マクドナルドの新報酬制度は手の込んだ賃下げ

 日本マクドナルドが昨日、管理職扱いで残業代を支払っていない直営店の店長などに8月から残業代を支払う新制度を発表したが、新聞の見出しがどこも「名ばかり管理職」への残業代支払いを強調していたので、てっきり「ただ働き」という違法状態の非を認めたのかと思いきや、今日報道の詳細を読んで驚愕した。
 店長などを管理職からはずし残業代を支払う一方で、職務給を廃止する(賃金総額はほぼ同じ)。過去の違法状態は認めず残業代の遡及支払いはなし。現職の直営店長が会社を提訴し、1月に東京地裁が残業代の支払いを命じたものの会社側が控訴した訴訟も継続。「残業ゼロ」を目指すとしながら実態に即した残業防止策はなし。
 これでは違法状態を解消して残業をなくすどころか、手の込んだ事実上の賃下げである。

 この問題は単に店長に残業代が支払われていないというだけでなく、定時内に仕事ができないと査定に響くために、多くの店長がタイムカードを改竄してまで時間外労働をせざるをえない状況に追い込まれている所に核心がある。
 マクドナルドの会長は記者会見で「業績を上げている店長ほど残業が少ない」(毎日新聞2008/05/21朝刊)とあたかも残業の原因が店長の無能であるかのように言い放ったそうだが、実際は表向き残業が少ないように見せかけている人が評価されているだけの話である。日本マクドナルドユニオンの書記長は次のように指摘している。「そのまま残業時間として報告すれば能力がないとされる。圧力の中で、正確な労働時間を申告できない人が多いのが実態だ」(毎日、同前)。
 今回の新制度がそのまま実施されれば、ますます表向きは定時で仕事を終えているようにみせかける「隠れ残業」が増える。「隠れ残業」には残業代が支払われない。そして職務給が廃止される分、賃金は下がる。「手の込んだ賃下げ」と言わざるをえない所以である。

 マクドナルドの今回の発表は、失墜した企業イメージを挽回することが目的で、何一つ反省していない。「改革」どころか「改悪」とすら言える。引き続き人間らしい働き方を求めてひたすら闘い続けるしかない。

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by mahounofuefuki | 2008-05-21 20:47


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