2008年 11月 27日 ( 1 )

本当の景気対策とは「労働法制遵守による雇用創出」と「消費税減税」ではないのか

 金融危機以降、連日製造業を中心に有期雇用の派遣社員や期間社員の雇い止めが報じられ、11月22日時点で「ガテン系連帯」ブログがまとめたところでは約1万8000人余り(*)、報道されていない事例も含めると数万人単位が職を失っているとみられる。減益だ何だと騒いでいても依然として大きな内部留保を抱え、儲けを出しているにもかかわらず、容易に労働者を切り捨てる大企業のやり口は閉口させられるが、他方で恐慌となれば弱いところから打撃を受けるのは市場経済の必然的帰結でもあり、このままでは今後もますます雇用情勢は悪化の一途をたどるだろう。

 *「派遣・期間工切り」1万8千人 ガテン系連帯☆ブログ
  http://gatenkei2006.blog81.fc2.com/blog-entry-213.html

 その点で場当たりでない国家的な雇用対策はもはや待ったなしなのだが、政治の世界では金融機関への予防的資金注入には熱心なのに、肝心の雇用対策・生活支援政策は全くと言っていいほど行われていない。はっきり言って今何より必要なのは、国内の雇用を増やすことと消費を増やすことであり、先の金融サミットでも内需の拡大を各国に求めていた以上、最優先で取り組まねばならない。

 雇用を増やす案はすでに出ている。全労連系の労働運動総合研究所が先月末に、総務省資料を元に雇用増加と経済効果の試算を公表している。

 《試算》非正規雇用の正規化と働くルールの厳守による雇用増で日本経済の体質改善を*PDF
 http://www.yuiyuidori.net/soken/ape/2008/data/081104-01.pdf
① 「正規雇用を希望する派遣労働者」と「正規雇用と同等の労働をする契約労働者」の正規化による360万人。
② 「サービス残業」根絶で118.8万人。
③ 完全週休2日、有給休暇などの完全取得で153.5万人。

 このうち、少なくとも②の「サービス残業」根絶による118万人あまりの正規雇用創出については、経済誌『週刊東洋経済』が「日本経済の足腰の強化につながる一過性ではない有望な景気対策といえる」と評しており(『週刊東洋経済』2008年11月22日号、p.26)、特段突拍子もない提案ではないという目安になるだろう。試算ではこれらにより国内生産24.3兆円、GDP2.52%の増加を見込んでいる。必要な原資は21.3兆円で、企業の内部留保5.28%を吐き出させれば難なく調達できる。

 安定雇用が増えれば消費も増えるが、消費振興策としては消費税の減税も考慮されるべきだろう。イギリス政府が最近、1年間の暫定措置ではあるが、消費税率の引き下げを表明した。代替財源として国債増発のほか「年収15万ポンド超の富裕層に新たな税収枠を設定し、12億ポンドを徴収する」という(毎日新聞2008/11/24 22:40)。本当に実行するのかどうか不透明とは言え、アメリカのオバマ次期大統領も富裕層への課税強化を公約していたことを考えると、自民党はもちろん民主党も一向に大企業・富裕層への課税強化と庶民の税負担の軽減を課題としないのは、もはや怠慢を通り越して悪質である。

 本当に必要な景気対策は、労働法制遵守による雇用創出と消費税減税であると強調したい。


《追記 2008/11/28》

 「数万人単位が職を失っているとみられる」と書いたが、奇しくも厚生労働省が今日、今年度下半期で3万人以上の非正規労働者が、雇用契約の中途解除や更新停止などに遭っているという調査結果を公表した(*)。本格的な雇用対策はもう一刻の猶予もない。企業任せではなく、国が積極的に関与しない限り、問題は悪化するばかりであり、「無駄遣い厨」や「小さな政府」論を断固として排除しなければならない。

 *東京新聞:『非正規切り』3万人 景気後退でしわ寄せ 厚労省調査(2008/11/28夕刊)*web魚拓
  http://s01.megalodon.jp/2008-1128-2106-49/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008112802000222.html
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by mahounofuefuki | 2008-11-27 22:49