料を支払えず、不払い期間が多い人ほど、自身が給付を受ける時には給付額を削られる。
 つまり、現役時代に十分な所得がある(そういう人は貯蓄も多い)人ほど年金受給額が多く、現役時代に所得が低い(貯蓄もない)人ほど給付において不利なのである。いくら給付額が負担額と同様に定額であっても、「支払期間」に左右される限り、国民年金の再分配効果はほとんどないのである。
 厚生年金の場合も2階部分は生涯平均報酬に比例するので、豊かな人ほど給付額が多く、貧しい人ほど給付額が少ない。ここでも「弱者の排除」が行われている。

 現在の年金論議は専ら年金記録問題と財源問題に終始しているが、年金における最大の問題は4割以上にも上る未納者の存在である。
 特に我々「氷河期世代」の非正社員で未納・免除期間のない人は皆無だろう。アルバイトや日雇い派遣のような低賃金・不安定な雇用では、とてもではないが毎月1万4100円もの年金保険料など払えるはずもない。しかも今後10年間は毎年保険料の引き上げが決まっている。
 同世代の人々からはよく「年金制度からの離脱の自由」が欲しいという声を聞くが、そういう主張が出るのも当然だ。

 そうした現状を打開するためには、年金にも所得税制と同様「応能原則」を導入するべきである。負担は支払い能力に応じて課すのである。ついでに言えば給付においても受給時点の資産や収入によって増減することも検討してもよい。この立場に立てば消費税の社会保障目的税化などもってのほかである。消費税は逆進税だからだ。
 これは年金制度のパラダイム転換である。社会保険庁のホームページに「本来、健康で文化的な最低限度の生活は国民の自助努力によって達成されることが基本」と記載されているように、現行制度は要するに「自己責任」を前提としている。しかし、ここまで「貧困と格差」が拡大し、年金制度が空洞化している以上、旧来の「自己責任」では社会の持続可能性はない。思い切った発想の転換が必要だ。

 保険料制度で「応能原則」を導入するのは困難なので、税と年金の一体化が当然必要となるが、そのための具体的方策は残念ながら持ち合わせていない。その点では現実離れした与太話だという批判は甘受したいが、少なくとも方向性としては社会保障への「応能原則」導入は避けられないと考えている。それこそ真の「年金一律救済」だろう。

【関連記事】
現行の社会保障制度は弱者を排除している~「社会保障国民会議」発足を前に
社会保障の財源が消費税でなければならない理由はあるのか
「金持ち増税」論は少数意見ではない~山口二郎・宮本太郎共同論文を読む

【関連リンク】
年金一律救済を主張する産経新聞の論説-[公式]天木直人のブログ
社会保険庁
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by mahounofuefuki | 2008-03-05 20:28

現行の社会保障制度は弱者を排除している~「社会保障国民会議」発足を前に

 昨年末に福田康夫首相が公約していた政府の「社会保障国民会議」の設置が閣議決定された。
 朝日新聞(2008/01/25 13:27)、毎日新聞(2008/01/25 11:59)によれば、メンバーは次の通り(敬称略)。
吉川洋(東京大学大学院教授)=座長/大森弥(東京大学名誉教授)/奥田碩(トヨタ自動車相談役)/小田与之彦(日本青年会議所会頭)/唐沢祥人(日本医師会長)/神田敏子(全国消費者団体連絡会事務局長)/権丈善一(慶応大学商学部教授)/塩川正十郎(元財務大臣)/清家篤(慶応大学商学部教授)/高木剛(連合会長)/竹中ナミ(社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)/中田清(全国老人福祉施設協議会副会長)/樋口恵子(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)/南砂(読売新聞編集委員)/山田啓二(京都府知事)
 自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠氏を起用するようなサプライズはなく、予想通り既成の圧力団体の関係者と御用文化人ばかりで、官僚がコントロールできる人選である。ワーキングプアやホームレスの代弁者は1人もいない。「国民会議」と称していながら政府・与党にとって壁となるような人物もいない(ただし分科会の方で呼ばれる可能性は残っているが)。
 また消費税増税派が多数を占めており、政府・与党の既定路線である消費税の社会保障目的税化と引き上げに「お墨付き」を与えるだけの機関になりそうだ。

 現在の日本の社会保障は、こんな人々に任せることができないほど疲弊し、崩壊が進行している。社会保障とは本来、その名の通り社会生活を保障するもので、困っている人や弱っている人が自立できるようになるためのセーフティネットである。しかし、少なくとも日本の社会保障制度は、豊かな人や恵まれた人ほど有利で、本当に困窮している人々を制度の外側に排除するような仕組みになっている。

 たとえば年金。
 周知の通り、現在すべての「国民」が国民年金への加入を義務づけられているが、公務員や教職員の場合は共済年金、会社員の場合は厚生年金があり、それぞれ国民年金に上乗せされる2階部分がある。使用者(国・企業)負担があり、報酬に比例するこの「2階部分」があるのとないのとでは、世帯当たりの年金給付額に相当大きな開きがあることは従来からよく言われていた。
 「2階部分」がある場合と国民年金だけの場合との格差に加え、国民年金は保険料が所得にかかわらず定額(現在は月額14,100円)で低所得者ほど負担が大きいという問題がある。しかも、国民年金の給付は現役時代の年金納入期間によって左右される。未納期間が長ければ長いほど自身の給付額は減る。そもそも国民年金の担い手は自営業者や厚生年金に加入できないパート・アルバイトなどで、ただでさえ所得が不安定なのに、この逆進的な制度のためにますます苦境に追いやられている。
 現在、国民年金保険料の未納率は4割に達する。保険料納入の時効はわずか2年。長期未納者は年金給付の権利を喪失する。現在の年金制度は安定した終身雇用を前提にしているため、そうでない不安定雇用の人々を制度の外側に追い出しているのである。

 あるいは、医療保険。
 これも年金と同様、公務員は共済組合、会社員は組合健保ないし政府管掌健保で、それ以外は国民健康保険というように雇用形態により違いがあるのは言うまでもない。問題は使用者負担のある健保に比べ、自治体が運営する国保はいずれも財政赤字で年々保険料が増加しているため、保険料の未納・滞納者が続出していることである。
 国保はこれまた雇用や所得が不安定な人々が主たる担い手になっている。ただでさえ弱い立場にあるのに高額の保険料を負担させられ、滞納が続くと保険証を取り上げられる。厚生労働省の最近の発表によると、国保料の滞納世帯は約474万6000世帯で、国保加入世帯の18.6%にものぼる。そのうち約34万世帯が保険証を取り上げられ、資格証明書の発行を受けている。資格証明書での受診は全額自己負担である。病気になってもカネがなくて治療を受けられない人々が増加している。
 その結果、弱者が保険制度の外側にはじかれる→制度の内側に辛うじて残っている人々の負担が増える→負担に耐えられず外側にはじかれる、という悪循環を引き起こしており、ここでも困っている人、弱っている人が社会保障の枠組みから排除されているのである。

 年金と医療を例示したが、雇用保険や介護保険や障害年金や生活保護など他の分野でも似たような事態が進行している。あえて言ってしまうが、現在の日本の社会保障制度は、安定した雇用と所得を得られる人々だけの「特権」になっている。本当に保障を必要とする困窮者ほど社会保障制度から排除され、恩恵に与れないのは矛盾以外の何者でもない。
 「特権」をすべての主権者が享受できる「当り前の権利」にすることが必要なのは言うまでもない。特に年金と医療については雇用形態による差別をなくしていく方向性が欲しい。

 前述の通り、政府と財界は社会保障国民会議で、消費税の社会保障目的税化と引き上げの既定路線化を進めるのは間違いない。
 しかし、究極の逆進税である消費税の引き上げは、この国の社会保障の崩壊にとどめを刺す暴挙である。政府は消費税を引き上げようとする一方で、国民年金保険料も国民健康保険料も引き上げを続けている(それでいて給付の方は引き上げられず「現状維持」もしくは「引き下げ」である)。消費税を消費支出を通して強制的に負担させられる分、保険料を負担できなくなり、低所得者はますます社会保障制度の外側へ追いやられる。
 そして最後のセーフティネットである生活保護も、政府は今年再び引き下げを図っている。これ以上、政府と財界と自民・公明両党(もしかすると民主党も)による社会保障つぶしが続けば、この国の生活困窮者は増大し続け、結局は消費市場を縮小させ、労働力を失い、社会保障のみならず経済も崩壊するだろう。

 社会保障国民会議には全く期待できないが、これを機に在野においても社会保障制度のあるべき姿について提起していくべきであろう。
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by mahounofuefuki | 2008-01-25 17:07

「社会保障のための消費税増税」というまやかし

消費税増税への動きが加速している。
先月の経済財政諮問会議で、内閣府が社会保障維持のためには消費税を最低でも11%以上に引き上げる必要があるという試算を公表し、それを機に全国紙が一斉に「消費税増税やむなし」という宣伝を始めた。
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「有識者議員提出資料 (給付と負担の選択肢について)」*PDF
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」*PDF
今月に入ると、原油高騰やサブプライム問題による景気減速への不安から、政府・与党は来年度の消費税増税を見送る方針を固めたが、財政・税制関係の機関は動じることなく消費税増税路線を続けている。

まず財政制度等審議会が、来年度予算編成に関する意見書で、社会保障目的の消費税増税を提起した。
平成20年度予算の編成等に関する建議-財政制度等審議会*PDF
次いで政府税制調査会が、来年度税制改正の答申で、やはり社会保障の水準を維持するための消費税増税の必要性を明記した。
平成19年11月 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方-税制調査会*PDF
さらに自民党の財政改革研究会は、明日の中間報告で、消費税の社会保障目的税化、2段階による消費税増税、消費税の名称変更などを提起するという。
社会保障目的明確化、消費税の名称変更を・・・財革研報告原案(読売新聞 2007/11/21 10:16)-Yahoo!ニュース
2009年度に基礎年金の国庫負担率が2分の1に引き上げられるのに合わせて、消費税増税を目論んでいるのが明白だ。

一連の動きに共通するのは、「社会保障給付を維持するために消費税を増税しなければならない」という思想である。
高齢化社会による社会保障費の増大→財源の不足→消費税増税」と「誘導」しているのである。

しかし、その思想は完全な誤りである。
第一に、社会保障の財源を消費税に限定する正当な理由は何もない
政府税調は今回の答申で、消費税を「経済の動向や人口構成の変化に左右されにくい」「世代間の不公平の是正に資する」と述べているが、実際は経済の動向の影響を受けやすく(家計が縮小すれば消費も減退する)、世代間の不公平を拡大する(年金生活の高齢者も税負担させられる)税である。現在、消費税以外の税も社会保障費に使っているが、何ら不都合はない。

第二に、消費税を増税すれば所得格差が増大し、結果として社会保障が貧弱になる
一般に社会保障は再分配機能があると思われているが、これは誤解である。年金も健康保険も保険料は所得にかかわらず定額で、消費税以上に逆進性をもつ。たとえば国民年金だと未納があれば給付が減額される。厚生年金だと報酬比例部分は生涯平均所得に左右される。いずれも高所得者に有利だ。
特に年金の場合、寿命に左右されるという宿命的な問題がある。社会保障の最高の受益者は「長命の金持ち」であり、最も不利なのは「短命の貧乏人」である。つまり、社会保障制度はそれ自体不平等なのである
この上、低所得者ほど不利な消費税を増税したら、ますます貧しい人の社会保障の負担力は低下し、受益も減少する。消費税増税は社会保障を安定にするどころか、保険料の不払いなどで社会保障の枠から脱落する人々を増やすだけである。
社会保障制度を持続させたかったら、所得の平等度を高くして、誰もが負担に耐えられるようにする必要がある。消費税がそれに逆行するのは言うまでもない。

第三に、財界や与党の本音は、企業減税の穴埋めに消費税増税分を使うことにある
そもそも消費税増税が社会保障目的であるという言説がまゆつばである。仮に歳出の社会保障費を全額消費税でまかなえば、今まで社会保障費に回していた他の税の分が浮く。実際はこれを利用して法人税の税率引き下げを企んでいるのである。
政府税調の井堀利宏委員(東京大学大学院教授)は、以前「消費税を上げる形での企業減税」を主張していた(ロイター 2007/10/02 19:04)。日本経団連をはじめ巨大企業の経営者たちは、ことあるごとに企業減税を唱え、法人税の実効税率の引き下げを要求している。これらの要求は消費税増税とワンセットである。

以上のように、「社会保障のための消費税増税」というのは真っ赤なウソである。
低所得から年金を払えず、健康保険証も取り上げられる人々が続出する中で、追い討ちをかけるように消費税を引き上げたらどうなるか、誰でも想像がつくだろう。
現在必要なのは、社会保障制度からはじかれた貧困層を制度内に取り込むことである。そのためには消費税の増税などもってのほかであり、所得格差を縮小するために所得税の累進を強化すること、資産への課税を強化することが何よりも必要である。


《追記》

この記事を書いたあと、消費税について興味深い記述を見つけたので、引用する。
晴天とら日和:消費税の社会保障財源化は選択肢のひとつとして幅広く検討すべき=政府税調答申⇒でもねぇ、「消費税導入」時には「福祉目的で導入する」とおっしゃってませんでしたか! 社民党は福祉削減の脅しで大増税あおるなと大反撃!⇒クソ自公チューのニャロメ!より。
(前略)消費税で苦しんでいる人たちがいる一方で、消費税をもらう人たちがいます。不公平の極みです。トヨタ、キャノン、ソニー、ホンダ、東芝、NECなどわが国を代表する大企業は消費税を一銭も納めません。納めないどころか、トヨタは年間二〇〇〇億円もの輸出戻し税を受け取っています。輸出戻し税制度です。輸出する場合、輸出先の国の税金がかかるので、輸出品に消費税をかけない。消費税をかけないのだから、輸出企業が下請けなどに払ったとされる消費税は戻しましょうという制度です。

その輸出戻し税が毎月、税務署から輸出企業の口座に振り込まれます。輸出戻し税の総額は、年間で約二兆円。これほど財政危機だと騒いでいるのに、税務署は輸出している大企業に二兆円も支払っているのです。このような輸出戻し税制度は、ヨーロッパにはありますが、アメリカにはありません。この輸出戻し税は一種の輸出補助金であり、ただちに廃止すべきと私は主張しています。トヨタは輸出戻し税があるから消費税を導入した、と言っています。

税務署は全国に五百十二あります。税金を徴収するのが税務署の仕事ですから、徴収する税金が上がる税務署ほど、署長の評価が高くなります。トヨタがある愛知県の豊田税務署は、徴収する税金が上がるどころか、トヨタ一社に対する輸出戻し税のためにマイナスです。トヨタなどが主導している日本経団連が、なぜ消費税引き上げに必死になるのか、おわかりと思います。五%の消費税で、トヨタは年間二〇〇〇億円の輸出戻し税を受け取ります。消費税が一〇%になれば、トヨタの受け取りは二倍の四〇〇〇億円になります。消費者や大部分の事業者に負担が重く、大企業に利益となる、これほど不公平な税金はありません。(後略)


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by mahounofuefuki | 2007-11-21 16:19

「下」には厳しいが「上」には甘い官僚組織

組織というのは、「上」に甘く、「下」に厳しい。
改めてそう感じざるをえないニュースがある。
以下、朝日新聞(2007/10/27 18:35)より。

 社会保険庁のずさんな年金記録管理の原因や責任問題を調べる総務省の「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)が、来週中に発表する最終報告で、歴代の厚生・厚生労働相や社会保険庁長官の個人責任を明記しないことが27日、分かった。歴代閣僚・長官の監督責任を一体として問う形をとる。5000万件に及ぶ「宙に浮いた年金記録」などを招いた責任追及が検証委設置の主な目的だっただけに、責任の所在があいまいな結論には批判も出そうだ。

 最終報告は、社保庁が一人ひとりの記録を一貫して管理する姿勢に欠けていたことや、本人の申し出がなければ記録を確認しない申請主義などが記録問題の直接的な原因となったと指摘。宙に浮いた年金記録のサンプル調査結果、消えた年金記録の一因とされる職員らによる横領問題、「三層構造」と呼ばれる社保庁独特の閉鎖的な人事システムや組合問題などにも言及する。約30ページの本文のほか、約700ページに及ぶ資料編で構成されている。報告書は来週半ばにも公表する見通し。
(中略)
 また、名前や生年月日の欠けた記録をどう入力するのか、社保庁とシステム開発業者との間で検討した経緯が分かる当時の資料が一部を除き残っていないことも判明。責任者の判断や不作為が記録の管理にどのような影響を及ぼしたのか、十分に検証できなかったという。

 このため、1942年の年金制度発足以来、長年にわたる記録管理の不備が背景にあり、「個人の責任は限定できない」として、個人の名前を挙げる形で責任を問うのは難しいとの認識で一致。歴代長官は記録管理の直接の監督責任があったこと、歴代の厚相・厚労相、事務次官は、定期的な報告を求めるなど現状把握の努力を怠ったことを問題視し、「いずれも重い責任がある」と結論づけた。 (後略)
出来心で保険料を着服した安月給の下っ端職員は、懲戒免職や退職強要を課せられ、着服額を全額返済していても、タレント大臣の「牢屋に入ってもらう」という一声で、今さら刑事告発される。対して政治家や高級官僚は「個人の責任は問えない」とおとがめなし。これは不条理以外のなにものでもない。

しかも、「当時の資料が一部を除き残っていない」というのは、海上自衛隊の航海日誌破棄や、厚生労働省の薬害肝炎の資料放置と同じで、公文書の作為的な隠蔽である。自ら証拠隠滅しておいて、自己免罪しているようなものだ
そんなずさんな調査で、勝手に年金記録消失と横領問題を結び付け(両者に直接の関係はない)、「人事システム」や「組合問題」に責任転嫁するなど、とうてい許せない。
「年金記録問題検証委員会」自体を検証する必要があるだろう。

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by mahounofuefuki | 2007-10-28 11:28

舛添のパフォーマンスにだまされるな!

社会保険庁が、年金保険料を着服して懲戒免職になった宮城県大崎市の元職員を、業務上横領の容疑で刑事告発した。
大崎市が告発を見送ったにもかかわらず、「牢屋に入ってもらう」と豪語する舛添要一厚生労働大臣のゴリ押しである。以下、朝日新聞(10月12日14時33分)より引用する。

 告発状などによると、当時30代だった元職員は旧田尻町(現大崎市)町民生活課に勤めていた00年11月から01年3月にかけ、加入者10人が持参した国民年金保険料28万円を社会保険事務所に納めず着服した疑い。元職員は問題発覚後の01年8月に懲戒免職となった。
 この問題をめぐっては、舛添厚生労働相の意向を受け、社会保険庁が業務上横領罪の公訴時効が成立していない00年以降の9件について、自治体側に告発などの厳正な対処を要請。
 これに対し大崎市は、元職員が全額弁済しており、すでに社会的制裁を受け現在は更生しているなどとして告発を見送ると表明。伊藤康志市長は「当時としては十分厳しい対応をとった」と述べていた。
舛添氏のやり方は、弱い「いけにえ」を徹底していたぶることで、人々の目をくらましているにすぎない。
すでに職場を追われ、横領したカネを全額返済した人を今さら捕まえても、政府が流用した6兆7000億円余りの年金が戻るわけでも、不明となった5000万件の年金記録が復活するわけでもない
下っ端役人いじめが大臣の仕事ではない。大臣にはもっともっとやらねばならない仕事が山ほどあるはずだ。

間違っても舛添氏を「不正と闘うヒーロー」などと思ってはいけない。
彼は自民党と高級官僚の犯罪には目をつむり、弱い下級公務員を切り捨てているだけにすぎない。肝心の安心できる年金制度づくりは何もやっていないのだ。
しつこいようだが、何度でも言う。舛添のパフォーマンスにだまされるな!

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by mahounofuefuki | 2007-10-12 20:22

「大きなネコババ」をひたすら隠す舛添要一(改訂版)

〈編集 2007/10/04〉

社会保険庁や市町村の職員による年金保険料横領・着服問題は、ついに刑事告発にまで進み、10月3日には福岡県警が社会保険事務所の元係長を横領の疑いで指名手配した。

一方、宮城県大崎市は、すでに懲戒免職されている元職員を告発する必要はないと社会保険庁に回答したが、舛添要一厚生労働大臣は、自治体が告発しなければ社会保険庁が告発するよう同庁長官に指示した。
舛添氏は「犯罪を野放しにできない」と改めて年金横領問題への執念を見せたという。

舛添氏はこれまでも「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と放言するなど、社会保険庁や市町村に対する不信感を表明してきた。舛添氏の発言に、鳥取県倉吉市長と東京都武蔵野市長が抗議した際も「小人のざれ言につきあってる暇があったら、(私は)もっと大事なことをやらないといけない」と一喝した。

しかし、舛添氏のやり方は、「世間」における公務員への嫉妬を利用したお得意の世論誘導である
「もっと大事なこと」を隠すため、「小人」の小細工ばかり摘発してお茶を濁しているのは、ほかでもない舛添氏の方だ。

舛添氏は社会保険庁や市町村の職員のセコい横領や着服にはご執心だが、厚生省の高級官僚と自民党議員が結託した6兆7000億円以上の年金の流用にはまったく手をつけていない。「6兆7000億円のネコババ」をひたすら隠すために、「4億円のネコババ」を前面に押し出しているのだ。
(詳しくは年金「着服」と「流用」の間を参照)
まるで「正義のヒーロー」を気取っているが、「巨悪」とはまったく戦っていないのである。

未だに政治家とマスコミによる社会保険庁バッシングにだまされ、舛添氏を持ち上げる人々が多いようだが、もうだまされてはいけない。
舛添氏は、自民党と厚生エリート官僚の犯罪を隠すのに加担しているのだ
だいたい彼は「残業代ゼロ=タダ働き法案」を「家族だんらん」法案に言い換えようとするような「労働者の敵」なのだ。何度も離婚と結婚を繰り返し、愛人との間に「隠し子」までいた男が「家族だんらん」などと悪い冗談でしかない。

皆の衆、いいかげん目を覚ましてくれ!
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by mahounofuefuki | 2007-10-02 12:39