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「ハンセン病問題基本法」の請願

 ハンセン病療養所の入所者・退所者の権利擁護のための「ハンセン病問題基本法」の制定を求める国会請願が行われているという。以下、共同通信(2008/04/08 21:57)より。
(前略) 全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)、国賠訴訟全国原告団協議会(全原協)のメンバーや支援者らが手分けし、衆参両院の議員会館で療養所の所在県から選出された議員や各党の厚生労働関係議員などに要請書を手渡した。
 基本法をめぐっては、超党派で構成する2つの議員連盟がそれぞれ、先月までに関係者からの聴取などを実施。会期中の成立を目指し、成案を得るための調整が続けられている。
 2つの議員連盟とは、「ハンセン病対策議員懇談会」と「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」である。

 ハンセン病については、日本国家は1907年に法律「癩予防ニ関スル件」を制定して以降、患者の強制隔離断種・堕胎虐待・監禁を基軸とする非人道的な差別政策を後継法の「らい予防法」を廃止する1996年まで続けた。
 完治が難しかった時代にあっても感染力が微弱で衛生・栄養状態に影響されると考えられた病気だった以上、隔離政策に正当性はなく、ましてや特効薬プロミンにより病気の完全治癒が可能になった戦後も継続したのは言語道断である。断種・堕胎に至っては、遺伝病ではないのだからいかなる思想的立場であっても非人間的政策と言わなければならない。

 療養所入所者らによる国家賠償訴訟は和解したものの、日本社会における差別と偏見は根強く、入所者の社会復帰は必ずしも進んでいない。ハンセン病療養所は依然として社会に開かれたとは言えず、入所者の高齢化が進む一方、医療・福祉体制の遅れが問題となっている。
 「ハンセン病問題基本法」の内容について、全療協などが参加する「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会」は、入所者の社会復帰と差別解消に国が責任を持つこと療養所の医療・介護の充実療養所の一般開放などを求めている。この請願を元に速やかに法を制定する必要があるだろう。

 偶然にも私は今、藤野豊『ハンセン病と戦後民主主義 なぜ隔離は強化されたのか』(岩波書店、2006年)を読んでいる最中で、改めてハンセン病問題に関心を抱いていた時だったので、このニュースが目についた。学習のためにもブログで関連リンクを紹介する。署名活動も行われているので、参照したい。

【関連リンク】
知って!ハンセン病国賠訴訟-ハンセン病国賠弁護団
ハンセン病基本法の制定を求める署名運動
ハンセン病ニュース
ハンセン病のリンク集
ハンセン病に関する情報ページ-厚生労働省
by mahounofuefuki | 2008-04-10 00:43


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