在日米軍駐留経費負担特別協定の「空白」~「思いやり予算」を再考する好機

 日本では4月1日は新年度がスタートする日である。エイプリルフールということでブログに何か仕掛けようかとも思ったが、ユーモアセンスのない私には何も思いつかないので、平常通り記事を書く。
 今日のマスメディアの関心は専らガソリン税の暫定措置の期限切れに集中しているようだが、今日はもう1つ期限切れになった「暫定措置」がある。在日米軍駐留経費負担特別協定である。

 日米地位協定は第24条で、日本側がアメリカ軍に基地や港湾や飛行場などを無償提供する一方で、「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」について「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めている。
 ところが周知の通り、1978年以降日本側が「思いやり予算」と称して駐留経費の一部を負担するようになり、当初は在日米軍が雇用する日本人労働者の労務費などに限定されていたが、年を重ねるごとに負担額と負担用途は増大し、ピーク時には労務費・光熱費・訓練移転費合わせて歳出ベースで2700億円を超えた。近年は微減を続けているが、それでも今年度予算では2083億円(特別協定相当分は1416億円)と依然として2000億円規模を維持している。

 地位協定との矛盾が拡大しているのを糊塗するために、1987年以降は数年ごとに駐留経費負担のための特別協定を結ぶようになり、日米両政府は今年も1月に3年期限の特別協定を締結した。この新協定が現行協定の期限が切れる3月31日までに国会承認が得られなかったために、「思いやり予算」史上初めて「空白」が生じることになったのである。国会の与野党逆転による思わぬ「効果」である。
 新協定の承認案件は衆院外務委員会が明日採決し、その後本会議の採決も近日中に行われる見通しで、憲法の規定により外国との条約類は衆院可決後30日で自然成立となるので、「空白」は長くても1か月強の短期間にすぎないが、それでも「思いやり予算」という地位協定にも違反する行為が一時的でも掣肘を受けるのは歴史的快挙である。

 「思いやり予算」の使途については、従来から米軍将兵の高級住宅や娯楽施設への使用が問題になっていたが、最近も共産党の赤嶺政賢衆院議員の要求で防衛省が提示した資料から、警備員やコックに加えてバーテンダー、観光ガイド、さらには宴会のマネージャーの労務費に至るまで使われていたことが明らかになっている(しんぶん赤旗2008/03/17)。もはや「思いやり予算」は在日米軍にとって格好の「金づる」でしかないのである。
 アメリカの軍事プレゼンスを得るためには「思いやり予算」も仕方ないという思考が、あたかもリアリズムであるかのように錯覚しがちだが、あくまでも日本が基地を提供する代わりに米軍が日本を防衛するという関係が日米安保体制の本筋である。すでに基地を提供している以上「思いやり予算」は余計な隷属行為以外の何ものでもない。労務費と光熱費については日本人労働者を雇用したり、日本企業に事業を委託している見返りであるという見方もあるが、その見方は日本側が直接雇用ないし直接委託していない限り成立しない。米軍が雇用し、米軍が委託している以上、アメリカ政府が財政負担するのが当然である。

 今回の駐留経費負担協定の「空白」を機に「思いやり予算」には果たして正当性があるのか再考するべきだろう。最近、米軍軍人による相次ぐ刑事事件により日米地位協定の改正を求める声が高まっているが、「思いやり予算」と地位協定の矛盾についても政治課題とする必要があるだろう。

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【関連リンク】
日米地位協定全文(日・英文対照)-外務省*PDF
在日米軍駐留経費負担特別協定の署名について-外務省
防衛省・自衛隊:在日米軍駐留経費負担について
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by mahounofuefuki | 2008-04-01 12:32


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