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Yahoo!百科事典はちょっといいかも

 インターネット時代になった最大のデメリットは、不正確な情報が次から次へと広がりやすくなったことだと思っている。その最たるものがweb上の百科事典「ウィキペディア」で、専門家も素人も同等で参加できてしまい、執筆・編集の責任の所在が不明確なのに、それでいて検索の上位にくるので一定の権威をもってしまっており、その悪影響ははなはだしい。大学のレポート課題でウィキペディアに依拠した学生がみな同じところを誤記していたなんて笑えない話があるほどである。少なくとも学問の領域に含まれる事柄は、web上に確実性の高いソースが欲しいと思っていた。

 そんな中、Yahoo!がweb上で無料のデジタル版百科事典を公開していることを最近知った。

 Yahoo!百科事典 - 無料のオンライン百科事典
 http://100.yahoo.co.jp/

 ウィキペディアとの決定的な違いは、ベースが『日本大百科全書』全26巻(小学館、1984-1994年)で、項目ごとに執筆者の氏名を明記していることである。元が紙媒体なので文章量が少なく、当然即時性は全くないが、正確性が高く、責任の所在が明確であるのは僥倖である。とりあえず大学の専攻分野だった日本近代政治史の関連項目を適当に読んでみたところでは、執筆者は学界の大御所・第一人者が多く、記述内容も要所を押さえている。もちろん常に学者が正しくて、素人が間違っているということにはならないが、アカデミズムの専門性はやはり尊重されるべきであろう。

 問題はベースの『全書』が10年以上前の刊行であるため、どうしても最近の研究水準からすれば記述が古くなってしまっている項目も少なくないことで、特に参考文献が古い場合が目に付く。無料コンテンツである以上、あまり贅沢は言えないが、少なくとも参考文献の追加は頻繁に行うことを望みたい。

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by mahounofuefuki | 2008-12-03 18:01

「インターネット報道協会」結成に思うこと

 インターネット上のニュースサイトを運営する各社がネット報道の質の向上を目指す「日本インターネット報道協会」が発足したという。

 ネットメディアの質向上をめざし、「日本インターネット報道協会」が設立される – JanJan
 http://www.news.janjan.jp/media/0808/0808013515/1.php
 ネット報道の質向上へ、「インターネット報道協会」設立 – Itmedia News
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/01/news103.html

 発足会員はジェイ・キャスト(J-CASTニュース)、日本ビデオニュース(ビデオニュース・ドットコム)、オーマイニュース、日本インターネット新聞(JanJan)、ベリタ(日刊ベリタ)、オフィス元木(元オーマイニュース編集長の元木昌彦氏)で、将来の法人化を目指し、法人・個人を問わず広く会員を募るという。この中ではJ-CASTがなんとなく「浮いている」感じを受けるが(「2ちゃんねる」の流言を垂れ流して、排外主義や差別主義を扇動する姿勢はいいかげんにして欲しい)、「質の向上」という言葉を違えないのならば何も言うまい。

 インターネットが普及しはじめた当初は、既成のメディアの閉塞を打ち破れるのではないかという期待を少なからず抱いてはいたが、実際は依然として既成メディアの壁が立ちはだかっているだけでなく、ネット特有の問題が次から次へと発生していて、ある種の隘路に迷い込んでいる。簡単には問題が解決されるとは思えないが、どうにかしようという志は買いたい。

 素人目には新聞とテレビという二大メディアが聳え立っていて、ネットメディアは主に週刊誌などの雑誌メディアのシェアを侵食して成立しているという印象がある(実際に雑誌はどのジャンルでも売れなくなっている)。ネットの最大の利点である速報性は専ら新聞社や放送局のニュースサイトの専売特許になっていて(掲示板やブログの「速報」の「元ネタ」でもある)、結果としてネット時代になって改めて大手のメディア資本の底力を見せつけられているように感じる。
 他方、掘り下げの深さや記事の完成度の高さという点でも、ネットメディアは活字メディアに水をあけられている。「記者クラブ」という明らかに「取材の自由」を侵害しているいかにも日本的な制度のせいもあるが、むしろ読者との金銭関係の有無の差(活字メディアは購読料を支払わないとならないが、ネットメディアは一部を除いて無料購読である)が出ているような気がする。

 最近話題の「ブログ通信簿」によれば私の「ブログ年齢」は50代だそうなので(笑)、考え方が古いのかもしれないが、何だかんだ言って今も「活字信仰」なところがあって、毎週1回は図書館へ行き、新聞や月刊誌・週刊誌などをチェックしてくる(書籍も含め貧乏で買えないので図書館頼み)。どうしてもネットだけに頼っていると不安になるからである。
 ネットは紙媒体と異なり文章量の制約がないので、既成メディアよりも報道が濃く深くなるのではないかと昔は考えていたが、実際は長時間ディスプレイを見続ける苦痛があるせいか、ネットの方が情報の「数」は圧倒的であっても、「個別の情報の中身」ははるかに薄い。「書き手」になるハードルが低いこともあって、信憑性にも疑問がある(前述の協会加盟社の中にも反科学的な陰謀論を流している場合がある)。
 市民運動や労働運動など新聞やテレビがなかなか報じないニュースはネットが唯一の発信源だし、社会的弱者の「声なき声」が「聴こえる声」になったのはネットの力ではあるが、私の中では既存のメディアへの不信を抱き、その権威を全面否定しつつも、依然としてネットは「B級」なのである。もちろん「B級」であることを捨てる必要はないが、やはりそろそろ「A級」の領域を侵食する「野心」をネット報道に求めたい。

 ちなみにブログも一応は広義の「報道」である以上、ネット報道を下支えするために「質の向上」を図らねばならないのかもしれない。本当はのんびり気楽に書きたいことだけを書いていたいのだけど・・・。
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by mahounofuefuki | 2008-08-02 22:04

教科書の出典がウィキペディアでいいのか

 もう世も末である。増進堂の高校用英語教科書がウィキペディアから転載した地図を掲載し、教科書検定も通過したという。以下、毎日新聞2008/03/26朝刊より。
(前略) 検定申請したのは、大阪市の出版社「増進堂」。英語の長文に「死刑制度の世界地図」という図を付け「07年、ウィキペディア」と出典を記した。図では、死刑制度のある国や廃止した国などが色分けされている。
 検定意見を受け、出版社側は国境線を修正。文科省は「図の出典の明記を求め、不正確な個所には意見をつけている。特に(引用に)異論は出なかった」と説明している。
 ウィキペディアには、この図の基となる死刑制度の国別リストも掲載されているが「リストは不完全」などと書かれている。25日現在、ネット上の図は教科書転載の図とは異なり、韓国やラオスなどが「死刑のある国」から「事実上廃止された国」に変わった。
 編集部は「人権団体の資料と照らし合わせ、図は正しいと確認した。引用は問題ないと思うが、学校現場の反応を見て作り直すことも検討する」としている。(後略)
 私は執筆・編集の個人責任が不明瞭であるウィキペディアに一貫して反対の立場をとっている。とにかく細部に誤りが多く、典拠も示されないことが珍しくない。これが個人のホームページならば「個人的見解」で済むが、仮にも「事典」と名乗っている以上、何よりも客観的な正確さと学術的な専門性が必要なはずである。故に当ブログでは今日までウィキペディアを参照リンクとして挙げたことはなかった。
 今回の「死刑制度の世界地図」は一見すると正確なようだが、「書きかけの項目」と明記しているように、項目内容は不完全である。そんな代物を教科書に転載してしまうことに、教科書執筆者や編集者は疑問を持たないのだろうか。教科書に載ることで子どもたちがウィキペディアの「信憑性」を誤信してしまいかねない。

 なお以前日本史教科書の件でも繰り返し述べたが、文部科学省の教科書検定が記述内容の学問性を担保できないことは今回の一件でも明らかだろう。事実上の検閲で言論・表現の自由を侵し、子どもが学問に立脚した教育内容を学ぶ自由も侵している現行の教科書検定制度は廃止するべきである。行政の検定がなくなることで、むしろ教科書発行者の責任が明確になり、専門家の裁量も広がる。検定の唯一の正当性である「客観性の担保」がもはや崩壊している以上、検定廃止は必然である。

【関連記事】
教科書調査官の系譜~「さるのつぶやき」より

【関連リンク】
教科用図書検定規則(平成元年4月4日文部省令第20号)-文部科学省
教科書一覧|高校英語教科書|馬のマークの増進堂・受験研究社
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by mahounofuefuki | 2008-03-26 11:36

「難民世代」の恨み節

東京大学の研究グループの調査によれば、現在の大学生の5人に1人が、高校生の時にほとんど勉強しないで進学したという。さらに2人に1人が、勉強時間が1日2時間以下だったという。
話には聞いていたが、凄まじいまでの学習意欲の低下である。

1970~80年代前半生まれの「難民世代」とか「氷河期世代」とか呼ばれる私たちの世代は、だいたいが第1次ベビーブーム世代の子どもなので、前後の世代よりも人数が多く、しかも、長期の構造不況に遭遇したため、進学も就職も「狭き門」であった。
課外で勉強せずに大学へ入るなど、よほどの「三流」大学でもない限り、考えられなかった。

しかし、急速な少子化の進行で、「狭き門」は「広き門」になり、選ばなければ、大学にはどんな低学力者でも入れるようになったわけである。
「一流」大学こそ依然として高倍率ではあるが、定員が減ったわけではないので、以前に比べて相対的に学力が低くなっているはずだ。
さらに、この10年の所得格差の増大と学費の値上げで、進学には学力よりも財力がものを言うようになり、優秀でも貧しい者や地方在住者は進学が不利になった。
現在、将来の日本社会を背負う「一流」大学進学者の多くは、金持ちの「バカボン」ばかりとは過言だろうか。

もうひとつ見逃せないのは、インターネットが学習習慣の定着を妨げていることである。
地道に勉強せずとも、ネットの検索機能を駆使して、「お手軽」に物事を知ることができるようになってしまった(それが正確でないからタチが悪い)。
今や、大学のレポートをウィキペディアからの丸写しで提出する学生が「スタンダード」だし、小中学生でも平気で宿題の答えを「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」で得ようとする。宿題代行業なるものも登場した。
私たちの世代でも、すでに「努力と根性」は過去の遺物であったが、今や何でもありである。

私たち「難民世代」は、たとえどんなに優秀でも、新卒一括採用からあぶれてしまうと、正規の職には就けなかった。しかし、今の若い人々は、こんなに「テキトー」でも、売り手市場のため就職できる。この不公平は何とかならないものか。
こんな状態が長く続けば、社会のあらゆる領域で実務能力がどんどん低下していく。すでにその兆候は表れている。早急な対処が必要だろう。

今回のブログは完全に「恨み節」になってしまったな・・・。
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by mahounofuefuki | 2007-09-23 05:43

ウィキペディアは使えない

前の記事で、ウィキペディアは使えないという話をしていたら、なんてタイムリー(笑)。
まあ、これは氷山の一角だろう。
セコイ、としか言いようがない。

ウィキペディアは基本方針として、「中立」「検証可能」を謳っているが、物事に「中立」などないし(それは単なる「日和見」である)、「検証」とは検証能力のある人間がいなければできない。匿名であるがゆえに、どんな優れた学者でも、まったくの素人と同じ権利しか持たないウィキペディアのシステムでは、どうやっても正常化は無理である。

改めて言おう。ウィキペディアは使えない。
労を惜しまず、本物の百科事典を使うように。
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by mahounofuefuki | 2007-08-31 23:08

『知恵蔵』休刊

部数減で休刊や大幅衣替え 知恵蔵とイミダス(47NEWS)

『知恵蔵』がついに休刊し、『イミダス』も衣替えになるという。
インターネットの普及で、消えるのは時間の問題と思ってはいたが、いざ本当に消えるとなると寂しい。私が学生だった頃は、『イミダス』『知恵蔵』に『現代用語の基礎知識』を加えた3点セットは、ある意味必携アイテムだったからだ。特に流行に疎い私には、最新のトレンドを知る上で重宝したものだ。社会科学関係の用語を調べるのにもよく使った。

ネットは確かに便利である。一瞬で検索できる利便性に慣れてしまうと、分厚い本をページを捲って調べる労がばかばかしくなる。
しかし、ネットは便利ではあるが、誰でも情報を発信できるだけに、受け手には膨大な情報を選別する能力が問われる。ウソや捏造も多い。
ウィキペディアで、自分の専攻分野の項目を読んで、たまげたことがある。あまりにも初歩的なミスや思い込みが多く、専門家なら絶対に書かないような内容だったからだ。
故に私は今も、特に学術関係で調べものがある時は、図書館へ出向き、専門の事典や研究書にあたることにしているが、何も知らず誤った情報を信じている人がいると考えると、背筋が凍る思いだ。

これを機に、いまいちど出版文化とネット文化の両立について、考える時ではないだろうか?
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by mahounofuefuki | 2007-08-31 17:15