「無保険の子どもが大阪府だけで約2000人」という衝撃

 大阪社会保障推進協議会がこのほど大阪府内で国民健康保険証を取り上げられた世帯の子どもの数を調査した。以下、毎日新聞2008/06/28大阪夕刊より(太字強調は引用者による)。
 国民健康保険(国保)の保険料を滞納したため、保険給付を差し止められ、医療費の全額自己負担が必要になった世帯の子ども(中学生以下)が、大阪府内17市町で3月末現在、628人に上ることが民間団体の調べで分かった。大阪市、堺市など6市は「データがない」としている。給付が差し止められている世帯数は府全体で約3万世帯あり、この団体は、大阪市などを含む府全体では子ども約2000人が「無保険」に陥っていると推計する。
(中略)
 民間団体の大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)が府内43市町村に質問状を送り、回答を集計した。17市町が「いる」とし、20市町村が「いない」と回答した。大阪、堺、寝屋川、守口、茨木、柏原の6市は「データがない」などとして回答しなかったが、大阪市も、差し止め対象に子どものいる世帯があることは認めており、大阪社保協は府全体で約2000人と推計した。(後略)
 現行の国民健康保険では保険料を1年以上滞納すると、市町村は保険証を回収し、代わりに「被保険者資格証明書」を交付することができる。この資格証明書で受診すると医療費の窓口支払は全額自己負担になってしまう。昨年、厚生労働省が公表した調査によれば、2006年6月現在でこの資格証明書の発行を受けた世帯は、全国で35万1270世帯にものぼる。彼らはいわば「国民皆保険制度」の枠組みから排除された存在であるが、当然その中には子どももいるわけで、今回の調査はその実数を(地域限定ではあるが)初めて推計したものである。

 全額自己負担では風邪の受診でも莫大なカネが必要になる。当然、医療の受診を控えようとする。全国保険医団体連合会の調査では、2006年の資格証明書被交付者の受診率は一般の被保険者に比べて51分の1だという。ただでさえ低所得で保険料を払えないのが、さらに保険証を取り上げられ、高額な医療費を請求されるというのは、理不尽以外のなにものでもないが、特に子どもの医療を受ける権利が侵害されているのは非常に問題である。大阪府だけで約2000人ということは、全国では数万人にのぼるのは間違いない。

 国保については支払能力がない場合、分割納付や支払猶予の制度があるが、国保財政の悪化によりなかなか認められない。毎日新聞の前記記事によれば、昨年度の東大阪市の場合、40代夫婦と子ども2人の年間所得200万円の世帯で年間の保険料は約45万円だという。これはもはや「超重税」というレベルである。国保はもともと会社員や公務員などの給与所得者ではない、いわば収入の不安定な人々の保険であるが、それにもかかわらず1980年代以降、国庫負担率の削減が続いている。この国の社会保障制度がいかに強者に手厚く、弱者に冷たいかを最もよく示していると言えよう

 仮に親の怠慢で無保険になったとしても、子どもは親を選択できない以上、子どもには罪はない。自己が決定していないことに自己責任は決して及ぶべきではない。一方、憲法や児童福祉法に従うならば、行政は子どもが健やかに育つための施策を行う責任を有する。まず厚労省は全国で無保険の子どもがどれだけいるか正確な調査を行い、すべての子どもが医療を受けられるようにしなければならない。

【関連リンク】
大阪社会保障推進協議会
http://www2.ocn.ne.jp/~syahokyo/index.html
08年2月19日 国保資格証者の受診率低下-全国保険医団体連合会
http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/080219kokuho/080219kokuho.html
国保証取り上げ35万世帯/「滞納」480万世帯に/貧困・格差拡大で最多更新/厚労省調査-しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-02-23/2007022301_01_0.html


《追記 2008/08/19》

 しんぶん赤旗(2008/08/18)によれば、大阪府内で無保険状態にある子ども(乳幼児と小中学生)の数は1728人と判明したという。
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by mahounofuefuki | 2008-06-29 12:47


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