偽装請負内部告発による解雇は無効

 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」の請負労働者が、偽装請負を内部告発後に解雇され、解雇無効と賠償を求めていた訴訟の控訴審で、大阪高裁は就労先の雇用責任を認める判決を下した。以下、朝日新聞(2008/04/25)より。
(前略) 判決によると、吉岡さんは04年1月から、松下PDPの茨木工場で「請負会社の社員」という形で働いていたが、翌05年5月、「実際は松下側社員の指揮命令のもとで働いており、実態は直接雇用だ」と大阪労働局に偽装請負を内部告発した。同8月、松下PDPに期間工として直接雇用されたものの、06年1月末、期間満了を理由に職を失った。期間工だった間、吉岡さんは他の社員と接触できない単純作業に従事させられた。
 判決はまず、請負会社の社員だった吉岡さんらの労働実態について「松下側の従業員の指揮命令を受けていた」などと認定。吉岡さんを雇っていた請負会社と松下側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」であり、職業安定法や労働基準法に違反して無効だと判断した。
 そのうえで、労働契約は当事者間の「黙示の合意」でも成立すると指摘。吉岡さんの場合、04年1月以降、「期間2カ月」「更新あり」「時給1350円」などの条件で松下側に労働力を提供し、松下側と使用従属関係にあったとして、双方の間には「黙示の労働契約の成立が認められる」と認定した。この結果、吉岡さんはこの工場で働き始めた当初から直接雇用の関係にあったと結論づけた。
 松下側が06年2月以降の契約更新を拒否したことについても「解雇権の乱用」で無効と判断した。
 さらに、吉岡さんが期間工として直接雇用された05年8月以降、配置転換で単独の作業部屋に隔離されたことについて、「松下側が内部告発などへの報復という不当な動機や目的から命じた」と認定した。(後略)
 松下プラズマの偽装請負問題については専門のブログがあり、この訴訟の経過についても詳しい(文末の「関連リンク」参照)。

 今回の判決の画期性は、就労先と請負会社の業務委託契約を「偽装請負」として違法で無効であると断じたのみならず、労働契約が「黙示の合意」でも成立するとし、契約が無効であっても実際に働かせていた就労先の雇用責任を認めたことだろう。表向きは「請負」でも実態としては直接雇用であった事実を認め、就労先の責任を法的に認定したことは重要である。
 そして何よりも、不正を告発したばかりに不当な扱いを受けた人が勝利を得たというのが素晴らしい。この国では「正義が負ける」のが常態化しているため、よほど勇気がなければ職場で不当な扱いを受けても「我慢する」か「辞める」場合がほとんどで、「闘う」という選択肢をとる人は極めて少ない。会社側からの報復だけでなく、「闘う」勇気のない奴隷に甘んじている同僚たちからのバッシングもあっただろう。
 黙って泣き寝入りしていても事態は動かない。味方は内部にいなくても外部には必ずいる。今回の原告もキャノンの偽装請負の告発者らと「偽装請負を内部告発する非正規ネット」を立ち上げ、他の労働運動や政党の支援があればこそ闘いを継続できた。声を上げないことにはどうしようもないことを改めて学んだ。
 今回の判決が労働者派遣法改正の追い風となることを期待したい。

【関連リンク】
松下プラズマディスプレイ社 偽装請負事件
[PR]
by mahounofuefuki | 2008-04-26 21:11


<< 自衛隊が「創設100周年」!? 東京都の「ネットカフェ難民」支援 >>