面倒なので前置きなし。
Easy Resistance:植草さんは「小さな政府」論者ではありませんよ http://easyresistance.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/11/post_7868.html >それはただ天下りを禁止するだけでは、公庫に資金を取り戻すことができないからです。独立行政法人など政府系企業は天下り人件費を捻出するために、業務遂行とは関係のない経費(人件費)を計上できるようにできています。通常の利益を稼ぐ法人とは全くの別物で、そこに配分される国費は彼らにとって利権で、天下りが来なければこれ幸いと、その分も何らかの形で自分達のために利用することでしょう。 その論法だったら、独立行政法人どころか政府のあらゆる機関が必要ないということになる。「業務遂行と関係ない経費」を計上して予算を獲得する手は行政ならどこでも使う手。しかし、例えば地方自治体がそういう手を使っているからと言って、「自治体を廃止しろ」とはならない。必要なのはあくまで会計検査の強化であって、政府の業務を減らして、行政サービスを落とすことではない。ちなみにこの人は「人件費=悪」という典型的な新自由主義的思考にとらわれているが、貧困対策のために公務員を倍増して「ワーキングプア」を優先採用しろと要求している私からすれば、その人件費で雇用が増えるという条件ならば、人件費は多い方がよい。 >おっしゃる通り有益な事業も数多く存在します。しかしそれを残しながら天下りの受け皿である政府系企業を廃止する方法は色々あります。民間企業に運営させ保障だけを与えるとか、地方自治体へ移管する(もちろん一般会計で運営していただく)証券化して市場へ任せる(2次市場形成は問題ありそうですねw)一般会計で予算を組む、利益の見込める事業は民間へ払い下げる等 民間委託と地方丸投げと証券化! あなたは橋下徹ですか!? 竹中平蔵ですか!? 「天下り利権」にはうるさいくせに、特定企業への委託=利権はいいと! ただでさえ財政の厳しい地方自治体に移管してどうやって運営するのか。地方間格差も広がる。民営化すれば収益を上げなければならない。市場原理にそぐわないものは排除されてしまう。また外部委託は公務員の非正規化を招いている(「官製ワーキングプア」で調べよ)。 たとえば公団住宅をご指摘通り民営化するとしよう。家賃が引き上げられ、貧乏人は追い出される。奨学金を民営化するとしよう。利息は上がり、信用保証のない貧乏人は借りることもできなくなる。国立病院を民営化するとしよう。採算のとれない田舎の病院は廃止されるだろう。ちょっとシミュレーションすればわかること。それでも「天下りの廃止のためには仕方がない」と言うようなら「さよなら」だ。必要なのはいつ民営化されるかわからない独立行政法人という形態を完全に国の直轄機関にすることである。 >政府系企業はその規模の分だけ民業を圧迫しています、その圧力を取り除けば日本の企業は活力を再生させるはずです。その伸びに雇用を求めるのが正攻法ではないかと考えます、同時にそれが追いつくまでの間、何らかの保障は必要になると思われますが。 公営事業とぶつかる民業の多くはいわゆる「貧困ビジネス」である。公営住宅がもっとたくさんあれば、ネットカフェや個室ビデオに寝泊まりする人は減る。職業訓練事業がもっと充実すれば、派遣会社は減る。しかし、そうした「民業の圧迫」はむしろ歓迎されるべきではないのか。政府が正規雇用を減らして、その分民間の非正規雇用が増えても、単に貧困を拡大するだけにすぎない。現実は金融危機以降、どんどん民間での特に非正規雇用の「首切り」が進んでいる。今必要なのは、政府が公務員を増やすなり、社会保障の充実と連動した公営事業を増やして雇用のイスを増やすことではないのか? >その通りですね、それが改革の名を借りた利権の保全に他ならないからです。まさしく天下りは温存され、国民の権利が削られる悪しき改革の典型です。この政府系金融も解体すべきだと私は思っています。 何が「その通りですね」だ! 曲解も甚だしい! 私が問題にしているのは「利権の保全」でも「天下りの温存」でもない。奨学金の補完的役割を果たしている「教育ローン」の貸出資格が、政府系金融の経営統合によって従来よりも狭められたことを問題にしているのだ。政府系金融解体? 民間金融機関へ業務委託? ますます貧乏人は排除されるではないか。「改革」など不要。元に戻してくれ。 財政民主主義上、特別会計の廃止が望ましいということは私も同意見だが、廃止した場合の社会的ダメージをフォローするする必要があることは注意しておきたい。公共事業をちょっと減らしただけで、地方は本当に悲惨な状況にある。私の周囲でも会社ぐるみで出稼ぎに出ているなんて話もある。正義漢ぶって「不正」を排除したはいいが、何ら手当てがなければ結局弱い所にしわ寄せが来るということを自覚して欲しい。 「共に新自由主義と戦いましょう!」と結ばれているが、私にはこのブログ主こそ新自由主義者としか思えない。植草氏を「小さな政府」論者と言ったのは言い過ぎだったかもしれないが、少なくとも「Easy Resistance」氏は「小さな政府」論者である。「官僚主犯説」どころか、半ば陰謀論めいた「官僚単独犯説」のようで、「財界主犯説」を採る私とは全く相容れない。「無自覚な新自由主義者」。この国の「民=善、官=悪」信仰の深刻さを改めて実感した次第である。 《追記 2008/11/08》 予想通り再々反論が来たが、「共通の土台」がないことが明確になった。私は社会主義を否定していないので、噛み合うはずもない。まあ確かに当方の言が漠然としすぎていたのは問題であったが・・・。もういくらやっても徒労に終わりそうなので、これで打ち止めにする。 《追記 2008/11/11》 「Easy Resistance」に対しトラックバック禁止措置をとった。理由は以下のエントリを参照のこと。 某ブログに対するTB禁止措置について 【関連記事】 非正規公務員の「ワーキングプア」化~貧困対策としての正規公務員増員政策の必要性 「官僚主犯説」が財界の政治介入を促進する 「小さな政府」を堅持する民主党と「植草一秀現象」 植草一秀氏に答える
by mahounofuefuki
| 2008-11-07 22:00
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