2008年 11月 17日 ( 1 )

「金融サミット」はそんなにダメだったのか?

 G20による「金融サミット」は16日に首脳宣言を採択したが、今朝の新聞各紙やweb上の専門家筋の議論を読むとあまり評価されていないようで、「具体策なし」「成果なし」「問題先送り」という批判も多い。しかし私は、はて今回の宣言がそれほど期待外れだったか? むしろ世界的な市場放任路線の終焉を完全に決定づけたこと自体に意味があるのではないか? と考えるのだがどうだろう。

 そもそもずいぶん前から首脳レベルの国際会議では具体策は話し合われないのが通例で、実務レベルで合意した内容を追認することで何よりも国際協調を優先してきたのは、今回に限ったことではない。突然首脳会議の場で「想定外」の提案が出てきても場を混乱させるだけだろう。その点で「具体策なし」というマスコミの評価は厳しすぎるし、その批判はあらゆる首脳会議に向けられるのではなければ公平性を欠く。

 今回の宣言は、「即効的な内需刺激の財政政策」を各国に求め、「すべての金融市場、商品、参加者が適切に規制」されることを原則として明らかにした。特に国際的な金融権力の最も重要な要素と目される格付け会社へ「強力な監督を実施」すると明記したのは、非常に意味のあることだ。国際社会が市場万能と緊縮財政を至上とするこれまでの政策基調から、市場への規制・監視強化と財政出動を容認する方向へはっきりと舵を切ったのである。それだけでも歴史的な転換ではないのか。

 会議では、ドル基軸通貨体制の変革すら射程に入れる欧州勢や、もはやその存在を軽視できなくなった「新興国」の発言力が高まる一方、アメリカ政府の威信低下は覆うべくもなかった。日本政府は依然としてアメリカの主導権を前提として行動したために、会議では全くと言っていいほど存在感はなかった。IMFへ10兆円もの資金を提供したのも、国際的には例の如く「便利な財布」扱いされている疑念なきにしもあらずである。麻生首相は自画自賛しているが、むしろ今回のサミットの結果は日本政府の対米追従路線に対し、完全な政策転換を迫ったとさえ言えよう。少なくとも今後の日本の経済政策を制約するのは間違いない。

 元経済企画庁長官の宮崎勇氏は最近次のように述べている。
 私は財政政策も金融政策も、過去10年以上、日本では機能してこなかったと思うのです。財政というのは、本来、景気調整の役割もあるし、社会資本の充実という役割もあるし、最も重要な役割として所得の再分配機能があります。この3つがほとんど機能しなかった。それに引っ張られて、金融政策のほうもまったく動けずに、低金利政策をずっと続けていたわけでしょう。 (宮崎勇「必要なのは内需拡大とセーフティネット」『世界』2008年12月号、p.89)

 今回の首脳宣言は、そのような政府が何もしない、財政政策や金融政策が機能しない状況を否定したと言える。今後は反対に景気調整や社会資本の充実や所得再分配を強化するための政策が必要だということになる。「内需拡大」には国内市場の立て直しが急務であり、その点でも雇用待遇差別や低賃金は抜本的に是正されなければならない。

【関連リンク】
金融サミット首脳宣言の要旨 – 47NEWS(共同通信2008/11/16 15:50)
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008111601000240.html
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by mahounofuefuki | 2008-11-17 20:59