「嫌がらせ」もまた一種の抵抗だ

 派遣会社を解雇された男が、会社に約1万回の無言電話などをかけた偽計業務妨害容疑で逮捕された。
 毎日新聞(2008/04/09 13:07)によれば、容疑者は人材派遣会社スタッフクリエイティブの派遣社員で、引っ越しの荷物運びの仕事をしていたが、無断欠勤が多いことを理由に昨年解雇されたという。それを逆恨みして会社に嫌がらせの電話をかけていたと警察当局は考えているようだ。

 解雇理由が本当に無断欠勤なのか、そもそも本当に無言電話を1万回も行っていたのか、現時点では何とも言えないし、それが事実だとしたら誉められた行為ではないが、一方で「嫌がらせ」というのは弱い立場の労働者にとって1つの抵抗手段なのではないかと感じた。

 現在、労働者が不当労働行為に遭った場合、採り得るオプションは限られている。労働基準監督署に申し立てても、労基が行政指導を行う保証は何もなく、逆に職場で「いじめ」の対象となるのは確実である。労働組合があれば団体交渉やストライキなどが一応はありうるが、長期の神経戦を覚悟しなければならない。労組もなく同僚の理解もなく孤立した労働者は「我慢する」か「辞める」の二者択一なのが実情である。
 そんな中で経営者や管理職への「嫌がらせ」は、少なくとも泣き寝入りするよりは立派な抵抗なのではないか。今回の事件の場合、実害を蒙るのは経営者でも管理職でもなく、実際に電話に出る社員なので抵抗とは言えないし、何よりも電話代がかかる以上、費用対効果の面で問題があるが、もっと工夫すれば実用的な抵抗手段を生み出すこともできるだろう。
 最も効果的なのは、経営者に心理的ダメージを与え、それでいて違法の証拠を残さないことだが、そういう「悪知恵」が欲しいところだ。

 会社の前で集団でシュプレヒコールを上げたり、横断幕を張ったりするのも、企業イメージの悪化を誘っているという点で広義の「嫌がらせ」と言えなくもない。労働者が会社側に抵抗する上で、どうすれば最も会社側が嫌がるかという観点は重要だと思う。労使間の力関係は圧倒的に非対称である以上、弱い方がフェアプレイにこだわる必要などない

 《追記 2008/04/10》

 本文について読者の方から用語を誤用しているという指摘を受けた。
 本文中、労働者が不当に扱われている状態を「不当労働行為」と述べたが、法律が定める「不当労働行為」とは労働組合の活動に対する妨害を指し、私の用法は明白な誤りだった。基本的なミスで誠に面目ない。
 「不当労働行為」の部分を「不当な待遇」と訂正する
 心よりおわび申し上げます。
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by mahounofuefuki | 2008-04-09 17:33


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