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再評価すべき「出島の感覚」

 全然知らなかったが、ピーター・マンデルソンというEUの通商担当委員が来日中で、何でもイギリス系投資ファンドの電源開発株買い増し申請に日本政府が中止を勧告した件について、江戸時代の鎖国下の「出島の感覚」が残っていると批判したという。
 以下、共同通信(2008/04/22 11:28)より。
(前略) 同委員は日本への外国直接投資額がほかの先進国と比べて圧倒的に少ないことなどを指摘し、「日本はグローバル経済の優等生なのに、自国経済となるとグローバル化を恐れている」などと疑問を呈した。
 その上で、江戸時代に長崎の出島でオランダを相手に限定的な貿易をしていた感覚から脱しきれないなどと述べ、外国投資家らに鎖国的な「文化や伝統」を批判した。(後略)
 この発言はイギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズによるインタビューで為されたということなので、同紙の記事を調べてみると、確かに“Dejima mindset”が取り除かれていないと語っている。本筋とは関係ないがヨーロッパの政治家が「出島」を知っていたことにまずは驚いた。

 このマンデルソンという人について検索すると、イギリス労働党出身でブレア前政権では閣僚も務めている。詳細は不明だが、主に中国に対して自由貿易主義の立場から厳しい批判を繰り返しているようで、典型的な市場開放論者のようだ。
 このインタビューでもフィナンシャル・タイムズの記者が“a combative speech”と形容するほど激しい調子で、日本市場の「閉鎖性」を批判している。その中には航空機市場を国策の介入でボーイングが独占していることへの批判など傾聴に値する点もあるが、その多くは限りなくイチャモンに近い。

 実を言うと私はこの「出島の感覚」をもっと再評価するべきだと考えている。江戸時代の鎖国は外国との一切の関係を断絶したものではなく、幕府が貿易を独占管理したシステムで、相当な収益を上げていたことが最近の研究では明らかになっている。いわば究極の保護貿易である。
 この20年ほどの間に「自由貿易=善」というドグマが世界的に成立してしまい、市場開放ばかりが追及されたが、それが単なる弱肉強食で貧富の差を拡大し、それぞれの地域の産業を衰退させたのは周知の通りである。日本では食糧自給率も大幅に低下してしまった。

 いまいちど「必要なものは輸入するが、そうでないものは輸入しない」という鎖国=管理貿易の発想を見直すべきではないか。新自由主義に対する対抗政策を構築する上で、鎖国政策は大いに参照になるだろう(もちろん鎖国そのものの実施は現代世界では不可能だが)。マンデルソン発言は逆説的に「出島」の存在に気づかせてくれる。
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by mahounofuefuki | 2008-04-22 18:19


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