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「テロとの戦い」の帰結としての海上自衛隊集団暴行事件

 またまた自衛隊の不祥事の表面化である。9月9日に海上自衛隊の第一術科学校(広島県江田島)の特別警備隊養成課程で1対15の徒手格闘が行われ、25歳の三等海曹が後頭部の強打により意識不明となり、同月25日に死亡したという。

 「教官2人の立ち会いのもとで、午後4時ごろから防具とグローブを着けて他の隊員15人を相手に1人につき50秒ずつ、パンチやけりで格闘」(朝日新聞2008/10/14 10:13)、「レスリングマットを隊員らが囲み、男性が倒れ込むと、引き起こして続けた」(読売新聞2008/10/14 13:40)というから尋常ではない。どうみてもこれは「集団リンチ」である。すでに一部で指摘されているように相撲部屋の「かわいがり」と大差ない。「教官2人の立ち会いのもとで」というのは重要で、辞めようとする「脱落者」に対する組織的な制裁とみて間違いないだろう。

 海自の特別警備隊は1999年の「不審船」事件を契機に創設された対テロ戦のための特殊部隊で、隊員は海自全部隊から公募して選抜される。発足当初よりイギリスやアメリカの特殊部隊の指導を受け、白兵戦を想定した実戦訓練を重ねており、自衛隊の中でも最も過酷な部隊の1つである。死亡した三曹は特警隊入りを目指して養成課程に入ったものの、おそらく厳しい訓練に半年ももたず、途中で辞めることを決意したのだろう。

 「今年7月にも、特別警備隊の養成課程をやめる直前だった隊員が16人と徒手格闘訓練をし、歯が折れるなどのけがをしたという」(朝日、同前)から、中途脱落者に対する制裁が常態化していることが窺える。中途で辞める者はいわば「ケジメ」として他の隊員からの制裁を受けるのが、この課程の暗黙の「掟」となっているのだろう。これはもはや「ヤクザ」の論理である。ちなみに7月の事件では16対1、9月の事件では15対1、いずれも養成課程の全隊員(同課程の募集は年1回だというから中途補充はないと思われる)が参加しており、死亡した隊員も7月の事件の時は「加害者」だったと推定できる。

 以前、当ブログで自衛隊員の自殺増加の件に言及した時、自衛隊が従来の「専守防衛」の組織から、日米一体化の下での海外派兵を前提とする「外征」型の軍隊に変貌しつつあることが、隊員の心身の疲弊に影響していると指摘したが、今回は対テロ特殊部隊という最精鋭の部隊のための育成機関で起きた事件であり、「テロとの戦い」のための過酷な訓練が自衛隊員の人間性を奪っている象徴的事例とさえ言えるだろう。実戦を前提とした軍隊は普通の人間をも殺人マシーンに変えてしまう。躊躇なく人間を殺せるような訓練を受けている以上、集団リンチにも疑問を持たなくなってしまう。そんな殺伐とした環境にいれば誰もが「逸脱」行動を起こしうる。

 今回の問題について、自衛隊の人権問題を追っているジャーナリスト三宅勝久氏が次のように指摘している。

 隊員はモノ以下の自衛隊 海自集団暴行事件に思う - 『自衛隊員が死んでいく』暫定ブログ
 http://blogs.yahoo.co.jp/jieijieitaitai/17787192.html
「眼窩底骨折、鼓膜裂傷、顔面裂傷・・・暴行で懲戒処分を受けた自衛隊員は、昨年1年間で80人を超える。その処分はせいぜい停職一ヶ月どまり。数日から戒告というものも多くある。特に階級が上のものが下級の隊員に対してふるった暴力は「指導」の一環だとして、軽くなる傾向がある」

「隊内で起きていることは、やがて隊外でも起きる。昨年度暴力で懲戒処分を受けた80人以上のうち、30人近くは一般市民を巻き添えにした事件を起こしている」(太字強調は引用者による)

 自衛隊員の「逸脱」は単に組織内だけの問題ではなく、市民社会にも影響しているにもかかわらず、十分な処分が行われていないのである。この種の問題はたいてい表に出るのは氷山の一角だから、実際は全く処分されず闇に消えた事件も多数あるだろう。浜田靖一防衛大臣は「(今回の訓練は)特殊、特別なのかという気がしないでもない」(共同通信2008/10/14 10:37)などと呑気な発言をし、海自もいまだ「事故」として処理しようとしているが、そこには日米安保体制強化に伴う組織的疲弊の現実や自衛隊員の人権擁護に対する危機感はなく、ましてや自衛隊員の暴力が市民生活の脅威になっているという意識など微塵もない。

 この問題をうやむやにしてはならない。自衛隊の暴力体質を白日の下に暴き、人権状況を徹底的に改善する必要がある。インド洋で「米国の、米国(の油)による、米国のための洋上給油」(水島朝穂氏)などしている場合ではない。

【関連記事】
自衛隊、こわれてる?

【関連リンク】
YouTube - 海自の特別警備隊 訓練初公開
http://jp.youtube.com/watch?v=fM3s4tRBqLc
*昨年行われた特別警備隊の公開訓練の様子を伝えるテレビニュース。隊員の育成には相当過酷な訓練を要するのが読み取れる。

防衛省・自衛隊:平成18年度における懲戒処分の状況について
http://www.mod.go.jp/j/news/2007/09/14e.html
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by mahounofuefuki | 2008-10-14 18:15

「世界恐慌だから我慢しろ」論法に注意

 アメリカ発の金融危機はもはや底が見えないほどに拡大し、単なる不況というより「世界恐慌」であるという見方さえ出ている。新自由主義がこれで終焉するという期待は別として、現実問題として恐慌となれば、またしても貧しいもの、弱いものほどダメージを受けるのは歴史が示す通りで、これまでただでさえ痛めつけられてきたのに、ますます生存権を脅かされると思うと、本当に憂鬱である。

 今からあらかじめ指摘しておくと、今後「世界同時不況だから」とか「世界恐慌だから」という口実で、庶民の負担増や景気対策に名を借りた金持ち優遇策が顕在化するだろうし、労働条件の引き下げや労働者の首切りもどんどん正当化される恐れがある。「世界恐慌でみんなが苦しいのだから君も我慢しろ」という論法である。「経済危機なので挙国一致内閣に」なんてことも浮上するかもしれない(1930年代の欧州諸国や日本のように)。

 「世界恐慌だから我慢しろ」論法に注意すべし。あくまでも国家には「生きさせろ」と生存権の保障を要求し、巨大企業には資本家こそ血を流せと反撃することが肝要である。
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by mahounofuefuki | 2008-10-11 20:20

「全国青年大集会2008」のまとめ

 今月5日に東京・新宿の明治公園で行われた「全国青年大集会2008」(全労連主催)については、すでに「大脇道場」さんや「村野瀬玲奈の秘書課広報室」さんらが秀逸なエントリを上げておられるので遅きに失した感はあるが、同集会では雇用待遇差別問題を考える上で重要な発言がいくつも為されているので、弊ブログでも報道と記録に関するリンクを整理する。

《報道と写真・動画》

 全国青年大集会 不安定雇用の現状を若者がアピール – JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/living/0810/0810068839/1.php

 希望集め 青年4600人/人間らしい労働ルール 団結の力で/東京・明治公園 – しんぶん赤旗
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-06/2008100601_01_0.html

 写真速報:全国青年大集会に4600人~「反貧困労働運動」にはずみ - レイバーネット
 http://www.labornetjp.org/news/2008/1005shasin/

 YouTube – 10/5 10・5全国青年大集会2008
 http://jp.youtube.com/watch?v=00yiezXbbAE

 YouTube – 10/5 10・5青年大集会 志位委員長があいさつ
 http://jp.youtube.com/watch?v=n5GW_aat8uk&feature=user

 松下プラズマ偽装請負訴訟の報告中の「労働者派遣は人身売買と同等とみなされ、禁止されている労働者供給事業の例外としてのみ認められている雇用形態」という指摘、現役の日雇派遣労働者の「私達はモノではない。不当な扱いを望んでいない。まだ、大丈夫という言葉は、自分をがんばらせるために言っている。今のままでは希望がもてないという悩みは、正規、非正規、学生でも同じ」という切実な訴えなどは非常に重い。

 「貧困は自己責任ではない」が、憲法や労働基準法や生活保護法を守らせる責任、社会保障を充実させ、労働の崩壊に歯止めをかける責任を我々は負っているという、自立生活サポートセンター事務局長の湯浅誠氏の発言も深く考えさせられた。共産党委員長の志位和夫氏の「どんな形であれ、『首切り自由の使い捨て労働』はなくせ。正社員にしろ」という言葉には、正社員の労働条件引き下げによる偽りの雇用待遇差別是正論が幅を利かすなかで、非常に勇気づけられた。


《集会のアピールと決議》

 青年大集会アピール – まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい!
 http://blogs.yahoo.co.jp/seinen_koyou_syukai/25949409.html
◆政府と大企業は、派遣、請負など不安定な雇用を増やし続けることをやめ、安定した雇用を抜本的に増やしてください。
◆「サービス残業」「偽装請負」「名ばかり管理職」など企業の違法行為をただし、働く若者の命とくらし、安全を守るために、実効力のある措置をとってください。違法を告発した若者が仕事を失うことがないようにしてください。
◆若者が技術や能力を十分に発揮し、よりよい仕事ができるよう、長時間・過密労働をなくしてください。医療・介護・福祉・教育・保育など、生活に必要な雇用を増やしてください。
◆だれでもどこでも、最低賃金を時給1,000円以上にしてください。
◆「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」など、若者の貧困を解決するために、「使い捨て」労働をなくし、生活保障つきの職業訓練を拡充するなど、国と自治体が真剣にとりくんでください。
◆燃料・資材の高騰で苦しめられている中小業者を営む若者の生活を支えてください。
◆世界一高い学費を引きさげ、学費免除制度や奨学金を充実させてください。学業との両立と公正な採用のための就職活動のルールをつくってください。

 「全国青年大集会2008」 特別決議 – まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい!
 http://blogs.yahoo.co.jp/seinen_koyou_syukai/25949431.html
① 労働者派遣は、臨時的・一時的業務に限定するとともに、派遣元に常時雇用される常用型を基本とし、登録型は例外として厳しく制限すること。
② 日雇い派遣・スポット派遣はただちに禁止すること。
③ 派遣期間の上限を1年とし、1年の雇用期間を超えた場合や違法行為があった場合は、派遣先が直接雇用したものとみなすこと。
④ 派遣労働者への差別を禁止し、正社員との均等待遇を保障すること。
⑤ 派遣元のマージン率(派遣手数料)の開示を義務化し、上限を規制すること。

《集会で報告された「日雇派遣」実態調査》

 全国青年大集会実行委員会「日雇い派遣調査の特徴とまとめ」*PDF
 http://www.seinen-u.org/081003%20hiyatoi-matome%201.pdf
 同前「『日雇い派遣』実態調査の集計結果」*PDF
 http://www.seinen-u.org/081003%20hiyatoi-matome%202.pdf

 日雇労働者のナマの声。人間扱いされていない実態と、一方で諦念と自己責任の内面化が深刻であることが読み取れる。


 集会自体は共産党-全労連-民青というラインの恒例の行事なので、党派性がどうのとか、「連帯の可能性」を過大評価しているといった批判もありうるだろう。ただどのような立場にあるにせよ、「人間らしい働き方」の確立を目指す上で、今回の集会はいろいろ示唆するものがあると思う。

【関連リンク】
全国青年大集会に行ってきました|労働組合ってなにするところ?
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10147804054.html
*動画では窺い知ることのできない分野別交流会のお話は貴重。
大脇道場NO.630 「たたかう、かっこいい人」希望と連帯・・・全国青年集会に4600人。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-699.html
大脇道場NO.631 「朝日」が青年大集会をスルーした訳がわかった。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-700.html
大脇道場NO.632 現代「女工哀史」・・・日雇い派遣前田さんの訴え。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-701.html
大脇道場NO.634 「貧困は自己責任ではない。では私たちに責任はないのか?」
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-702.html
村野瀬玲奈の秘書課広報室|4600人が集まった全国青年大集会の重要さ
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-915.html
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by mahounofuefuki | 2008-10-10 23:26

進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党

 昨年の今頃、国会における政局の焦点は、インド洋での海上自衛隊の給油支援活動を継続するためのテロ特措法の帰趨であった。結果は、野党が多数を占める参議院が否決したため、政府・与党は衆議院で3分の2の多数による再可決を強行し、給油活動は1年延長された。その現行法は1年時限なので、活動を継続するには再び国会で法改正しなければならない。今年もまたテロ特措法改正案を巡る攻防が臨時国会で繰り広げられるはずだった。

 ところがである。昨日の新聞各紙は、民主党が同法案の審議の短縮と早期の採決を容認し、会期内での衆院再可決が可能となったため、今国会での成立が確実になったと報じた。「民主党側は8日、改正案の委員会審議に10日に入り、同日中の採決にも応じる考えを自民党側に伝えた」(朝日新聞2008/10/08 15:08)、「民主党としては、麻生首相が成立への意欲を示す同改正案を早々と成立させることで衆院解散を促し、次期衆院選での争点となることを回避する狙いがある」(読売新聞2008/10/08 14:35)。

 要するに民主党は早く解散して欲しいので、テロ特措法改正案には形だけの反対しか行わず、早期の成立を黙認するということである。昨年は一応抵抗の姿勢を示し、対案すら提出している問題なのに(その対案には問題があるが)、今回は政局を優先して抵抗を事実上放棄するというのは公党としてどうなのか。補正予算も大した審議もせずにあっさりと賛成したが、これでは「解散してほしくば、政府・与党案に協力しろ」と迫られ、次々と妥協を繰り返しているようである。

 しかも早期解散を求める一方で「次期衆院選での争点となることを回避する狙い」とは片腹痛い。麻生政権がテロ特措法を総選挙で争点化するのならば、堂々と受けて立てばよい。アメリカ発の金融危機で対米一辺倒の外交路線の見直しが現実的課題となり、外国軍への「無料ガソリンスタンド」など行う経済的余裕が消えているという現況にあって、この問題の争点化が特段与党に有利に働くわけでもない。選挙戦略としても理解不能である。

 今回の民主党の姿勢は、結局のところインド洋給油問題を軽視し、本気で抵抗する気が最初からなく、せいぜい政局の道具として反対しているにすぎないことを実証したと言えよう。麻生首相が就任直後、真っ先に給油継続を国際公約するほど、政府・自民党はアメリカへの「忠誠」の証を示すことに躍起となっているが、民主党も政権獲得が現実味を帯びてくるにつれて、自民・公明両党と同様、ますます日米安保体制の強化という支配層主流の既定路線を邁進している。「政権交代」で自民党政治が終わると信じている人々の思いとは裏腹に、民主党の顔はすでに財界とアメリカに向いているのだ。

 ある意味今国会は、これまでも(たとえば労働契約法や宇宙基本法で)顕在化していた自公民談合・協力体制が完成しつつあると言える。どうせ解散になるから、と楽観している間に、次々と悪法の「駆け込み可決」が行われることが心配だ。すでに福田前首相が退陣表明した直後、大勢が新内閣発足直後の解散を予想する中で、弊ブログでは即時解散が望ましいが、実際には自公政権は「衆院3分の2」を簡単には手放さない、解散は先送りされると指摘したが、当時の私の予測が現実になっている。いかに野党が与党に「塩」を送ったところで、解散は首相の胸先三寸次第であり、民主党の行いは「エサ」に釣られた単なる一方的屈伏でしかない。

 こうも躊躇なく自公政権と協調できるのは、改めて総選挙後の民主党の動向に疑念を生むことにもなろう。選挙結果がどうなろうとも、参院の現況や経済情勢も考慮すると、表向きは激しい対立を装いつつ、要所では助け合う自民・公明と民主の「あ・うん」の呼吸は長らく続きそうである。

【関連リンク】
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法 - 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20HO001.html
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案 - 衆議院
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17005004.htm
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by mahounofuefuki | 2008-10-09 21:10

消費税増税と労働者派遣法改正の各リンク集を更新しました

 サイドバーにリンクしているのにしばらく放置したままだった、消費税増税問題リンク集労働者派遣法改正問題リンク集を更新した。一部不要になったリンクを削除し、新たにいくつか追加した。

 消費税問題では、最近公表された経済産業省の研究会の中間報告と日本経団連の意見書が、いずれも法人税の引き下げと消費税の引き上げを要求していることが注目される。ここまで堂々と大企業のエゴを丸出しにされると潔ささえ感じてしまう。

 経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会「中間論点整理」の公表について - 経済産業省
 http://www.meti.go.jp/press/20080916010/20080916010.html

 日本経団連:税・財政社会保障制度の一体改革に関する提言~安心で活力ある経済社会の実現に向けて~
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/068/honbun.html


 労働者派遣法問題では、労働政策審議会に提出した「格差是正と派遣法改正を実現する連絡会」の意見書が重要である。

 厚労省労政審に対する意見書 ガテン系連帯☆ブログ
 http://gatenkei2006.blog81.fc2.com/blog-entry-193.html

 結局、労政審ではこの意見は受け入れられず、「日雇派遣」の表面的禁止の陰で規制緩和を盛り込んだ建議が出された。

 厚生労働省:労働政策審議会建議―労働者派遣制度の改正について
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0924-3.html

 衆院解散先送りが濃厚になり、さらに民主党が早期解散を優先するために与党への妥協を重ねている中で、この建議を元にした労働者派遣法改正案が今国会で成立する危険性が強まっていることに注意するべきである。
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by mahounofuefuki | 2008-10-09 00:04

都知事と台東区長は五十歩百歩

 東京都の石原慎太郎知事が3日の記者会見で、大阪の個室ビデオ放火事件に関連して、「ネットカフェ難民」や山谷の簡易宿泊所に言及したトンデモ発言が波紋を広げている。

 問題の石原発言は次のようなものだ(毎日新聞2008/10/07朝刊、太字強調は引用者による、以下同じ)。
「山谷のドヤに行ってご覧なさいよ。200円、300円で泊まれる宿はいっぱいあるんだよ。そこに行かずにだな、何だか知らんけれでもファッションみたいな形でね、1500円っていうお金を払ってね、そこへ泊まって『おれは大変だ、大変だ』って言うのはね」
 要するに、ネットカフェや個室ビデオなどに寝泊まりしているのは好きでやっていることで、本当に生活困難ならば「200円、300円」の簡易宿泊を利用しているはずだ、と言っているのである。これに対し、6日付で「自立生活サポートセンターもやい」が石原氏に公開質問状を送付した。

 石原都知事に公開質問状「200円の宿があるなら紹介してください」- レイバーネット
 http://www.labornetjp.org/news/2008/1223258651860staff01

 質問の主旨は①本当に200円、300円で泊まれる宿がたくさんあるのか具体的事実を提示せよ、②事実誤認ならば発言を公式に撤回せよ、③事実誤認を改めて総合的・包括的な生活困窮者支援策を打ち出せ、の3点である。質問状では、石原氏の思い込みとは裏腹に、実際には「都内では山谷地域でも一泊1000円以下の簡易旅館は皆無に近く、1500円以下の宿泊先を見つけるのですら、困難な状況」と指摘しているが、いかに石原氏が貧困問題に無頓着であるか、図らずも証明したと言えよう。

 一方、今日になって東京都台東区の区長と区議会議長が、石原氏に発言の訂正と謝罪を要求した。共同通信(2008/10/07 18:17)より。
 個室ビデオ店放火殺人事件に関連して東京都の石原慎太郎知事が「山谷は200円、300円で泊まれる宿がいっぱいある」と発言したことに対し、山谷地区がある台東区の吉住弘区長と木下悦希区議会議長が7日、記者会見し「重大な事実誤認がありイメージが損なわれた」として、知事に発言の訂正と謝罪を求める抗議文をそれぞれ出したことを明らかにした。

 台東区によると、同区と荒川区にまたがる山谷地区には現在、約160軒の簡易宿泊所がある。中には1泊1000円以下の宿泊所もあるが、おおむね2000円程度だという。

 抗議文では「(山谷地区は)地元や関係者の努力により、外国人観光客やビジネス客の利用も増えている。発言により当該地域のイメージが著しく損なわれ、誠に遺憾」などとしている。

 吉住区長は「今は200円、300円という時代ではない。都のトップがそういう認識というのは非常に残念だ」と述べた。(後略)
 今日のテレビ報道などでは、「もやい」の抗議と台東区の抗議を同じようなものとして扱っていたが、両者に共通するのは「山谷には200円、300円の宿泊所などない」という事実認識だけで、問題の捉え方は180度異なる。台東区長らの抗議内容には重大な問題がある。

 台東区の抗議は、要するに「観光客やビジネス客も山谷の簡易宿泊所を利用しているのに、石原発言のせいで貧困労働者ばかりが集まっているようなイメージが高まり迷惑している」ということである。「200円で泊まれるような宿はない」というのは「もやい」の抗議と同じだが、台東区の方は「そんな貧乏くさいものが存在するように思われるのは困る」というニュアンスがある。ここには山谷の「対外的」イメージを気にする姿勢しかなく、労働者の排除の方向性すら読みとれる。行政としての貧困対策の必要性を全く軽視しているという点で、石原氏と台東区長らは五十歩百歩なのである。

 中央がさっぱり貧困問題に本腰を上げないなかで、地方自治体にやれることは限られているとはいえ、自治体のトップがこんなお粗末な認識では全くどうにもならない。石原氏は今日になって記者団の「ぶらさがり」で、バツが悪そうに発言を訂正していたようだが、これは「記者会見の場での公式の撤回」とは言えまい。同時に街の「イメージ」を理由に労働者を厄介者扱いする台東区長らにも、批判の矛先は向けられるべきだろう。

【関連記事】
生活保護と生存権
東京都の「ネットカフェ難民」支援
生活保護行政が「生活保護以下」の職を斡旋する矛盾
「日本版デュアルシステム」で「ネットカフェ難民」対策ができるのか
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by mahounofuefuki | 2008-10-07 21:57

マイケル・ムーア「ウォール街の危機を救う方法」を全面支持します

 もうあちこちで転載されているようなので、いまさらかもしれないが、映画監督のマイケル・ムーア氏が「ウォール街の危機を救う方法」という書簡を公表している。

 ウォール街の危機を救う方法 ― マイケル・ムーアの手紙 - 薔薇、または陽だまりの猫
 http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/62766010f2311eff6f9a760fbd325eba

 先にアメリカ議会で一度は金融安定化法案が否決された時、議員の選挙事情のエゴだとか、公的資金投入しか方法はないとか、恐慌になったらどうするんだとか、いろいろ批判があったわけだが、「金持ちのマネーゲームのツケを何で社会全体で負担しなければならないんだ!」というアメリカ民衆の怒りはもっともだと私は思っていた。

 ムーア氏の主張はラディカルで非現実的に見えるかもしれないが、これを「ラディカル」「非現実的」という「ものさし」自体、グローバリズムに毒されて思考停止に陥っているとあえて言おう。累進課税と公的給付による再分配効果が極限まで低下した社会の歪みがここにある。金持ち増税、規制強化、犯罪的資本家の刑事訴追、役員報酬の制限、公的金融の回復・・・すべて今の日本社会でも必要なものばかりだ。ムーア提案に全幅の共感を表したい。
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by mahounofuefuki | 2008-10-07 00:00

大衆の「願望」が政治家の「虚像」を形成するという問題

 麻生太郎首相が先日の国会答弁で戦争責任に関する「村山談話」の継承を明言したことで、「ネット右翼」層に「麻生に裏切られた」という声が上がっているそうである。

 J-CAST:首相の「村山談話継承」発言 ネット麻生ファンに失望感噴出
 http://www.j-cast.com/2008/10/03028027.html

 そもそも麻生氏はこれまで靖国神社の非宗教化やA級戦犯分祀を支持したり、外務大臣時代には「北方領土面積折半」論を唱えるなど、とうてい「ネトウヨ」が望むような政治家ではなく、国際関係の現状維持を前提とする「旧来の保守」である以上、安倍政権でさえ維持した「村山談話」を否定することなどできるはずもない。この種の人々がいかに表層のイメージに流されやすいかを如実に示していよう。

 麻生氏については、以前「失言」が許されてしまう人というエントリで、田中眞紀子氏や小泉純一郎氏や橋下徹氏のような真のポピュリストではなく、半ば自己演出によるキャラづくりの結果、「人気者」という虚像が形成されていると指摘したことがある。

 たとえば彼の愛称「ローゼン閣下」は、漫画『ローゼンメイデン』を空港で読んでいたところを目撃されたという「都市伝説」めいた逸話がきっかけになっているが、当時本人が「たまたま」読んだと明言しているにもかかわらず、勝手に「オタクの味方」に仕立てられたものである。ちなみに私は彼が『ローゼン~』を「少女漫画にしては重厚だ」と評していたのを聞いて、あれって少女漫画か?と疑問を持つと同時に、「少女漫画」=「軽薄」という前提に反発を覚えていた。「こいつは少女漫画をまともに読んだことがないな」とも思った。つまり麻生氏は真の漫画読みではない。

 *この機会に言っておくが、「ローゼン閣下」とか「ローゼン麻生」と見聞きするたびに、麻生の顔をしたゴスロリ風衣装を纏った人形が「麻生家の下僕になれ」と言っている絵が浮かび、いつも不快な思いをしている。

 いずれにせよ麻生氏が自己演出し、大衆が勝手に思い込んでいた虚像は、首相となってからどんどん崩れつつあると言えよう。自民党内での支持基盤の小さい彼には政権運営のフリーハンドはなく、一方首相という責任ある立場では「失言」にも慎重にならざるをえず、それがかえって右傾大衆の支持を失うという結果になっている。

 また、国会答弁も今のところほとんどが官僚の作文の棒読みで、威勢の良さはすっかり鳴りを潜めている。集団的自衛権の行使を容認するという重大な憲法違反発言こそあったが、基本的には福田内閣の新自由主義「漸進」路線を継承している。麻生内閣は従来の自公政権の枠内で、忠実に政財官癒着体制を継続しているのである。

 麻生氏をめぐるネット上の茶番は、政治家を判断するにあたって、人格的イメージや口先だけの表層の虚像に惑わされることなく、実際にどんな政策を行い、どんな政治行動をとっているのか、事実に基づいて検証する必要があることを示している。これは何も与党だけに当てはまるのではない。野党に対しても勝手な思い込みによる虚像を仕立てるのは慎むべきである(特に小沢信者に注意を促したい)。
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by mahounofuefuki | 2008-10-05 21:59

「1人の市民を減らして3人の奴隷を増やす」のではなく「3人とも市民にしろ」

 数日前の弊ブログで非正規公務員の「ワーキングプア」化~貧困対策としての正規公務員増員政策の必要性というエントリを挙げて、行政の人件費削減により臨時採用などの非正規公務員が増加している現状を批判し、正規公務員を増やせと主張したが、これに対し「はてなブックマーク」で、やはり以前弊ブログの清掃職員が年収1100万円で悪いか!でも取り上げた、奈良市の清掃職員の「高給」問題を前提に「これって、年収300万円で3人正規採用すればいいよなぁ?ブサヨは公務員の高給を擁護しているが、そのせいではじき出される人間はどうでもいいんだよなぁ?」という誹謗コメントがついていた。

 雇用待遇差別問題で非正規雇用を正規雇用に引き上げよと唱えると、必ず正規雇用の方の待遇を引き下げよとか、正規雇用の解雇を自由化しないと非正規雇用は正規雇用にはなれないといった批判が起きるが、これもそれらと同じ「引き下げ」論法である。全民間労働者の平均収入よりも低い年収300万円に引き下げろ、と平気で主張できるのは「格差」は問題にするが「貧困」を問題にしない典型例で、労働者全体の総取り分を勝手に固定しない限り成立しない議論である。

 奈良市の件は「年収1100万円」というといかにも「高給」だし、これが規定の労働条件の下で為されていたら私でも「高すぎる」と言うだろうが、以前も強調したように、この例は「給与が高い」のではなく「労働時間が異常に長い」のであって、時間外手当を除く給料500万円、賞与200万円余りというのは、問題の職員が定年の60歳であることを考慮すれば、安くはないが高いとは言えず妥当なところだろう(それでも時間給で区切られる「ワーキングプア」層から見れば夢のような話ではあるが、資本の論理に合わせて「あるべき給与水準」を引き下げる必要は全くない)。

 弊ブログは先のエントリで、「ワーキングプア」を優先的に正規公務員に採用しろと唱えているのだから、そもそも「はじき出される人間はどうでもいい」という非難は全くあたらないが、そういう非難が出てくるのは、要は人件費の総額を固定して考えているからで、私が税収を増やして人件費も増やせと言っているのを見落としているからである。民間の場合も、資本の取り分には手をつけずに、正規雇用の所得を減らして非正規雇用に回せという論法がまかり通っているが、これも労働分配率の引き上げを全く考慮していない。

 誹謗コメントに沿ってわかりやすく例示すれば、「1人の正規労働者を解雇して、その分で3人の非正規労働者を雇う」あるいは「1人の労働者の給与を3分の1に引き下げて、その分で労働者を3人に増やす」のではなく、あくまで「正規労働者として給与を引き下げずに3人雇え」ということである。それは現実的でないという批判が当然あろうが、現在の「貧困と格差」の本質は、要は「貴族」の取り分が増大した分、「市民」の中から「奴隷」に落とされる人々が大幅に増えた点にあり、「奴隷」という状態自体に問題がある以上、これは「貴族」の取り分を減らして「奴隷」を「市民」にしない限り解決することはない。1人の「市民」を減らして3人の「奴隷」が増えても意味はない。

 「引き下げ」論法は、残りの「市民」もすべて「奴隷」にしろということであり、「奴隷」状態が人間として許容できるかどうかは問わず、非「貴族」間の「平等」を夢見ているが、「市民」と「奴隷」の分断は「貴族」にとっての統治戦術でもあり、実際は「市民」が「奴隷」に引き下がっても「平等」は訪れず、「奴隷」ももっと引き下がり、今度は「新奴隷」と「旧奴隷」の差別が生じるだろう。そして「市民」の残りの取り分も「貴族」に吸収される。「引き下げ」競争は「貴族」の欲望が続く限り際限なく拡大する。「市民」にとっても「奴隷」にとっても「敵」は「貴族」=巨大資本・富裕層なのである(ただし「市民」による「奴隷」への差別・蔑視を免罪するつもりはない)。

 話がいささか抽象的になってしまったが、現実問題として、中小企業に限っては労働分配率の高止まりが続いており、これ以上正規雇用を増やすことは難しい。だからこそ余裕のある大企業に正規雇用化を義務付けると同時に、特に民間企業での正規採用が難しい年長の未熟練非正規労働者を公務員に優先採用しろ、福祉国家路線で行政の仕事を増やし公務員を増員しろ、というのが弊ブログのこれまでの主旨である。具体的に実現するための方法論は全くないので、いわば理想論にすぎないことは認めるが、少なくとも政策としての方向性くらい提示する権利はあるだろう。減税や歳出削減がその方向性に逆行するのは言うまでもない。私が「歳出削減でも消費税増税でもなく金持ち増税」を一貫して主張する所以である。
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by mahounofuefuki | 2008-10-04 23:32

昔の防衛官僚は新聞記者に機密を意図的にリークしていた

 読売新聞が2005年に中国の潜水艦事故について報道した件に関し、防衛機密を漏洩したとして、昨日防衛省情報本部の一等空佐が懲戒免職に処せられた。以下、共同通信(2008/10/02 22:22)より。
 南シナ海での中国潜水艦の事故をめぐる「防衛秘密」が防衛省から読売新聞記者に漏えいしたとされる事件で、同省は2日、自衛隊法(防衛秘密漏えい)違反容疑で書類送検された元情報本部課長の北住英樹1等空佐(50)=同本部総務部付=を、同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。

 記者への情報提供を「漏えい」として、自衛官が懲戒免職となるのは初めて。書類送検を受けて捜査している東京地検が刑事処分を決める前に、同省が極めて厳しい処分に踏み切る異例の展開となった。背景には情報保全強化の流れがあり、取材を受ける公務員が萎縮(いしゅく)するなど「知る権利」「報道の自由」の制約につながる懸念がある。
(中略)
警務隊の調べなどでは、北住1佐は2005年5月30日、中国海軍の潜水艦が南シナ海で潜航中に起こした火災とみられる事故に絡み、防衛相が「特に秘匿が必要」として指定する防衛秘密に該当する潜水艦の動向に関する情報を記者に漏らした疑いが持たれている。(後略)

 この問題に対しては、自衛隊の警務隊が記事の取材源を特定するために捜査を行ったことの妥当性や、そもそも中国の潜水艦の動向が隠さなければならないほどの機密なのかという疑問や、外国の軍事関係者とかへの情報提供ならいざ知らず、新聞記者に対するリークで懲戒免職というのは過去にあまり例がないことや(外務省では有名な日米密約に絡む機密漏洩事件があったが)、アメリカ政府・軍からの圧力の疑いがあることなどなど、多くの疑念がある。

 実はこのニュースを聞いた時、個人的に真っ先に思い出したのは、ある日本近現代史料の研究会における次のやりとりだった。以下、その報告書中の速記録より(太字強調は引用者による)。
(前略) しかし、当時その記事を書いた社会部の記者も原子力なんてさっぱり分からんわけです。それで、伊藤先生はご存じだと思いますが、防衛庁関係で非常に敏腕な堂場肇という記者がおりました。再軍備関係のドキュメントをたくさん書いていますが、これもやっぱり波長が合ったんでしょうね、防衛庁の幹部の某氏から機密に属する資料をいくつも入手して、堂場文書という、これはいまどこに入っていますかね?(後略) (科学研究費成果報告書「近現代日本の政策史料収集と情報公開調査を踏まえた政策史研究の再構築」より松崎昭一の発言、2004年7月9日)


(前略)
有馬 一つだけ。さっき、海原さんはやっぱり堂場氏に渡していたんだという話がありましたが、つまり相当量の文書史料を持っていると。防衛担当記者がそれだけ集められるという、常に海原さんから貰っていただけではないと思うんですけれども。

佐道 ではないと思います。

有馬 そこら辺は、何かわかるんですか。

伊藤 オーラルをやっているとわかりますけれども、新聞記者との関係でいろいろ話があって、机の上に置いといて「まあ、見て」ということはよくありますと。ある種、リークですね。それをコピーして持って行くかどうかはわかりませんけど、そ こまではっきり言っちゃったらまずいだろうから。

佐道 そうですね。とくに昭和 30 年代とか 40 年代は、だいぶオープンだったみたいです。出入り自由みたいな形で、しょっちゅう課長、局長のところに行ってみたいな。海原さんという人は、かなり腕力があった人というのは、逆にいうといろんな手段を使って自分のやりたいようにやっていた人ですから、おそらく使える政治家を使うし、新聞記者だって。

有馬 新聞記者も使う。

佐道 ええ。それには、「ちょっと、こんな文書があるんだよ」みたいなところでやったんじゃないかと思うんですよね。(後略) (同前より、有馬学、佐道明広、伊藤隆の発言、2004年3月15日)

 引用文中に出てくる堂場肇という人は、奇しくも今回問題になっている読売新聞の防衛担当記者だった人で、在職中数々のスクープを挙げたことで知られている。同じく引用文中の海原とは、防衛官僚の実力者だった海原治で、堂場は海原を含む防衛庁幹部からのリークで記事を書いていたという。特ダネの欲しい新聞記者と、新聞を利用して情報操作や内外の駆け引きの材料にしようとする防衛官僚とのギブアンドテイクが推定しうるが、彼らの現役時代にはもちろんこうした事情は一般には明かされず、リークした官僚も新聞記者も処罰されはしなかった。
*余談だが、この堂場肇が遺した機密文書の複写などを含む文書類は、その後大学の研究機関に移り、政治史研究に用いられている。先日、法務省が過去に流出し国会図書館が買い取った文書の閲覧禁止を要求したことの不当性は、この先例と比べても明らかである。

 つまり昔は防衛庁・自衛隊にあっても、他の省庁同様「消息筋によれば」という取材源を秘匿した形で、機密に属する情報が報じられていたのである。杓子定規に過剰なまでに秘密主義が採られ、高級官僚が情報を独占し、それ以外の人間が一切検証できない状態と比べた時、どちらが社会の在り方として「健全」であるか。安全保障や防衛機密の在り方については、いろいろ議論の分かれるところだろうが、正直なところ今回の「漏洩」が安全保障上、格別の危機をもたらしたとは思えず、むしろ一種の「見せしめ」ではないかという疑問が拭えない。

 どうにもキナ臭い世の中になってしまった・・・。

【関連リンク】
科学研究費成果報告書「近現代日本の政策史料収集と情報公開調査を踏まえた政策史研究の再構築」(平成15・16年度) 5.松崎昭一*PDF
http://kins.jp/pdf/54matsuzaki.pdf
科学研究費成果報告書「近現代日本の政策史料収集と情報公開調査を踏まえた政策史研究の再構築」(平成15・16年度) 5.佐道明弘*PDF
http://kins.jp/pdf/64samichi.pdf
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by mahounofuefuki | 2008-10-03 23:04