今日は63回目の広島原爆忌ということで、各新聞が社説や特集で原爆体験の継承や核廃絶・核軍縮に関するオピニオンを掲載している。「戦争を語り継ごうブログ」がそれらの代表的なものをまとめていて便利なのでリンクする。
戦争を語り継ごうブログ 「ヒロシマ原爆の日」の新聞社説・コラム http://nishiha.blog43.fc2.com/blog-entry-1152.html 「ほとんどの新聞が『核廃絶は世界の動向となりつつある』しかし『北朝鮮・イランなどの核拡散の危険性も高い』といった論調のようですが、前者に希望を持つ新聞と後者への警戒を強める新聞とに分かれる」と同ブログが指摘しているように、各紙の間には温度差がかなりあるのは例年どおりである。 注目すべきは、昨年、アメリカの共和・民主両党の国務・国防長官経験者らが「核兵器のない世界へ」と題する論文を発表し、大幅な核軍縮や核実験の禁止などを提起したことに注意を促す論説が複数見られることである。かつて核大国アメリカ政府の中枢で核抑止論を前提とした国家戦略を推進してきた人々が、政治的リアリズムの立場から核廃絶への道筋の必要性を表明したことは、核抑止論の限界を象徴しており、確かに重要な意味を持つ。また、今日の広島市の平和宣言では、今年平和市長会議が発表した核廃絶までのロードマップといえる「ヒロシマ・ナガサキ議定書」に言及していたが、国際社会における核廃絶を目指した動きが確固たる位置を占めつつあると言えよう。 一方で、今年に限ったことではないが、昨今の日本社会における「核」の「語り」にはある種の危惧を抱いている。言うまでもなく、世界で最も核兵器を多数保有しているのはアメリカ合衆国であり、日本国家は日米安保体制のもと「核の傘」に置かれている。核軍縮・核廃絶について語るならば、何と言っても日米安保体制をどう転換していくのかを問わないことには始まらない。しかし、実際は安保支持者はもちろん、そうでない場合でも「アメリカの核」に対する批判意識・問題意識が弱まっているのではないか。日米安保体制が長期化する中で、「核の傘」が「空気」になってしまい、「核の支配下」に置かれているということに無自覚になってはいないだろうか。この点は自戒を込めて強調したい。また現在北東アジアにおける最大の懸案となっている朝鮮の核開発問題も、日本では「拉致問題」の影に隠れてしまいがちなのも問題である。 核保有国は例外なく貧富の差が大きいという事実や、人類が自らを滅亡させるだけの力を有している現状がいかに危険かを決して失念してはならないだろう。
by mahounofuefuki
| 2008-08-06 19:17
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