「通年国会」は議会制民主主義を破壊する

 自民・民主両党の「若手」衆院議員7人が「真の『言論の府』を目指す」と題する国会改革案を発表したという。
 朝日新聞(2008/02/06 19:13)によれば、7人は河野太郎、柴山昌彦、水野賢一、山内康一(以上、自民党)、馬淵澄夫、細野豪志、泉健太(以上、民主党)の各氏で、次の8項目である。
◇会期不継続の原則の廃止(会期中に議決できなかった法案が自動的に廃案になる制度を是正)
◇立法審査と行政監視の分立(法案そのものの審議と政府のスキャンダル追及などを分離)
◇党議拘束の緩和(各議員の価値観で判断が分かれる法案への賛否を自由化)
◇議員立法の充実(衆院20人、参院10人の賛同者を集めれば提出権のある議員立法が、所属政党の承認が必要となっている慣例を排除)
◇外交への配慮(国会会期中の閣僚の自由な外交を容認)
◇行政府の効率化の推進(質問通告を委員会では48時間前までに早める)
◇委員会運営の改善(委員会の日程をあらかじめ決める)
◇本会議改革(党首討論など法案の議決以外にも、重要課題の討論を本会議で行う)
 詳細は不明だが、少なくとも報道された内容からは、「改革」どころか議会政治を破壊する暴論としか思えない。
 何と言っても問題なのは、会期不継続原則の廃止である。現在の国会法は「会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない」と定め、会期内に議決されなかった法律案は、継続審議の手続きを行わない限り、審議未了で廃案となる。この原則により、1つの会期に提出しうる法案数が制限され、審議を延ばすことで少数派は多数派の支持する案に抵抗しうる効果を生み出した。国会会期の延長制限(通常国会は1度、臨時・特別国会は2度まで)とともに、多数派による独裁を抑止するためには絶対に必要な制度である。
 ところが「若手」議員らはこれを廃止して、いわゆる「通年国会」を実現しようというのである。通年国会になってしまえば、会期内に議決できなくても自動的に継続審議になるから、政府・与党は会期内成立にかまわず好きなだけ法案を提出でき、一方、少数派には法案を廃案にもっていく機会は消えてしまう。国会審議の緊張はなくなり、いつでも多数決で議決できるようになる。
 戦前の明治憲法体制から続く議会運営の大原則を平然と踏みにじる彼らの見識を疑わざるをえない。

 立法審査と行政監視の分立というのも、行政への監査を切り離した法案審議など現実にはありえず、だいたいそんな制度は私の知る限りどこの国にもない。閣僚に国会出席よりも外遊を優先させる案も国会が自ら「国会軽視」する自殺行為以外の何ものでもない。党議拘束や議員立法の件はそれぞれの政党の問題であって、法令で定めるようなことではない。
 今回の提案は結局、衆参の与野党逆転状況にあって、政府・与党の法案を通りやすくするための御都合主義的な方便だろう。民主党の議員が一部とはいえこんな暴論に賛同するあたり、この党の「本音」が透けて見える。

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国会法-法庫
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by mahounofuefuki | 2008-02-07 20:34


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