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厚労省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」報告書は不十分

 労働者派遣法の見直しを検討していた厚生労働省職業安定局の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が報告書案を答申した(厚労省のHPにはまだ出ていない)。すでに厚労省や与党は「日雇派遣」の原則禁止の方針を示しており、問題は研究会がプラスアルファをどのくらい盛り込むのかという点にあったが、各報道を読む限りでは既定方針の追認に終始しており失望の感はぬぐえない。

 毎日新聞(2008/07/28 21:42)によれば、報告書の要点は①30日以内の短期派遣の原則禁止、②労働局が派遣先に直接雇用を勧告する制度の新設、③企業グループ内の「専ら派遣」割合の制限(8割以下)、④マージン率の公開義務づけなどである。研究会ではマージン率の法的規制や派遣先の「みなし雇用」なども検討されたが、今回の報告書では盛り込まれず、登録型派遣の禁止も派遣対象業務の制限も見送られた。厚労省は今年に入ってから従来の規制緩和一辺倒の労働法制解体路線からの政策転換を図っているが、現状では全く不十分であると言わざるを得ない。

 今回の報告書に対しては、「派遣ユニオン」が早速声明を出して派遣規制の不足を批判している。TBいただいた「エム・クルー ユニオン」のブログに記載されているので参照いただきたい。
 声明 在り方研報告・日雇い派遣規制等に関する派遣ユニオンの見解 - エム・クルー ユニオン
 http://blog.goo.ne.jp/m_crew_union/e/d0e07266d34f44a0e5ef48ba90cd176a

 産経新聞(2008/07/28 21:06)によれば、「日雇派遣」についても禁止の例外となる業種の選定を労働政策審議会の今後の審議に委ねたというから、今回の報告書の内容ですら骨抜きされる可能性は依然として残っている。毎日新聞(2008/07/28 23:00)も指摘しているが、以前から当ブログが指摘しているように、労働者派遣法改正をめぐっては与党対野党ではなく、「自公・民主」対「共産・社民・国民新」という対立軸になっており、圧倒的多数の前者の動向によっては規制緩和との「抱き合わせ」の危険もある。決して楽観できる状況にはない。

 あくまでもピンハネという「中間搾取」の撤廃を目指すという観点から労働者派遣法の抜本的改正、特に不安定な登録型派遣の禁止、事実上企業のリストラ策となっている「専ら派遣」の禁止、派遣会社のマージン率の上限規制、派遣先による違法行為の場合の「みなし雇用」などは喫緊の課題である。今後舞台は労政審、さらに国会に移るがはっきりと声を上げていく必要がある。


《追記 2008/07/30》

 厚労省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の報告書がホームページに上がっていたのでリンクする。
 厚生労働省:「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」について
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0728-1.html

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by mahounofuefuki | 2008-07-29 07:45


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