日雇派遣禁止は当たり前。問題はそのあと。

 舛添要一厚生労働大臣が今日の閣議後の記者会見で、日雇派遣を原則として禁止する労働者派遣法改正案を次の臨時国会に提出する意向を示したという。これまでは厚労省が進めている改正作業が来春の通常国会を目途にしていると伝えられていたが、大臣の発言はこれを前倒しすることを示唆したと言えよう。舛添氏はこれまで口先では「~をやる」と言いながら、根回し不足で前言を反故にすることが多く、今回の件も省内や政府内の合意があるとは思えないが、少なくとも悪い話ではない。

 ただし、日雇派遣の禁止は、偽装請負や多重派遣など相次ぐ派遣会社の違法行為や「格差問題」に対する厳しい世論の高まりもあって、ほぼ既定路線だったとも言える。グッドウィルやフルキャストが事業停止処分を受けるなど派遣会社はかなり追い込まれている。最近の厚労省は労働法制の解体を目指す経済財政諮問会議や規制改革会議などとは明らかに距離をとっており、また今国会では提出に至らなかったが、野党が労働者派遣法改正案の政策協議を続けており、与党の改正案も近く出るとみられている。少なくとも日雇派遣の原則禁止とマージン率規制については実行される客観的情勢が存在する。

 問題は日雇派遣禁止で終わってしまうのでは困るということだ。最低でも同一労働の均等待遇を義務づけ、不安定な登録型派遣を廃し、派遣対象業種を制限するところまでやらなければ、雇用待遇差別の解消のスタートラインにすら立てない。何より依然として財界側は日雇派遣の禁止も含めあらゆる見直しに抵抗していて、のみならずさらなる規制緩和さえ要求しており、一方で日雇派遣を禁止しながら、他方でたとえば企業の直接雇用義務を撤廃するような、労使の要求を折衷した抱き合わせの「改正」が行われることを危惧している。

 現在、厚労省職業安定局が設置した「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が派遣法改正の方向性を検討しているが、企業の直接雇用義務の「みなし規定」導入など、当初の想像以上に調査範囲は広がっており、派遣法の抜本的改正を求める声を無視できなくなっている。それだけに今後資本側の反撃も強くなるだろうが、まだまだ勝負は続いている。今国会で民主党が中途半端な改正案しか出さず、野党共闘が失敗した時は、正直かなり失望させられたが、派遣労働見直しへの道はまだ閉ざされてはいないと確信した。

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by mahounofuefuki | 2008-06-13 20:59


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