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日本共産党の支持急増について

 当ブログはしばしば共産党系とか共産党寄りとか紹介されるのだが、本当の共産党員やシンパが既得権益への反発と大衆の「本音」~大阪府知事選挙の結果JR岡山駅での突き落とし殺人事件についてのような記事を書くはずもなく、私の場合は「貧困と差別」解消の最も手っ取り早い手段が共産党の伸長であると考えて、「期間限定」で選挙や請願やその他日々の活動を通して支持しているにすぎない。
 これまで特に書いたことはなかったが、たとえば日本資本主義や近代天皇制の性格規定では、未だに「講座派」の理論そのままの共産党の公式見解を実証史学の立場から全面否定しているくらいだし、だいたいマルクスやエンゲルスの著作などほとんど読んでいない。逆に言えば、そんな私のような者が共産党に頼らざるをえないほど、現在の日本社会は希望のない劣悪な状況なのである。

 共同通信(2008/04/19 16:31)によれば、共産党の入党者数が拡大し、支持率も上昇しているという。昨年11月から今年2月までの入党者数が3000人以上ということだが、こんなに増えたのは本当に久しぶりではないか。
 注目は政党支持率で、今月初めの調査では30代男性で11.0%、20代女性で9.4%にも上るという。「氷河期世代」の10人に1人が共産党に期待を寄せているのである。

 共同の記事も指摘しているように、雇用待遇差別への取り組みが共産党支持拡大の動因であろう。
 昨年の参院選で「生活第一」と公約した民主党が早々に最低賃金法改正と労働契約法で有権者を裏切り、本気で貧困問題を解決する意思がないことを露呈する一方、共産党は国会で雇用差別や貧困の解消策を提起し続け、そのクライマックスとも言える2月8日の衆院予算委員会における志位和夫委員長の歴史的質疑がマスメディアの黙殺や他党の妨害(今もこの日の会議録だけが出ていない)にもかかわらず、比較的若い世代を中心に大絶賛された。

 私は以前「左」になるハードルと「左」の活路で、「特に最近は若い世代を中心に、あまりにも理不尽な労働条件や非正規雇用の増大による将来への不安から、巨大企業の搾取や競争万能主義への不満が確実に高まっている。仮に所得再分配による福祉国家の実現に公約を絞れば、そうした不満を抱えた層をかなり取り込めるはず」と述べ、「政策の優先順位の策定と、有権者に全政策の支持を要求しない姿勢」「表に出す公約の絞り込みと集約化」を提言したが、最近の共産党支持の拡大はこの提言の正しさを実証したと言えよう。

 共産党支持が拡大すると、「民主党による政権交代」信者は「野党票の分散」とか「反共攻撃の誘発」とか言い出すが、現在の日本に必要なのは単に首がすげ替わる「政権交代」ではなく、明確な「政策転換」であり、共産党の伸長がプレッシャーとなって自民党や民主党が新自由主義路線を放棄するようになれば、それに越したことはない。すでに共産党は次期衆院選で小選挙区の立候補を大幅に削減する方針を決定しており、現実問題として民主党とのすみ分けが十分に可能になっている。
 とはいえ今後警戒しなければならないのは、共産党が存在感を増すことで、自民・民主両党が「反共産」で提携し、露骨な弾圧に打って出ることである。京都市長選挙が端的に示したように土壇場になると民主党も社民党も「反共」で自民党や公明党と手を組む。この国は右翼のテロは当局公認だが、共産党はビラ配りすら違法扱いである。すでに「合法的」弾圧が始まっている以上、予断を許さない。市田忠義書記局長の「そんなに甘くはない」(共同通信、前掲)という言葉はそのことも含んでいると思われる。

 いずれにせよ貧困問題・雇用待遇差別問題は解決に待ったなしの状況にある。国会に共産党が占める割合が大きければ大きいほど問題解決が進むということをはっきり指摘しておきたい。

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by mahounofuefuki | 2008-04-20 13:05


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