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不誠実な舛添要一

どうも昔から舛添要一という人物が信用ならない。
私は少年のころ、よくテレビの報道番組や討論番組を観ていたのだが、そこで頻繁に登場する舛添氏の発言には常に胡散臭さを感じていた。もう具体的なことは忘却してしまったが、とかくその横暴さとテキトーぶりだけは印象に残っている。タレント文化人時代以降しか知らないので、かつて篠原一門下の気鋭の政治学者だったという過去が全く信じられなかった。
その後大人になってからは、テレビの報道がどんどんワイドショー化、バラエティー化していくのに嫌気がさし、舛添氏が出演するようなテレビ番組を全然観なくなり、いつしか彼の存在も忘れてしまうほどだった。
舛添氏が参院議員になった時も、テレビで売れなくなったので転身したのだろう、としか思っていなかった。

ところが、すっかり忘れていた頃に、彼が厚生労働大臣になり、何やら年金問題で脚光を浴びるようになった。
この国では、まさに小泉純一郎がそうだったが、何か具体的に成果を上げるよりも、「公認の敵」に敢然と戦っているポーズを示す方が、大衆受けがよい。舛添氏もその例にもれず、社会保険庁の職員を「公認の敵」に仕立て上げ、年金制度改革や年金記録消失問題そっちのけで、保険料を横領した元職員への刑事告発に血眼になった。
そして思惑通り、今も多くの大衆は公務員への嫉妬も働いて(彼らは「ずるい公務員」には罵声を浴びせるが、「ずるい経営者」にはなぜかおとなしい)、「舛添さんはいい人」「舛添さんはがんばっている」と称賛している。
「残業代ゼロ法案」を「家族だんらん法案」に改称しようとした時は、さすがにサラリーマン層から反発を買ったが、それも報道が小さかったため、一時的なものだった。

そんな舛添氏だが、薬害肝炎問題でいよいよバケの皮がはがされつつある。
そもそも大臣就任以来、この問題に対し真剣に取り組んでいたとはいえず、薬害肝炎訴訟で国の責任を認める判決が相次いでも、口先だけで何ら具体的なリーダーシップをとらなかった。国会での野党の追及により、厚生労働省が薬害の隠蔽工作を行っていたことが明るみになって、ようやく重い腰を上げたにすぎない。
社会保険庁の木端役人には強気の彼も、厚労省の高級官僚らにはすっかり丸め込まれているとしか思えないのである。

29日に予定されていた厚労省の薬害肝炎問題検証チームの初会合を土壇場で延期し、翌日非公開でこっそり行ったのは、そんな舛添氏の「やる気」の欠如を如実に示している。
舛添氏は29日の会議を延期した理由について、30日の参議院厚生労働委員会で「私は肝炎対策を巡って東奔西走しており、緊急の会議や折衝もある」と釈明したが(読売新聞 2007/10/30 21:31)、具体的な理由を明かさなかった。しかも、30日の会合が事前に発表されなかったのは、牛尾光弘大臣官房参事官によれば「大臣の指示で午後に急に開催が決まったため」だという(時事通信 2007/10/30 23:39)。要するに「延期」も「非公開」も舛添氏の判断だということになる。
29日には薬害肝炎訴訟の原告患者数人が会合の傍聴を求めて厚労省に来ていた(毎日新聞 2007/10/30朝刊より)ことを考えると、これでは舛添氏は患者から「逃げた」としか考えられない。非常に不誠実極まりない。

薬害肝炎問題は連日のように新事実が明らかになり、厚生労働省や製薬会社の不正が明白になっている。舛添氏にやる気がない以上、外から彼らを締め上げていくしかないだろう。
同時に舛添氏に対する過大評価はもうやめるべきだ。

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何が「家族だんらん」だ!
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「大きなネコババ」をひたすら隠す舛添要一(改訂版)
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反省しない厚生労働省
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【関連リンク】
Yahoo!ニュース-薬害問題
薬害肝炎訴訟 リレーブログ B型・C型肝炎患者の早期全面救済を!
薬害肝炎訴訟全国弁護団ホームページ
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by mahounofuefuki | 2007-10-31 14:06

法人申告所得過去最高でも消費税上げますか?

国税庁が2006年7月~2007年6月の法人税の課税事績を発表した。
平成18事務年度における法人税の課税事績について (国税庁)

法人税の申告状況は次の通り。
申告件数 278万7000件(前年度比0.9%増)
申告所得金額 57兆828億円(前年度比13.3%増)
申告欠損金額 16兆4,949億円(前年度比27.4%減)
黒字申告割合 32.4%(前年度比0.5ポイント増)
申告税額 14兆4578円(前年度比14.8%増)

このうち申告件数と申告所得金額は過去最高だという。それにもかかわらず、法人税の申告総額は1980年代のバブル期に及ばないそうだから、いかに現在の政府が企業を過度に優遇し、企業が応分の税負担を受け持っていないかが歴然としている。
また、黒字申告割合が3割あまりしかないのは、企業間格差が拡大している何よりの証拠である。規制緩和で競争を激化させた結果、大企業だけが儲かっていることがよくわかる。

いずれにせよ、所得額が増え、欠損額が減っている以上、現行より法人税を軽減する理由はまったくない。巨大企業は法人税のさらなる減税を要求し、その穴埋めに消費税の増税を企んでいるが、過去最高の収益を上げているのに虫がよすぎる。
しかも、いくら企業収益が上がり、企業減税を繰り返しても、一向に労働者には還元されず、株主と経営者が富を独占している。以前、当ブログで指摘したように、労働者の所得はこの10年ずっと減少し続けている。企業には労働者への配分率を上げる意思がないのだ。

いま必要なのは、消費税の増税ではなく、法人税の増税であることは明白だ
「年金の財源にする」とか「福祉目的に限定する」などの甘い言葉に騙されて、消費税増税を支持するようなことのないように熟慮してほしい。

【関連記事】
民間給与実態統計調査
政府とマスコミが一体化した「消費税増税キャンペーン」
消費税増税問題に関するリンク
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by mahounofuefuki | 2007-10-30 00:20

アメリカ大使館が賃貸料を滞納していた

今日の朝日新聞の電子版(2007/10/29 10:01)を読んで、びっくり仰天した。
なんと在日アメリカ大使館が、日本の国有地の賃貸料を1998年以降未納だというのである。

記事によれば、アメリカ大使館が日本の国有地を借用する契約は、明治期の1890年に結ばれ、1974年と1983年に賃貸料が引き上げられた。1997年までの賃貸料は年額250万円だったが、1998年以降、賃貸料の段階的値上げを提示したところ、アメリカ政府は反発し、支払いを拒否しているという。今年12月に債権の時効を迎えるというから、それまでに解決しなければ民事訴訟に打って出るしかなくなる。

調べてみると、この問題は2005年に国会で社民党の照屋寛徳衆院議員が質問している。
朝日の記事に書かれた内容は、2年前に既に表に出ていたのである。
照屋寛徳「在日米国大使館敷地等の賃貸料に関する質問主意書」
小泉純一郎「衆議院議員照屋寛徳君提出在日米国大使館敷地等の賃貸料に関する質問に対する答弁書」
照屋寛徳「在日米国大使館敷地等の賃貸料に関する再質問主意書」
小泉純一郎「衆議院議員照屋寛徳君提出在日米国大使館敷地等の賃貸料に関する再質問に対する答弁書」

国会で取り上げられていたにもかかわらず、恥かしながら今日まで、全く知らなかった。
日米関係は周知の通り非常に不均衡だが、今回の事例はその最たるものだろう。赤坂の一等地をわずか年額250万円で長らく貸し出していたのも異常だが、いざ賃貸料を値上げすると、支払いを拒否するという傲慢さ。アメリカ政府は日本でやりたい放題である。

こんなことがまかり通るのは、日米安全保障条約の歪みに起因している。
日米安全保障条約は本来、日本がアメリカに基地を提供する代わりに、アメリカは日本を防衛するという関係なのだが、いつのまにか基地の存在は忘却され、アメリカに「守ってもらう」代わりに、日本はアメリカに過大な便宜を提供する関係になってしまった。
現実には、アメリカにとって日本に基地を確保できるかどうかは戦略上死活問題なので、基地をエサに日本側はアメリカに強く出ることも可能なのだが、冷戦時代以来、日本の支配層は中国やロシアを敵視し恐怖しているために、たとえブラフでも「米軍はいなくてもいいよ」という姿勢をとれず、「米軍にいてもらわないと困る」と弱みを曝け出している。

今後、日本政府内で、特に外務省あたりがアメリカへの妥協を模索するだろうだが、この際妥協することなく、当初の方針を貫いてほしい。

【関連リンク】
地代を滞納し続ける米国大使館。それを許し続ける日本政府 (天木直人のブログ)
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by mahounofuefuki | 2007-10-29 16:28

「下」には厳しいが「上」には甘い官僚組織

組織というのは、「上」に甘く、「下」に厳しい。
改めてそう感じざるをえないニュースがある。
以下、朝日新聞(2007/10/27 18:35)より。

 社会保険庁のずさんな年金記録管理の原因や責任問題を調べる総務省の「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)が、来週中に発表する最終報告で、歴代の厚生・厚生労働相や社会保険庁長官の個人責任を明記しないことが27日、分かった。歴代閣僚・長官の監督責任を一体として問う形をとる。5000万件に及ぶ「宙に浮いた年金記録」などを招いた責任追及が検証委設置の主な目的だっただけに、責任の所在があいまいな結論には批判も出そうだ。

 最終報告は、社保庁が一人ひとりの記録を一貫して管理する姿勢に欠けていたことや、本人の申し出がなければ記録を確認しない申請主義などが記録問題の直接的な原因となったと指摘。宙に浮いた年金記録のサンプル調査結果、消えた年金記録の一因とされる職員らによる横領問題、「三層構造」と呼ばれる社保庁独特の閉鎖的な人事システムや組合問題などにも言及する。約30ページの本文のほか、約700ページに及ぶ資料編で構成されている。報告書は来週半ばにも公表する見通し。
(中略)
 また、名前や生年月日の欠けた記録をどう入力するのか、社保庁とシステム開発業者との間で検討した経緯が分かる当時の資料が一部を除き残っていないことも判明。責任者の判断や不作為が記録の管理にどのような影響を及ぼしたのか、十分に検証できなかったという。

 このため、1942年の年金制度発足以来、長年にわたる記録管理の不備が背景にあり、「個人の責任は限定できない」として、個人の名前を挙げる形で責任を問うのは難しいとの認識で一致。歴代長官は記録管理の直接の監督責任があったこと、歴代の厚相・厚労相、事務次官は、定期的な報告を求めるなど現状把握の努力を怠ったことを問題視し、「いずれも重い責任がある」と結論づけた。 (後略)
出来心で保険料を着服した安月給の下っ端職員は、懲戒免職や退職強要を課せられ、着服額を全額返済していても、タレント大臣の「牢屋に入ってもらう」という一声で、今さら刑事告発される。対して政治家や高級官僚は「個人の責任は問えない」とおとがめなし。これは不条理以外のなにものでもない。

しかも、「当時の資料が一部を除き残っていない」というのは、海上自衛隊の航海日誌破棄や、厚生労働省の薬害肝炎の資料放置と同じで、公文書の作為的な隠蔽である。自ら証拠隠滅しておいて、自己免罪しているようなものだ
そんなずさんな調査で、勝手に年金記録消失と横領問題を結び付け(両者に直接の関係はない)、「人事システム」や「組合問題」に責任転嫁するなど、とうてい許せない。
「年金記録問題検証委員会」自体を検証する必要があるだろう。

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舛添のパフォーマンスにだまされるな!
「大きなネコババ」をひたすら隠す舛添要一(改訂版)
年金「着服」と「流用」の間
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by mahounofuefuki | 2007-10-28 11:28

消費税増税問題リンク集

Yahoo!ニュース-消費税引き上げ問題
消費税増税問題のニュースのまとめ。

住民税、消費税、サラリーマン増税/注目のキーワード-しんぶん赤旗
消費税増税問題の記事のまとめ。

消費税増税徹底解析
ドメインが「消費税増税.jp」(!)という専門サイト。

こんにちは! 消費税をなくす全国の会です
その名の通りの市民運動。「消費税Q&A」がわかりやすい。

消費税廃止各界連絡会
消費税増税反対運動。報道のまとめや資料もある。

全商連[税金のページ/不公平税制]
全商連[税金のページ/消費税]
全国商工団体連合会の税制に関するページ。勉強になる。

構造改革をどう生きるか~成果主義・拝金思想を疑え!~-日経BP
獨協大学教授の森永卓郎氏のコラム。消費税増税論のまやかしを暴く記事多し。

花・髪切と思考の浮遊空間 消費税を考える
花・髪切と思考の浮遊空間 最近の消費税関連エントリー
博覧強記のブログの消費税問題に関するエントリー。素晴らしい。

大脇道場 NO.540 消費税反対関連エントリー集。
「消費税増税反対キャンペーン」を実施中のブログ。消費税の何が問題なのかとてもわかりやすい。

消費税など(消費課税)に関する資料-財務省
現行の消費税に関する財務省の資料。

伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「有識者議員提出資料 (給付と負担の選択肢について)」*PDF
伊藤隆敏・丹羽宇一郎・御手洗冨士夫・八代尚宏 「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」*PDF
経済財政諮問会議による社会保障給付と税負担に関する試算。なぜか法人税は無視。

自由民主党政務調査会財政改革研究会「財政改革研究会報告」(中間とりまとめ)-与謝野馨Official Web Site*PDF
消費税=社会保障税を提言。

内閣府 税制調査会
政府税調のホームページ。

平成19年11月 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方-税制調査会*PDF
その他の主な意見*PDF
政府税調の答申と議論。

平成20年度税制改正大綱-自由民主党*PDF
2008年度税制改正に対する自民党の基本政策。

民主党税制改革大綱-民主党税制調査会*PDF
2007年末に民主党が党議決定した税制案。消費税の社会保障目的税化を明記。

社会保障国民会議
内閣の社会保障問題に関する諮問機関。消費税増税を検討。

社会保障国民会議 最終報告の取りまとめについて
社会保障国民会議の最終報告。社会保障目的と称した消費税増税を提言。

わが国税制改革への提言-21世紀政策研究所*PDF
日本経団連のシンクタンクによる税制意見書。Internet Zone::WordPressでBlog生活 21世紀政策研が税制改革への提言を発表を参照すべし。

日本経団連:税・財政社会保障制度の一体改革に関する提言~安心で活力ある経済社会の実現に向けて~
日本経団連の提言。消費税10%への引き上げと、法人税率引き下げを主張。

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会「中間論点整理」の公表について - 経済産業省
経済産業省の研究会による税制改革案。法人税率の大幅引き下げと消費税率の引き上げを主張。

法人税減税の財源、消費税増税も有力な選択肢=井堀・政府税調委員 (ロイター 2007/10/02 19:04)
巨大企業の本音。井堀氏は前記経済産業省の研究会の座長。


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本格化する消費税増税の動き
消費税増税の危機は続く
財政審の生活破壊路線
「歳出の公平性」だけでなく「歳入の公平性」も必要だ
社会保障の財源が消費税でなければならない理由はあるのか
「金持ち増税」論は少数意見ではない~山口二郎・宮本太郎共同論文を読む
福祉国家派の消費税増税論と「北欧モデル」についての私見
消費税増税の不当性
私の財政論に誤解があるようなので改めて説明
「無駄遣いがある限り増税はだめ」では消費税増税論に対抗できない
「金持ち減税のための消費税増税」という真実
「社会保障財源なら何でも賛成する」のなら、「金持ち増税」に賛成してよ、尾辻さん。
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by mahounofuefuki | 2007-10-27 14:01

アメリカに切り捨てられた「拉致家族」

外交とは非情だ。改めてそう感じざるをえないニュースが入った。
25日に在日アメリカ大使館のジョーダン一等書記官が、「拉致被害者家族会」と「拉致被害者を救う会」の代表者を招き、アメリカの朝鮮に対するテロ国家指定解除問題について面談したという。
毎日新聞 (2007/10/26 03:06)によれば、次のようなやりとりがあったという。
家族会 「米国側が指定解除の条件とする『核の無能力』とは具体的に何か」
書記官 (明確な回答をせず。)
家族会 「解除に拉致問題は無関係なのか」
書記官 「拉致は2国間の問題。その視点で議論しよう」
要するに、アメリカ政府は拉致問題に関知しないと言ったようなものである。
朝鮮に対する「封じ込め」政策を採っていた間は厚遇してきたが、政策転換で用済みになった途端、まるで三行半を突き付けたようなものである。
使える時は使うが、邪魔になれば切り捨てる。この点、アメリカ政府は徹底している。

バカの一つ覚えのように「経済制裁」を提唱し、日本外交の取りうるオプションをさんざん狭め、自分たちの首を絞めてきた「家族会」「救う会」だが、頼みの安倍晋三はいなくなり、アメリカにも無残に切り捨てられた。昔日の「拉致ヒステリー」時の勢いはもうどこかへ飛んでしまった。
日本の植民地支配の「清算」に不誠実な右翼ナショナリストに丸めこまれ、余計「拉致問題」の解決を遠のかせたのは、「家族会」の責任である。
ことここまでこじれれば、もう日朝間の関係改善は非常に困難である。
中国との国交回復の時と同様、またしてもアメリカにハシゴをはずされ、日本はアメリカの後追いをするだけだろう。

ただようやくこれで、拉致被害者支援にかこつけて増長していた右翼グループが外交に介入することもなくなるだろう。それが、アメリカの力によるところが気に入らないが、この際、仕方がない。
開戦前夜のようなヒステリックな排外主義世論が跋扈した2002年のような事態は、もう2度と起こしたくない。

【関連記事】
袋小路の「対話と圧力」
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by mahounofuefuki | 2007-10-26 20:55

「カルト学者」が埼玉県教育委員長に

埼玉県教育委員会が、委員長に明星大学教授の高橋史朗氏を選出した。
高橋氏は2004年に上田清司知事の肝煎りで教育委員に任命された人物だが、実は「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長という、非常にいわくつきの人物である。

高橋氏は1950年生まれ。早稲田大学大学院終了後、スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員などを経て、1990年より明星大学の教授を務めている。元々は占領期の教育政策の研究者だったが、一方で復古主義的教育論を唱え、中曽根内閣時代には臨時教育審議会の専門委員に抜擢されるなど、若くして保守派の教育学者として名を成した。近年は性教育やジェンダーフリーに対する狂信的な中傷や攻撃で知られ、「新しい歴史教科書をつくる会」の公民教科書の監修者でもあった。

ちなみに2004年12月に埼玉県教育委員に任命される際、当初「つくる会」教科書とは無関係とウソをついていたが、実際は「つくる会」側が監修者から高橋氏の名を削除して、体裁を取り繕っていた。文部科学省が削除者名を公開したためウソが発覚したにもかかわらず、開き直って教育委員のイスにしがみついたのは周知の事実である。
2006年9月には教員採用・人事権者である教育委員でありながら、現職教員や教員志望者を対象にした私塾「埼玉師範塾」を開くなど、上田知事の「寵愛」を背景に権勢を揮い(「師範塾」名誉会長は上田知事)、国家主義・復古主義的教育を推進している。
今回ついに教育委員長になり、名実ともに埼玉県の教育行政のトップに座ることになったのである。

問題は高橋氏が単なる「右翼」ではないことにある。
以下は、右翼団体「一水会」元代表の鈴木邦男氏の回想である(以下、各引用文の太字はすべて引用者による)。
今週の主張6月12日 いいじゃん。「君が代」の替え歌だって (鈴木邦男をぶっとばせ!)

(前略)そうそう,産経にこのコメントをしていた高橋史朗氏(明星大学教授)だ。実は,知ってる人だ。早稲田の後輩だ。それだけじゃない。「生長の家学生道場」の後輩だ。同じ寮に住み,修業した。毎朝,4時45分に起床して,お祈りし,聖経を読み、講話を聞き、それが終わると中庭に集合して国旗掲揚をした。夕方は降下式がある。ほとんど帰省しないから、350日位、国旗を掲げ、君が代を歌う。朝夕だから1年で700回だ。僕はここに6年いた。4200回は君が代を歌い、日の丸を掲げた。その後、右翼になってからも、年に何回かはやってる。だから軽く、5000回は超えてる。だから、「愛国者のノルマ」は超えとる。
 この話は、『愛国者は信用できるか』(講談社現代新書)に書いた。高橋史朗氏も一緒に「君が代」を歌い、「日の丸」を掲げた。さらに私は、毎日のように大学で全共闘と闘っていた。荒ぶる戦士だった。大学の勉強なんておろそかにしていた。高橋氏はまじめな学生だった。成績も優秀だった。頭もよかった。だから、今は教授だ。偉くなっている。「学生道場」というスタート地点は同じだが、「勝ち組」の高橋氏と、「負け組」の私は、はっきり差がついてしまった。悲しい。(後略)
高橋氏は、保守系宗教団体「生長の家」と深い関係があるのだ。
それだけではない。以下は、東京大学大学院教授の高橋哲哉氏の講演である。
「国家に心を奪われないために」(ヒロシマ県北)

(前略)この高橋史朗氏という人は、「つくる会」のメンバーですから「歴史教科書にいわゆる日本軍慰安婦の問題を書くのはけしからん。削除すべきだ」という主張から始まりまして、「自分たちの主張を載せた教科書を自分たち自身で作ってしまえ」という事で、扶桑社から教科書を出したわけです。同時に彼の一番のフィールドは道徳教育で、とりわけ性教育に関心が強いんです。
 この問題が起きて12月12日に埼玉でも教育基本法改悪に反対する集会が600人ぐらい集めて行われました。これはそれまで対立していて同席する事がなかった複数の教職員組合の人なんかが同席するという画期的な集会でした。そこでこの問題が起こったものですから、この高橋史朗氏がどんな活動してきたのか、という事で彼が出演しているビデオを上演したんですね。このビデオは「性教育過激派のねらい」というビデオです。それで私も初めて見てびっくりしたんですけれども、最初の部分にこういうナレーションが入るんですね。「社会主義国は崩壊したが、共産主義は今『性教育』という名の妖怪に形を変えて子どもたちと家庭に入り込んで来ようとしている」。非常に不気味なビデオなんですけれども、高橋氏がその中で現在日本で進められている性教育と言うのは、いかに過激なものであって人々の常識に逆らうものであるか、「性交教育」「性器教育」「煩悩教育」だというふうに決め付けて攻撃をしている。そしてまた最後が衝撃的な終わり方をするビデオなんです。
 当時、日本で広く使われていた性教育の中学校用と高校用の副読本が画面に現れまして、なんとそれに火が付けられ、燃やされるシーンで終わるんですよね。つまり焚書ですね。かつてナチスドイツが「ユダヤ人の書物が有害である」と言って鎧の広場にそれを集めて燃やしました。それと全く同じ感性でこの性教育を攻撃している、そういうビデオだった訳なんです。このビデオは高橋氏自身が表明しているところでは、勝共連合系の団体から依頼されて出演したという事で、実は彼はいわゆる統一教会系のグループと連動しながら、ずっと現在の性教育を過激だとして攻撃してきた、そういう人物だったんですね。
 そのビデオの中で燃やされている性教育の副読本の中学校用のほうをここに持って来てます。東京書籍のもので、中を見ますと、子どもたちが成長していく過程で、「性」というものを自分の中にどういうふうに統合していくかという事を中心にして書かれています。
 一番最後の所には参考資料として「子どもの権利条約」、それから「女性差別撤廃条約」、そして「世界人権宣言」というものが載っております。至って真っ当な性教育の副読本だと私などには見えるんですが、これが過激派になってしまう。共産主義者の陰謀だという事になってしまうんですよね。(後略)
高橋史朗氏は「生長の家」のみならず、「統一教会」とも深い関係があるというのだ。しかも「焚書」とはもはや狂信者の行いである。これはもはや「カルト学者」と言っても差支えないだろう。
実際、高橋氏の講演を観た人が次のような傍聴記を書いている。
教育者のような顔をした宗教家 (きょうも歩く)

(前略)高橋史朗の話は変だった。「主体変容」「守破離」「人格的知能」だの、変な言葉ばかり使って、できの悪い新興宗教の教祖のような自己完結している講釈を聞かされているだけだった。「主体変容」って何ですかね。チュチェ思想かね。
彼は共産党系教育学の基礎となる発達段階論を無批判に今でも受け入れ右翼的に応用している。いわく、発達段階に応じて、強制をしていくことが教育なんだ、自立はそれからなんだ、という言い方をしている。汐見教授などに冷やかされると、「しっかり抱いて下に降ろして歩かせろ」と同じ話を繰り返し、底の浅さを感じる。
出身地の兵庫で提起したトライアル教育(中高生を一週間程度労働体験させること)が実践に移され成果を上げていることを自慢していた。トライアル教育後は、不登校児の78%が学校に戻ると。しかし一週間経つと30%も来なくなっている。逆に、労働体験させることは意味が大きいんだろうけど、学校が変わらないままなんだから、学校に通えば元の木阿弥になるのは当たり前だということだ。
そんな意味のない話にうんうん頷いている傍聴者が多いのにはびっくり(でも拍手の量は圧倒的に少なかった)。
レジュメらしきものにはもっともっと変なこと書いている。
怪しげな脳科学や、家庭教育への猛烈な信奉と、保育所に対する嫌悪と専業主婦へのばらまき手当の提案が語られている。埼玉の保育環境はほとんど良くならないだろう。自民党ばかりか、県政与党のこの辺の民主党議員たちも、保育所の充実に対しては、同様に家庭教育を弱体化させるものとして後ろ向きだしね。埼玉県の子ども・教育施策は石原東京都政以下になるな、と思った。土屋県政と比べると、私の頭の中では「きれいなファシズムより汚い民主主義」がリフレインする。(後略)
書き手が社会民主連合の活動家であることを差し引いても、高橋氏のオカルトぶりは間違いない。「主体的変容」「人格的知能」など、まともな教育学でありえないトンデモ語である。単なる国家主義者・国粋主義者よりずっとたちが悪い。
こんな男に肩入れする上田知事の見識を疑う。

【関連リンク】
講師紹介 高橋史朗プロフィール (講師依頼.com)
上田埼玉県知事による高橋史朗氏の教育委員任命を阻止するネットワーク
福島みずほ「教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問主意書」 (参議院)
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by mahounofuefuki | 2007-10-25 23:06

悪の秘密結社?

以下、産経新聞 (2007/10/25 02:56)の記事より。
 世界最大の投資ファンド、米ブラックストーン・グループが日本に初進出することが24日、明らかになった。東京・丸の内のAIGビルに日本法人の株式会社「ブラックストーン・グループ・ジャパン」を近く設立、11月正式発表する。同グループは中国政府が出資するファンドで知られるが、米ニューヨーク証券取引所に上場し、自社株を対価に日本企業を買収する「三角合併」も可能だ。巨額の資金を動かせる最大手ファンドの上陸で、日本のM&A(企業の合併・買収)市場はますます活発化しそうだ。

 ブラックストーン・グループがこの時期に日本法人を設立して本格的に上陸するのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題で世界の金融市場に動揺が収まらない中で、日本では優良資産を多く抱える企業の事業再生や、産業界で買収など大型再編がこれから本格化すると判断したため。投資案件を開拓し、グループが運営するファンドに助言を行って収益拡大を図るねらいとみられる。

 手始めに、国内のホテルなど不動産投資を手がけ、その後は企業買収に関与する見通しだ。
(中略)
 世界規模で運用資産額787億ドル(約9兆円)を誇るブラックストーンは、1985(昭和60)年に設立。米大手ホテルチェーンのヒルトン・ホテルズを約260億ドル(約3兆円)で買収したほか、中国政府の外貨準備を運用する国策投資会社から30億ドル(約3400億円)の出資を受けたことでも知られる。

 カーライル・グループ、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に加え、世界ファンド御三家がこれで日本に出そろう。日本企業も攻めのM&Aや業界再編に伴う構造改革を進めるため、世界の情報に通じた大手ファンドを活用する場面も出てきそうだ。
またまた「ハゲタカ」が日本上陸である。
こういう投資ファンドは企業を「商品」としか考えていないので、経営権を握るとコストカットを要求し、大幅なリストラを進める。それできちんと長期的に企業経営を続けるのならともかく、たいていは株式が上昇して、ある程度利ざやを稼ぐとすぐに経営権を売ってしまう。まさに「土地転がし」ならぬ「企業転がし」で、株式投資家にとっては詐欺みたいに「おいしい」が、労働者にとってはたまったものではない。

それにしてもファンドの名前が「ブラックストーン」とは恐れいった。まるで「悪の秘密結社」(笑)みたいなネーミングである。消費税を上げる前に、こんな連中にもっと応分の課税をしてもらいたいものだ。
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by mahounofuefuki | 2007-10-25 20:17

教科書検定に関する石井郁子議員の質問

24日の衆議院文部科学委員会で、日本共産党の石井郁子議員が、文部科学省の教科書調査官や教科用図書検定調査審議会委員の人事の不透明について質問した。
“靖国史観”教科書の人脈 検定に強い影響力 石井氏質問 (しんぶん赤旗 2007/10/25)
以前、私は当ブログで、教科書調査官4人中2人が、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を監修した伊藤隆氏の門弟であり、審議会の委員にも「伊藤一門」の学者がいることを指摘したが、石井氏の質問はその事実を踏まえたものである。
従来、もっぱら教科書調査官の村瀬信一氏のみがクローズアップされていたが、実際はもっと多くの「伊藤一門」の学者が検定に関与していることが国会で明らかになって、この件の火付け役としては感無量である。
これを機に、教科書検定過程の徹底検証が進むことを期待したい。

【関連記事】
教科書改竄の「黒幕」
教科書検定の徹底検証を
沖縄戦の「集団自決」に関する教科書検定問題の資料

【関連リンク】
KINS近代日本史料研究会「科学研究費成果報告書」
伊藤隆氏が代表を務め、文部科学省の科学研究費を受けている研究プロジェクト。中核メンバーは「伊藤一門」で、教科用図書検定調査審議会委員の有馬学氏、広瀬順晧氏や、教科書調査官の村瀬信一氏が参加している(ただし、村瀬氏は教科書調査官就任後は不参加)。伊藤氏の学界における影響力と、検定関係者とのつながりがわかる。
このプロジェクト自体は、散逸している史料の発掘・公開を目指す正当な研究で、関係者には伊藤氏の歴史観とは明らかに異なる人も多いので、誤解のないように。
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by mahounofuefuki | 2007-10-25 12:16

反省しない厚生労働省

薬害肝炎問題がこのところクローズアップされている。
特に、製薬会社が血液製剤投与によるC型肝炎ウィルス感染者418人の個人情報を把握していたにもかかわらず、患者にまったく告知していなかったことが明るみに出たことで、この問題が国会や報道でも大きく取り上げられるようになった。
その過程で、厚生労働省もそれらの個人情報の少なくとも一部を把握していたことがわかり、しかも資料を倉庫に放置していたことが発覚、さらに418人の中に訴訟で国が血液製剤の投与を否定していた患者が含まれていたこともわかり、改めて国と製薬会社の隠蔽工作が問われている。

正直なところ、やっぱり、という思いである。旧厚生省時代から政府と製薬企業の共犯による薬害は何度も繰り返されてきたが、いつまでたっても反省がない。この期に及んでも政府と企業で責任の擦り合いをしているくらいである。
こうしている間にも、感染を知らずに何ら治療を受けていない人や、血液製剤が原因であることを知らずに肝炎を発症している人がいることを考えると、本当にやりきれない。

海上自衛隊が航海日誌を破棄していた件もそうだが、官庁の文書保存と情報管理と情報公開をきちんと義務付ける法整備をしなければ、いつまでたっても同じ問題が続くだろう。

【関連記事】
薬害C型肝炎

【関連リンク】
薬害肝炎訴訟 リレーブログ B型・C型肝炎患者の早期全面救済を!
薬害肝炎訴訟全国弁護団ホームページ
検証C型肝炎 (LIVE2002 ニュースJAPAN)
フィブリノゲン製剤によるC型肝炎感染問題を考える
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by mahounofuefuki | 2007-10-24 21:30