読売新聞電子版の「ジョブサーチ」に、奇しくも同じ日付で雇用保険に関するニュースが並んでいた。ある意味、日本の社会保障崩壊の実情を戯画化しているようである。
失業給付国庫負担ゼロに(読売新聞2008/11/14)*web魚拓 http://s04.megalodon.jp/2008-1115-2051-18/job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08111401.cfm 「2009年度予算案で、雇用保険の失業給付金に対する国庫負担を初めてゼロとする方向」 雇用保険漏れ1006万人の恐れ(読売新聞2008/11/14)*web魚拓 http://s02.megalodon.jp/2008-1115-2050-26/job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08111402.cfm 「雇用保険の適用対象者にもかかわらず、申請していない恐れのある労働者が最大1006万人に上る」 前者によれば「景気の回復局面で給付額が減った」ことで、失業給付の積立金に余裕ができたため、国庫負担を止めるということになっているが、実際はそうではないだろう。小泉政権以来、政府の「骨太の方針」は毎年の社会保障費自然増分を2200億円ずつ削減することを義務づけているが、2009年度予算では雇用保険の国庫負担廃止をもって削減枠に充てることはあらかじめ決まっていた(雇用保険の国庫負担全廃へ~社会保障費削減路線を続ける福田内閣参照)。そもそも雇用保険の国庫負担廃止方針は、すでに2006年の行政改革推進法で予告されていたことであり、「景気の回復」云々というのは後付けにすぎない。 しかも、その失業給付額の減少も、後者の記事が伝えるように、非正規労働者を中心に1000万人以上が雇用保険から排除されている可能性があるとすると、失業しても捕捉されずに給付を受けることができていない人々が相当いることになる。給付を受けるべき失業者を排除しておいて、保険財政に余裕があるというのは全くの欺瞞である。こうやってまたしても政府の社会保障支出は減らされ、「貧困と格差」は拡大していくのである。 社会保障費の「2200億円」削減枠をめぐっては、自民党の中からさえも「厚生族」を中心に廃止を訴える声があるが、何だかんだ言って政府は依然として継続している。ある意味「2200億円」枠は「小さな政府」の象徴であり、この改廃が政策転換の目安の1つとなろう。
by mahounofuefuki
| 2008-11-15 21:03
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