2008年 10月 30日 ( 1 )

貧乏人による追加経済対策寸評

総額2兆円の定額給付
 貧乏人に必要なのは何よりも現金なので、減税よりは給付の方がましだが、一回限りでは「景気対策」としては無意味。富裕層にとってははした金で、これでカネが回るわけではない。中間層は貯蓄に回して金融資本を援助するだけ。貧困層にとっては借金の返済の足しには少なすぎ。カネをばらまいた所で解散・総選挙という魂胆も見え透いている。

雇用保険料の引き下げ
 前々から「骨太の方針」で予告されている雇用保険の国庫負担廃止の露払い。今回は「埋蔵金」で引き下げ分を穴埋めするとしても、その後は失業保険給付が削減されるのは必定。必要なのは保険料引き下げではなく、国庫負担の増額なのに。これから失業者がますます増えるのは確実な情勢だが、またひとつセーフティネットが滅ぶようです。

非正規労働者を正規化する企業への奨励金
 そんなはした金で正規雇用のイスを増やす企業なんてあるのか? こうしている間にも派遣社員の解雇が続出しているが、そういう現在進行形の問題への対策はない。企業に丸投げしないで、政府が公務員を増やして「氷河期世代」の貧乏人を優先採用すべし。

住宅ローン減税
 住宅を買える幸せな人々より、今日寝床のない人のためにカネを出してほしい。とりあえず保証人がいない人や敷金を払えない人のための信用保証を政府が責任をもって行うべし。公営住宅の拡充も必要。

金融機能強化法の復活
 健康保険料を滞納すると保険証を取り上げられ、年金保険料を滞納すると将来の年金給付はなくなる。それに引き換え銀行への予防的公的資金注入は、いわば保険料を支払っていないのに給付がもらえるようなもの。貧乏人にはさんざん「自己責任」=「自力救済」を強要しながら、銀行にはこのサービスぶり! せめて「注入」ではなく返済期限のある「貸出」にするのが本来の市場のあり方なのでは?

証券優遇税制の延長
 この期に及んで金持ち優遇策! 前に歳出削減路線の帰結としての「タンス預金」30兆円で言及したように、いくら優遇しても「将来の不安」が大きいほど投資には回らないのは実証済み。もう金持ちたちのギャンブルのツケを貧乏人が支払うのはたくさんだ。

高速道路料金引き下げ
 土日に限り1000円という発想の貧しさ。流通経済における輸送コストの軽減なら平日の方こそ重点的にやらないと駄目でしょう。いずれにせよ高速で遠出できるような身分ではない私にはどうでもよい施策だが。

3年後の消費税引き上げ
 これで「景気対策」のすべてを台無しにしてしまった自爆政策。引き上げ時期を明言した首相は麻生氏が初めてだが、ついにこの問題で不退転の決意を表明したというわけだ。弊ブログでは昨年来何度もしつこく指摘したが、消費税増税は貧困拡大の愚策であり、必要なのは富の再分配を強化するための直接税(所得税・法人税・相続税)の増税である。


 麻生内閣の追加経済対策を端的に評するならば「貧困対策には程遠く、景気対策ですらない、どさくさまぎれの金持ち救済政策」というところだろう。これでは貧困は拡大こそすれ、是正することはないし、そもそも麻生政権の視野には富裕層と巨大企業しか入っていないことが明示されたとも言える。政治における貧乏人の発言力を高めない限り(貧乏人の代弁者たりうる政党・議員を増やさない限り)、いつまでもこんな状態が繰り返されるだろう。

【関連記事】
消費税増税問題リンク集
非正規公務員の「ワーキングプア」化~貧困対策としての正規公務員増員政策の必要性


《追記 2008/10/30》

 「はてなブックマーク」で「税金の半分はトップ5%の富裕層が賄っていて、それを使って金持ちを救うのだから、そもそも貧乏人が俺たちにもっと寄越せと言うのは筋違い」というアホみたいなコメントがついていたが、その主張は「富裕層しか税を支払っていない」か、今回の対策の財源が「富裕層の支払った税だけ」でないと成立しないので全く論外である。そもそも貧困は自然発生ではなく、金持ちの経済活動自体が貧困を生んでいる以上、「被害者」たる貧乏人は「加害者」から補償を得る権利がある。「嫌なら金持ちに頭使ってのしあがれ」というに至っては、経済対策の話とは全く関係がなく(仮に私個人が金持ちになったところで景気が良くなるのか?貧困は是正されるのか?)、「頭使った」くらいで貧乏人の子弟が金持ちになれる社会だと本気で信じているとすれば、よほどおめでたいやつだ。お前こそそんなセリフはせめて本当に金持ちになってから吐けよ。
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by mahounofuefuki | 2008-10-30 21:11