「教育委員会=関東軍」という「釣り」

 弊ブログでは大阪府知事選以降、あまり橋下徹に言及していないが、それはいくら批判しようと、批判自体が橋下のある種の「釣り」に乗せられた形になってしまい、実際「反橋下」の抵抗が強ければ強いほど橋下信者を結束させ、「敵」と闘う橋下のカリスマ性が強化されるという悪循環にはまってしまうからである。

 橋下のやり口は力量のない芸人みたいなもので、瞬発芸のようなエキセントリックな言動で衆目を集めては、大衆に潜在する「良識」や「弱さ」や「優しさ」に対するアンチ思考(過酷な環境にいる人ほど、そうした環境を変えようとする勇気のない臆病をごまかすために、「過酷でない」ものを攻撃する)を引き出し、そのエネルギーを政治力の源泉にしている。
 この方法は伊丹空港問題のように、大衆のアンチパワーが低いと失敗するが(「アンチ伊丹空港」なんて人はそんなにいない)、彼が常軌を逸するほど熱中する学校教育問題では、最近大分県の教員採用汚職がクローズアップされただけに、橋下が自らへの支持の調達に成功する危険性が高い。正直なところ、私にはこれを防ぐ手立ては思いつかない。

 橋下がテレビ番組で、全国学力調査の結果公表に反対する市町村教育委員会を「関東軍みたいになっている」と罵倒したというが(朝日新聞2008/09/15 01:53)、これとて都道府県教育委員会は市町村(教委ではない)に「指導」「助言」「援助」はできるが、市町村教委に「命令」はできない以上、天皇が司令官を任免し命令権限をもった関東軍とは全く次元が異なり、教委の独立性と関東軍の逸脱を同一視するのは法的におかしい、というツッコミは入れられる。

 しかし、橋下とて弁護士である以上、そんなことは百も承知の上で、「教委=関東軍」というレッテルを張って「釣り」行為をしているのである。これを右傾大衆が面白がって教委を「関東軍」と貶める「空気」が醸成されれば(毎日新聞を「侮日新聞」と貶めたように)、橋下の狙い通りである。「面白さ」の前には、冷静なツッコミは水を差す行為となる。

 橋下は少年期のトラウマから、とにかく学校を成績階級で分断することに執念を燃やしているだけなのだが、それにどれほどの人が気づいているか。先の知事選で、良識のある人々の声を聞かず橋下に投票した人々や選挙で投票権を行使しなかった人々が、暴君の暴政に傷めつけられるのは仕方のないことが(そんな目に遭ってもマジョリティがマゾヒストのごとく支持するのは石原慎太郎で実証ずみ)、そのとばっちりで正しい人々までも犠牲にさらされるのが忍びない。橋下当選は確かに「大阪滅亡のお知らせ」だった。

【関連リンク】
地方教育行政の組織及び運営に関する法律 - 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S31/S31HO162.html
[PR]
by mahounofuefuki | 2008-09-15 12:07


<< 厚労省の労働者派遣法改正案はや... 「天下り」元副知事の正論と「天... >>