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インド洋の給油支援と朝鮮への重油支援~ちぐはぐな日本外交

 インド洋での海上自衛隊の給油支援活動を延長するテロ特措法改正案が衆議院を通過した。報道によれば、参議院では2日間の委員会審議で採決し、今月30日にも衆院再議決により成立するという。河村建夫内閣官房長官が「今回は民主党の理解、戦術もあった」と指摘したように(共同通信2008/10/21 17:25)、民主党が昨年とは打って変わって事実上抵抗を放棄したことで、給油延長は確実になってしまった。

 言うまでもなく海自の給油活動はアフガニスタンにおけるアメリカ軍などの軍事行動の兵站支援であるが、現行の憲法解釈との整合性や日本の外交・安全保障上の必要性において重大な疑念があり、本来国会で徹底的に審議しなければならない問題である。インド洋派遣以来、海自の不祥事が多発していることとの関係も追及しなければならない。しかし、今国会では自民・公明・民主各党の「阿吽の呼吸」により極めて不十分な結果になりそうである。

 早期解散のためには仕方ない、民主党政権になればすぐに活動は中止になるだろう、などという考えは甘すぎる。小沢一郎氏はまるで所信表明のようだった今国会の代表質問でも「日米同盟」の堅持を声高に強調しており、今回の措置も「民主党政権」が日米軍事一体化路線を変更する意思がないことを内外に示して、財界やアメリカ側に「安心」を与える目的があったと見るのが自然である。万に一つ給油を中止しても、今度はアフガン本土への自衛隊派遣や恒久的な自衛隊派遣を可能にする新法制定という代替政策を採るだろう(*)。民主党への政権交代を期待する人々には日米安保体制の強化に批判的な人も少なくないはずだが、本当にそれでよいのだろうか?

 *ちなみに20日の衆院テロ対策特別委員会で民主党政調会長の直嶋正行氏は、国連憲章第42条の場合であれば海外での武力行使は可能とする見解を示し、「そういう方針にもとづいて政権を担当させていただければ、作業に着手するということになる」「状況によって憲法解釈を変えることはある」と明言した(しんぶん赤旗2008/10/21)。いよいよ馬脚を現したと言えよう。

 安全保障問題ではもう1つ注意を要するニュースがある。日本政府は朝鮮に対するエネルギー支援をオーストラリア、ニュージーランドなどに肩代わりしてもらう方向で外交調整しているという。「これまでにオーストラリア、ニュージーランドが1000万ドル(約10億円)ずつ、合わせて重油3万トン余りに相当する資金提供を伝えてきた。英国などとも調整中で、それでも足りなければ米国と韓国も拠出を検討する」(共同通信2008/10/21 18:35)という。

 もともとこの重油支援はアメリカ政府が要請していたもので、これを蹴ったのは皮肉にもアメリカ追従が「宿命」ではなく、日本政府にやる気さえあれば独自の外交政策を行いうることを証明しているが、それはさておき、一方で日本の安全保障上喫緊の脅威とはとても言えないアフガンでの「テロとの戦い」には、「米国の、米国の油による、米国のための無料ガソリンスタンド」というまるで封建時代に家来が殿様に提供した「軍役」のようなサービスを行い、他方で目の前の脅威である朝鮮の「核」を廃棄させるためのプロセスに必要なエネルギー支援では、諸外国に「肩代わり」させるというのは発想が逆転している。

 単純にパワーポリティクスの観点に立っても、6カ国協議に参加していない国々が重油支援に加わることで、朝鮮問題に対する発言権を強めることになり、しかも日本がこれら諸国に「借り」を作ることは決して得策ではないはずだ。日本政府は相変わらず拉致問題を理由に「圧力」という名の「何もしない」路線を続けているが、アメリカ政府の「テロ支援国家」指定解除の件を持ち出すまでもなく、とっくに拉致問題は現実の国際政治においては日朝2カ国間限定の問題であり、もはや拉致問題を核問題に連動させても無力である。しかも「肩代わり」によって朝鮮は結局予定通りの重油を受け取る。キム・ジョンイル政権は重油を受けるにあたって日本に「借り」を作らずにすみ、拉致問題でカードを切る必要が減退するのである。

 インド洋での給油支援と朝鮮への重油支援という2つの「油」に関する日本政府のちぐはぐなリアクションが示しているのは、外交のリアリズムの欠如である。この体質は政権交代程度ではとても治らないだろう。

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進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党
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by mahounofuefuki | 2008-10-22 00:30

進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党

 昨年の今頃、国会における政局の焦点は、インド洋での海上自衛隊の給油支援活動を継続するためのテロ特措法の帰趨であった。結果は、野党が多数を占める参議院が否決したため、政府・与党は衆議院で3分の2の多数による再可決を強行し、給油活動は1年延長された。その現行法は1年時限なので、活動を継続するには再び国会で法改正しなければならない。今年もまたテロ特措法改正案を巡る攻防が臨時国会で繰り広げられるはずだった。

 ところがである。昨日の新聞各紙は、民主党が同法案の審議の短縮と早期の採決を容認し、会期内での衆院再可決が可能となったため、今国会での成立が確実になったと報じた。「民主党側は8日、改正案の委員会審議に10日に入り、同日中の採決にも応じる考えを自民党側に伝えた」(朝日新聞2008/10/08 15:08)、「民主党としては、麻生首相が成立への意欲を示す同改正案を早々と成立させることで衆院解散を促し、次期衆院選での争点となることを回避する狙いがある」(読売新聞2008/10/08 14:35)。

 要するに民主党は早く解散して欲しいので、テロ特措法改正案には形だけの反対しか行わず、早期の成立を黙認するということである。昨年は一応抵抗の姿勢を示し、対案すら提出している問題なのに(その対案には問題があるが)、今回は政局を優先して抵抗を事実上放棄するというのは公党としてどうなのか。補正予算も大した審議もせずにあっさりと賛成したが、これでは「解散してほしくば、政府・与党案に協力しろ」と迫られ、次々と妥協を繰り返しているようである。

 しかも早期解散を求める一方で「次期衆院選での争点となることを回避する狙い」とは片腹痛い。麻生政権がテロ特措法を総選挙で争点化するのならば、堂々と受けて立てばよい。アメリカ発の金融危機で対米一辺倒の外交路線の見直しが現実的課題となり、外国軍への「無料ガソリンスタンド」など行う経済的余裕が消えているという現況にあって、この問題の争点化が特段与党に有利に働くわけでもない。選挙戦略としても理解不能である。

 今回の民主党の姿勢は、結局のところインド洋給油問題を軽視し、本気で抵抗する気が最初からなく、せいぜい政局の道具として反対しているにすぎないことを実証したと言えよう。麻生首相が就任直後、真っ先に給油継続を国際公約するほど、政府・自民党はアメリカへの「忠誠」の証を示すことに躍起となっているが、民主党も政権獲得が現実味を帯びてくるにつれて、自民・公明両党と同様、ますます日米安保体制の強化という支配層主流の既定路線を邁進している。「政権交代」で自民党政治が終わると信じている人々の思いとは裏腹に、民主党の顔はすでに財界とアメリカに向いているのだ。

 ある意味今国会は、これまでも(たとえば労働契約法や宇宙基本法で)顕在化していた自公民談合・協力体制が完成しつつあると言える。どうせ解散になるから、と楽観している間に、次々と悪法の「駆け込み可決」が行われることが心配だ。すでに福田前首相が退陣表明した直後、大勢が新内閣発足直後の解散を予想する中で、弊ブログでは即時解散が望ましいが、実際には自公政権は「衆院3分の2」を簡単には手放さない、解散は先送りされると指摘したが、当時の私の予測が現実になっている。いかに野党が与党に「塩」を送ったところで、解散は首相の胸先三寸次第であり、民主党の行いは「エサ」に釣られた単なる一方的屈伏でしかない。

 こうも躊躇なく自公政権と協調できるのは、改めて総選挙後の民主党の動向に疑念を生むことにもなろう。選挙結果がどうなろうとも、参院の現況や経済情勢も考慮すると、表向きは激しい対立を装いつつ、要所では助け合う自民・公明と民主の「あ・うん」の呼吸は長らく続きそうである。

【関連リンク】
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法 - 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20HO001.html
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案 - 衆議院
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17005004.htm
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by mahounofuefuki | 2008-10-09 21:10

「野党共闘」の終焉と「護憲の大連立」構想

 第168回臨時国会は新テロ特措法案の衆議院再可決による成立をもって事実上閉幕した。
 今国会は昨年9月10日に開会したが、その時の首相は安倍晋三氏だった。周知の通り安倍氏は所信表明演説のみを行って突如退陣し、変わって福田康夫内閣が発足した。たった4か月前のことなのに、はるか昔の出来事のように感じる。当時も国会終盤も最大の争点は新テロ特措法であった。原油価格の異常な高騰による灯油やガソリンの急騰に苦しむ人々を尻目に、インド洋で軍事行動を展開するアメリカ軍などへの給油支援を行う現政府の暴挙は許し難い。福田首相は昨日(1月11日)、再可決が「暴挙」ならば何が「暴挙」でないのかと開き直ったと報じられているが、再可決という方法以前に、この特措法の内容そのものが前代未聞の暴挙であることを自覚していないらしい。

 昨日のもう1つの暴挙は民主党の小沢一郎代表が衆院本会議を途中退席し、新テロ特措法案の採決に際して棄権したことである。この件について小沢氏の国会軽視に対する批判や、本音では特措法に賛成しているのではないかという疑念が各方面から指摘されているが、私にはむしろ参院での法案採決をめぐって、当初民主党が主張していた継続審議が他の野党に受け入れられず、結局議決を行ったことに対し、野党間の根回しすら自分の思い通りにならないことに苛立った小沢氏が、へそを曲げふて腐れた結果の幼稚な行動に思える。
 小沢氏は参院であえて採決を行わずに継続審議とし、与党に「60日規定」による衆院再可決を行わせ、与党のイメージダウンを狙ったのだろうが、防衛利権問題を十分に責めることができなかった今となっては成立日が1日違うだけで無意味である。逆に民主党が特措法に明確に反対しなかったという「汚点」になっただろう。額賀財務大臣の証人喚問問題の時もそうだったが、民主党は野党第1党としての驕りからか、他の野党と十分な協議をせず、他党に対し「黙ってついてこい」というような姿勢があった。
 今国会の会期中、小沢氏は福田首相と密室で連立を話し合い、すでに「野党共闘」を破壊しつつあったが、昨日の小沢氏の退席は名実ともに「野党共闘」を終焉させ、「政界再編」への意思を示したような気がしてならない。

 昨年の参院選の民主党の「勝利」は、民主党の政策が支持されたというよりも、自公政権に対する拒絶と政権交代への期待の意思が民主党に集まった結果であった。
 しかし、あえて断言するが、次期衆院選まで民主党は結束を固め続けることはできない。少なくとも小沢氏には現行の民主党の体制のままで総選挙を迎える気はまったくない。
 小沢氏は「大連立」をめぐる騒動が収束した後も、ことあるごとに自民・民主両党の連立を正当化してきた。今の民主党では勝てないというのが表向きの理由だが、実際は共産党や社民党などと組みたくないというのが理由であろう。最近の選挙予測報道はどれも民主党の勝利を予想するが、単独過半数を獲得できる保証はなく、その場合どこと連立するかが問題になる。小沢氏は今国会で改めて現在の野党と組んだのでは自分の思い通りには政権運営できないことを悟っただろう。むしろ政策的に近い(というより同じ)自民党の一部との連携を模索したいはずだ。
 対米追従、巨大企業優先、政官財談合の自民党政治からの脱却を求めて民主党を支持した人々の期待は、次の総選挙までに完全に裏切られるだろう。

 それでは自民党政治を否定し、福祉国家と平和主義を期待する人々は次の衆院選でどう行動するべきなのか。
 この問題について、関西学院大学教授の豊下楢彦氏が北海道新聞(2008/01/09夕刊)で、自民党とかつての自民党出身者による近い将来の「大連立」を予測した上で、「今日の日本政治の深刻な問題は、いわゆる右派の糾合に対抗する左派の“受け皿”が存在しないことにある」と指摘している(太字は引用者による、以下同じ)。豊下氏はさらに次のように続ける。
(前略) 一般の国民、とりわけ若い世代にとっては、共産党と社民党がなぜ一致結束した行動をとることができないのか、全く理解できないであろう。ともに「護憲の党」を名乗り、政策的にもきわめて近い両党が、院内統一会派もつくれず選挙協力もできないという事態は、若い世代からすれば「現代の七不思議」と言っても過言ではないであろう。仮に両党の代表が公の場で、なぜ一致結束して行動できないかについて議論するならば、おそらく多くの国民は、つまらぬ“過去のしがらみ”に今なお囚われている両党の状況を知って、あきれ果てることなるであろう。
 両党の最大の問題点は、ともに政権戦略を持っていないところにある。つまり、いかに多数派を形成して政権を担うか、という戦略構想を保持していないのである。来るべき政界再編や「大連立」の可能性を展望するとき、両党は、こうした動向を批判するばかりではなく、なによりも自ら多数派戦略を国民の前に提示しなければならない。政界再編によって民主党が分裂することを予想するならば、“左派民主党”と共産党、社民党が「護憲の大連立」を形成するような大きな戦略構想を描き出すべきである。(後略)
 豊下氏の念頭にあるのは、イタリアのかつての中道左派連合「オリーブの木」構想だと思われるが、この構想自体は1990年代から幾度となく語られたにもかかわらず、今もって実現には至っていない。
 ただ実現性の可否を別とすれば、福祉国家と平和主義を希求する人々にとっては、この「護憲の大連立」こそベターな選択肢であり、「民主党中心による政権交代」という構想が破綻しつつある現在、小沢氏が民主党を割る前に、民主党の「左派」を引き付けるための「受け皿」を共産党や社民党が用意するというのは、少なくとも方向性としては間違っていない。
 残念ながら「豊下構想」には実現可能性の問題以外の重大な弱点があるのだが、今回の記事で書くには長くなりすぎるので、その件を含めて「左」の結集と拡大のためのハードルについては稿を改めて近日中に書きたい。

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by mahounofuefuki | 2008-01-12 17:08

パキスタンは「アジアの火薬庫」か~ブット暗殺

 パキスタンのブット元首相が暗殺された。暗殺犯はブット氏を銃撃後、自らも自爆、多数の人々が死傷した。
 パキスタンの不穏な情勢はずいぶん伝えられてはいたが、白昼堂々と有力政治家の暗殺が敢行されたことは衝撃である。
 パキスタンについては、2004年に参議院憲法調査会で参考人として招致された関西学院大学教授の豊下楢彦氏の発言がずっと頭を離れないでいる。
 第159回国会 参議院憲法調査会 第2号より(太字は引用者による)。

《引用開始》
(前略) 短時間ですので端的な例を挙げますと、私は、イラク問題が深刻化する前から主張していたんですけれども、今世界で大量破壊兵器とテロリズムが結合する最も危険な地域はどこかといいますと、それは北朝鮮でもイラクでもイランでもリビアでもなくて、パキスタンなわけですねパキスタンは間違いなく核保有国であり、強力なミサイルを持っており、しかも他の国に核技術を輸出しており、しかも国内ではアルカイダの残党がばっこしておると。仮に今大統領が暗殺されるということになればどんな事態が起こるかと。予想を超えるわけです。
 実は、九八年にパキスタンが核実験をやったときに、日本は非常任理事国として決議案のために奔走いたしまして、全会一致で非難決議を上げて、そして制裁に踏み切ったわけです。ところが、九月十一日が起こりますと、ブッシュ大統領は、アルカイダと闘うということの理由があったんでしょう、パキスタンに対する制裁を解除して、そして訪米した小泉首相に対しても、日本も制裁を解除してほしい、そして核保有国の政情を安定していなければならないから緊急の経済援助をやってくれという要請をした。それで、小泉政権はそれにこたえて、〇一年十月に制裁解除しました。パキスタンはNPT体制に入るとも何も言っておりませんが、制裁解除いたしました。そういうことで、論理的に考えますと、テロリストと闘うために核拡散を認めると、これは正に倒錯した論理であります。
 アメリカにはアメリカの様々な軍事戦略があるでしょうけれども、日本はやはり被爆国としてNPT体制をきっちりと守っていく、あるいはそれを再構築していくという視点からしますと、パキスタンに対する制裁を解除したことは、私は根本的に誤りだと思うんですね。だから、今、日本がやるべきことは、パキスタンなりインドなりにもう一度核を放棄してもらって、もちろんイスラエルに対してもそれを要求する。もうちょっとよろしいですか。
 イスラエルの場合は、私は、日本は非常にある種優位な立場に立っておると思いますのは、ユダヤ人問題としての過去を持っていないわけですね。ヨーロッパ諸国と違って、日本はナチと同盟しましたけれども、日本はユダヤ人に対して差別や迫害をした歴史を持っていない。だから、正面からイスラエルに対して核の問題も、それから今日の占領の問題も、何十年にわたって安保理決議を違反してきたことについて日本は堂々と言う権利を持っている。そのことによってまたアラブ社会の支持を得ることもできるだろう。
 ただ、もちろん諸外国からしますと、日本はアメリカの核の傘の下にのうのうといるじゃないかという批判があります。だから、今の北朝鮮問題とかかわって、日本と朝鮮半島全域を非核地帯にする、そして周辺のアメリカとロシアと中国はそれに対して攻撃を加えないという、そういった協定を北東アジアで結ぶという、そういった言わばNPT体制を根本的に再構築していくようなそういう方針があれば、先ほど言いましたように、簡単にパキスタンに対する制裁を解除しなかったというふうに思うんですね。(後略)
《引用終了》

 要するにアメリカが「テロとの戦い」と称して戦争を続けているアフガニスタンやイラク、あるいは核開発疑惑を突き付けている朝鮮やイランなどよりも、現在アメリカが対アフガン戦争で同盟関係を持っているパキスタンこそ、本当の「火薬庫」であるということだ。3年以上前の発言だが、今も基本的な情勢は変化しておらず、依然有効であろう。
 ムシャラフ大統領は最近、アメリカの圧力で文民となったが、実態は依然として軍事政権である。選挙前に野党の指導者が暗殺されるような国をアメリカは「同盟国」として扱い、日本も追随しているのである。日本はテロ特措法によるインド洋の給油活動でパキスタンを支援していた。そして今も福田政権は給油活動を再開しようともくろんでいる。
 そもそもパキスタンの治安がこれほど悪化した要因の1つは一連のアメリカの軍事行動にあり、アフガンの戦争がパキスタンに波及しているからにほかならない。しかもパキスタンの政府や軍とテロリストとの関係が切れていないという疑念は強い。アメリカがパキスタンを支援すればするほど、かえってテロが拡散しているのではないか。アメリカの戦争がテロの予防になっていないことは明らかだ。

 なぜかどの報道もさしたる根拠もなく「イスラム過激派」の犯行としているが(「アルカイダ」という話もでているが、今や何でもかんでもそのせいにできる便利な存在になってしまった)、当然ブット氏の支持者からは政権側の関与を疑う声が出るだろう。混乱状態は今後拡大するのは間違いない。核保有国であるパキスタンの不安定化はアジア全体を危機に陥れるものだ。
 テロ特措法は衆院での再議決による成立の公算が大きいが(民主党が問責決議を見送るという報道あり)、アメリカの戦争がアフガンやパキスタンを不安定化させている以上、日本は完全に手を引くべきである。
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by mahounofuefuki | 2007-12-28 12:28

「防衛省改革会議」に「改革」はできない

 「防衛省改革会議」の2回目の会合が今日(12月17日)開かれた。
 この会議は、海上自衛隊の補給艦「ときわ」がインド洋で行った給油量を実際より少なく報告していた問題と、同じくインド洋で給油活動に従事していた補給艦「とわだ」の航海日誌が防衛省の内規に反して破棄された問題を契機に、首相官邸に設置されたもので、すでに12月3日に1回目の会合が行われている。
 1回目の会合では、①文民統制の徹底、②厳格な情報保全体制の確立、③防衛調達の透明性確保の3点を会議の主題とし、来年2月頃に検討報告をまとめることを確認したが(朝日新聞 2007/12/03 12:12)、2回目の今日は福田康夫首相も出席し、自衛隊に対するシビリアンコントロールについて意見交換が行われた。
 以下、東京新聞(2007/12/17 夕刊)より。
(前略) 首相は冒頭、「問題の原因の多くは、防衛省・自衛隊の業務の在り方の基本にかかわっている。出直しのための改革にとって最良の基本的方向性を大所高所から提言してほしい」と述べた。
 会議では、海上自衛隊による給油量訂正隠ぺい問題について「責任の所在が明らかでない。この機会に、防衛省の組織、責任体制の在り方の抜本的見直しが必要」という指摘が出た。
 また、防衛調達の透明性を議論するため、同省OBら調達にかかわったことがある専門家を招いた勉強会を年明け以降に開くことで合意した。
 新テロ特措法案の審議過程で明らかになった給油量虚偽報告問題と航海日誌破棄問題は、すっかり守屋武昌前事務次官の汚職をめぐる軍需利権問題の陰に隠れてしまっているが、今も全容解明に至ったとは言い難く、疑惑の核心は依然藪の中である。虚偽報告も日誌破棄も現場レベルで行われ、政府や防衛省上層部に伝わっていなかったことが問題とされているが、むしろ自衛隊が給油した燃料をテロ特措法に反してイラク戦争に転用した証拠を意図的に隠滅したのではないかという疑惑こそ本当の問題であり、「改革会議」が真にシビリアンコントロールの確立の徹底を目指すなら、この証拠隠滅疑惑こそ追及しなければならない。
 しかし、1回目の会合の資料と今日の報道を読む限り、「改革会議」はあくまでも意図的な隠蔽とは捉えず、問題の所在を単なる官僚機構の責任体制の在り方にすり替えており、私たちの疑念に応える意思はまったくないらしい。こうした会議は年金記録検証委員会の例を見るまでもなく、「政府が改革に取り組んでる」という姿勢をアピールするためのパフォーマンスでしかなく、おそらく当たり障りのない「改革案」を提言して幕を閉じるだろう。まったく税金の無駄でしかない。

 そもそもこの「防衛省改革会議」は、首相官邸主導を強調するために、防衛大臣ではなく、内閣官房長官の直轄の下に置かれてはいるが、人選からして政府の「やる気」を疑わせる。
 構成メンバーは以下の通りである(内閣官房長官「防衛省改革会議の開催について」より)。
五百籏頭 眞(防衛大学校 学校長)
小島 明(社団法人日本経済研究センター 会長)
佐藤 謙(財団法人世界平和研究所 副会長)
竹河内 捷次(株式会社日本航空インターナショナル常勤顧問)
田中 明彦(東京大学大学院情報学環 教授)
御厨 貴(東京大学先端科学技術研究センター 教授)
南 直哉(東京電力 顧問)
 現在の肩書だとわかりにくいが、佐藤氏は元防衛事務次官、竹河内氏は元統合幕僚会議議長であり、いわゆる「背広組」と「制服組」の元トップで、防衛省の「身内」である。五百籏頭氏、田中氏、御厨氏はいずれも実績のある政治学者だが(私も学生時代に彼らの現代政治史の研究書を読んだ)、自民党タカ派に近いと目され、防衛省・自衛隊に対してとても厳しいことを言えるような人々ではない。しかも五百籏頭氏は現職の防大の校長である。また、佐藤氏と田中氏は、安倍政権が現憲法下での集団的自衛権の行使を容認するために設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーでもあった。「外部の第三者」と言えるのは、日本経済新聞出身の小島氏と東京電力生え抜きの南氏だけだが、この2人は安全保障問題に関しては「素人」であろう。
 防衛省の「身内」と軍事の「素人」で構成される「防衛省改革会議」にとても「改革」などできるはずがない

 こうなるとやはり国会が国政調査権を最大限に使って疑惑を追及するほかない。参議院での新テロ特措法案の審議は問題が拡散し、政局の道具になっているのが現状だが、単に給油を再開するかどうかという矮小化された議論ではなく、政府・防衛省・自衛隊全体を通した隠蔽体質を追及し、一連の疑惑の根っこにある対米追従の防衛政策そのものを俎上に上げるべきである。
 すでに国会の会期が延長され、新テロ特措法案の時間切れによる再議決が可能になってしまった以上、審議の中身で勝負するしか野党に活路はない。与野党逆転の今こそ機を失ってはならない。

【関連リンク】
防衛省改革会議-首相官邸
防衛省改革会議の開催について*PDF
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の設置について-官房長官記者発表
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by mahounofuefuki | 2007-12-17 17:24

新テロ特措法案のタイムスケジュール及び自衛官の自殺増加について

新テロ特措法案が衆議院テロ対策特別委員会で可決された。
明日(13日)の衆議院本会議でも与党の賛成多数により可決され、審議の舞台は参議院へ移る。
各種報道によれば、参院第1党の民主党は、参院ではイラク特措法廃止案の審議を優先し、新テロ特措法案の審議を遅らせて「時間切れ」を目指すという。

実は衆議院を通過したことで、政府・与党があくまで新テロ特措法案の成立に固執するのならば、タイムスケジュール上は十分可能になってしまった。
なぜか。今国会の会期は先に12月15日まで延長になったが、もしそれまでに参議院で法案が議決されなければ、審議未了で廃案となる。政府・与党がここで断念すればそれでよしだが、その可能性は限りなく低い。国会法第12条2項により、臨時国会は2度まで延長が認められており、今国会の会期はあと1度延長が可能だからだ。

憲法第59条2項により、参議院で否決された法案は、衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すれば成立する。
現在、与党は衆議院で3分の2以上の議席を占めており、再議決に持ち込めば新テロ特措法案は成立する。再議決のためには「参議院の否決」が必要で、参議院が採決しない限り可決も否決もないから、参議院がねばって採決を延ばせば衆議院での再議決は防げるかというと、さにあらず。憲法第59条4項の「60日規定」があるからだ。

憲法第59条4項は「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」と定めている。つまり、明日(11月13日)衆議院を通過した場合、60日後の1月12日以降は、たとえ参議院が法案を採決せずとも「否決」とみなして衆議院で再議決が可能なのである。
報道では再議決の場合、野党は参院で内閣問責決議を行うとしているが、衆院の内閣不信任決議とは異なり、首相の衆院解散権を拘束するものではない。そして厚顔無恥な福田首相は開き直って問責を無視し、そのまま臨時国会は終了するだろう。

国会法は第2条で、1月中の通常国会招集を定めている。つまり今国会は最長でも1月中旬までしか延長できない(当たり前だが通常国会の前に臨時国会が終わっていなければならない)。そこから逆算すれば11月中旬までに衆院通過することが、政府・与党にとって是が非でも必要だったのである。
与党が今日の委員会採決、明日の本会議採決に踏み切ったのは、何も首相のアメリカ訪問に合わせただけではないのだ(その辺も込みで訪米日程が決まったのだろう)。

こうなると返す返すも「小沢騒動」がいかに民主党にとって失点であったかがわかる。
もし「小沢騒動」がなければ、世人の目は一斉に防衛省汚職へ向いていたはずだ。この問題は攻めるに事欠かない。守屋武昌へのあの手この手の接待攻勢など、大衆好みの話題もたくさんある。世論は激高し、政府・与党はテロ特措法どころではなかったかもしれない。
しかし、小沢一郎をめぐる一連の「騒動」のインパクトがあまりに強く、山田洋行の元専務が逮捕されたというニュースも霞んでしまった。「騒動」の間に国会の会期延長もすんなり決まり(国会法第13条により、会期延長は衆議院の議決が優先される)、野党は十分に抵抗できなかった。

しかも、最低賃金法改正案と労働契約法案で、与党と民主党の修正協議という前例もできてしまった
福田政権は今後、通常国会でも予算案では憲法第60条2項の「30日規定」を用いて乗り切り、他の法案は個別に民主党と修正協議を行い、衆院解散を先延ばしするだろう。綱渡りの議会運営が可能なのは「衆院の3分の2」という「小泉の遺産」のためであり、どうやっても次の選挙では自民党は現有議席を減らすからだ。
衆院解散に追い込むには野党が結束して、政策協議やら修正協議など断固拒絶し、一切与党とは妥協せず、与党がもうだめだと政権を投げ出すくらいまで追い詰めなければならないのだが、果たして小沢一郎氏にその意思があるのかまったく疑問だ。

以上のように先行きは暗いが、参議院で野党がテロ特措法やイラク特措法の問題性を浮き彫りにし、さらに防衛省の汚職を攻めることができれば、まだ逆転勝利はあるとも言える。
今日発表されたNHKの世論調査では、特措法にについて「賛成」よりも「反対」よりも「どちらともいえない」が最も多く、総じて関心が薄いことが明らかになっている。この無関心状況から「テロ特措法はおかしいんじゃないか?」という「空気」を作り出せるかが、勝負の分かれ目だろう。

ところで、そのテロ特措法の基盤を揺るがすようなニュースがある。北海道新聞(2007/11/12 07:22)より。
*漢数字をアラビア数字に変換した。
2004-06年度で、自殺した自衛官が毎年度100人に達していることが11日、防衛省の調べで分かった。05、06の両年度は共に101人と過去最多で、07年度も半年間(4-9月)で53人とこれらを上回るペース。ストレスや部隊内でのいじめを背景に挙げる声もあるが、同省は原因は不明とする一方で「自殺者増は深刻。カウンセリングの充実を図りたい」としている。
 
 同省人事教育局によると、06年度の自殺自衛官は陸自65人(前年度比1人増)、海自19人(同4人増)、空自9人(同5人減)、事務官8人(増減なし)。過去10年間では、01年度の64人が最少で、04年度に初めて100人となり、3けたに突入した。10万人当たりの自殺者は06年度で38.3人。人事院がまとめた国家公務員の17.7人(05年度)の2倍強に当たる。

 原因をみると、同省の06年度調査で「その他・不明」が63人、「借財」23人、「家庭の悩み」11人と続く。

 自衛隊に詳しいジャーナリスト三宅勝久さんは、自殺の背景として「いじめや借金苦も後を絶たず、組織の閉鎖性も要因。海外派遣、テロ関連の警備強化もストレス増を後押ししている」と指摘。04年-06年7月にイラクへ派遣された陸空両自衛官のうち、帰国後の自殺者は7人を超す。(後略)
私は以前ある元自衛隊員から、海外派遣が増え、「テロ対策」の強化や日米軍事一体化が進んだこの数年、自衛隊の訓練が厳しくなり、隊内のいじめが激しくなって、自殺者が増加していると聞いたことがある。
また、2003年7月に衆院厚生労働委員会で、共産党の小沢和秋議員が、自衛官の自殺者が1993~2003年の10年間で601人に達していることを取り上げている(衆議院会議録 厚生労働委員会 第156回第25号)。

この記事はその後も自殺者が増加し続けていることを示しており、防衛省が何ら実効的な対策を取って来なかったことも証明している。
自衛隊に限らず、一般に自殺は「事故死」として処理することも多いので、もっと多い可能性もある。参議院の審議では、是非とも自衛官の自殺問題を取り上げ、自衛隊がとうてい海外派遣に耐えられる状況にないことを明らかにして欲しい。


《追記 2007/11/13》

社民党の照屋寛徳衆院議員の質問主意書に対する政府の答弁書によると、インド洋とイラクに派遣した自衛隊の自殺者は16人で、派遣全隊員の0.08%に相当するそうだ(毎日新聞 2007/11/13 16:39)。
防衛省は派遣と自殺の因果関係を認めていないようだが、内地よりも過酷な環境が自殺者を多くしているのは間違いない。
この問題を取り上げた照屋氏に敬意を表す。


《追記 2007/11/15》

昨日、「再議決可能になるのは1月11日」と「修正」追記したが、専門家に問い合わせたところ、本文で述べたとおり、「1月12日以降」で間違いないそうだ。二転三転して混乱したことをお詫び申し上げます。


【関連リンク】
日本国憲法-法庫
国会法-法庫
NHK調査 内閣支持率54%-NHKニュース
衆議院-会議録
自衛官が3年連続、年間100人超の自殺者-オーマイニュース
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by mahounofuefuki | 2007-11-12 22:54

新テロ特措法案

政府は17日、新テロ特措法案(正式名称「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」)を閣議決定し、衆議院に提出した。
衆議院のホームページにはまだ議案本文は掲載されていないので、正確なところは不明だが、各新聞報道によれば、現行のテロ特措法との主な相違点は次の通り。

①現行法の自衛隊の活動内容から「協力支援活動」「捜索救助活動」「被災者救援活動」を削除し、新法案ではインド洋での「海上阻止活動」に参加する各国の艦船への給油・給水活動のみを活動内容としている。
②現行法では活動開始から20日以内に国会の事後承認を必要とする規定があるが、新法案では削除された。
③新法案では特措法の有効期間は施行後1年である。

給油・給水を何よりも優先しているところに、現在の自衛隊の活動の本質が表れている。
要するにアメリカなどから捜索や救援といった人的支援はさして期待されておらず、気前よくタダで燃料と水をもらえることしか期待されていないのである。こんなものに多額の税金を投入するメリットなど一般の人々にはない。
しかも国会の事後承認規定を削除したのは、野党が参議院を握る状況に対応した露骨な国会軽視であり、とうてい容認できない。

政府が新テロ特措法案を用意する一方で、現行法が11月1日で期限切れになるため、インド洋の海上自衛隊は撤退準備に入るようだ。以下、読売新聞(2007/10/18 03:01)より。

 政府は17日、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋で給油活動をしている海上自衛隊の艦船を同法が期限切れとなる11月1日の翌2日から撤収させる方針を決めた。
 現在、インド洋で活動に従事している補給艦「ときわ」と護衛艦「きりさめ」は、10月27日に最後の給油を行い、約3週間かけて帰国する。
 政府は当初、撤収後も、早期に活動を再開させる観点から、他国艦船との交流や演習などの名目で海自艦船を周辺海域にとどめることも検討した。だが、17日に閣議決定した新テロ対策特別措置法案の成立のメドが立っていないことから、撤収と帰国はやむを得ないと判断した。
 政府は撤収方針を決めたことを受け、これまで燃料を提供した実績のある米、英、パキスタンなど11か国に対し、各国駐在大使など外交ルートを通じて、一時撤収と早期の新法案成立を目指す方針について説明する。
この撤退を「一時撤収」にしてはならない。あくまでも全面撤退でなければならない。


(追記 2007/10/30)

議案が衆議院のHPにアップされていたので、リンクを張っておく。
第一六八回 閣第六号 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案
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by mahounofuefuki | 2007-10-18 11:23

横暴で単細胞な「軍人」

日中戦争のさなかの1938年3月3日、国家総動員法案を審議する衆議院の特別委員会での出来事である。
政府側の説明員として出席していた陸軍省軍務課員の佐藤賢了中佐が、議員の野次にたまりかね「黙れ!」とどなりつける事件があった。
今ならさしずめ防衛省の課長補佐クラスが、国会で議員を一喝するようなものであり、処分は免れない。しかし、当時佐藤は何ら処分も受けず、すでに軍部の強勢に屈していた帝国議会は、衆議院・貴族院ともに満場一致で国家総動員法案を可決した。この国家総動員法によって政府は好きなだけ民衆を動員できるようになり、戦争への協力を強要していく。

自民党の中谷元衆院議員が14日のテレビ番組で、テロ特措法による海上自衛隊の給油活動継続問題について「これに反対するのはテロリストくらいしかいない」と暴言を吐いた。
このニュースを聞いた時、私は真っ先に佐藤賢了の一喝事件のことを思い起こした。中谷氏は陸上自衛隊の二等陸尉から、加藤紘一氏や宮沢喜一氏らの秘書を経て、国会議員に転身した人物であり、いわゆる「制服組」出身である。中谷元に佐藤賢了と共通する「横暴さ」を感じた。
いつの時代も軍人というのは横暴な単細胞なのである

「アメリカか、テロリストか」という短絡的な二者択一はブッシュ政権の論法である。
アメリカに従わないものはすべて「テロリスト」だというのは、世界を「敵」と「奴隷」に二分する暴論であり、まったく現実的ではない。アフガニスタンへの武力行使に全世界の国々が参加しているのならばともかく、たかだか10数カ国の「有志」が中央アジアの天然資源に群がっている状況で、そんな二者択一は成立しない。
「テロリスト」というレッテルを張ることで批判を封じるやり方は、言論の自由を封じるに等しく、とても国会議員の発言とは思えない。

中谷氏はすみやかに発言を撤回し、主権者と野党に謝罪するべきである。
同時にこんな「軍人」を議員に選んだ高知2区の有権者は深く反省してほしい。
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by mahounofuefuki | 2007-10-15 11:30

イラク戦争への「転用」だけが問題ではない

インド洋での海上自衛隊による給油問題は、テロ特措法が認めないイラク戦争への転用があったかどうかが焦点となっている。
市民団体や野党の調査では転用疑惑はもはや「疑惑」というより「事実」であるが、日本政府はあくまでもイラク戦争への転用がなかったと押し通すようだ。共同通信(10/14 07:43)によれば、防衛省はアメリカなどから提供された公開日誌などの資料を精査し、2002年12月以降の800件近い給油事案すべてでイラク作戦への転用がなかったと結論づけたという。アメリカ政府も最近は日本政府に口裏を合わせるように転用を否定しており、これで何とか国会を乗り切ろうという腹積もりだろう。

はじめから結論ありきの防衛省の「精査」など全く信用ならないのは言うまでもない。
2003年2月に海自の補給艦「ときわ」がアメリカ軍の空母「キティホーク」に間接給油していた問題の時も、政府は当時給油量を20万ガロンと国会で答弁していたにも関わらず、その後ピースデボの調査で実際の給油量が4倍の80万ガロンであったことが判明し、「データの入力ミス」という取ってつけたような理由で訂正した(しんぶん赤旗9月22日付)。
政府の防衛関係の発表など所詮は「大本営発表」でしかなく、そのまま信じるのはよほどのバカだけである

ところで、野党、特に民主党はこの転用問題を国会で追及して、給油活動継続のためのテロ特措新法を葬り去ろうとしているようだが、私はあまりにも転用問題だけに注目が集まり、給油活動ひいてはアメリカ軍などへの後方支援そのものの正当性が議論されなくなるのを危惧している。
もちろん自衛隊が法令に違反する活動を行っているというのは文民統制上からも危険であり、転用問題は軽視してよい問題ではない。
しかし、転用問題にばかり目を奪われると、まるでイラク戦争に転用さえしていなければ、インド洋での海自の活動は問題がないと錯覚してしまうのではないか。

本来問われているのは、テロ特措法により行われている自衛隊の活動が本当に必要なのかどうかである。テロ特措法が期限付きの法律なのは、期限切れの時点で活動の必要性や正当性を再検討することを前提としているからである。
しかし、政府・与党は何ら根拠も示さず、ただ国際公約だからとか各国から評価されているからとか、「外圧」を繰り返すばかりである。挙句の果てには「給油活動を続けなければ石油の輸入が減る」といった類のデマすら流している。
今国会ではこういう政府・与党の無責任な姿勢をただすべきなのだが、もっぱら転用があったか、なかったかという議論に絞られると、テロ特措法そのものの問題は矮小化してしまうのではないか。

だいたいイラクでもアフガニスタンでも、アメリカがやっているのは戦争である。仮にイラク作戦に転用されていなくても、アフガニスタンでの武力行使に日本が加担していることに変わりはない。そしてアフガニスタンでは一向に治安が良くならず、難民が増え続けている。現在アメリカ以下の国々が行っている「テロとの戦い」がまったく成果を挙げていないことは一目瞭然である。

マスメディアの誘導で給油活動継続に賛成する人々が増えている現在、テロ特措法をめぐる問題はイラク戦争への転用だけではないことをはっきりさせないと、政府・与党のごり押しがまかり通ってしまう危険性がある。野党はこの問題で足元をすくわれないよう気をつけねばならない。
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by mahounofuefuki | 2007-10-14 21:39

大臣も自信なし!?

テロ特措法による海上自衛隊のインド洋での給油活動で、海自がアメリカの艦船に給油した燃料がイラク戦争に転用されていたという問題。
テロ特措法はアフガニスタンでの活動に対する「支援」のための法であり、イラク戦争への転用は言うまでもなく違法である。
すでに、アメリカの公開文書でも疑惑はほぼ証明されているが、相変わらず日本政府はシラをきるつもりのようだ。

ただ注目したいのは、関係閣僚の発言である。
まず、高村正彦外務大臣(10月7日 NHK)
「対イラク作戦に使われたことはないと思っているし、米国からもそういう回答を得ている」
次に、石破茂防衛大臣(10月7日 テレビ朝日)
「目的外使用はないという心証を得つつある

「思っている」「心証を得つつある」とは、なんとあいまい!
言っている当人も自信がないことを表明しているようなものである。
ウソでも「そんなことはない!」と断言できないあたり、参院を野党が握る事態の反映か、彼らの良心の残存かは不明だが、いずれにせよ大臣が自信をもって「イラク戦争への転用はない」と言えない以上、この問題を放置したまま給油活動を継続するなどもってのほかである。

政府・与党やマスメディアが国際的孤立の恐怖を煽っているため、世論は給油活動継続賛成が増えているが、こんなデタラメな違法状態を続けることは法治国家として許されることではない。こんなものに多額の税金を投入していることに怒りをもってほしい。
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by mahounofuefuki | 2007-10-08 11:20